半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第128話

2024-05-31 08:20:00 | webブログ


バレエ教師の半澤です。
火曜日から土曜日までの朝は11時からレッスンやってます。
水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
レッスンをやってます。
夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
祭日は月曜日も他の曜日でも朝11時からです。


皆さま、お待ちしております!


ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)


私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/



連絡をお待ちしてますね!


2024年12月28日(土曜日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。


スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。


バリエーションは[「ワルプルギスの夜」からのバリエーションです。
男子も自分の好きなヴァリエーションしましょう!
さ、やりましょう!!


連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第128話
さて、ボリショイ劇場と言う建物と、門の外に取り残された男、
それを数千人の軍人たちによってぐるっと包囲されていた。
ショージは軽い脳みそを振りよく考えた。もし、その包囲を
「ちょっと失礼します…」と出てしまったら最後、その包囲の
中にはもう戻れないに違いない。


恐らくは軍人の司令官が「誰もその包囲の中には入れては
いかん!アリ一匹さえも入れるな~っ!」と命令を出して
いるのであろうから、出る事は出来ても入って来ることは
出来ないのだ。と言う事は…?出ちゃ駄目なのである。


ショージは軍人の造る壮大な円の中側で待つ事にしたのだが、
何と言ってもマイナス40度!寒くて寒くて、門から出た
瞬間に冗談では無く睫毛が凍りついた。口から吐く吐息が
まるで忍者が撒く煙幕のようになった。もっとも煙幕などと
言っても今の時代で知っている人は少ないとは思うが。


ショージは、微かな暖を摂るためにポケットからマルボロの
タバコを取り出したが、生憎ライターのガスが切れていた。
そこで軍人に近づき、「イズビニーチェ、ダイチェ 
ミニャ―、スピーチカ…?パジャールイタ」(済みませんが、
マッチを頂けますか?お願いします)すると軍人はショージの
声の方に振り向き、マシンガンを肩からブラリンと垂れ下げて、
脇に抱え込み直してから自分のポケットの中を探した。


流石に軍人だけあって、マシンガンを奪われないように
注意しているのは迫力ものだ。彼はポケットの中を必死で
探しているというのに、ショージは追い打ちをかけて
もう一度聞き直した。「アー、ウーティビア スピーチカ?」
(えー、マッチは持ってんですかね?)


ソ連の徴兵制度


その軍人は若そうで20歳~23歳くらいであろう。ソ連では
可哀そうな事に徴兵制度というのがあり、病気やゲイじゃない
限り男なら必ずこの徴兵に応じなければならない。日本も
第二次世界大戦ではこの徴兵制があったらしい。 


「マッチは?持ってんの?持って無い?」と若い軍人に
責め立てる様に聞きながら、軍人は「あったっ!」と慌てた
顔をして、ショージにマッチ箱を手渡した。ところが、
そんなただのマッチ箱を軍人は目を離さずにじっと見ている
のは用が終われば返して貰いたいからだ。「ハハハ!返すから
心配しなくても大丈夫!」


しかし、軍人が見ていたのはマッチ箱ではなかった。ショージの
出したマルボロの赤いタバコの箱に見入っていたのだ。
ショージがタバコに火を付け、ふ~と口から大きな白い煙を
出した時に、ショージが「スパシーバ!」(ありがとう)と
マッチ箱を返しても軍人はショージのタバコを見続けた。


そして軍人が今度はショージに「アー、ダイチェ ミニャー、
コリーチ、モーシュナ?」(あー、そのタバコを僕にもくれない
かな?)ショージは「カニヤーシュナ!」(勿論!)と言って
一本差し出すと、「アー、イズビミニャー、イシチョ…ドゥバ 
コリーチ…」(あー、悪いんだけど、もう2本のタバコを…)
ショージは「えっ!?」と聞き返したが、「そうか、マルボロが
珍しんだな…おっ!いい考えが浮かんだぞ!」


ショージは軍人の手をジッと見て、「その手袋、ちょっと
貸して貰えるなら…」と交渉した。「少年よ、大志を抱け!
のクラーク博士、生きるというのはこう言う事を言うん
ですか?」クラーク博士ものけぞっている事であろうか…。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 人間の壁…!? 第127話

