半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第99話

2023-06-30 08:29:41 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2023年12月24日(日曜日)枚方(ひらかた)芸術文化センターにて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションは「ライモンダ」より、ピチカートのヴァリエーションです。
男子は「ラ・シルフィード」のヴァリエーションです。
さ、やりましょう!!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
教鞭を執られる先生
第99話
女の子たちが向かう方向に一緒に後ろから付いて
行くと、「おおーっ!立派な舞台じゃないかっ!」
そして意外に沢山のダンサーたちがそれぞれに
ウォーミングアップをしており、舞台上に設置
された移動バーの数を見て、このバレエ団が
大所帯であるのに驚いた。

男性ダンサーたちはあまり見栄えのしない
レッスン着を着ていた。彼らは無言で何処となく
疲労感を感じさせる雰囲気で床の上でストレッチ
をしたり、バーに足を掛けてレッスンの教鞭を
執られる先生が来るのを待っている。

やがて静かに現れたのは背丈が非常に小さな
老婦人だった。しかも足が恐ろしいほどエックス
脚で、はっきり言って可哀そうになるほど内側に
折れ曲がっており、歩くのさえままならぬ様子
である。頭髪が栗色に染めているが、1950
年代のファッション雑誌に出て来そうなヘアー
スタイルで、ショートヘアーでいながらクルクルと
ウエーブが掛かって頭の天辺に向かって髪が
盛り上がっている。そして体形はちょっと小太りだ。
先生は杖を突いていた。

ショージはこの時に「あれ…この女性と何処かで
会ったことがあったかな?いや、確かにある…
何処だったか…絶対に僕はこの女性を知って
いる!」そう感じた。 やがて舞台のど真ん前の
場所に、さっきショージが「レッスンを受けさせて
ください!」と頼んだ男性デレィクター(芸術監督)が
老婦人先生を大切そうにゆっくりと静かにエスコート
しながら舞台のど真ん中まで連れて来ると、
すっ飛んで端に行き、また急いで椅子を持って現れた。

その椅子はその監督が座るものではなく、教鞭を
執られる老婦人のためにわざわざ持って来たもの
であった。ショージは近くにいる女の子に
「トゥダー…エタ ジェンシナ ペダゴーギ、
カクアナ ザブートゥ?」(向こうの…あの先生の
名前は何と言うの?)

すると女の子は誰にも聞こえないくらいに静かな声で
「ドジンスカヤ先生よっ!レニングラードから
ゲストで来てくれてるのよ…ほら、レッスンが
始まるわ、前を向いて!」と、ディレクターにでも
ばれたら怒られでもするかのように声を押し殺して
いる。

ショージはその女の子の言った先生の名前を聞いて、
ぶったまげた。「お、思い出した…!あの先生は
僕がレニングラードに侵入した時に僕はキーロフ
劇場に入る事を許されなくて、無念の気持ちのまま
ホテルへ帰ろうとしたら劇場の真向かいにある、
もう一つの劇場にモスクワ国立バレエ団がゲストで
来ていたんだ…!

そして僕はそのバレエ団でレッスンに参加した時、
そのレッスンを教えていたのは…バレエ史に残る
偉大で有名な…こ、このドジンスカヤ先生だったんだ!
ま、待てよ…モスクワ国立バレエ団?ここはモスクワ…
あっ!もしかしたらこのバレエ団は…」そう、この
バレエ団こそ、ショージが以前、レニングラードで
偶然にもレッスンさせてもらう事の出来たモスクワ
国立バレエ団だったのである。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第98話

2023-06-29 08:07:38 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第98話
 すると…「ははーん、じゃんじゃじゃーん!あるじゃ
ないか!これだよ…」これは劇場の関係者入口に間違いは
無い筈だ。この関係者入口の中に勝手に入って行く事に
した。薄暗い入口でその中がどの様になっているのかは
全く分からないが、幸いな事に入口を守る門衛は一人も
いなかった。誰も中にはいないのかもしれないが、
なんとなく怖い物見たさ…と言うのもあってどんどん
入って行った。

