半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第82話

2020-11-29 07:25:19 | webブログ

おはようございます、バレエ教師の半澤です!
どうぞ,とても楽しいレッスンにいらしてくださいませ。
平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/
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ルイースと写真.jpg






創業36年、本場博多のもつ鍋・水炊き専門店【博多若杉】


連絡をお待ちしてますね!

2020年12月23日(水)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第82話
翌日、稽古が始まる前にバレエマスターのアメリカ人
らしき先生にツカツカと歩み寄り「私は日本人で
今日レッスンに参加させて頂きます!」と言うと
先生はショージを足のつま先から胸元までさっと
見ると怪訝な顔して「あっそう…」おそらく、この
ドイツ最高のバレエ団を訪れた者の中でこのような
チンドン屋もどきの格好をしたダンサーはいないで
あろう。

ショージは顔から火が吹き出しそうで恥ずかし
かったが、こんな事でヘコ垂れていては駄目なのだ
と自分を叱咤した。ダンサーたちからバレエマスター
と呼ばれる先生の号令と共にレッスンが始まった。
あまりにも凄い世界的なダンサーたちが顔を揃えて
いた。マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座の
ダンサー)もショージの前にいた。バーレッスンも
終わると、センターエクセサイズに入る。ゆっくりと
踊るアダージオをバレエマスターが説明し終えると、
一斉に背の高い男性ダンサーたちはひしめき合って、
限られたスペースの中で淡々と踊る。グループを
2つに分けたが、それでも大混雑状態だ。

バレエレッスンの中盤にドアーがガチャッと
開いて、真っ黒に日焼けした顔の白人が外から
入って来た。しかめっ面で眼光が細く鋭く、
怒っているようなその顔はまるで平家蟹か
大魔神が怒った時のようで普通の顔ではなかった。

踊るピエロかピーターパン!

今日は身体の調子がベストの状態だ。こんな日が
ショージに稀に来る。ターンの時にはピアニストが
ショージのピルエット(コマのように回転する
技術)が終わるのを待ってくれて最後にジャーン!
と決めてくれると大笑いが起こった。何と言っても
ショージは「チンドン屋」のような衣装を着ている
からまるでピエロのような男の演技の締め方には
最高の終わり方なのだ。

続いて第二ラウンドの始まりでトップグループから
再びワルツが続行して行く。ヒートアップした
ダンサーたちは次々にピルエットを決めて行く。
ショージはピアノの前の真っ黒い顔の渋柿でも
食ってしまったかのように顔をしかめている芸術
監督をチラッと見たが、全く何の興味も無さ気に、
ただじっと全体の流れを見つめているだけである
からショージもレッスンだけに集中した。

いよいよ終盤のグランジャンプに入った。先生が
アンシェヌマン(踊りの順番)をダンサーたちに
見せてマーキング(本気ではなく力を抜いて
ステップを音楽に合わせてステップの組み合わせ方を
確認する作業)を始めた時に、ショージの脳裏に
ある事が浮かんだ。

「どうせやるなら先生が見せてくれた順番を無視
して他のダンサーたちに泡を吹かせてやるか…
ピエロはピエロでもそんじょそこらのピエロじゃ
ないという事を見せてやる!」ピアニストが鍵盤を
強く両手の指先で打ち込むと嫌が応にもボルテージが
ググッと上がり、ダンサーたちの意気込みがその
背中から燃え立つようだ。

ショージの1番好きなこの時間がやって来た。
堂々とした大きいダンサーが次々とジャンプに
入って行くのをショージはもう見ない。集中して
自分の内にある情熱を爆発させるためだった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第81話

2020-11-28 08:00:57 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第81話
見ると確かに後2回穿いたらティーの字の縦の
棒線の紐が切れそうなサポータだった。だが
ちゃんと洗濯してあって、ショージにしたら
最高であった。「ありがとう!」と大きく礼を
言うと他の男が、「これもあげるよ!」と片方
だけのベージュのバレエシューズをくれ、他の
ダンサーが「僕はこれを!」と黒いバレエシューズ
をくれた。

背の低めのダンサーが「僕はタイツはあげられ
ないけど、その代わりにこれをあげる!」と
黄緑色の膝あたりをぶち切ったトレパンを
くれた。誰かが叫んだ。「まだ上半身に着る
ものが無いんだろう?部屋の隅を見てごらんよ、
あれは全部持って行っても良い物ばかりさ!」