2024-05-30 08:21:11 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
人間の壁…!?
第127話
関係者入口はとても温かく、いつまでもそこで、ワシリエフ氏を
待っていたいのだが、どうしても馴染めないのがショージを
チラチラと見ている。4人の妖精たち…幽霊たち?いや、まだ
生きているか!しかもあと50年は死にそうにない、元気な
爺ぃたちだ。


「これじゃ、とても居づらい。」常人よりも図々しい性格の
ショージだが、ここは一度退散しなければ。外に出ると極寒の
世界は人間の自由を阻む事を身体中に感じながら、「ク,ク~ッ、
寒過ぎだ!」もう直ぐに開演時間の7時になるが、一体、この
バレエ「アニョータ」は何時に終わるのやら。


どこかで時間を潰したいものだがここは普通の場所とは違い、
共産圏の真っただ中だ。夜になっても開いている場所は高級
レストランくらいなものであった。ジーンズなんか履いている
のが大間違いで、普通のズック靴なんか履いているのは馬鹿
そのものだ。マイナス38度の温度だって風が吹けばマイナス
42,3度までは平気で下がるのである。「ああ、ちょっと
きつ過ぎる…死ぬかもしれない…」


そして自分の靴と雪を見ながら、「もっとモスクワの天気や
外気温を調べて来れば良かった…」と、反省しながらボリショイ
劇場の正面の観客が出入りする門の辺りの景色に目をやると、
「おやっ、何じゃありゃ!?向こうに柵が出来ているぞ…
こんな柵はさっきまで無かったぞ…ん?さ、柵じゃない…
人間だ!人間の壁が…人間の壁が出来たんだっ!」


軍服に身を包んだ全ての人がマシンガンを両手に抱え、肩と
肩がくっ付くほどの近さでボリショイ劇場から50メートル
離れた場所に人間柵を作り、ズラ~ッと巨大なボリショイ
劇場を中心とした半径50メートルほどの円で一周取り囲んで
いるのだ!膨大な数の軍人たちは皆、ショージに背を向けて
立っている。


その理由はこのボリショイ劇場の中に観客として入っている
政府高官や各国の大使、著名人や商社の最高責任者たちを
テロリストから守るためである。「そ、そうか…今日は初公演
だから、とっても大事な人たちで劇場が満員になっているの
だった!」軍人たちの数は2~3千人は軽くいる。外からの
侵入者を完全にシャットアウトするために。


1987年12月26日 雲上の人々


初公演の初日、プルミエールと呼ばれるその日は、ボリショイ
だけに限らず、世界中の劇場に共通して言えるのは、フランス語
で言うところの「ソシエテ」つまり財界の大金持ちや、政治家、
医者、大使館関係、弁護士などの公人、著名人いわゆるショージ
などの庶民から見れば「雲上の人々」が集まる日でもある。


特にこのボリショイ劇場は世界最高のレベルを持った芸術家の
殿堂だけに、数千人の「雲上の人々」を守るために軍人までが
動員されているのだからぶったまげであった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 掴んだチャンス 第126話

2024-05-29 08:58:20 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
掴んだチャンス
第126話
「じゃ、ショージ、明日の舞台の後に…そうだな、んー、
そこの関係者入口で待っていてもらおうかな…」ショージは
「えーっ!そこですか!?」「それがどうかしたかな?」
「あ、いや、何でもないのですが、あ、分かりました。では
本当にお忙しいところを僕の為に済みません…」ペコリと
頭を下げた。ワシリエフ氏と握手を交わした。


「グラッツィエ!セニョール・ワシリエフ!スパシーバ 
ボリショイ!」(ありがとうございます)そう挨拶したのだ。
「良かった…粘った甲斐があった…」今の自分にチャンスが
到来し、そのチャンスをどうにかショージなりに掴んだのだ。
あの謎の老紳士の先生には、帰りがけのところを大変に申し訳
無かったし、ワシリエフ氏の忙しいところを邪魔してしまったが、
ショージはこれ以上に胸の内がすっきりした試しがないほど、
晴れやかな気分であった。


残念無念!


