半澤正司オープンバレエスタジオ

20歳の青年がヨーロッパでレストランで皿洗いをしながら、やがて自分はプロのバレエダンサーになりたい…!と夢を追うドラマ。

ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第77話

2024-08-31 08:10:32 | webブログ


バレエ教師の半澤です。
火曜日から土曜日までの朝は11時からレッスンやってます。
水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
レッスンをやってます。
夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
祭日は月曜日も他の曜日でも朝11時からです。


皆さま、お待ちしております!


ホームページ半澤正司オープンバレエスタジオHP http://hanzanov.com/index.html
(オフィシャル ウエブサイト)


私のメールアドレスです。
rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp
http://fanblogs.jp/hanzawaballet3939/


連絡をお待ちしてますね!


2024年12月28日(土曜日)寝屋川市民会館にて
半澤正司オープンバレエスタジオの発表会があります。


Dream….but no more dream!
半澤オープンバレエスタジオは大人から始めた方でも、子供でも、どなたにでも
オープンなレッスンスタジオです。また、いずれヨーロッパやアメリカ、世界の
どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
応援させて戴きます!
また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
おりますので是非いらしてください。お待ち申し上げております。


スタジオ所在地は谷町4丁目の駅の6番出口を出たら、中央大通り沿いに坂を下り
、最初の信号を右折して直ぐに左折です。50メートル歩いたら右手にあります。


バリエーションは「眠り」から「リラの精」のバリエーションです。
男子も自分の好きなヴァリエーションしましょう!
さ、やりましょう!!


連絡先rudolf-hanzanov@zeus.eonet.ne.jp


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
陸地に浮かぶ孤島
第77話
現在地点はハノーバーだ。そして目を地図上の
右に移していくと、ある部分から右は白紙に
なっている。それは西ヨーロッパの人間が入る
事を頑なに拒否したソ連が支配する東ドイツ
だからである。西側の人間は誰も入る事の許され
ない土地なのだ。


「ん?この地図上にある陸地に浮かぶ孤島の
ようなこの場所は一体、何なのだろう?」
それこそが、ベルリンだった。「ああベルリン…
此処こそ僕が行ってみたかった場所だ…」
陸の孤島…ベルリンの街は共産圏の軍隊で
包囲されて、その中で人々は世界に向けて
壮絶な叫び声を発信しているのではないのか。
共産圏とは一体何なのか?何故、人々は
こんなに苦しまなければならなかったのか?
強く生き抜くベルリンの人々とは一体
どのようなものなのか?ショージは
ハノーバーの中央駅で決心した。「スウェーデンに
帰るまでの残り僅かな時間を費やすのはここ
しかない…ベルリンだ…!」


共産国家境界線を越える!


ショージの持っている地図の共産圏は全て
色が真っ白で、何も描かれてはいない。
そこにポッコリと陸の孤島のようにベルリンが
描かれてある。空白の部分は西側の人間が
入り込めない土地…孤島のように描かれて
ある場所には「BERIN」と文字が
浮かび上がってあるが、どうしても納得が
いかない事がショージの脳裏をかすめた。


「この地図上の色が無い空白の部分は共産圏
だな…列車に乗ればここを通過しなければ
ベルリンには入れない訳だから日本人の僕は
どうなるのだろう?特別な通過許可証が
必要になるのではないのか…」そして駅で
調べるとベルリンに入るためにはやはり
列車通過ビザが必要な事が判明した。
途中下車は出来無い。電車で通行するだけの
特別なビザがあるという。本来は東ドイツの
大使館でビザを発行してもらえば料金は
安く済むのだが電車の中でも、少し割高には
なるがベルリンに渡るためのビザは取得
出来る。


そして遂にプラットフォームに「ベルリン行き」
の列車が入って来た。列車に乗ると「おおっ!」
ショージの大好きなコンパートメント形式
だった。6人部屋の個室で革張りの席だ。
3人づつが向き合う様になっている。椅子は
ちょっと引っ張れば手前に出て来る。向かい
合う反対側の椅子を引っ張り出せば簡易の
ベッドにも早変わりする。ただ、これが出来る
のは客が3人以下の場合のみだ。もし3人以上
客がいたとしたらベッドは諦めるしかない。


さあ、出発だ!列車は動き出し、ハノーバーを
後にしてベルリンへと向かい出した。


黒い大きなバッグ


ショージはいつも小さな子供が入れるほどの
黒の大きなバッグを持ち歩いて旅をして
いる。バレエをしていない人には驚くほどその
バッグは大きい。バレエ用具が数日分と
生活に必要な全てが入れているからだ。
バッグの中にはソビエト連邦共和国が一面に
書かれた巨大な地図とロシア語の辞書も
入っている。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第76話

