半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第132話 最終回

2021-11-30 07:56:34 | webブログ

バレエ教師の半澤です。
いつも当スタジオをご利用頂き、
ありがとうございます!
コロナに負けずに年中無休で頑張っております。
この度、新しい生徒さん、ダンサーに皆様にも
来て頂けるように「お友達紹介キャンペーン」を
する事にしました。

1,新規お友達の体験レッスン1回無料!
2,ご紹介くだされば、その場で1000円キャッシュバック!

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日は朝10時から初級のレッスン、12時から初中級のレッスンです。
ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2021年12月19日(日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションはジゼルより1幕のVaです。
踊りが大好きなジゼルが楽しみながら踊る様を感じつつ
振り付けを大事に踏みしめてみましょう。
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第132話
紙に目をやれば「ウラディーミル・ワシリエフ、ミカエル・
ラブロフスキー」のロシアの偉人たち両名の連署の名で
締め括られた、大使館に宛てた推薦状だ。ショージの
両目から涙が滂沱(ぼうだ)の様に溢れ出た。

「来て良かった…ああ…来た甲斐があったんだ…!」
マイナス38度以下の極寒の見知らぬ街で寒さに震え
ながら本当の温かさを知る事が出来た。廊下の向こうに
消えて行った神々。もう居なくなってしまった2人に
向かって何度も頭を下げて涙が頬を伝った。また、
ここには現れなかったが、謎の老紳士の先生に感謝を
忘れる事は一生ないだろう。

ショージは頂いた大事な封筒を仕舞うためにバッグを
床に降ろし屈んだ。ふと廊下の反対側を見ると、そこには
さっきの偉大な神々とは次元が違う4人の神々が苦瓜か
渋柿でも思いっきり噛み潰したような顔つきで、綺麗に
並んで座って全員がそっぽを見ている。ショージはバッグに
封筒を仕舞うと立ち上がり、静かに「ドスビダニエ…」
(さようなら)と言うと、4人がショージなんかとは目も
合わせもしないまま、まるで四つ子のように揃って言った。
「ドスビダニエ~ッ!」(さようなら!)

ショージは思わず笑いが込み上げた。「ハハハ!そんな
ところで声を合わせなくてもいいのに…」そしてショージは
またスウェーデンへと帰って行った。ショージには一生涯
忘れる事の出来ないモスクワから。
「ヤ リューブル…ヤ リューブル ラシヤ…!」
(私の愛するロシア…)

それから数十年が経ち、ショージは大事に仕舞っていた
ボリショイの神から頂いたこの原文を初めてロシア語
翻訳家に翻訳してもらった。それはショージが想像して
いたものを遥かに超えた、感謝し切れないほどの綴りで
あった。

親愛なる 半澤正司様
あなたのクラッシックバレエに対する未来に向けての
根強い向上心と、また、芸術における進歩を期待させる
ような肉体的条件を考慮し、我々はクラッシックレパートリー
の役と踊りに関し、こちらで出来る全てのサポートを
約束します。
幸あれ!

87.12.26 ウラディーミル ワシリーエフ
87.12.27 ミカエル ラブロフスキー
                       
ロシア語翻訳 山川詩保子

どんな人間でも夢を持ち、その夢に…そして僅かで
あってもその可能性に挑戦する権利がある。どんな
苦境があろうとも、どんなに大きな壁が立ちはだかろう
とも決して怯まずにそれらを乗り越えて、空に高く
舞い上がる雲を目指すが如く自分の足で駆け上がって
行くのだ。人は夢があるからこそ人生は楽しいので
ある。ショージは小さな希望を胸に遠くを見つめた。
迷い悩みそして少しずつの強さを掴んで行く。果てなき
夢への挑戦は明日の風に乗せ、まだまだそれからも
続いた。




ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)

2021-11-28 07:42:25 | webブログ

バレエ教師の半澤です。
いつも当スタジオをご利用頂き、
ありがとうございます!
コロナに負けずに年中無休で頑張っております。
この度、新しい生徒さん、ダンサーに皆様にも
来て頂けるように「お友達紹介キャンペーン」を
する事にしました。

1,新規お友達の体験レッスン1回無料!
2,ご紹介くだされば、その場で1000円キャッシュバック!

