半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第48話

2023-04-30 08:55:53 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2023年12月24日(日曜日)枚方(ひらかた)芸術文化センターにて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションは「ファラオの娘」からアスピシアのヴァリエーションです。
男子は「エスメラルダ」のヴァリエーションです。
さ、やりましょう!!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第48話
ショージは重大な事を今この監督に正直に話して
おかなければならないと意を決した。監督がレスト
ランのボーイを呼んで勘定を済まそうとしたその時、
ショージは「すみません!あの…本当に申し訳無い
のですが給料の前借りをしてもいいですかね?」
すると黒人のランドルが驚いて「こいつ…
嘘だろ!?」とショージを見た。監督も、そして
レストランのボーイまで驚いて目を丸くしてショージ
を見た。

監督が大きな黒い目を更に大きくしながら
「前借りって、幾ら?」ショージは深呼吸して
「私がイタリアのバレエ団まで行くに当たって
監督がこれだけあれば旅費は十分だろうと
思う金額をです。何せ私は一銭も持って無いの
です…」

すると監督が胸に仕舞ってある札束から数枚取り出し
「航空チケットは渡してあるのだからこれくらい
あれば多分、十分だろう…」と残りの札を胸に戻す
瞬間、ショージは胸の方を指差しながら「あの、
それもう一枚足したら、私は途中でちゃんと食べ
れるんじゃないですかね?必ず給料から分割で
お返しします!」「わ、分かった…」そして
ちゃっかり前借りに成功したのだった。

1985年 5月 イタリアへ出発!

イタリアへ出発する当日の朝、中国人の経営する
安いアパートを出ると荷物を持ってランドルの
家に向かった。ショージの荷物は少なく、初めて
ロンドンにやって来た時と同じボストンバッグが
一つ。箪笥代わりに廃品回収で拾ったスーツ
ケースは元通りの廃品回収へ。
 
イタリアへと出発する日は意外に早くやって来た。
これまで世話になったバレエ学校の校長や、
バレエ教師のビビアンとパスィに挨拶を済ませた。
しかし憧れだったミスター・ラフィックには残念な
事だが会えずじまいになってしまった。

思い起こせばロンドンに初めて来た時から
ショージは空港のパスポート検査でただ独り
拘束されて檻(おり)の付いた個室に3時間
にも渡って閉じ込められた。その理由は金も
持っていなければ服装も貧相で、特にイギリス
では絶対に受け入れてはもらえない片道切符の
渡航であったからだ。ショージはこのロンドン
で生涯忘れる事が出来ない過酷な1年を経験した。

限界ぎりぎりの生活とショージ自身の精神との
闘いであった。と同時に人の温かさは国境を
越えても同じなのだと言う事も知った。人は
迷い悩みそして強さを掴む事を学んだのだ。
ロンドンに降り立ったあの瞬間からショージは
神から試されていたのかもしれない。

この経験を持ってショージは「きっと大丈夫!
もうこれからの僕を待ちうける未来がどんな過酷な
状況になろうとも絶対生きて行ける!」そう信じて
やまなかった。

「イタリアに行くんだ…厳しいこのイギリスから
とうとう脱出出来る!」そこにはいない
ラフィックの顔を頭に思い描きながら呟いた。
「ラフィックさん、本当にありがとうございました。
僕はバレエを踊るためにドーバー海峡を越えて
イタリアへ行きます。いつの日か僕は絶対に再び
ロンドンに戻って参ります。その時まで
ラフィックさん、どうぞ元気でいてください」

ショージは固く心に誓った。「ロンドンに戻って
来るその時はパスポートコントロールを難なく
パス出来るよう莫大な現金と驚くほど立派な
格好をするんだ!もちろん、その際は往復切符を
必ず購入しなければ!ロンドンに来た時に
パスポートコントロールの検査官たちが僕に
向かって、良くいらしてくださいました…
と笑顔で出迎えてくれるように自分が成長
するんだ!ラフィックさん、レストランの
ウォンさん、学校の先生たち!本当にありがとう!
そして見ていろよロンドン、僕はまた戻って来るぞ!
きっと…きっと…!」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第47話

2023-04-29 09:44:16 | webブログ

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また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

