鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

埋もれた軍歌・その32 つはもの私吟

2015-07-26 23:44:15 | 軍歌
昨日に引き続き、『精神作興 輝く軍歌集』からの、「つはもの私吟」なる歌の紹介です。
製作された時期は昭和4年5月とのことで、第一次世界大戦以後、満洲事変以前の戦間期における軍歌ということになります。


つはもの私吟
         昭和四年五月
         陸軍軍楽隊作曲
一、
オイチニオイチニで 二年(ふたとせ)暮らしゃ
色は黒くなる 骨節ゃ太る
ダガネダガネ 心優しい桜の花よ

二、
今日も朝から 原っぱで演習
一寸(ちょっと)ボンヤリして あれ又元へ
ダガネダガネ 軈(やがて)なります国家の干城(かんじょう)

三、
質実剛健 いざ事変(こと)あれば
何をクヨクヨ 彼など想ふ
ダガネダガネ 浮気で無いぞよ御国(みくに)の為に



…なんと言いますか、個人的な感想としては凄く戦間期っぽい軍歌という印象を受ける歌です。
歌詞の雰囲気としてはまだ大正時代を引きずっている雰囲気がありますし、なんとなく俗謡めいていますね。
こうした歌を陸軍軍楽隊が作曲していた辺りに当時の軍歌の迷走が感じられるような気もします。
まあ、ぶっちゃけ軍楽隊とかは満洲事変以降もわりとろくでもない感じの歌に曲をつけてたりする訳ですが。

ところで、満洲事変はこの歌が作られた2年4ヶ月後の昭和6年9月18日に勃発しています。
歌詞中の「いざ事変あれば…」で「こと」に「事変」という漢字が充てられていることに妙な符号を感じてしまうのは、私だけでしょうか。