半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第58話

2019-02-28 08:31:51 | webブログ
おはようございます、バレエ教師の半澤です!

通常の平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分から初級レベルの
レッスン、夜7時から中級レベルのレッスンがあります。
皆さま、お待ちしております!

インスタグラム https://www.instagram.com/hanzawashoji_openballet/?hl=ja
ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP
(オフィシャル ウエブサイト) オフィシャルサイトハピタス
その買うを、もっとハッピーに。 | ハピタス
皆様、2019年12月26日(木)に私の発表会があります。
もし、良かったら出演してみませんか?バリエーションでも良いですし、
グランパドドゥでも良いですよ!もちろんコンテンポラリーでも
良いですし、オペラでも舞台で歌います?
どうぞ、どんどん出演してください。
私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

連絡をお待ちしてますね!!

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

日曜日のバリエーションは眠りの森の見所から妖精リラのバリエーションです。
ではクリスタル・ルームでお待ちしておりますね
連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
アムステルダム駅構内で地図と睨めっこ!
第58話
駅まで慌てて走って来て、とりあえず駅の構内にある
トラベラーズサービスまで来た。「全く今日と言う日は
何て事が起きたんだ…折角オーディションに受かった
バレエ団ではダンサーたちに散々な目に合わされて
しまった。契約書すら交わしていないのに、ダンサー
たちは僕に酷い事をした。だが待てよ…まだバレエ団に
入ると決まっていない僕を何故、牽制したのか?

そうか…きっとこの僕がまだ決まってもいない契約の
事を軽々しくダンサーたちに喋ったのが原因だったん
だろうな…そうか、それならこれからは気を付けな
ければいけないな…」落ち着きを取り戻すと「これから
どうすればいいのか…?まだまだ休暇は長いし、一体
何処に行こうか…?」と言う壁にぶつかった。

ショージの行動の基本的概念は「節約と合理的」
これは懐の貧しいショージの根本から生まれる
発想だ。ホテルに泊まれば当然、節約して貯めた
大事な金も直ぐになくなってしまう。それに
ショージは虫が嫌いなので刺されたり噛まれたり
しないのであれば野宿する事も平気だ。だが、寝て
いる間は移動が出来ない。寝ている間に移動出来る
手段を考えると列車の中での睡眠と言う事になる。
そして「睡眠は何時間必要になるのか…?」と言う
質問を自分で出し、「8時間」と言う答えを出した。

「列車の中で8時間の睡眠が出来る距離範囲はどこ
までか?」と言う質問を自分に出し地図で検証する。
コンパスは携帯してはいないがオランダのアムステル
ダムを中心として大きく丸を書くようにしながら
地図を眺めた。スイス、フランス、北欧…これが
丸の中の範囲になった。

「よし!未開拓の地を自分の目で確かめよう!
北欧って良いんじゃない?」列車の電光掲示板を
見ると偶然にも「デンマーク行き」と言うのがあり、
「これだっ!今夜はデンマーク行きの列車の中で
ショージの動く城だ!しかも空飛ぶ絨毯ではなく
夢を見せてくれる空飛ぶ寝袋があるからバッチリだ!」
と、それまですっかり落ち込んでいたはずの目が
キラリ!と光った。「決まり!北へ向かって驀進だ~っ!」

フィンランドの首都「ヘルシンキ」に到着!

デンマーク、スウェーデンを通過し、バルト海を
超大型の豪華フェリーに乗って横断した。朝、豪華
船内でも一番安い「マグロの保管棚」のような3段
ベッドの一番下でショージは目を覚ますと巨大な
青い船「シリアライン」はフィンランドの首都、
ヘルシンキに到着した。ショージの持っているインター
レイルチケットが使える範囲はここまでか。

「ん?どうしてチケットの付属品として貰ったこの
地図の右半分は空白なんだ?」もう地図には載って
いない場所…それはソビエト連邦。インターレイル
と言う1カ月間だけ有効のチケットは西ヨーロッパ
だけに限り何処までも乗れる優れものである。だが、
東ヨーロッパは適用外であった。だからソビエト連邦
に列車のレールが繋がっていようがそこはインター
レイルの範囲外なのである。従ってインターレイルの
チケットに付属した地図には適用外の場所は真っ白く
何も描かれていなかったのである。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第57話

2019-02-27 08:30:05 | webブログ
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)