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男子は「エスメラルダ」のヴァリエーションです。
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第47話
審査発表!
ここで審査が終了。シーンと静まる男性ダンサーたちが
一人の男を見つめた。その視線の先には監督と、監督の
娘さんであろう可愛らしい小さな2人の女の子も椅子に
座って見ている。試験に参加した全ての男性ダンサー
たちはその瞬間に自分たちの人生が掛かっているのだから、
誰もその視線を変えない。その場で結果が言い渡された。

「君!白ティ-シャツの黒人のダンサー、そして、
アジア人の君の2名だ!」ショージが指差された。
この成功率は実に300分の2であった。 最終的に
残ったのはただ2人。周りのダンサーたちは溜息と
ともに「あ~あ…!」と残念そうな声を出し、退場
して行った。黒人のダンサーはガッツポーズを取って
友人たちに肩を叩かれながら満面の笑顔だ。

しかし、ショージは今回はぬか喜びはしなかった。
どうせまたスコティッシュバレエ団の時と同じ理由で
この期待を裏切られるのが目に見えていると思ったから
だ。それは以前に起きたオーディションの際、ソリスト
としての大抜擢にも関わらず、政府側が「君はイギリス籍
ではないから、働く事は出来ない。君のために労働許可を
発行する事は出来ない!」と言った理由であった。

その場でショージはイタリアのバレエ団のディレクターに
向かって言った。「すみません…私は日本人です!
イギリス人ではないので、労働許可証を持っておりません。
どうなんでしょうか?」するとディレクターは、はっきりと
ショージに「君はイタリアに来る気持ちを持っているの
かい?持っているのなら、私が責任を持って許可証を申請
するから心配は要らない。が、イタリアまで来る気持が
ないのなら帰りなさい。すぐに決めなさい!他のダンサーに
決めなければならないから…」
 
今度ばかりは喜びで全身が反応した。「行きます、
行かせてください!お願いします!」ショージの目
から生まれて初めて喜びの涙が堰を切って滂沱(ぼうだ)
の様にぼろぼろと流れ落ちた。「ミスターラフィックさん、
僕は掴みましたよ…!とうとう掴みました…!僕は自分の
この手で本当に夢を掴む事が出来ました!ああ…
ラフィックさん」

ディレクターは大きな声で笑いながら「お願いする必要
ないよ、君はオーディションで受かったのだから。さあ、
泣いてないで食事に行こう!」ショージは両手で涙と
鼻水を拭きディレクターに「恥ずかしい話ですがお金を
持っていないので、レストランどころかカフェにも行けま
せん…」と項垂れ(うなだれ)ながら言うと、
ディレクターが更に大きな声で笑いながら「誘っている
のは僕だよ…!レストランに来る気持ちがあれば
来なさい。無いのなら無理にとは言わないが…」

レストランで食事をしながら、もうひとりのダンサーである
黒人のイギリス人、ランドルとショージは互いに自己紹介
をすると、ディレクターのマリネルは自分のバレエ団の話や
今までどのようなバレエ人生を歩んで来たかなどを話した。
そして監督が胸のポケットに手を入れ、ショージたち2人に
イタリアまでの航空チケットをくれた。ショージはそれを
無くさないように大事に胸のポケットに仕舞った。この時、
監督が驚くような事を口にした。「契約が終わった時点で
世界の何処であろうと、次に行くバレエ団のある場所までの
航空運賃も支払う」と言ったのだ。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第46話

2023-04-28 09:06:35 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第46話
オーディションも終盤になった。ここからが勝負なのは
もうショージだけでなく誰にも明らかだ。審査官の男性が
ここで大きな声で「ここからは一人ずつの審査になります。
ダブルザンレール(空中で直立の姿勢で2回転)とピル
エット(つま先立ちで片足を上げての回転)、そしてアラ
セゴンドターン!(片足を身体の真横90度に上げての
回転)「はい、そこの赤い髪の毛の君から始めようっ!」
ショージは一番最後だ。

一瞬の判断と賭け

ショージはアラセゴンドのターンの際、つま先が綺麗に
伸ばす事が出来ないのとフィニッシュのまとめ方が良く
ないという2つの問題を抱えていた。いつもタイミングが
合わないのだ。が、この日だけは何故か失敗せずに、
まぐれで「バシッ!!」と成功
した。