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日は朝10時から初級のレッスン、12時から初中級のレッスンです。
ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/


連絡をお待ちしてますね!

2021年12月19日(日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションはジゼルより1幕のVaです。
踊りが大好きなジゼルが楽しみながら踊る様を感じつつ
振り付けを大事に踏みしめてみましょう。
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
平和的な関係
第131話
翌朝、ショージが性懲りも無く劇場の関係者入口に
来ると、もう爺ぃ4人は何も言わないし、ショージも
潜り込もうとはしなかった。彼らとも平和的な関係を
保ち、入り口でワシリエフ氏を待つ事が出来た。

そしてある程度時間が経った時に、メルセデスに乗って
現れた金髪の男性、世紀のスーパースターダンサーの
ウラディーミル・ワシリエフ氏!

「やあ、ショージ、昨晩は悪かったな!忘れた訳では
ないのだよ…どうしても行かなければならない用事が
出来てしまってね…」ショージはワシリエフ氏の顔を
見た瞬間に嬉しくなり、緊張も解けて「いえいえ、
僕の方こそお忙しい時にとんでもない事をお願い
してしまい、申し訳なく思っております…」
頭をペコッと下げると「ちょっとそこで待っていて
くれ給え、今すぐに君の為の手紙を持って来るから…」
そしてワシリエフ氏は劇場内へと消えて行った。

1987年12月27日 感謝を忘れない

暫くするとワシリエフ氏が再び現れて、「さ、これを
君に渡そう!いいかい、君が本当に願えば、必ず君の
夢も叶うに違いないから頑張りなさい!じゃ、私は
忙しいから行くぞ…」ショージの胸がこれほど一杯に
なった時は未だかつてなかった。異国人のショージの
ような者に、ボリショイの神様が同じダンサーとして、
そして同じ人間として人の温かみを教えてくれたのだ。

ショージは深々と頭を下げ、「スパシーバ、スパシーバ 
ボリショイ!」(ありがとうございます)ワシリエフ氏の
笑顔がいつまでも目に焼き付いた。ピタッピタッと歩いて
行く美しい後姿に見惚れた。

ショージは封筒を見るとその表には堂々と「ウラディー
ミル・ワシリエフから、ショージ・ハンザワへ」と書か
れてあり、中を開いて見れば素晴らしく美しいキリル文字の
流れる様な文体で文字が綴られてあった。やはり、これも
ショージには読めなかった。

丁度その後に、もう1人の神であるミカエル・ラブロフ
スキー氏も現れ「おー、お早う!誰かを待っているのかい?」
ショージは再び頭を下げると「ワシリエフさんからこれを
もらうために待っていたのです。」持っていた推薦状を
見せると「うん、これは素晴らしい推薦状だな…よし、僕も
ここにこうして名前を書いてあげよう!ロシアに来れると
いいな!」

ラブロフスキー氏は持っていたペンで紙に自分のサインを
書き込んだ。ラブロフスキー氏は颯爽としていて、すっと
ショージに手を出し、握手をすると「じゃあ!」また
劇場内にやはり入って行った。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第130話

2021-11-27 07:48:26 | webブログ

バレエ教師の半澤です。
いつも当スタジオをご利用頂き、
ありがとうございます!
コロナに負けずに年中無休で頑張っております。
この度、新しい生徒さん、ダンサーに皆様にも
来て頂けるように「お友達紹介キャンペーン」を
する事にしました。

1,新規お友達の体験レッスン1回無料!
2,ご紹介くだされば、その場で1000円キャッシュバック!

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日は朝10時から初級のレッスン、12時から初中級のレッスンです。
ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/


連絡をお待ちしてますね!

