さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

薬だけじゃない何か

2015年03月08日 19時37分38秒 | Web log
今日は、友人に子供たちをお願いして朝からお仕事。

何度か働いたことがあるので、レジデントさんの顔と名前が
なんとなく繋がるようになりました。

何人かのレジデントさんも私のことを覚えてくれていました。

それにしても今日は忙しかった。

コルチゾン注射を受けたレジデントさんが2日前から重篤な痛みを
訴えるようになり、オキシコドンも効果なし。
今日も朝から、痛みで叫び続けました。

もう一人のレジデントさんは、何故か椅子から床に落ちたらしく
ケアラーさんが床に転倒している血だらけの彼を発見しました。

骨等に異常はないようでしたが、その後の処理でほかの仕事が
遅れ気味に。

そしたら、もう一人のレジデントさんがWoundで出血

ほかのレジデントさんは薬も食事も拒否。最初は暴言を吐かれ、
次には「I do not know」と泣かれ...

最後まで色んな意味でヘビーなシフトでした。

わたしはレジデントさんにお薬をあげるときに、しゃがみ込んで
かならず目をあわせて、レジデントさんと同じ目線になって、目を
じっとみて、ちょっと声をかけてあげるようにしています。

そして腕、手、頬、肩のどこかを優しく触れて話すように
心がけます。

もちろん、反応はおひとりおひとり様々。日によっても違います。
時間によっても違います。

でも、「繋がったかも...」と感じるときは、その人は本当に認知症
なのだろうかと思わされるくらいに、意識がはっきりしていると
感じるときがあるので不思議です。

転倒したレジデントNさん(男性)の腕をさすってあげたら「君はいつも、
腕をさわるよね」と言われたので「あぁ、もしかして不快ですか?」と
聞き返したら「もっと触ってほしい」と言われました。

他の何人かのレジデントさんからも男女問わずほっぺにチューを
沢山もらいました。

薬を拒否する問題児のNさん(女性)からはバナナを頂きました。

わたしが薬をもっていくと必ず苦々しい顔で拒否するHさん。
薬が大嫌い。わたしが「Pleeeaaaasssee」と懇願しても
手で私を追い払おうとします。

10分後、戻るとまたNoと言います。

そのやり取りで私をもてあそんでいるようです。最後にはニヤリと
笑って飲んでくれます。

わたしも忙しいですから残念ながらひとりひとりに時間をかけて
あげられないのが現状です。

さて。

いつも不機嫌で苦々しい表情で愚痴を吐き続けるMさん。

「 お薬の時間なんですけど.. 」というと

「 ここに来て3ヶ月になるけど一度もお医者さんに会ったことがない。
どうしてどういう理由でお薬を飲むかわからないのに、どうして薬を
飲まなければいけないの?」

と言います。

「 Mさんのおっしゃる通りです。わたしもお医者様の処方には逆らえないし、
でも、Mさんの気持ちもわかりますから...わたしもどうしていいかわかりません」

というと

「 人生は生易しいものじゃないわ.... 」とつぶやきました。

膝の上にはお孫さんの20年前に行われた結婚式の写真がありました。

「ご家族には頻繁に会えるのですか?」と聞くと「 みんなキャンベラにいるから
会えないのよ 」とおっしゃいます。

言葉にはしませんが彼女がどんなにか家族に会いたいと思いを募らせているかが
わかります。

「 アスピリンなら、飲むわ 」と言って、最後にお薬を飲んでくれました。

「 先週、二回も粗相しちゃってね。ものすごくつらかったわ。誰かにキレイに
してもらうまで待つのは、気持ち悪いものよ。」

「 ナースコールのベルがありますよ 」というと、笑いながら

「 わたしそんなにバカじゃないわよ....ベルを押しても、30分も待たされるのよ。」

彼女に必要なのは、薬だけじゃなく....誰かに大切にしてもらっている、気にかけて
もらっていると思える何かなのかもしれません。

そしてそれは彼女だけじゃなく、ほとんどのレジデントさんが感じていること
なのかもしれません。

署名

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