ショージは門衛の4人の爺様たちにきつく睨まれるかな…と、
思いながら前を通ると、意外にもそっぽを向いて何も言わ
ないしショージを見もしなかった。ショージは小声で「ドスビ
ダニエ…」(さようなら)と言うと、門の外に出た。「そうだっ!
正面玄関で明日の初公演のアニョータのチケットを買おう!」
と行ってみると凄い列だ。ロシアでは並ぶのは当たり前(勿論、
日本でもそうだが)で、せめてもの救いは玄関の中は非常に
温かい事だ。


普段からショージはあまり長い列に並ぶ事はない。と言うのは、
他所のバレエ団の公演を見る時は大抵、チケットを予めその
バレエ団のメンバーかスタッフに取ってもらうため、並ぶ
必要がないし自分で買う時もこんなに延々と続く列には並んだ
事がないからだ。


しかしこの時だけは不運であった。チケットはショージの数十人
前で完売してしまったのだ。「あ~、残念!でも、バレエが
見る事が出来ないにしても劇場には来なくては!ワシリエフさん
との約束もある事だし…」


本番当日になり、来られなかった客がいるかもしれないから
早めにボリショイ劇場の前に来たのだが、日本や他の西側の
国とは違って、ダフ屋(チケットにプレミアプライス…つまり
付加価値を付けて、正規の値段よりも高く売る人)はおらず、
倍の値段だろうが買えるものなら欲しいと思っていたが、
これまた残念にも買えずじまい。


「ん~、どうしようか…?」どうしようもこうしようも、バレエ
「アニョータ」が終わるまではここにいなければならないの
だから、待つしかない。しかし、マイナス38度だし「こんな
外で2時間以上も待てるか?関係者入口にはもう行けないかな…
いや、行ってみよう!」そして劇場の正面玄関から外の凍りつく
雪をガチガチと踏み歩きながら再び関係者入口に入って行くと、
爺さんたちは苦虫を噛み潰したような顔でショージを見た。「チッ!」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第125話

2024-05-28 08:09:21 | webブログ


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世界中に友だち?
第125話
まさか、ウラディーミル・ワシリエフ氏の口から、この人の
名前が出てくるとは夢にも思わなかった。やはりあの時に
マリネルが言っていた「世界中の友だちに電話して…」
あれは嘘じゃなかったのだ。背中に冷や汗がドッと流れ出た。


「ああ…あの時、狂人になっておいて良かった…」ワシリエフ氏の
「君はマリネル・ステファネスクって言うダンサーを知っている
かい?」の問いには頭を横に振った。すると「そうか…あ、先生が
言っていた、大使館宛ての推薦状ね、ちょっとその前に聞いて
おきたい事があるんだが…君はさっき私にスウェーデンのバレエ団
で働いていると言ったね?そして君はロシアに来てバレエの勉強が
したいと言った。それはバレエ団に入りたいのかな?それとも
学校に入りたいのかな?」


ショージは直ぐに「バレエ団に入れるのは多分無理です。僕は
ロシアの滞在許可証を持っておりませんし、今、こうして
ここにいられるのはスウェーデンからのツアー客と一緒に
グループとして一週間、滞在出来るだけなのです。バレエ団で
働くには労働許可証が必要になると思いますが滞在許可証も
取得出来ない私に労働許可証の取得は無理です。ですから、
学校に入る事が出来れば嬉しいのですが…もし、推薦状が
頂ければ学校に入るための学生ビザは下りると思うのです。」


するとワシリエフ氏はショージから視線を逸らさずに「ショージ、
バレエ学校というのはバレエ団に入るために学ぶ所だ。だが、
君は既にスウェーデンのバレエ団で働いているのだろう?
なのに学校に入る必要はないじゃないか。スウェーデンの
バレエ団で働けるなんて、この国のダンサーたちがどれほど
夢見る事か!」  


ショージははっきりとワシリエフ氏の言葉に答えた。「確かに
僕は働いておりますが、まだまだ分からない事がたくさんある
のです。ですが、以前にこの国に来た時、僕はダンサーたちを
見て感動したのです。この国のダンサーたちは素晴らしい!
この国の学校で学べば僕もあのような素晴らしいダンサーに
なれるのではないかと。だからどうしてもこの国の学校で
学びたいのです!」