そして試験会場のスタジオの奥の片隅から対角線上に
ダブルザンレール(空中2回転)をピアノの演奏と共に
3回繰り返す。これには自信があった。最後はピルエットだが、
早めにザンレールを決めた後にプレパレーション(回転
する前の用意)は早めに切り上げて、ピルエットを限ら
れた音楽の時間内に、出来るだけたくさん回れるよう注ぎ
込む一瞬の判断をした。ショージの持っている全てのパワー
をこの最後のピルエットにぶつけたのだ。

グングンと上がるスピード、頭の回転を身体と同調させ
ながらショージには目の前に座って見ている検査官の男性の
顔がはっきりと見て取れた。回転は8回転を超えていた。
検査会場の男性ダンサーたちから「ウオ~ッ!」と言う声が
どっと聞こえて来る。本来ならピルエットだけで終わるはず
なのだが、ショージは勝手に自分のフィニッシュの仕方を
変えた。審査官である監督が気に入るかどうか一つの賭けに
出たのだ。

これまでずっと独りで改良を続けて来たダブルザンレール
から膝をついて直接床に座るテクニックだが、ショージが
改良したのは、床に足先が触れるまでのギリギリまでつま先を
伸ばし続けておく難度の高い技だ。これを失敗すると足先は
へし折れ木端微塵になる危険性があるのだが、これが驚くほど
見ている者たちを魅了するザンレールになるからだ。

遂にショージがこれをやった瞬間、目の前の椅子に座って
いる黒いフラメンコ調のズボンを穿いたバレエ団の総監督
である男性は大きく目を開いて驚いた。そして周りの男性
ダンサーたちから「おーっ、すんげー!!」と大きな声が
湧き上がった。ショージにも手応えを感じたフィニッシュ
であった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第45話

2023-04-27 08:28:01 | webブログ

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イタリアのバレエ団のオーディション
第45話
オーディション当日、ショージが通っていたコベント
ガーデンのアダン・バレエ・アカデミーの最も広い
5階スタジオ。 スコティッシュ・バレエ団の時の
ソリストの為のオーディションとは違い、ランク無し
なので人数も多いだろう…と5階に上がって目を
剥いた!やはり大勢のダンサーで溢れ返っているのだ。
ざっと300人以上だ。ショージはその数を見て
目眩がしたが、こんな数に負けてはいられない。

今までどれほどレッスンをして来たのか…一日に
3回のレッスンをして来た。練習量の数は誰にも
負けてはいない。レッスン以外の他の空いている
時間には自分の技術の改良のために全ての労力を
注ぎ込んで来た。オーディションに集まるダンサー
たちはそれぞれ廊下や溜まり場でウォーミング
アップしているがその間を縫うようにしてショージも
バッグを置き、服を脱いでタイツ姿になった。
そして足の指先から順番に筋肉をほぐして行く。

「皿洗いと空腹の飢えから脱出出来るかどうかは
今日の一戦で決まる…。もうこんな生活とは
おさらばだっ!絶対に他のダンサーたちに負ける
訳には行かない…」ショージは他の人には目も
くれず、床だけを見つめ身体じゅうの筋肉の力みを
抜いて行った。オーディションクラスも3回に
分けられ、ショージは第3グループに入れられた。

待ち時間は恐ろしく長く感じたが、とうとうバー審査
が始まった。複雑なステップの組み合わせであった。
それでもこの日は身体が軽く感じ、音楽のリズムが
楽しくさえ思えた。他のダンサーたちの姿がショージ
には見えなかった。ここは真剣勝負だ。全神経を
集中させたのだ。フラメンコに使う黒いズボンを
穿いた長髪の男性がバー審査の振りの順番を見せる
事だけがショージの視界に入っていた。そして30分
経過した。ここで暫く休憩が入り、3グループの中
から選りすぐられたダンサーの発表。