暗い廊下の向こうに女の子が走って行くのが見えて、
ショージもその女の子に話し掛けてみたいと言う事も
あり、小走りで追いつこうと廊下を曲がった瞬間、
「おーっ、いるわいるわ…!」頭の髪の毛をお団子に
した紛れも無くバレエダンサーの女の子たちが…!
つまりビンゴ!ショージの勘は大当たりだったのだ。

ショージは即、その女の子たちの一人に「今から
レッスンがあるの?」すると女の子はコクンと頷き、
ショージは直ぐにまた、「このバレエ団のディレク
ターは何処にいますかね?」すると女の子は怪しそうに
ショージの顔をじっと見てから、頭の上から足の
つま先に向かって目線を走らせ、ショージが危ない
人間なのかそれとも変質者なのかを知ろうとしている。

「ふふ…お嬢さん、私は危ない人間でも変質者でも
ないのですよ…でも変人と言うのならばその通りかも
知れませんけど…」

ディレクトール(芸術監督)

女の子はショージを見ると「あ…あなたも一応は
バレエダンサーなの?」と言葉に出しては言わない
もののショージがダンサーと言う事を分かってくれ
たのであろう。人差し指を上に向けて折り曲げ、
ピョコピョコと曲げた。つまり、世界的に誰でも
分かる手話の技法で「私の後ろに付いて来なさいよ」
の意味だ。

足が長く金髪で長身の女の子の背後から大きな
バッグを肩に担ぎピッタリと付いて行った。女の子は
階段の傍の小部屋をノックすると、中から初老の男が
ドアーを開いて現れた。男は年が50歳くらいで、
まず女の子に「どうした?」とでも言うような態度を
見せたが、直ぐに女の子が振り返ってショージを見た
ので、それに気が付いた男はショージをじっと見た。

ショージは声を上ずらせながら少し緊張してその
ロシア人の男に英語で話しかけた。「ア、ハロー!
アイアム、ジャパニーズ…キャナアイ テイク 
バレエレッスン?」男は斜めに頭を傾げてショージを
見ている。その姿がまるでショージが飼っていた犬に
説教していた時、人間の言葉が分からない時に首を
斜めに傾けていたのがそれにそっくりだった。
突然知らない男から英語で話しかけられた芸術監督の
顔には「お前の言葉は一体、何処の国の言葉?」とでも
言いたげだ。

ショージは次にロシア語で「ヤ ハチュー ブメ-ス
チェ ス ヴァミ ザニマッツァ クラ~サム?」
(私はあなたがたのバレエレッスンを受けたいのですが…
よろしいですか?)これはただ単に知っているロシア語の
単語を並べただけであったから、これだって理解されなく
ても当然だった。すると意外にも男性は頭を縦に振って、
「ヤ、ディレクトール…ミニャ ザブートゥ 
ゴルデーエフ…。ダー、モーシュナ!パジャールイスタ。」
(私がディレクターです。私の名前はゴルデーエフ。
どうぞ、レッスンに参加しても良いですよ)ショージは
頭を下げて礼を言うと、目の前のトイレで30秒後には
稽古着姿になった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第97話

2023-06-28 08:25:35 | webブログ

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平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
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また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
ビンゴ!
第97話
「ああ、お腹が空いた…何処かで朝食を摂らない
とな…」道沿いにある店の中からモクモクと煙が
出ている。「おっ、何か焼いているのか?
それとも煮ているのかな?」店に入ると10人
くらいが列を作って並んでいた。店の中に大型の
ガラスケースがどーんと置いてあるのだが、その
ケースの中には商品が何もない。

テレビのニュースで「今のソ連には食べ物が非常に
少ない…」という事を見ていたから驚きはしなかった。
では、この人たちは一体何の為に並んでいるのか?
煙の出所を見るとそこに大きな釜があり、とても
良い匂いがする。この匂いはきっと肉を茹でている
のだろう。匂いの正体を知るために並んで待っている
人たちの前を素通りして従業員に聞こうとした。