背後から延びる黒い大きな手
第57話
ショージは一体どこを歩いているのか分からな
かったが、その瞬間、目が釘付けになった。道に
現金が落ちていたのだ。しかも札束だった。
ショージは鷲掴みに拾い上げた。心臓が大きく
鼓動して、時間が止まっている感覚だ。何処も
見ずにがばっと拾うと内側のポケットに捩じり
込んだ。「か、神様かな…?」拾った金を胸の
内側のポケットにぐっと仕舞い込み道を歩き出して
10歩も行かない内にショージの背後から、
大きな黒い手がショージの肩をぼんと止めた。
ショージは、「あっ!」と心臓が止まりそうに
なった。

後ろを振り返ると、大きな黒人が恐ろしい顔して
言った。「今、お前はお金を拾ったな?」
ショージは咄嗟に「知らない、拾ってなどいない…」
と答えたが相手の顔は更に醜く恐ろしい形相を
して、「嘘を言うな!俺は見ていたぞ!お前は
確かに金を拾った!これを買え!」一体何を買えと
言うのか…。恐ろしい黒人はショージの首の
後ろを引っ掴んで、道を外れた場所に無理やり
連れて行った。黒い男はポケットから黒い物体を
ショージに掴ませ、「これを買うんだ!」と
言った。この男はなんとドラッグディーラー
だったのだ。非常に恐ろしい形相だった。

およそ黒人の表情にも色々あるが、イタリアにて
ショージと同居しているランドルは同じ黒人でも、
賢人のように賢く、真面目で優しい顔だ。この
ドラッグディーラーの顔は、動物的直感が強い
ショージに「これはいけない、殴られるか
刺されるか…観念して言うとおりにしなくては
非常にまずい事になる…」そう確信させた。
「幾らで買えと言うのですか!?」男は「6万だ!
6万だせ…」ショージは胸ポケットから拾った
金から言われた通りの金額を渡した。拾った
お金は日本円で14万円位だった。その恐ろしい
黒人の男は黒い物体をショージに握らせると、
人ごみに消えて行きった。

「良かった…殺されるかと思った…せっかく
拾ったけど、まあ、まだ半分以上あるし、早く
行こう、でもどこへ行こう…駅に…駅に行こう!」
黒い物体をカバンの奥にぐっと仕舞い込み、
駅まで振り返らずに走った。しかし人間は何かに
脅かされ、その恐怖から逃げ出す時、更に恐怖感
を増す。ショージにはまだ、あの醜く恐ろしい
黒人が付いて来そうに思えたからだ。
(つづく)

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第56話

2019-02-26 08:36:21 | webブログ
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
1986年 7月 オランダ国立バレエ団オーディション!
第56話
夏休みに入り、待ちに待った念願の武者修行開始だ。
朝、まだ体の調子もベストな状態ではなかったが、
前回の休暇に訪れ、心から感動したオランダの
国立バレエ団にオーディションをしてもらえないかと
電話で予約した。その期日を変える訳には行かない。

イタリアからオランダまで直行した。早めにスタジオ入り
してウォーミングアップを入念にした。オランダ国立
バレエ団「ヘットナショナル・バレエ団」の練習室は
巨大だ。色々な国のダンサーたちの肌の色が刺激的でも
ある。とても背が高いダンサーもいればかなり低い
ダンサーもいた。以前見たヘット・バレエ団の公演の際の、
プリマで踊っていた女性バレリーナはラテン系の女性
だろうか…身長が155センチ位の小柄な女性だった。
だが踊り始めたら、そんな背の高さなど微塵も感じさせ
ない素敵なダンサーだった。
 
ショージも列車での長旅の疲れを克服し、なんとか
集中する事が出来て、レッスン後にディレクター室に
呼ばれた。この瞬間は普通なら誰でも緊張するのだが
ショージは全くしなかった。何故なら受かるはずなど
無いから何も期待していないからであった。 ディレ
クターのピーター・バン・ダイツィグと、秘書もそれを
見守りなら静かにショージに向かって言った。

「このバレエ団は普通、付属の学校からの生徒しか
バレエ団に雇いません…ですが、コールドバレエ
(群舞という一番格下で大勢のダンサーの一人)で
良かったら、あなたを入れましょう…ただ、給料は
少ないですよ」そんな思いがけない芸術監督の返事に
「へ??」頭が反応しないショージであった。
「あの、少ないって皆、生活は出来ているのでしょう
か?」

