半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第104話

2023-01-31 07:53:09 | webブログ

バレエ教師の半澤です。

平日は朝は11時から初中級レベルのレッスン、水曜日、金曜日の
夕方5時20分は子供の初級、夜7時から中級レベルのレッスンです。
土曜日は朝11時からのレッスン、夕方6時です。ポアントもあります。
日曜日と祭日も朝11時から初級のレッスン、ポアントもあります。

皆さま、お待ちしております!

ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)

私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/

連絡をお待ちしてますね!

2023年12月24日(日曜日)枚方(ひらかた)芸術文化センターにて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。

Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。

スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。

バリエーションは「コッペリア」からスワニルダの第一幕のヴァリエーションです。
男子は「ラ・フィユ・マルガルデ」からコーラスのヴァリエーションです。
さ、やりましょう!!

連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
帝王の門
第104話
新譜を抱えたベートーベンは御者が真っ青になって
震えている顔に静かに笑みかけ、「あの門が帝王の門
ならば、私には入る資格があるのだ…何故ならば私は
音楽の帝王である。君は私が帰って来るまでそこで
待っていてくれ給え…」そう言い残すと、ベートーベンは
門に続く敷石を踏みながら入って行った。その後ろ姿を
黙ってじっと見守る御者…。

そして宮殿の広間には既に王さまもお妃も、そして皇族
やら、続く伯爵、侯爵やらのお偉いさんたちは
ベートーベンが来るのをワイングラスなどを傾けながら
待っているのであろう。いつもの音楽家たちがそうで
あるように、皆はベートーベンも音楽家どもが入って
来るであろう入口から来るのを当然として待ち受けて
いた。

ところが、ベートーベンはあらぬ方向から入ってきた
瞬間、一斉にどよめきが起こった。ベートーベンが
入って来たドアーは、帝王以外の何びとも通る事は
絶対に許されない帝王の門へとしか続かない廊下で
あったからだ。

 ベートーベンは辺りのシーンと静まり返ったドレスに
着飾った人々や紳士にも目もくれず、真っすぐにツカ…
ツカ…とピアノへと歩み寄る中、執事が慌てふためいて
会場から走って出て行った。執事はキッチンから外に出て
正門に回ると、その階段の下で待っている馬車の御者に
「お、お前は何という事をしでかしたのだ!?お前の
ようなこの道のベテランが何故、帝王の門に馬車を寄せ
たのだ!」

すると御者は震えながら、ベートーベンの言った事を
そのまま執事に告げた。執事は暫く呆然としていたが、
演奏会に戻りピアノの演奏を聴いている帝王に、御者の
言った通りの事をそっと耳打ちした。帝王はコクっと頷き、
そしていよいよベートーベンの演奏が始まった。

その見事な旋律、雄大な流れ…帝王は目を閉じ、その
人間の魂を揺さぶるべートーベンの迫力ある演奏に
心を奪われながら聴き続けた。やがてベートーベンの
演奏が止まり、ピアノを弾き終わった。

私は音楽の帝王である…

コンサートを終えたベートーベンはピアノの蓋(ふた)を
パタンと閉めると、新譜を持ち黙ってそのまま脇見も
ふれずに、沢山のレディーやジェントルマンたちの間を
通り抜けたが、人々はその素晴らしい音楽に魅了され、
拍手喝采が鳴り止まなかった。

そして驚く事にベートーベンは何食わぬ顔で、またもや
あの帝王の門から消えて行ったのだ。しかし皇帝は何も
言わず、彼が去った後に「ベートーベンか…あれも
朕の門を通る資格があるのだ。何故ならば彼こそ音楽の
帝王なのだから…」その感動の話を聞きながらショージは
ホーフブルグ宮殿の帝王の門の下の前でその光景を頭に
浮かべながら、「そうか…ベートーベンの肝っ玉も凄けりゃ、
その帝王も太っ腹だな…」と溜息を吐いた。
ここで話はモスクワのボリショイ劇場に戻って行く。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第103話

2023-01-29 08:15:22 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
ウイーンの王宮
第103話
その話しとは…オーストリアの首都ウィーン、この街の
真ん中にホーフブルグという王宮がある。今でも王宮の
前には大きな道が広がって、そこには美しい馬車がまるで
お伽話のように客を乗せて走っているのだ。馬に鞭を
打つ御者はシンデレラ姫の話では確かネズミになって
いるが、ここウィーンは格好の良いおじさんがまだ皇帝の
いた当時の衣装を纏い、客を宮殿に送り届けてくれるの
である。

当時を想像させるのに十分であり、非常に美しい帽子を
冠った御者で、一度乗ったら永久に忘れる事が出来ない
だろうな…と、ショージは道の横の歩道から眺めていた。
ショージは貧民ダンサーなので、眺める事が出来る、
それだけで良かった。