順番でも抜かされたかのように凄い形相しながら
ショージを見つめるおじさんやおばさん。
「すみませんが、その釜の中には何が入っているの
ですか?」と聞くと男の店員が面倒くさそうに声も
出さずに釜の中から引き揚げた物は大きなソーセージだ。
「うわ、美味そう!」

このソーセージとコーヒーを買おうとしてショージも
列に並び、レジで代金を払うためにルーブル紙幣を
数枚出した。「これで間に合いますか?」と聞いたら
レジ係のおばちゃんが怖い顔をしてショージを睨んだ。
「お札なんか要らないんだよ!ポケットの中のコインを
出せ!」とレジの中のコインを手でつかみジャラジャラ
とレジの中に落とした。買ってもらうという意識では
なく、売ってやるのだという態度であるがたてつく事は
出来なかった。

ショージはソーセージが食べたかったので黙って
持っている全てのコインをおばちゃんに差し出すと
ショージの手からおばちゃんが必要な分だけコインを
取った。ソーセージにかぶりつくとその絶妙な
美味しさと熱さだ。豚の脂身が良く煮えていて
肉汁がジュワーッと出て来て唇と舌が火傷しそうな
ほど熱い。「よしっ、もう一本食べよう!」と残りの
ソーセージを一気に口に押し込み「ゲホッ、ゲホッ!」
となりながら再び列に並んだ。

朝食を食べ終え、ボリショイ劇場へと向かおうと
した矢先、道沿いの向こうの建物の前に大きなポスター
にバレエの宣伝がしてある。そのポスターの絵で
バレエだという事が分かるのだが生憎ショージは
近眼の乱視だからはっきりとは見えなかった。
「ボリショイバレエの公演でも宣伝しているのかな?」
と思ったら、それは建物の入口に近づくにつれてもっと
はっきりと見えて来た。

どうやらボリショイバレエとは関係が無さそうな
ポスターだ。そしてこの建物には入口の上にバレ
リーナたちが踊っている絵の看板が付いてある。
入口はまだ朝だったから閉まっていた。「バレエの
ポスターと看板?ここでやっているっていう事か?
こんな四角いビルの中で…ってことは、もしかしたら…」

ショージは暫し考え込んだ。以前、スペインのバルセロナ
を訪れた事があるのだが、道行く人に「すみません、
劇場は何処ですか?」と訊ねると、そのおじさんが「君は
不思議な事を聞く人だね…君の立っているその場所が
劇場の入り口なのに…」ショージはとても驚いた。
それを今、思い出したのだ。

「そうか…この普通のオフィスビルみたいな建物は
あのバルセロナの劇場の時と同じように、建物の外観の
見栄えが劇場らしくないのに実は建物は二重構造に
なっていて、実際に建物の中に入って行けばちゃんと
劇場が存在してるのかもしれない…」と直感したのだ。
バルセロナのオペラ座の劇場は外側からでは、その
建物の中に目を見張るほどの素晴らしい円形劇場がある
なんてツーリストには絶対想像が付かないほど普通の
古い四角いオフィスビルなのだ。

だが、そのビルの中に足を踏み入れ、更に奥深くに
入って行くと突然巨大な空間が現れ、しかもその内部には
ふんだんに美しい金細工の施された目を見張る様な
素晴らしい円形劇場があるのを見てショージは度肝を
抜かされた事があった。そういう経験から今、モスクワの
この建物の裏側に行けば関係者入口があるのじゃないかと
建物に沿ってビルの背後に廻った。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第96話

2023-06-27 08:38:43 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
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日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