するとダイツィグは表情をぐっと下げながら「ぎりぎり
な状態だろうな…」と低い声で答えた。「オランダの
貨幣ギルドで給料の額を言われても、ショージには
どれくらいの金額なのか見当がつかなかった。しかし
この予想外の結果を聞き、ディレクターに「まだ私は
イタリアのバレエ団を辞めてはいませんので午後に
返事をさせて頂きます…」と言って更衣室に向かった。
 
すると更衣室の中にはバレエ団で働いている二人の
ダンサーが着替えていた。ショージはアムステルダムの
アパートを借りるなら小さなアパートでひと月幾ら位か、
また生活に最低幾ら必要なのかと尋ねた。

 彼らに尋ねながらショージも着替えようとすると、
ショージの服が見当たらない。「え?靴も無い…
えっ!どう言う事だ? 一体どうしたんだろう…!?」
そして見つけた。服はゴミ箱の中に、靴はトイレの
便器の中に入っていた。驚いた事に靴の中に何かが
入っていた。針だ。何百本もの針!

ショージは危機感からそれらを素早く片付けると、
飛び出すように劇場を出た。失意とショックで愕然と
しながら道を歩いた。「何故こんな酷い事をするの
だろう…。何て酷い人たちが働いているバレエ団
なんだ!こんな人情の欠片も無い人たちがいるバレエ団で
仕事など出来やしない…どうしよう、もうイタリアに
帰ろうか…」項垂れながら歩いた。「忘れよう…
駅に行ってこれからの事を考えよう…」
(つづく)



ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第55話

2019-02-24 07:33:50 | webブログ
おはようございます、バレエ教師の半澤です!
皆様、告知です。2月の24日(日曜日)のレッスンは急用のため、
朝9時から11時までの1レッスンのみになります。どうぞよろしくお願い致します。

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
マリシア・ハイデ…シュツットガルトバレエ団の芸術監督
第55話
午前6時頃、異常なほどの寒さで目を覚ますと雪が
雨に変わっていた。ショージを包んでいる寝袋は、
ヨーロッパアルプス連峰の極寒にも対応出来るほどの
保温性に優れているが、防水性には対応していな
かった。上半身はずぶ濡れで寝袋もグッショグショ
になった。 急いで寝袋から脱出するとこれを
仕舞うのに一苦労した。寝袋は畳んで仕舞うのは
御法度だ。ランダムに押し入れなければならない。
ところが水分を含んでしまったせいで空気が圧縮
出来ないのだ。
 
兎に角、何とか仕舞いきると、温かいコーヒーを
探しにうろつきながら、駅まで戻った。駅は流石に
早くカフェも開いており、公衆手洗い所でまず歯を
磨きティーシャツを変えて顔を洗った。クロワッサン
とコーヒーで一安心だ。「ああ、温かい…」だが
「ありゃっ!?」首の調子が変であった。「あまりの
寒さで骨まで変形したのかな…?」時間を潰しながら、
マッサージしてもやはり首は真っ直ぐにならなかった。

「これじゃオーディションの時に回転のピルエット
どころか、まともにレッスン出来るのかな… 」
劇場までやって来て中に入れてもらった。まだ早かった
のだがカンティーン(劇場内の関係者用のレストラン)
でまたコーヒー。早速着替えると、バレエザール
(バレエ練習所)で念入りにウォーミングアップを
しても、ガチガチに凍っていた体とひん曲がった首は
真っ直ぐになりそうもない。「ああ…ちゃんとホテルに
泊まっていたらな…」 バレエ団のダンサーたちが
続々と入って来た。「さあやるぞ!」と意気込みだけは
凄いのだが、それでも首はひん曲がったままだった。

カテゴリーAランクのバレエ団!