ワシリエフ氏は瞬きもせずにじっとショージを見つめた。
そしてショージはさっき老紳士の先生に見せた2枚の写真を
ワシリエフ氏にも見せた。じっと写真を見た後に「そうか…
んー、実は明日、私の振付をした大事な初公演が控えて
いるから、今日って訳には行かないのだが、君はまだこの
モスクワにいられるのかい?」


ショージはほっとしながら、「スィー、セニョール ワシリエフ!
(はい、ミスターワシリエフ!)まだ数日は大丈夫です。あの、
初公演ってアニョータですよね?」またワシリエフ氏がにっこりと
微笑んだ。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 2人の共通語 第124話

2024-05-26 08:38:22 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
2人の共通語
第124話
「君は日本から来たのかい?何処のバレエ学校から
来たのだ?」ワシリエフ氏は静かであったが、トーンが
低くても滑舌がはっきりしており言葉がとても聞き取り
易かった。


「いえ…あの、実を言うと僕はスウェーデンに住んで
おりまして、バレエ団に所属しております。イギリスで
学び、イタリアのバレエ団などでも働いておりました。」
 するとワシリエフ氏は「おやっ?」と言うような顔を
して「君はイタリアのバレエ団に働いていたのかい?
ならば、イタリア語も話せるのかい?」


ショージはイタリア語で「スィー、セニョール!イオ 
パーラ イタリアーノ!ノン ベーネ、ベーネ…ペロー、
ペンソケ アバスタンツァ ノルマーレ…」(はい、私は
イタリア語を話します。それほど上手と言う訳ではありま
せんが、まあ、普通ぐらいでしょうか…)


するとワシリエフ氏の顔が一気にパッと笑顔になり、突然
イタリア語でテンポ良く話出した。「なーんだ、そうか!
じゃあ、イタリア語で話そうじゃないか!私もイタリア
へは年間に何回も行くのだよ。ミラノにも行くし、
ローマにも行く。ついこの間もナポリに行って来たところさ!
イタリアにはどのくらい住んでいた?」


ショージはワシリエフ氏が、あまりに流暢なイタリア語
なので驚いた。そして少ししか知らないロシア語で話す
よりも、イタリア語を通じて話す事で自分の言いたい事も、
もっとはっきりと伝えられる事、そして更にはこの知らない
極寒の国の中で、ショージが慣れ親しんだ暖かい国の
イタリア語で話せるという事で憧れていたワシリエフ氏に
親近感が湧いた。


「僕は2年ほどイタリアに住んでいました。街はレッジオ
エミリアと言う、本当に小さな街ですが…」するとワシリ
エフ氏は「えっ?レッジオエミリアだって!?なんと
懐かしい!私の友人があそこの街に住んでいるのだよ!
君が知っているかどうかは分らんが、古い友人だ。
非常に素晴らしいダンサーでもあった…ん~思い出すな…
えーと、彼の名前はね…」ショージは犬のような直感で
ワシリエフ氏の声に両耳が鋭く反応した。


イタリアの友人


「そう、彼の名前はステファネスク…マリネル・ステファ
ネスクって言うんだ…友だちと言っても彼はロシア人では
なく、ルーマニア人だがね…」ショージはそれを聞いた瞬間、
口から心臓が飛び出しそうになった。声には出さなかったが
「な、なんだって…ぎょえ~っ!?あの鬼の事ですか~っ!?」


ワシリエフ氏の古い友人…それは紛れも無く、ショージを
恐怖のどん底に陥れた、イタリア時代のバレエ団の芸術監督に
他ならない。そう言えば確かにマリネルは言っていた。
「私はボリショイバレエのプリンシパルをしていた時期が
あったさ…」と。本当に偉いダンサーだったのであろうが、


ショージにしてみれば鬼以外の何者でもない。今から
イタリアのバレエ団での最後の問答をここに再び再現して
みよう。


「ショージ!お前がこのバレエ団を辞めたいだって?
ふざけるな~っ!絶対にそんな事はさせん!お前を何処にも
行かせはしないぞ!いいか?この俺は世界中の何処にでも
友だちがおるのだ!お前が行くところならば、一本の電話を
入れれば済む事だ!そしてお前はここにいるしかなくなる
だろう…言ってみろ、ここを捨てて一体何処に行きたいと
言うのだ?」
(つづく)