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モスクワのメトロ(地下鉄)
第96話
ようやくホテルを出ると地下鉄を発見した。それに
乗ってボリショイ劇場に行く事にした。流石に
ソビエト連邦の首都だけに地下鉄には朝から出勤
のための途方も無い数の人並みだった。ショージは
メトロの幹線地図を眺めながら、どっちのプラット
フォームから乗ったらボリショイ劇場に行けるのか
駅員に聞き、幾ら払えばチケットが買えるのかも
聞き出した。

5カペックというコインを払えば良いらしいのだが、
ショージにはどのコインが5カペックなのかが分ら
なかった。駅員にショージの持っている手の平の
中の数枚のコインの中から選んでもらった。日本の
5円玉の様な色をしたもっと小さなコインだ。
「ほー、これで地下鉄が乗れるのか…随分と安いん
だな…さ、行こう!」

地下鉄に乗ると電車の中は薄暗く、昔の日本の
地下鉄を思い出した。ショージが母に手を引かれ、
母の叔母にあたる人が住んでいる東京の「てっぽうず」
と言う銀座の外れ辺りだっただろうか…。そして
母の美智子は叔母の家で長い事話して、母の従弟
にあたる、ショージにとっての伯父とも会った事を
想いだした。その時に乗った地下鉄が丁度こんな
モスクワの地下鉄の薄暗さであった。昭和43年の
時の事だった。しかし、この電車の中の暗さはただ
単なる照明の暗さのみならず、そこに居合わせる
人間が醸し出している暗さである事も事実だ。

 電車が次の駅に止まる前に必ず、「アスタロー
ジュナ…!ディエリ ザクリュバユッツァ スレドュ
シャヤ…!」(ご注意ください…!次に止まる駅は…!)
とアナウンスの男性の声までが暗く感じた。が、この
ロシア語のトーンと言い、アクセントの流れと言い、
決して聞きずらいトーンでは無く、言葉の流れ自体は
どちらかと言えばショージは好きだ。

「お、次の駅はプロスペクト・ミーラ?って事は、
意外にもボリショイ劇場からはそんなに遠く無い所
までやって来たんだな?よしっ、降りる用意を
しなくちゃ…地下鉄でこのプロスペクト・ミーラに
来れるのなら、ボリショイ劇場に行った後でまた
このミーラ大通りの駅に戻って、あの大きな公園で
物々交換の市場で商いをしよう…その後はまた
地下鉄でホテルに戻れるって言うわけだな、よっしゃ~!
今日も爺ぃ4人と格闘だっ!それ行け~っ!」

クレムリン…赤の広場

肝心の、ボリショイ劇場のある地下鉄の駅の名前を
駅員に聞き忘れたために、大体の見当で電車から
降りたショージ。「あれっ…お…お~っ!これは
テレビに映っていたクレムリン宮殿じゃないかっ!」
通称「赤の広場」と呼ばれている場所であった。
「じゃあ、ここにいたらソ連の主席ゴルバチョフに
会えるかな?んなわけが無いか…それにしても
だだっ広いんだな~!」それに驚くほどのツーリスト
の多さだ。

「凄いなこの赤の広場という所は…」日本にいた
時に昔テレビでよく見た。まゆ毛が毛虫みたいな
ブレジネフ書記長、そして現代になってはゴルバ
チョフ大統領が見守る中、赤の広場に数十万人の
軍人が軍事パレードをしているのを見た事があった。
巨大なミサイルや戦車も登場していた。今、ショージが
立っているこのクレムリンはごく穏やかな平静さを
保ち、軍人も時折ショージとすれ違った。

クレムリンには国を守るために戦争で亡くなった
軍人の魂を弔うための墓もある。向こうから
足並みをカパッカパッ…と合わせた3人の衛兵が
ロンドンのバッキンガム宮殿の衛兵と同じように
交代するために向こうからやって来た。足並みを
崩す事無く、同じ高さに上げた足と、その踏み込む
位置も全てが揃った美しいフォームにショージは
見惚れてしまった。「でも軍人さんたち、もうちょっと
その怖い顔はどうにかならない?あのね、口を
こうやって、イ~っと横に大きくして目を潤ませ
ながらさ…あ、なんか銃で頭をぶち抜かれそうだから
言わないでおこう!」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第95話