さて、王宮ではショージの知り合いのコンサートピアニ
ストの友人が案内係を務めてくれたが、そのピアニストの
話ではここにはハプスブルグ家代々の人が暮らしたそうだ。
マリー・アントワネットもここに滞在したそうで、様々な
有名な音楽家が演奏会を開いたそうである。その中に
モーツアルトもいたし、シューベルトもいた。

ただ、一貫して言える事は音楽家の誰しもが裏側の
キッチンからしか入ってはいけなかったと言う話である。
正面に位置する非常に大きな玄関は門になっている。そこは
王しか通ってはいけないのだと友人は説明した。ショージと
ピアニストが王宮の裏側に行くと、今でもその名だたる
音楽家のお墓があった。

そのお墓を前にショージの友人のピアニストが話した。
「モーツアルトはね、卑しい奴だったらしく、ここ
キッチンで必ずつまみ食いをして、コンサートが終わって
から帰り際にも食べ物を持ち帰るような男だったらしいよ。
そしてシューベルトはね、変態だったんだ…」ショージの
友人のピアニスト自身は正真正銘の変態であったがシューベルト
が変態なのかどうかは真相は分からない。

ベートーベン

ショージの友人のピアニストの話は実に興味深いもので、
モーツアルトやシューベルトに纏わる(まつわる)話の
後に、こんな事を言った。王様が色々な音楽家を招いては
演奏会を開いたのだが、その音楽家たちには飽きてしまい
「今度はベートーベンを呼べ…」と王様が希望した。

早速ベートーベンの家に執事が走り「王さまがあなた様を
お召です…是非とも王宮に来て頂きたいのですが、
宜しければ馬車を向かいに差し出しますので…」すると
ベートーベンは頷いてその執事の要請に返事をした。
「わかりました…では、次の演奏会には私の新作を携えて
王宮に伺いましょう…その時に馬車を宜しくお願い致します」

そして演奏会の当日に馬車が予定通りにベートーベンを
迎えに行き、王宮の中庭を通り、馬車の御者はいつも通りに
裏側のキッチンにと続く歩道に馬車を止め「ベートーベン様…
お着きになりました…では、ご成功をお祈りしております…」

するとベートーベンは静かな口調で「馬車を真っ直ぐに
あの門の下に着けなさい…。」すると御者は真っ青な
顔つきで「な、なんですと!?あの門の下にですと!?
そ、そんな事が出来るわけがないじゃないですか!あの門は
帝王しか入れないのをよもや、お忘れでは無い筈…
そんな事をしたら、そんな事をしたら…!」

ベートーベンは全く動じずに「そうか…帝王しか入れない
のか…。ならば尚更、あの門を潜る資格が私にはあるのだ…。
そう、あそこの下に馬車を着けたまえ…」御者は真っ青に
なりながら、ベートーベンの言う通りに帝王の門の真下に
馬車を着けた。

そして御者は震えながら、馬車から降りるベートーベンを
見つめた。ベートーベンは腕に新譜を抱えながら馬車から
外に出て、御者に一言礼を言いながら、言葉を付け加えた。
そのベートーベンの言葉はショージさえ震撼させる強い
言葉であった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第102話

2023-01-28 07:58:26 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
拍子抜け
第102話
だが、口という身体の器官の一つが脳と言う器官の
命令も待たずに勝手に爺さんの顔を見た瞬間に動いて
しまったのだ。 立ち上がっていきり立っている
爺さんを前にショージの口から出てしまった言葉とは…。
「んじゃ、言うけどね、僕はマエストロ・ユーリー…
あ、そうそうミスターグリゴローヴィチに用があるんだ!
だからここで待たなきゃいけないんだよ!」

ユーリー・グリゴローヴィチとはボリショイバレエ団を
率いる芸術総監督であり、世界中のバレエ界の頂点に
立っている人間なのである。その出し抜けの言葉に
爺さんは完全に面喰って、「お、お前、今何て言った!?
誰に用があるだと!?」ショージはもうろくした爺さんの
耳に向かってもう一度「だから…マエストロ・ユーリー・
グリゴロヴィチだって!」

立っていた爺さんは静かにそのまま向こうの椅子に戻り、
4人の爺さんは何やらヒソヒソと話していたが、やがて
ショージの存在の事など無かった事のように黙って
しまった。ショージは「ありゃ?」ちょっと拍子抜けして、
絶対にそのまま4人に担がれて、外に投げ出されると
思っていたから、身体が硬直していたのだ。「な、なんじゃ?
どういう事だ!?」

ここでそっぽを向いている爺さんたちに「分った!
じゃ~ここで待っていてもいいって事か!」とバッグを
床に下ろし、壁にもたれ掛かっていると、またもや
爺さんの一人が「おい…そこの!お前がマエストロを
ここで待っていても会えるわきゃねえぞっ!マエストロは
ここからは出入りしねえからな…」ショージは爺さんの
ボソボソっと言った言葉に驚いてしまった。