2021年12月19日(日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションはジゼルより1幕のVaです。
踊りが大好きなジゼルが楽しみながら踊る様を感じつつ
振り付けを大事に踏みしめてみましょう。
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第130話
暗い闇夜の中でボリショイ劇場の玄関の明かりが照り、
雪がどんどん降っている。その雪が上からではなく、
横から吹き付ける時は一気に温度が10度下がるだろう。
それでも分厚いジャケットと手袋がショージを守って
くれるので大丈夫だ。

2時間が過ぎて、ショージは軍人たちに手袋と
ジャケットを返してから再び関係者入口に来ると、
どうやらバレエ「アニョータ」は終わった模様だ。
そこで待っていると続々と関係者やダンサーたちが
帰って行くが、この中にはアンドリス・リエパは
いなかった。

うつろな瞳

関係者入口では、待てど暮らせどワシリエフ氏は
出て来ない。「どうしたのかな…?プルミエール
(初公演初日)だから、VIPのお客さんとパーティー
でも劇場内で繰り広げているのかな…」すると、
向こうから小柄な女性がフラフラと歩いて来た。
それは紛れも無く、ワシリエフ氏の奥様で世界的
にも超有名なエカテリーナ・マクシモワさんだった。

ショージはこちらに近づいてくるマクシモワさんに
聞いてみる事にした。「あの~」するとマクシモワさんは
非常に疲れている様子で、ショージを見るなり「あん?
何か用なの?」マクシモワさんは既に泥酔の様子で、
ウォッカの臭いもプンプンだったが「あ、私は日本人の
ダンサーで旦那さんのワシリエフさんとここで待ち合わせを…」

すると言葉も終わらない内に「あー、あんたなのね…
もう、聞いているから知っているわ。でも、こんな所で
待っていても今日、あんたはあの人に会う事は出来ない
わよ…」ショージはたまげてしまい、「うぇ~!?
ど、どうしてなんですかね?!」

 マクシモワさんはフラフラと体を揺らしながら
「どうしてって、今日はプルミエールだったのは
あんたも知っているでしょ?色んな人と会わなきゃ
ならないからよ!日を改めた方がいいわ…あ、そうだわ、
あんたこれからあたしと一緒に私の家に行きましょ…
さ、行くわよ!」ショージはぶったまげながら、
「は、はあ!?家って、マクシモワさんと一緒に
家に行ったら、旦那さんに会えるからですか?」
もうマクシモワさんの眼は虚ろになっていた。

「さっき言ったでしょ…今日は会えないって…」
「じゃ、じゃあ、家に行って何するんですか!?」
「あたしと一緒に飲むのよ…!あんた飲める?」
ショージは言葉を失いながら「そ、そんな事を出来る
訳が無いじゃないですか~!」ショージはバッグを
持ち上げると頭をペコッと下げ、「し、失礼します…
ドスビダニエ…」(さようなら)マクシモワさんは
「フン…!」と言って歩いて行くのを後ろに見ながら、
「はあ…」と溜息を出して、ホテル・コスモに向かって
帰る事にした。

「マクシモワさんの家に行って飲む…?そんな事など、
天下のワシリエフさんの大事な奥さま…これまた世界の
マクシモワさんと出来る訳がないじゃない…明日なら
きっと旦那さんのワシリエフさんに会えるんだから…」
極寒の吹雪が容赦なく身体中に吹きつけた。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第129話

2021-11-26 08:00:59 | webブログ

バレエ教師の半澤です。
いつも当スタジオをご利用頂き、
ありがとうございます!
コロナに負けずに年中無休で頑張っております。
この度、新しい生徒さん、ダンサーに皆様にも
来て頂けるように「お友達紹介キャンペーン」を
する事にしました。

1,新規お友達の体験レッスン1回無料!
2,ご紹介くだされば、その場で1000円キャッシュバック!

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日は朝10時から初級のレッスン、12時から初中級のレッスンです。
ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/


連絡をお待ちしてますね!