隅を見ると山のように埃をかぶったティーシャツ
やら色んな物が有るが、流石に捨てられただけ
あってどうしようもないほどの屑ばかりだ。
それでもこの衣類のゴミの山に手を出してみた。
しかしまともに着られる物はたった1枚の赤い
トレーナーだけで、それも腹の辺りでやはり
ぶち切られおり片腕の肘の辺りも切られていた。

 それでもやっとここに必要なものが全部揃った
訳だ。「やった…揃った…これでなんとか
レッスンが出来る…」ショージは最低必要な、
決してまともでは無いそれらの衣類を床の上に
並べてみた。

右足に黒の、左足にはベージュのバレエシューズ。
しかもサイズはかなり違い、片方は丁度くらい
だが、もう片方は馬鹿の大足みたいに大きかった。
「ま、ゴムを引っ張って調整しよう!」次に
タイツ代わりの薄グリーンの膝辺りでぶち切られた
トレパンの半ズボンはピーターパン調で、何かの
イベントの衣装なら可愛いかもしれない。その下
にはもう2回ほど穿けば間違いなく切れる
サポーターにへそだしルックの埃まみれの赤い
トレーナーで、しかも模様が入っている。

並べて見ているとガードローブ中のダンサー全員が
大爆笑した。ショージもこれを着て明日レッスン
するのかなと思うとかなり勇気が要る。これは
どう見ても「チンドン屋」だ。だけどショージには
もう選択肢はないし、いずれにしてもレッスンが
出来るだけ幸せ者だ。後ろのダンサーが「これも
あげるよ!」としわしわの白いプラスティック
バッグ(スーパーでくれるビニール袋)をくれた。
「あー良かった、これでバッグまで出来た!」
この日はここで知り合った1人のダンサーの家に
泊めてもらった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第80話

2020-11-27 07:57:18 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
遂にベルリン到着!ベルリンで叫ぶ悲痛な声…
第80話
ヘルベルト・フォン・カラヤンが白髪を振り乱し
ながら両頬を震わせてベルリン・フィルハーモニー
を指揮している姿を想像し、ベルリンの人々が
世界に向けてその悲痛さを訴えているのをずっと
想像して、このベルリンに来る日をショージは
夢見て来たのに、ベルリンに到着した瞬間に
プラットホームからショージは大きな叫び声で
「ンギャ~ッ!誰かが僕のバッグを盗っちゃっ
た~っ!」と逆にショージからベルリンの人々に
悲痛さを訴えるような事態になってしまった。

かなり長い間歩き回っていたら、自然にオペラ座
らしい劇場を見つけた。壁一面にバレエの
ポスターが張り出されており、看板には「ドイチュ
・オパー・ベルリン」と書いてある。ここが
ドイツの最大級のカテゴリー・Aクラスのバレエ団
であり、早くスウェーデンに帰って仕事をし始め
なければ生活費が危ういショージにとって残り
僅かな時間で最後に訪れる事が出来るバレエ団
でもあった。表の大きなポスターと看板を見ながら
ショージはと言うと、「手ぶら」だった。

ドイツ最大級のバレエ団、ドイツ・オペラ・ベルリン・バレエ団!

「劇場の中の3階まで上ってください。秘書室と
稽古場は4階です」と門衛が親切に教えてくれた。
手ぶらで3階まで来たらダンサーらしき男性が
いたので、「今、リハーサルの最中ですか?」
と聞くと、背の高い男性ダンサーは「あー、今
終わったんだ…」と、答えた。ショージは着替える
物も無いまま、「ガードローブはどっちで
しょうね?」と聞くと、「こっちだよ、僕も
今から着替えるんだ、付いて来て…」と更衣室に
連れて行ってくれた。

ショージは更衣室に着くと、その男性に泣き顔で
「僕はこのバレエ団でレッスンを受けようと
楽しみにしてやって来たのに、東ドイツの国境
あたりで列車の中で僕の大切なバッグを盗られて
しまったのです!」と見も知らない彼に打ち明けた。
その話が終わらない内に続々と、男性ダンサー
たちが入って来て、「おい、何だ!どうした、
この人は誰?」と不審がっていたが、今度は
ショージの話を聞いてくれていた男性が、
集まって来た男性ダンサーたち全員にショージの
身の上に起こった話を話した。