2024-08-30 07:47:56 | webブログ



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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第76話
素っ頓狂な声を上げた秘書を軽く制するように
ディレクターのウルフ氏がショージに向って、
「君はこれからイタリアまでビザ申請に行かな
ければならないし、何週間掛かるか判らない
から、半分の給料の前払いなら大丈夫だ。」
その言葉にまた、秘書は仰天しながら白目を
剥いた。


「そうだ、ここは事務局じゃないか…スザンナ、
早速手配してあげなさい!バレエ団の費用と
言えば良いじゃないか、そうだろ?私は先に
劇場に行っているから。じゃ、バーイ!」
スザンナは、「ちょっと、ちょっ…」


信頼は直感!


グレゴリーというイギリス籍の黒人ダンサーは、
ショージがゴッセンブルグの稽古場に突然やって
来た日、彼は周りのダンサーたちに向かって
度肝を抜くような痛烈な皮肉や毒舌を混じえ
ながら、その話の内容には完璧に筋が通っており、
その話しぶりにショージは魅了された。
ショージが今、実際に彼と稽古場内にある
リラックスルームで話をする時は全く別人の
ように静かで、彼の話す英語の流れに美しさを
感じた。ショージはグレゴリーに初めて会話を
するのに「僕はショージ…僕の友だちになって
くれませんか?」と申し出た。


彼がショージに問い返した。「友だちに?何故、
僕なんだね?君はこんなに沢山いるダンサーたちの
中から、どうして僕を選んだんだね…?」澄んだ
黒い瞳でショージの眼を見つめた。「僕はこの
稽古場で初めてあなたを見かけた時から、
あなたの話を静かに聞いていました。あなたの
話の中に矛盾点は無く、はっきりとした筋が
見えました。何故、あなたを選んだか…それは
インスピレーションです。つまり直感です!
私は、あなたが信頼出来る人間なのだと直感
したのです。そしてその直感にきっと間違いは
無いと信じるからです。」


 グレゴリーは、初めて出会うショージのような
人間からこのような事を言われて、かなり
戸惑ったであろう。しかし、「そうか…。多分
君は正しいかもしれない。僕は物事をはっきりと
言う性質だから、このバレエ団でも異種的に
見られがちだが嘘は言わない主義なんだ。それでも
良かったら、僕も君の事に大いに助言させて
貰うよ。」ショージはグレゴリーとがっちり
握手すると、彼は電話番号を書いたメモを
ショージに差出した。そして、グレゴリーは
リハーサルをするために消えて行きった。


翌朝、早速電車に乗り、またイタリアへと向かった。
もう慣れたものだ。今回はレッジオエミリアに
帰るのではなく、スウェーデン領事館のある
ミラノに向けてチケットを買った。片道切符だ。
何故、片道切符なのか…それはイタリアに戻れば、
領事館で労働許可証の申請後に一体どれくらいの
時間がかかるのか全く見当がつかない。その
申請中に何をすれば良いかショージには
はっきり分っているからであった。


つまり武者修行の続行である。武者修行をする
のには再びインターレイルパスが必要になる。
レッジオエミリアまで行けばこのユーロ鉄道
パスを買う事が出来るのだ。この特別なチケットは
在住先でしか買う事が出来ない。そしてイタリアに
到着し、ショージは鉄道パスをゲットした。
領事館で労働許可を申請すると、その足で
武者修行の続行が始まった。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第75話

2024-08-29 08:22:58 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
ディレクターが舞台に上がって来た…!
第75話
真っ青な眼で瞬きもせずに、ディレクターである
ウルフ・ガッド氏はショージの眼を真っ直ぐに
見つめたが、深海の様な瞳が怖い。しかしその
刹那、ニッと笑うと、「合格だ~っ!君を我が
バレエ団に迎えよう!これから直ぐに事務局に
行き、契約書にサインしてから日本で労働許可証を
申請する事になる。となると今が11月だから…
労働ビザが降りて君の仕事の開始は来年の8月の
半ばになるだろうか…?」


ショージはディレクターの言葉を全部聞き終わる
前に、「ちょっと待ってください、私は今すぐに
仕事が必要なのです!日本に帰るお金など持って
いませんし、日本で申請しなくてもイタリアに
2年働いていたからイタリアで申請出来ます。
今から働かないともう食べて行けなくなるの
です!」すると今度はメガネをかけた金髪
クリンクリンの秘書が「今からって、それでは
ボーナスが出ないわよ?このバレエ団では
12ヶ月の雇用期間と13ヶ月分の給料という
契約になるのだから、12ヶ月に満たない方には
ボーナスは出せませんが…」