2021年12月19日(日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションはジゼルより1幕のVaです。
踊りが大好きなジゼルが楽しみながら踊る様を感じつつ
振り付けを大事に踏みしめてみましょう。
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
温かい手袋
第129話
軍人は自分の手袋をすっと取り外し、ショージに手渡した。
軍人に躊躇(ちゅうちょ)はなかった。ショージは「えっ、
いいの!?」と思ったが、それほどにマルボロが欲しいの
だろう。国から手渡される給金なんかでは到底、タバコも
買えないのだ。まして外国製のタバコなんか軍人たちには
買えないし、滅多に見る事もないのだろう。

それにしても軍人が着けていた手袋の大きい事!ショージは
マルボロのタバコを箱ごとあげてしまった。そしてその手袋
をはめると、何と温かい事か。大きな手袋の中側は黒い
本当の野獣の毛が付いていた。「すんげー!」流石に軍人、
いざとなれば夜も寝ずに戦う準備をしなければならないのだ。
そんな極寒の中でも手が動くように本当の分厚い毛が軍人の
手を守っていた。

軍人が今の今まで着けていたから、その温もりが伝わって来た。
男同士の肌の温もりでも寒さに比べりゃ全然嫌な事はない。
そして軍人は大喜びした。 軍人が隊列で取り囲む円から
劇場の門に戻ったショージはバッグの中から、もう一つの
マルボロを取り出し、急いで封を切って、吸っている煙草の
火が消えない内にもう一本の煙草を取り出そうと思ったら、
今度は違う軍人が人間バリケードの隊列から抜け出て来て
ショージの所まで来た。

「あー、私にもタバコをくれませんか?あなたは寒いの
でしょう?これを貸してあげますから…」軍人は自分の
着ている軍のジャケットを脱ぎ、凍り付きそうなショージの
身体にジャケットを羽織らせた。このジャケットの中側にも
同じように野獣の毛が付いているが、「何の毛だろう?
熊かな?」しかし軍人はソ連に数万人、いや、数十万人も
いるのだろうが、そんな膨大な数の毛皮を作れる生き物って
何なのか?犬か?その毛を黒の染料で染めたのか?いや、
犬って事はないだろう。猫…?

「ぎょえーっ、気持ち悪~っ!」どうでも良さそうな事に
とても疑問を抱くショージだった。軍人にショージは
マルボロの中から、5,6本のタバコをあげた。勿論、
軍人が喜ぶのは当たり前の事だが、次の瞬間…

軍人整列…!

ショージが軍人のジャケットの袖に腕を通し、あまりの
温かさに感動して、「これなら2時間でも余裕で待てるじゃ
ないか…」と後ろを振り向いたら、2人目の軍人の後ろには
5,6人の軍人がそれぞれの手に色んな物を持って、
きちんと並んでいるではないか!「は、はあ!?」皆、もちろん
タバコが目当てなのだ。

一番目の軍人がマルボロを他の軍人たちにひけらかしたに
違いない。「嘘でしょ!?冗談じゃないよ、そんなに
マルボロは持って無いのに!」軍人は「君が寒がって
いると聞いたから、靴を貸してあげようかと思ってね…」
他の軍人は軍のシャプカを持っていた。「ちょっと、
ちょっとー!僕だってゴールデン・フォックスの美しい
シャプカを持ってんですけど?」「いや、これの方が
温かいんだぞ!君の被っているそれは昼にでも被れば
いいんだ!な、夜なんだからこっちを被ってみろ!」

ショージは軍人たちに言った。「あのー、もうタバコが
無いんです!僕はこの姿で十分ですから、す、すみません!」
軍人たちはブツブツと言っていたが、本当にマルボロの
威力たるやすさまじい!手袋にジャケット…これでカラシ
ニコフのマシンガンでも抱えていれば、ショージはソビエト
連邦の軍人の仲間入りだ。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)第128話

2021-11-25 08:03:44 | webブログ

バレエ教師の半澤です。
いつも当スタジオをご利用頂き、
ありがとうございます!
コロナに負けずに年中無休で頑張っております。
この度、新しい生徒さん、ダンサーに皆様にも
来て頂けるように「お友達紹介キャンペーン」を
する事にしました。

1,新規お友達の体験レッスン1回無料!
2,ご紹介くだされば、その場で1000円キャッシュバック!