ショージはもう一度繰り返して全てを話すと、
「皆さん、お願いです!なんでも良いですから、
僕がレッスンを出来るように、シューズや
着る物を貸してくださいませんか…」と集まって
いるダンサーたちに訴えた。皆、顔を見合わせ
ながら暫し唖然とし、沈黙した。

バレエ団の更衣室にて…

ダンサーの一人が言い出した。「あの列車の
中ではいつも物が無くなるので有名なんだよ」
すると、他のダンサーが「そうそう、あいつら
と来たら何でもかんでも盗るんだから堪った
もんじゃないよ!僕の知り合いもあいつらに
盗まれたんだ!」

すると、1番最初の更衣室まで連れてきて
くれた、背が高く皆からマーティンと呼ばれて
いる男が、「これで良かったら使っていいよ…
返さなくてもいいんだよ、どうせ捨てようと
思っていたんだし…あ、でもちゃんと綺麗
だからね…」と、バレエのレッスンではとても
大事なティーバックのサポーターをくれた。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第79話

2020-11-26 07:54:26 | webブログ

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第79話 
ショージは女性検査官にパスポートを取り上げられ、
この女性検査官は消えてしまったが、代わりに
恐ろしく大きい体格をした軍人が、数名で
ビュッフェの中のショージたちを取り囲み黙って
立った。この大きな軍人たちはそれぞれにマシン
ガンを手に持っているではないか!

やがて、女性検査官が帰って来て金を要求して
来たが、それは既に知っていた事なので言われた
ままの金額を差し出した。20分ほど経ったで
あろうか…、沈黙が続いた後、電車は静かに動き
出した。「げーっ!パスポートは返してくれないの?」

 そこから5分も経たない所に今度は更に陰湿な
駅があり、そこでも約40分ほど待たされた。
しかし、ショージの眼はその薄暗い駅の影に先ほどの
人数など比べ物にならないほどのとんでもない数の
軍人が、マシンガンを抱えて立っているのを
見逃さなかった。

「こ、これは、とんでもない所に来てしまった…」
が、近くにいる老夫婦の紳士が、英語で「パスポートは
ベルリン近くに来たら返してくれるから、心配しな
くてもよろしいよ…」と、言ったので少し安心したが、
こんな酷い扱いに腹を立てているのも束の間、卒倒する
ような事件が起きたのだ。

何処!?一体、何処に行ってしまったの…!?

列車は静かに動き始めた。そこはもう東ドイツの国に
入り共産国家のソビエトが支配している土地なのだ。
ショージの傍にいた老夫婦の紳士が「もう、動いても
大丈夫だよ…」と首を縦に振りながら微笑んでいる。
ショージも老夫婦に微笑みながら、軽く会釈して
ビュッフェを出た。

揺れる列車の細い廊下の壁を両手で押さえながら、
何両か後ろのショージの荷物が置いてあるコンパート
メントに戻って来た。「ん…あれ?ドアーが開かない…
何でだ?」力一杯引いてもドアーが開かない。
ガラス越しに中を覗くとショージの大きいバッグが
見当たらない。「何だ、コンパートメントを間違え
たのか…」しかし、隣のコンパートメントには
さっきまでいたうるさい客たちの顔があったから、
やっぱり間違ってはいない。

「えっ!じゃあ、何で僕のコンパートメントの鍵が
閉まっていて荷物がないの?もしや、誰かが置き引き
したのかな?よしっ、全ての客室の検査開始!」と、
端から端までの列車内のコンパートメントを全て
チェックしたがやはり無い。「置き引きしたところで
列車の中からは逃げられないのに…」と、たかを
くくっていたのだが、段々と顔が青ざめて行くのが
自分でも分かった。「ひ、ひ、ひえーっ!じゃあ、
一体何処にあるんだよーっ!?」

 急に腰が立たなくなり、よろけて廊下の壁に
くっ付いている椅子に倒れ込んだ。だがもう一度
ショージは腰を上げて、始めからコンパートメントを
一つずつ、丁寧に見る事にした。ガラッ!とドアーを
開けて「アイム、ソーリー!」と客たちにお辞儀をして
部屋の上の棚の荷物置きや部屋内部の中を全て探った。
幸いに金やパスポートはショージの腹に括り付けて
あった。