「な、え~!?じゃあ、どっから入って来るのさ!?」
するとさっきの恐ろしいまでの剣幕も何処へやら…
急に打って変わって態度が変わり、静かな口調で、
「マエストロはマエストロだけの通る事の許された門が
ある…そっちはわし等とは関係が無い…わし等はここが
仕事場だからな…マエストロに会いたきゃ、反対側の
門に行くがいい!いずれにせよ、会えるか会えないか、
それもわし等には関係の無い事だ…行け、糞坊主…」

 世界のバレエ界のトップに君臨するボリショイバレエの
芸術監督マエストロ・ユーリー・グリゴローヴィチ氏との
面会…という、自分の口からつい出てしまった「出まかせ」
に流石に自分でも呆れた。それ以上その関係者入口にいる
理由も自分で消してしまったから、「ま、これも今日の
定めか…」と諦めた。「こっちの関係者入口にはまた
明日でも違う理由を考え出して来るとしよう。」

 今日は爺さんの言った、「あっち側」のその監督
たった一人だけに許された門でも見てから、プロス
ペクト・ミーラの公園で物々交換をやっている市場に
行き、ホテルから持って来た商品で商売でもやりに

行こうと決めて、爺さんの言った通りのボリショイ
劇場の反対側に行ってみた。劇場の外では雪がたくさん
降って来た。「寒い…マイナス38度か…一人だけに
許される門か…まるでウィーンのホーフブルグ宮殿の帝王の
門みたいだな…そう言えば…」

この時ショージはザクザクと凍り雪の上を歩きながら、
ふ…とショージが以前に訪れたオーストリアの首都の
ウィーンにあるホーフブルグ宮殿での友人の話を思い出して
しまったのだった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第101話

2023-01-27 08:16:33 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第101話
レッスンを終えて気持ち良く,タオルで汗を拭き取って
から着替えをした。こんな素晴らしいレッスンを
放っておく手はない。明日も、そのまた次も
ショージは来る気でいた。バレエ団の芸術監督を
しているヴァチェスラフ・ゴルデーエフ氏に向かって
頭をペコリと下げて、「スパシーバ ボリショイ!
イズビニーチェ…モ-シュナ イシチョラス 
ザーフトラ、ザニマッツァ ウ ヴァス?」(どうも
大変ありがとうございました!すみませんが、明日
もう一度レッスンさせて頂きたいのですが、宜しい
でしょうか?)

ゴルデーエフ氏は静かに頭を頷かせたように拝見した。
これはショージだけの勘違いかもしれなかったが、
いずれにしてもショージは必ずやって来る。監督の
返事がどうであろうとショージは来るのである。

気が狂ってしまいそうなほど限界温度の寒さの中、
ショージはそのままボリショイ劇場の関係者入口に
向かった。あそこには4人の侮る事の出来ない爺さん
たちがいるが、ショージはそんな事にはお構い無し
であった。爺さんたちは爺さんたちのしなければ
いけない任務を遂行すれば良いし、ショージも
しなければいけないショージの目標を実行するのみ
だからだ。

「今日は何としてでも劇場内に入り込む…!」である。
しかし色々と考えたのだが、爺さんたちを突破する
手立てが思いつかない。それでも兎に角、行ってアタック
するのみか。「よしっ、爺ぃたちよ、決闘だ~っ!
待ってろよ~っ!」

怒りの爺さん

モスコウスキーバリェット(モスクワ国立バレエ団)の
公演している劇場からは、それほど遠くない位置に
ボリショイ劇場がある。さっきの劇場にしても館内は
何処でも温かいので、外の異常なまでの寒さには震えが
止まらない。が、割合直ぐボリショイ劇場に到着した
ショージは、極々当然のように関係者入口に入った。
ここは二重の入口になっており中に入って行くショージは
さも劇場のお抱えダンサーの様に「ズトラストブチエ~!」
(こんにちは~!)と4,5歩行ってしまおうとしたが、
ショージの耳が敏感に反応したのは爺ぃたち4人の内の
誰かが椅子を蹴って飛び出そうとした音だ。

瞬間にショージはクルッと反転した。すると案の定、
爺ぃ一人が「あっ、お前は…!」ショージは間髪を
入れずに遮った。こういう時こそ、タイミングと
言うものが大事なのだ。 「あー、こっちにあんた方は
座ってたんだよね…ハハ!忘れてた!今日は、ここで
待たなきゃいけない人がいるから、暫くここで待たせて
もらいますよ!」

すると、爺ぃ4人共はショージの事を小悪魔が出現
したかのように身を構えググッと眉を吊り上げて、
口元がへの字になった。一人の爺ぃがショージの胸倉を
掴もうとする手をやや下げて、爺ぃが問いかけて来た。