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、夕方5時20分は
初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日は朝10時から初級のレッスン、12時から初中級のレッスンです。
ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2021年12月19日(日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションはジゼルより1幕のVaです。
踊りが大好きなジゼルが楽しみながら踊る様を感じつつ
振り付けを大事に踏みしめてみましょう。
さ、やりましょう!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第128話
さて、ボリショイ劇場と言う建物と、門の外に取り残された男、
それを数千人の軍人たちによってぐるっと包囲されていた。
ショージは軽い脳みそを振りよく考えた。もし、その包囲を
「ちょっと失礼します…」と出てしまったら最後、その包囲の
中にはもう戻れないに違いない。

恐らくは軍人の司令官が「誰もその包囲の中には入れては
いかん!アリ一匹さえも入れるな~っ!」と命令を出して
いるのであろうから、出る事は出来ても入って来ることは
出来ないのだ。と言う事は…?出ちゃ駄目なのである。

ショージは軍人の造る壮大な円の中側で待つ事にしたのだが、
何と言ってもマイナス40度!寒くて寒くて、門から出た
瞬間に冗談では無く睫毛が凍りついた。口から吐く吐息が
まるで忍者が撒く煙幕のようになった。もっとも煙幕などと
言っても今の時代で知っている人は少ないとは思うが。

ショージは、微かな暖を摂るためにポケットからマルボロの
タバコを取り出したが、生憎ライターのガスが切れていた。
そこで軍人に近づき、「イズビニーチェ、ダイチェ 
ミニャ―、スピーチカ…?パジャールイタ」(済みませんが、
マッチを頂けますか?お願いします)すると軍人はショージの
声の方に振り向き、マシンガンを肩からブラリンと垂れ下げて、
脇に抱え込み直してから自分のポケットの中を探した。

流石に軍人だけあって、マシンガンを奪われないように
注意しているのは迫力ものだ。彼はポケットの中を必死で
探しているというのに、ショージは追い打ちをかけて
もう一度聞き直した。「アー、ウーティビア スピーチカ?」
(えー、マッチは持ってんですかね?)

ソ連の徴兵制度

その軍人は若そうで20歳~23歳くらいであろう。ソ連では
可哀そうな事に徴兵制度というのがあり、病気やゲイじゃない
限り男なら必ずこの徴兵に応じなければならない。日本も
第二次世界大戦ではこの徴兵制があったらしい。 

「マッチは?持ってんの?持って無い?」と若い軍人に
責め立てる様に聞きながら、軍人は「あったっ!」と慌てた
顔をして、ショージにマッチ箱を手渡した。ところが、
そんなただのマッチ箱を軍人は目を離さずにじっと見ている
のは用が終われば返して貰いたいからだ。「ハハハ!返すから
心配しなくても大丈夫!」

しかし、軍人が見ていたのはマッチ箱ではなかった。ショージの
出したマルボロの赤いタバコの箱に見入っていたのだ。
ショージがタバコに火を付け、ふ~と口から大きな白い煙を
出した時に、ショージが「スパシーバ!」(ありがとう)と
マッチ箱を返しても軍人はショージのタバコを見続けた。

そして軍人が今度はショージに「アー、ダイチェ ミニャー、
コリーチ、モーシュナ?」(あー、そのタバコを僕にもくれない
かな?)ショージは「カニヤーシュナ!」(勿論!)と言って
一本差し出すと、「アー、イズビミニャー、イシチョ…ドゥバ 
コリーチ…」(あー、悪いんだけど、もう2本のタバコを…)
ショージは「えっ!?」と聞き返したが、「そうか、マルボロが
珍しんだな…おっ!いい考えが浮かんだぞ!」

ショージは軍人の手をジッと見て、「その手袋、ちょっと
貸して貰えるなら…」と交渉した。「少年よ、大志を抱け!
のクラーク博士、生きるというのはこう言う事を言うん
ですか?」クラーク博士ものけぞっている事であろうか…。
(つづく)