「あのバッグが無かったら僕は踊れないじゃないか…。
待てよ、こんな事で落胆してる場合じゃない!
もう一回始めからだ!絶対に探し出さないと!」
すると、中からは鍵が閉められないはずのコンパート
メントのドアーの内側からつっかえ棒をしてドアーを
開かないようにする客が続出した。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第78話

2020-11-25 07:38:50 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第78話
このソ連の地図はモスクワが中心点になっており、
ソビエトでしか買えない地図だ。一体何のために
持ち歩いているのか…それはいつかショージが
ソビエトに再び侵入するか、またはちゃんとした
正規のルールで入国するつもりだからであった。
共産主義国であるソ連。ショージの夢はレニン
グラード(現在のサントペテルスブルグ)の
バレエ団、もしくはバレエ学校に入る事だ。
ショージの頭の中にはいつもそれしかなかった。

列車は猛烈なスピードで進み、時間が暫く経つと
コンパートメントは少し窮屈になって来た。
ショージはビュッフェでたまにはコーヒーでも
飲みながら、ウォークマンに入っているカラヤンの
「アルビノーニ」の素晴らしい曲を楽しもうと、
コンパートメントを出た。大事なパスポートや金、
列車のインターレイルチケットなどは、ポシェットに
入れて腹の前にきつく巻いた。

コンパートメントの中に置いた大きなバッグは
そのまま、ショージの大事な席を他の客に
取られないように椅子の上に置いたままに
した。ビュッフェでは隣に身なりの良い老夫婦が
食事を摂っており、ショージは軽く頭を下げ
挨拶してから隣の椅子に腰掛けた。ショージは
初めてビュッフェに座った。金でいつも不自由
しているショージが何故かこの時だけはVIP
にでもなったような錯覚を覚えた。「こんな事も
滅多にする事じゃないから、コーヒーを十分に
楽しんで味わなきゃ!」

驚愕の景色…

コーヒーのマグカップに口をつけながら、
「な、なんだこれは…!?」窓に現れた異様な
光景に身体が凍りついた。それは列車がやけに
高い壁の間を潜り、暫くトンネルを通過し暗闇
を抜け出た後に突然と姿を現した。高い鉄塔の
上にサーチライトが幾つも付いていて、更に
高い櫓の上には人間が4,5人は入れるほどの
窓が付いた見張り台みたいな物があり、明らかに
その中には人がいてこちらを見下ろしながら
監視しているのが分かった。

「何なんだ、この光景は!これじゃあ、極悪犯人
を収容する北海道の網走の刑務所みたいじゃ
ないか!」電車はそこで一度、短時間の停車を
した。ショージはこの不気味な景観にしばし凍り
ついてしまったが、考えてみたら、電車の中で
共産主義国の東ドイツを通過出来るビザを
列車内で買わなければならないのだと言う事を
思い出した。

「コーヒーなんか飲んでいる場合じゃないかも
しれない…」ショージは急いで席を立ち、
コーヒーカップを置くと急いでビュッフェの
ドアを横に開いて出ようとしたその時、
ドアーの外側ではとんでもない事になっていた。
停まった列車の開いているドアーから
夥しい数の軍人がどやどやと雪崩れ込んで
列車の中に入って来ているのだ。軍服姿の
迷彩色の軍人やら、くすんだグリーンの警察隊の
姿らしき人々の腕に腕章を付けた監視官たちやら、
その総勢は列車の一両を丸々一杯にするだけの
人数でひしめき合っており、

その中の恐ろしい形相をした女性がショージを
後ろに突き飛ばし、ビュッフェに引き戻した。
「何が起こっているのだ…!?」恐ろしい形相の
女性検査官がドイツ語で低く押し殺したような
声で何か言ったが、何を言っているのか意味が
全く分らない。ショージは、「恐らく今は
動いてはいけない、このビュッフェから出ては
いけないのだろう…」と咄嗟に判断した。数人
いたビュッフェの人たちも、もう外には出られ
ないし、この恐ろしい女性検査官に無理やり
座らせられて、動く事さえ出来なかった。
(つづく)