2023-06-25 08:22:36 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第95話
 すると5分も経たない内に、おばさんやおじさんたちが
時計を自分の腕に試着したりしながら、結局直ぐに
売れた。今日のショージのバッグの中には売り物に
なるような物はもうない。ホテルに帰ればまだ腕時計
もあるし他にもこの市場で買い手が見つかるような
物はたくさんある。これなら、あのゴールデン
フォックスの「シャプカ」の帽子を買うのにわざわざ
ドルをたくさん使わずに少ない金を換金すれば済みそう
だ。ただ、あの「シャプカ」が売れてしまった時には
残念な事になるがそれはそれで仕方が無い。
ショージには「シャプカ」は縁が無かったのだと
諦めるしかない。

「よしっ!今日はこれで商売は終わり!続きはまた
明日、ボリショイ劇場に潜り込めなかった時にすると
しよう…!さ、ボリショイに行くぞ~っ!バレエ
「ライモンダ」の全幕が僕を呼んでるのだ~っ!」

1987年12月24日 日はまた巡り…

朝、目が覚めて、ショージが一番先にするのは軽い
ストレッチと背中や足のマッサージだ。ここモスクワの
舞台の上で踊る事やレッスンも出来ないにも拘らず、
朝の寝ざめではかなり身体中が凝った。それと言うのも
ショージは極端に寝相が悪いからだ。もしビデオカメラ
で寝ている所を撮影でもしたら、ベッドの中を器用に
クルクルと時計の針の様に廻ったり、身体の左側を
下にして身体をクの字に折り曲げているだろう。
まな板の上に乗せたエビの様に恐らくなっている
だろう。上になっている右目は半開きで、口も
半開き…寝始めの前半はよだれを垂らし、後半
ともなると野獣の様ないびきを掻いて、ちょっと
常人とはかけ離れた醜い姿になってると自分でも
想像ついた。

それを朝の目覚めの30分ほどで通常の人間に
戻さなければならないのだから、マッサージと
言えど相当に大変な仕事だ。

今日も大きなバッグに一応レッスンが出来るように
支度を整え、更にあの物々交換をしているプロス
ペクト・ミーラという場所の公園で商いをするための
商品も揃えバッグの中に無事収めた。ドルを
しっかりと腹周りの薄いポシェットの財布の中に
しまい、もう一つの財布にも直ぐに取り出し可能な
数枚の1ドル紙幣とルーブル紙幣を折り曲げて
入れた。このホテル内で外国人から出来るだけ
たくさんの外貨を巻き上げようと言う魂胆の
偉く高い朝食を摂らずに早々とホテルを出て、
何処か安そうな朝食を探そうとホテルのロビー
まで降りた。

外の景色は昨日と同じで極限まで気温が下がった
雪と氷の世界だ。外に出るまで心の準備と外との
急激な温度差は心臓に悪いので暫くはロビーで
軽い足踏みをした。マイナス35度に強風。
目指すはボリショイ劇場。あの関係者入口で
爺さん4人とまた揉みくちゃの大騒動となるのを
知っていながら向かうのが「よっ!男の中の男っ!」

ロビーでも何故かショージの行動に疑問を持つ者や
ショージが単独で劇場に向かう事を知っている者も
いなければ声を掛けてくる者もいなかった。
「本当にこれで大丈夫なのか…」と心配もあるのだが、
今日は本来の目的であるボリショイ劇場…とは別に
しなければならない商売がある。

二重のドアーの外を見れば雪が横に降りつけていた。
「よし…出るぞ!」外に行く決心をして大きく
深呼吸をしてダダ~ッ!と走ってホテルのドアー
を出ると、また直ぐにクルッと方向転換してダダダッ!
と、2秒もしないうちにホテル内に走って戻って来て
しまった。「げ~っ!寒過ぎ~っ…!」
(つづく)