煩悩であり、三毒である「怒り」を滅するということは、つまり「慈悲の心」を完成させることです。
怒りを滅するということは、苦に満ちた人間界からの卒業、さらに天界や餓鬼界などを輪廻することから卒業するということにつながります。お釈迦様のお弟子さんである比丘や比丘尼は、自らの意志で出家し、修行し、究極に人格を高め、輪廻からの解脱をめざしています。
私は出家してない凡夫ですが、出家した比丘や比丘尼のお弟子さんたちに指導されたお釈迦様の話(お経)はものすごい学びとなります。実践はなかなか難しいけど、読んで理解するだけでも生きる指針になり、びっくりするくらい元気や勇気が出るのです。
この本は、お釈迦様が出家者に対して行った指導(”心理カウンセリング”とあります)。
中部経典『ノコギリのたとえ』(和訳は『鋸喩経』)の現代語訳とその解説です。
『怒りの無条件降伏』とすごい題がついてますが、内容は”慈悲の瞑想を完成させましょう、そのように心がけ励みましょう”ということです。
お釈迦様の言葉は本当に心に響きます。残ります。それは、お釈迦様の人格と、カウンセリングというか教え方と、もちろん怒りを滅することがいかに大事かという内容と、、、もう、すごい先生ですね(言葉が見つからない)。スマナサーラ長老の解説も平易で分かりやすい。むちゃくちゃ読みやすいですよ。カウンセリングの勉強にもなります。
長老のまとめの部分を少し引用させてもらって、お経の中身はまた今度。
>「怒り」は猛毒です。心に「怒り」が入ってしまうと、すべての行為が汚れて悪行為になってしまいます。怒っていることに気づいたら、すぐにその場で心から怒りを追い出さないと、大変危険なことになります。怒りは心の時限爆弾です。チクタクと音を聞いた瞬間に、解除しないと危険です。「怒り」は心にとって悪性の癌です。できるだけ早く切って捨てないといけません。
>悟りを開くまでは、我々の心には「怒り」がしょっちゅう生まれます。「怒り」といっても、誰かに殴られてしまった、というような派手なものに限りません。気がつかないほど微妙な怒りが心の中に潜んで、四六時中人格を蝕んでいくのです。(P98 下線はまる)
この世のすべての問題は、この「怒り」の心から起こっているのだと言われます。そうだと思います。「怒る」人はテロリストみたいなもの。自分の幸せも他人の幸せも破壊します。すべての生命は幸福を望んでいるはずなのに、次から次へと問題を起こしては不幸を味わいます。「怒り」の心をなくして「慈悲」の心を育てれば問題はなくなるのですが。
でも、ちょっとくらい怒った方がいいんじゃないの?ちょっとくらい怒っても仕方ないんじゃないの、と思ってる人も、このお経で、やっぱり「怒り」はなくそう、という”覚悟と勇気”が出るんじゃないかと思います。
星文句なしの5つ以上