ショージは即答した。「ボーナスは要りません…。
お願いです!食べて行けるだけの給料が出るのなら
それだけで結構です。今直ぐに仕事がしたいの
です!」ショージの言葉にすかさず秘書が、
反論しようとするのをディレクターが手で
押さえ、「それは私にとっても願ってもない
事だ!よし、善は急げだ!事務局に行こう!」
 
秘書は目をパチクリさせながら、3人で劇場を
出た。劇場から歩いて5分ほどの街の中心地に
事務局はあった。その厳重な門を潜ると更に
奥に進んで行き、一面ガラス張りのひときわ
美しい部屋でタキシード姿の老人が他の人たちと
話し込んでいる。


ディレクターと秘書、そしてショージは待つ事
10分。ディレクターはその老人の前では、
非常に丁寧な挨拶をした。そしてショージに
英語で「この方が我々の劇場の支配人だよ」
と紹介した。タキシード姿の老人…いや、
支配人は優しい眼をしているが、ちょっと
珍しそうにショージを見た。


支配人はパーフェクトな発音の英語でショージに
「よくいらしてくれました…」そう丁寧に言うと、
今度はディレクターとスウェーデン語で話し出した。


1986年11月中旬 契約書にサイン!


早速、支配人とディレクターのウルフ・ガッド氏
の立会いの下で、契約書にサインをした。契約も
無事に済んだ。危機一髪のところであった。
これほどの危機感は今までで1番だった。
しかしこれからイタリアに、再度戻らなければ
ならない。労働許可証の申請のためだ。


普通ならば日本に帰って申請しなければならない
ところをイタリアで済ませられるのはとても
有り難いのだが、それでも労働ビザを取得する
までに数週間は掛かり、もう財布の中を覗いたら
そんな長い日数を暮らせるだけの金の持ち合わせ
が無い。 ガラス張りの部屋から丁寧にお辞儀
して出ると、支配人は優しく笑顔でショージたちを
見送った。


ショージはこの時点からショージのボスになった
ディレクターに聞いてみる事にした。 「あの、
お願いがあるのですが…、」前を歩くウルフ氏と
金髪の秘書が足を停めて振り返った。「何だい?」
ショージは躊躇いながら、「給料の半分を前借
させて頂けませんでしょうか…?」これには
秘書がびっくり仰天して金髪の髪をゆさぶり、
ブルーの巨大な眼をおよそ顔半分位までに見開き
ながら、「な、なんですって!?」
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第74話

2024-08-28 08:06:16 | webブログ


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水曜日と金曜日の5時20分からは、小学生を対象とした
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夜は火曜日から金曜日まで7時からです。土曜日は夕方の6時からです。
祭日は月曜日も他の曜日でも朝11時からです。


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どこかでプロフェッショナルとして、踊りたい…と、夢をお持ちの方も私は、
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また、大人の初心者の方も、まだした事がないんだけれども…と言う方も、大歓迎して
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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
第74話
一般的なオーディションの場合、その結果は数カ月
経ってから連絡して来る事が多い事からショージは
オーディションの前に秘書に予め願い出た。
「すみませんが、即この場で、オーディションの
結果の答えが欲しいのです。もし、ディレクターが
私を気に入ってくれなくてもショックは受けません、
お願いです、結果だけはこの場で教えて欲しいのです。
私は今とても厳しい条件の下に立たされておりますので、
勝手を言っているのは重々分っております。すみま
せんが、なんとかお願い出来ませんでしょうか?」
 
秘書は困惑していたが「一応、ディレクターのウルフ
ガッドには伝えてみますが、ディレクター次第なので…」
金髪をクリクリにカールした女性秘書はディレクターの
方に向かって歩いて行った。秘書の話では「オーディ
ションはスタジオではなく、劇場の舞台の上で行われ
ます。普通、オーディションが舞台上で行われる
ケースは珍しいのですが、この日はたまたまバレエ団の
舞台リハーサルと稽古が舞台上で行われるため、
オーディションも舞台の上になるのです…」


バレエ団のダンサーのための稽古が即ちショージの
試験だ。稽古も中盤に入り、ここからが勝負だった。
火蓋は切って落とされた。ここで失敗すればショージの
将来は終わってしまう。もう生活する金が財布の中に
半分しか残っていない。日本に帰る切符を買う金など
到底持ち合わせていなかった。


背水の陣!