何とかレッスンを終えると、秘書を通して、芸術監督の
マリシア・ハイデに挨拶をしにディレクター室に入れて
もらった。マリシアは、静かな笑顔で、「どうぞ
そこにお掛けください」とショージを促した。静かに
日本語で「コノバレエダン、アキガ アリマセーン…」
ショージも釣られて「あー、そうなんですね…」と
日本語で返した。後は英語で「新しいダンサーを
雇用する時はフランスのモナコで教鞭を執られている
マリカ・ベゾブラーゾバ先生の所の出身者しか
取らないないのです」とマリシアは説明した。

この時、ショージは内心で「えっ!マリカ・ベゾブ
ラーゾバだって!?その先生は確か、僕がイギリスの
ロイヤルバレエ学校のオーディションの後に、メール・
パーク校長先生がフランスに電話してくれた先生じゃ
なかったか!ああ…僕の運命は一体、どうなっているの
だろう…」深い溜息を吐いた。

ショージは事前の連絡もせず突然やって来た事を詫び、
レッスンを受けさせてもらえた事に感謝し礼を言うと
劇場を後にした。やはり良いバレエ団でレッスンすると
「また頑張らなきゃ…!」と心に火が灯り、胸が
熱くなった。

初めての冬休みはこうして終わりを告げた。アムステル
ダムからフェリーでイギリスに行って、イギリスには
入れて貰えなかったあのとんでもないハプニングやら、
オランダ国立バレエ団の凄さが身に沁みた。シュツット
ガルトの公園の大樹の穴の中のゲジゲジ…等々辛い事も
あったが勉強になる事もたくさんあり、こんなに楽しい
休みになるとは思いもしなかった。今度は一気に
南のイタリアへ帰還しなければならない。
(つづく)



ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第54話

2019-02-23 08:39:21 | webブログ
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皆様、告知です。2月の24日(日曜日)のレッスンは急用のため、
朝9時から11時までの1レッスンのみになります。どうぞよろしくお願い致します。

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
警察官たちとシンディローパーの曲
第54話
下半身だけ木の穴に入れて熟睡していると、突然肩の
辺りにドーン!と強い衝撃が走り、いきなり目の
辺りが気持ち良かった暗さから真っ白に変わった。
顔だけを出した寝袋のチャックを下ろすと、いくつもの
懐中電灯の強い閃光がショージの目に向けて放たれて
来た。一体 何が起こっているのかショージには訳が
分からなかった。

目を凝らすと緑色の制服を着た4人の警官たちが
ショージの顔の辺りに立っていた。そしてドイツ語で
捲くし立てた。「こらっ、起きろ!パスポートを見せ
るんだ!」ショージは飛び起きて、即パスポートを
取り出し緑色の制服の警官に手渡すと、警官たちは
驚きながら、「オー、ジャパニーズ!? 日本人だと…
何故こんな所で寝ているんだ?日本人は金持ち
だろうが?」
 
ショージはドイツ語で喋る警官たちに英語で答えた。
「私はバレエダンサーで、朝になったらこのシュツット
ガルトのバレエ団でオーディションを受けるのです…
現在私はイタリアで仕事をしておりますが、安い
ホテルも見つからなかったのでここで寝ておりました…」
すると2人の警官はショージの前に残り、もう2人の
警官は向こうの青色の緊急灯を回しているパトカーに
戻って緊急灯を止めた。残った警官たちは態度を優しく
変えた。「良く分かったけれども、こんな所は物騒
だからちゃんとホテルに泊まりなさい。ドイツでは
公園で宿泊する事は禁止されているんだぞ…ここから
ただちに出なさい。」と言い残して去って行った。

 時計は午前2時…。ショージは寝袋をかたずけて
大きなバッグを持ち暗い道を歩き始めた。だが
ショージが恐れていた事が起きた。チラチラと白い
ものが上から降って来た。「雪か…?」そう、冷たい
雪が遂に降り始めたのだ。こんな真夜中の時間帯に
ホテルなど見つかる訳などない。ショージは困って
しまい寒さで震えた。
 
暫く道を歩くと意外にも一軒の喫茶店の様なバーを
見つけ、ショージはドアを開けてみた。すると店内
ではシンディローパーの曲が掛かっていた。店の主人
らしき男が出て来て「店はもう終わりましたよ」
と言われ、ショージは「ここら辺りにホテルはありま
せんか?」と尋ねたが答えは、「ノー…」であった。

一時間ほど彷徨い歩いてから、また警察官に怒られる
のを覚悟で先ほど寝ていた公園の木の穴に戻った。
雪はビューッと激しくなって既に積もり始めていた。
ショージはまた寝袋を出してさっきのポジションで
寝ようとしたが、あのシンディローパーの曲が
しばらく耳に残っていた。 あれから、30年近く
経った後も、ショージはこのシンディローパーの曲を
聞くとあの木の穴と寒さ、そして超極大のゲジゲジを
思い出す。
(つづく)