「な、何?ここで待たなきゃいけない人だと?お、お前が
待たなきゃいけない人とは誰の事だ!事と次第によっては
ぶん殴るぞっ!」 ショージはいきり立っている爺さんを
宥めるようにゼスチャーで両手の平を下げ降ろしながら
「モメントゥ パジャールイスタ!二ビスパコイシエ!
スパコイニエ…ダバイ チ スパコイニエ…」(ちょっと、
心配しなくていいからさ!落ち着いて…落ち着いて…)

すると爺さんの目が見る見る吊り上がり、「は、早く
言えっ!お前は誰に用があるって言うんだ!?お前
なんかに用がある人間はこの劇場にはおらんっ!」
ショージは爺さんの顔を済ました顔で覗き込み、「ほ~、
じゃ言うけどね…」実を言えばショージにはここに
用などある人はいなかった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第100話

2023-01-26 08:43:58 | webブログ

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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
モスクワでの最初のバレエレッスン
第100話
ドジンスカヤ先生は通常のバレエミストレス(指導する
立場の女性の先生)とは違って、実際に自分が動いて
見せるのではなく、言葉でしか伝えないようであった。
舞台の一番奥にいるショージからは遠く、舞台の前面で
客席に背を向けて座っている先生は蚊が泣く様な小声
なので意味が不明で、説明が分らないまま、いきなり
ピアニストが演奏をし始めた。

それに合わせてドジンスカヤ先生は手を動かして
「アー、ラース…!」これはロシアのバレエの先生が
レッスンを始める時や、動く瞬間などに使う本来の
数字の「1」の意味なのだが、本来のロシア語の
数字上では「1」はアジンと言う。何故、「ラス」
と言う言葉を使うのかは今のところショージも知らな
かった。しかし、とても響きの良い言葉だ。

一斉に全ダンサーがバシッと足のつま先を完全に
180度に開き、一番ポジションに用意をしてバレエの
稽古で必ず最初に行う動作のデミプリエ(両膝を
曲げること)に入って行く。

ヨーロッパの何処に行っても外国人という事を意識
させられ、言葉の壁があったショージにとって、
バレエをしている時だけが、自分自身が存在している
という事を実感した。常にショージの脳裏に付きまとい
悩み続けた自問自答の「何の為に生れて来たのか?
お前はただの肉の塊なのだ…」から抜け出せる唯一の
脱出口であった。今こうして見ず知らずのショージをも
混ぜてもらい偉大なドジンスカヤ先生、そして素晴らしい
ダンサーたちと一緒に踊る事が出来るというのが何と
幸せな事なのだろう!

ピアニストの両手で強く叩きつけるように演奏される
ピアノの音と共に、ダンサー同士が同時に命の
ありったけを燃焼出来る…これこそが、ショージを
また明日に向かって生かせてくれる機動力になり、それが
あるからこそ、もっとやろう、頑張ろう、生き抜いてみせる!
と、大袈裟になるかもしれないが勇気を湧かせる事なのだ。

「ああ…バレエって本当に素晴らしい…こんなにも
力をくれる…バレエをやって来て本当に良かった!」と、
ドジンスカヤ先生のレッスンの始まりにはそう思って
いた。ところが、段々とレッスンが進行して行くうちに
とんでも無い事になり始めた。周りのダンサーたちは
平然とやっているドジンスカヤ先生のステップの
組み合わせが恐ろしく難しくなって来たのだ。

そしてあまりにも複雑で分からないものだから、自分の
前のダンサーや周りのダンサーの動きを盗み見している
内に、そのダンサーたちの半端じゃない才能に目も
パチパチとさせながら、「げ~っ!何じゃこのスーパー
ダンサーたちは!?」段々と身体の震えが起き、
足がもつれ頭が真っ白になった。

 このバレエ団の中にはまだ若い、18,19歳のような
ダンサーたちもいれば、かなり歳をとっていそうな
ダンサーもいたが、一つ共通して言えるのは、この
ダンサーたち全員が半端じゃ無いほど凄いと言う事だ。
女性も凄けりゃ、若いのもおっさんダンサーも凄過ぎる!
そう言えばレッスン前に、女の子に頼んで芸術監督の
部屋に連れて行ってもらったけれど、あの小部屋にいた
芸術監督を前にショージは緊張していたので、
「レッスンを受けさせてください…」とお願いするだけで
精一杯であったが、「ミニャ ザブートゥ ゴルデーエフ…」
って確かに言ってた。ゴルデーエフってボリショイバレエの
花形スターでショージが憧れていた、スーパーダンサーの
ゴルデーエフか?「んぎゃ~っ!僕はゴルデーエフと喋って
たんじゃん…!」
(つづく)