早速、3人ずつグループになって一緒にジャンプする
のだが、ショージの順番が来ると、4人になった。
それでも音を外さない様にテンポを守りながら回って
いくと、劇場の巨大スピーカーから男性がスウェーデン語
でペラペラと言った。


稽古担当のバレエ教師、ユッスィがジャンプを制止した。
そしてショージの傍までツカツカと寄って来て、「今、
ディレクターが君一人でマネージ(舞台を大きく旋回する
技術)をしなさいって言ってるんだよ…」「えっ、私一人
だけでですか?」ユッスィは、皆を少し下がらせて
ピアニストのブルガリア人の男性に、「じゃあ、スタート!」


ゴーサインを出した。このディミトリというピアニストが
ショージに目で合図を出した。「君のやり易いテンポで
弾こうじゃないか…!」ディミトリの熱の籠った指先!
グランドピアノの内部のハンマーが弦を強く叩き
グランワルツの調べに乗ってショージもありったけの
力でステップを踏み出し、ジュッテ・アントゥール
ラッセに入って行く。


周りのダンサーたちもじっと見入った。ショージは
空中にいる時間がとても好きだ。「ああ、跳んでいる、
空間に浮かんでいる!」と実感し体中が喜びで満た
される。最後にパラプリ(フランス語の傘という
意味のジャンプの一種)で仕上げに入れた。


暫くしたら、全員のダンサーたちが拍手をした。すると、
つかつかとディレクターが客席から舞台上まで上がって
来て、ショージに向かって英語で言った。「君が私の
秘書にショックを受けても良いから直ぐに合格か不合格
かの返事が欲しいと言ったんだね?じゃあ、言おう…」
ディレクターのウルフ・ガッド氏は、金髪の髪に
真っ青な瞳でショージを睨む(にらむ)ようにして見た。
(つづく)


ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!) 第73話

2024-08-27 08:08:11 | webブログ


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ブルーカーテンの向こう側…(男バレエダンサーの珍道中!)
スウェーデンの第2首都、ゴッセンブルグ
第73話
スウェーデンには、2つのバレエ団があることを
知った。1つはロイヤルスウェディッシュ・
バレエ団で首都ストックホルムに所在するが、
もう一つはゴッセンブルグバレエ団(日本
読みはギョテボルグ、または、ヨーテボリバレエ
団)だ。スウェーデンの第2首都的存在である。
日本で言えば大阪に当たる。


地図を見ながら、そのすぐ左横にはノルウェー
という国があり、その国の首都のオスロは
ゴッセンブルグからは非常に近い。まずは
ゴッセンブルグバレエ団に電話を掛けてみた。
ショージ「あの、すみませんが…ダンサーの
空きは有りますか?」相手「ああ、1つだけ
なら有ります。」ショージ「ほ、本当ですか!?
男性ですか?女性ですか?」相手「出来れば
男性を探していますが…」ショージは念を
押して聞いてみた。「身長は175センチで
日本人です。問題は無いでしょうか?」
当地に着いてから問題が出ないように絶対に
聞いておく必要があるからであった。


実際にそこまで行ったは良いが、白人でなければ
とか背が低いとかいう理由で断られないかを
前もって聞いておく必要があるからだ。
ショージの財布の中は旅費と食費の分を考慮
すると限界があった。もし、このひと月以内で
仕事がなければ、乞食になるか、飢え死にする
しかない。まさに「背水の陣!」必死に聞き出した。


相手「何か訳有りなのですか?凄く切羽詰った
感じに聞こえますが…?」ショージ「切羽
詰まっている?その通りなんです!私、直ぐに
でも行きます!オーディションはいつが可能
でしょうか?明日は、船の関係で無理ですが
明後日なら行けます!お願いします!」
相手「ここに芸術監督がいますので、ちょっと
聞いてみますね…。」


しばらく沈黙があり、相手「では、明後日に
お待ちしています。あなたの名前は?」
ショージ「ショージ!マイネーム、イズ、
ショージ!」よっしゃ~っ!


ゴッセンブルグ・バレエ団のスタジオ


劇場から歩いて10分ほどの距離の場所にその
スタジオは所在した。ショージは意を決して
スタジオ内に入ると近くにいた女性がショージに
近づいて来て、「あなた、誰?」と聞いて来た。
「私は先日、オーディションしてもらえると
約束して頂いた日本人です…」と応えると、
「ああ、あなたなの…。明日が約束の日だった
はずですが…朝、劇場で…と」ショージは約束を
守らなかった事がいけなかったんだなと躊躇
しながら「そうなんですが、早く着いてしまった
から見学に来たのですが、邪魔だったでしょうか?」
すると、「別に邪魔ではないけれど、ちょっと
待っていてください。ディレクターはあの椅子に
座っている方だから、挨拶したら
いいわ…」


秘書の女性は、ディレクターに突然の来訪者が
来た事をその場で伝えた。しかしディレクターは
椅子からは立とうとせずに、そのまま座った状態で
ショージに手を上げて挨拶を返しながら、振り付け
を続行した。
(つづく)