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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

クロガネモチ - 樹に咲く花28

2022-05-27 06:00:03 | みんなの花図鑑
地味なモチノキ科の花、第2回は「クロガネモチ」の雌花と雄花です。


クロガネモチ(雌花1)

モチノキ科のクロガネモチは ウメモドキ同様 やはり雌雄異株です。
これは雌株の雌花です。




花もウメモドキによく似ています。
というかモチノキ科の雌花はみなこのように 子房上位です。




雌花は中心部に緑色の大きなめしべがあり、花弁側に小さなおしべがあります。




花弁の数は6枚がスタンダードのようですが、5枚のものや7枚のものもあります。




めしべは大きな子房の上にべとべとした柱頭が直接付いています。



クロガネモチ(雌花2)

クロガネモチの枝は紫がかっています。
モチノキより花柄が長いです(といってもソヨゴほどではありませんが)











果実

庭に植えられることの多いクロガネモチのほとんどは雌株です。
なぜなら 雌株だけがこのような真っ赤な実をつけるからです。
(モチノキ科は、イヌツゲを除いてほとんどがこのような真っ赤な実をつけます。)




クロガネモチ(雄花1)

前述のようにクロガネモチを庭に植える理由は主として赤い実を観賞できるからです。
ですから個人の庭では雄のクロガネモチはあまり見かけません。




でも、よく考えたら、雌株だけでは果実はできませんよね?
男と女がいないと赤ちゃんはできませんよね (^^ゞ
雄株は目立たないだけで、どこかにちゃんと植わっているのでしょうか?




この画像のクロガネモチの雄株は 2つ目のクロガネモチ雌株のすぐ近く、高校の野球練習場の垣根にあったものです。




で、2番目の雌株の雌花が果実になることは この雄株に咲いた雄花の花粉を受粉して結実したのだと考えればすんなり理解できるのですが、実際は 近くに雄株が無くても、つまり 雌株だけでも果実ができるらしい、という話があるのです!
(樹の散歩道「雌雄異株の悲劇」)




クロガネモチ(雄花2)

これは安城市の明治川神社近くに植えてあった雄株です。




雄株だけ植栽して何の観賞価値があるのか分かりませんが、この地域では比較的あちこちで 雄株に出会えます。もちろん 果実は実らないので、気が付くのは 花の咲く時だけです。



さっきの話のつづきになりますけど、雄株は花粉を提供して結実に貢献しているのだと思ってたら、クロガネモチは雄株が無くても雌株だけで 勝手に結実するという話があります。
「植えられているクロガネモチの雌の木の近くには雄の木はないのに・・・
 雌花だけで実ができていくのはじつに不思議だ」(神戸の花と木(今の花と木の様子)「クロガネモチは不思議だ」)

それゆえ、「日本で庭木として販売されているクロガネモチは雌株がほとんど」。。とまあ、まことしやかに語られています。




そんなばかな?!
受粉しなくてどうして結実するんだろう??




専門家の答えはこうです↓
「樫の木の一種では、数百メートルも離れた樹木からも花粉が運ばれることが知られています。ホウノキやフタバガキ科の樹木などでも同様に、ずっと遠くの木から花粉が運ばれていることが知られています。おそらく、他の多くの樹種でも同じように、花粉は結構遠くまで運ばれているのでしょう。モチノキ属ではこのような調査はまだされていませんが、タラヨウやクロガネモチでも、見回しても見つからないような、ずいぶんと離れている雄株から花粉が運ばれていると考えて良いと思います。」(みんなのひろば・植物Q&A「タラヨウやクロガネモチは雄株がなくても、雌株は結実できますか?」)




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