「君!そして君!それと、そこのアジア人!」
ショージを見ている。「よし、何とかクリアーか!」
30分後にセンターエクセサイズ審査が始まった。
アンシェヌマン(ステップの組み合わせ)を見せて
くれるのは芸術監督のステファネスク氏本人だ。
イタリアから来ただけあって、白いブラウスを胸まで
開けてズボンは黒いフラメンコ調。顔が少し色黒だが、
アントニオ・ガデス(フラメンコダンサーの頂点に
立つ有名なスペイン人)に実にそっくりだった。

アンシエヌマン(ステップの組み合わせ)は、かなり
基本を重視しながらの長いコンビネーションだ。最終
審査では15人ほどに絞られたが、まだクラシック
テクニックを重視した踊りが続いている。「あれ、
モダンやコンテンポラリーの試験は無いのかな?
まあその方が嬉しいけれども…。それにしても今日は
身体が本当に軽いな…」

前日の夜に2時間も掛けて身体の全ての筋肉をマッサージ
しておいたのが功を制したのだ。回転もアレグロ
(速いスピードの踊り)も大丈夫で問題は全くなかった。
ワルツの時はピルエットを音の中で回り切れるように
全速力のスピードで回転させた。それでも安定した
6回転だ。音を少しでも外せばそこが命取りになる。

審査官である長髪の男性の目は何も見逃さない確かな
目である事がショージにも他のダンサーたちも
はっきりと分かった。グランジャンプ(大きい
ジャンプの踊り)が来た。これはショージの最も
得意としている分野だ。ショージはジャンプする時に
自分が自由になるのを感じる。そして空間に漂う時、
全てが喜びに変わるのであった。
(つづく)



ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第44話 

2023-04-26 08:08:09 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第44話 
ミスターチンコ・ラフィックの話に愕然!

時折やってくる、憧れの元ロイヤルバレエ団のプリンシパル
(バレエ団の最高位)のミスター ラフィックが、「やあ…
ショージ、レッスン後にカフェでも行こうよ…」
と誘ってくれた。嬉しさで胸がいっぱいであった。
憧れのスーパーダンサー、ミスターチンコ・ラフィックがだ。
目がとても印象的で身長が185センチもの長身だ。

ラフィックとカフェに着くと、ゆっくりとラフィックが
話し出した。「パスィから聞いたよ…ショージはスコティ
ッシュ・バレエ団へは、労働ビザが出ないから行けなく
なってしまったんだってね…。残念な事だとは思うけど、
イギリスは今厳しいからね。ところで僕がまだロシアに
いた頃、キーロフ時代の友人が、イタリアでバレエ学校と
バレエ団をしているんだ…。彼の名前はマリネルと言って、
ルーマニア人で非常に素晴らしいダンサーだよ。かなり
変わった性格だけど彼の踊りは素晴らしい…。
バリシニコフと一緒のコンクールで二人同時に金メダル
だったんだ…。だから金メダルは半分に割って、
それぞれに分けたんだよ…。その彼が今度ロンドンで
オーディションをするらしいからショージも受けて
みなさい…。」

ラフィックの話しを聞いてショージは驚いた。
「バリシニコフと金メダルを半分ずつだって!? 」
だが例えそのような素晴らしいダンサーがロンドンで
オーディションをしても、きっと素晴らしいダンサー
しか連れていかないであろう。しかしラフィックと
話しが出来るのは至福の時間であった。「ラフィック
さん、分かりました…ありがとうございます!僕、
受かるとは思いませんが頑張ってやってみますね!」
ラフィックはしみじみと言った。

「僕も現役に戻りたいな…この歳になっても、バレエ
レッスンを受けるのはそれほどバレエが魅力あるから
なんだ…僕はバレエが大好きなんだよ…」ラフィック
の横顔を見るショージ。「この人は多分、40代後半
なのかな…?なんて渋くて甘味を醸し出すハンサムで
ダンディな大先輩なのか…。」顔がイギリス人俳優の
アンソニー・ホプキンスとバリシニコフを足して2で
割ったような感じだ。

 やがて、ルーマニア人ダンサーで今ではバレエ団と
バレエ学校を営むマリネルと言う男性ダンサーが
イタリアからオーディションの為にコベントガーデン
に来た。しかも、ショージの通っていた学校内の
スタジオでオーディションをすると言うポスターが
張り出されたのだ。「よし、やるしかない…
それしかない!」
(つづく)