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アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

三河のトサミズキ - 安城デンパーク

2025-04-02 07:00:00 | みんなの花図鑑
トサミズキ

トサミズキの「土佐」は この植物が土佐の超塩基性岩体地域にだけ自生することから付いたのですが、それはその土地(土壌)がこの植物の生育に適していたから、ではないそうです。





超塩基性岩地帯では一般に植物に必要な無機成分(カリウム、カルシ ウムなど)が少ないうえ、逆に有害とされるニッケル、マグネシウム、クロム成分を多く含むため、どの植物の生育にとっても不適な環境条件になっているというのです。





超塩基性岩地帯ではニッケルや銅などの重金属過剰なため生育に必要な鉄分の欠乏を引き起こしやすいのですが、トサミズキをはじめとする蛇紋岩植物では体中のニッケル含有量に対応した鉄を積極的に吸収し体内の比率を下がらないように調整し、ニッケル障害を回避しているらしいことも判ってきました。(地質学雑誌 第112巻 補遺「高知県の蛇紋岩地の植物と高知県立牧野植物園 」161~168ページ,2006年9月、PDF)



こうして植物の生育に不適当な超塩基性岩地帯で、環境に適合して生きる方法を身に着けた特定の植物だけが生育するようになったのです。



というわけで、表題の「三河のトサミズキ」は、三河地方という超塩基性岩地帯とは真反対の酸性の花崗岩地帯でもトサミズキは育つという意味ではなく、超塩基性岩地帯のように過酷な環境ではなく植物にやさしい花崗岩地帯だからトサミズキもおそらく(ですが)ぬくぬくと育つ、という意味でした(´∀`)






ところで、トサミズキやヒュウガミズキは「ミズキ」の名が付きますが、ミズキ科の植物ではありません。
トサミズキやヒュウガミズキは マンサク科トサミズキ属の落葉低木です。
それが証拠に、マンサクと同じように去年の果実をいつまでも枝につけています(笑)





花後の若い葉を見ても、マンサクの葉に似ていると思いませんか (´∀`)





ヒュウガミズキ

トサミズキが「土佐」出身だからといって、ヒュウガミズキも「日向」地方の出身ということはありません。





宮崎県日向地方にはあまりなく、明智光秀の領地があった丹波・丹後地方に多く自生していて、光秀が日向守であったことからこのように名付けられたのではないかという説もあります。





ヒュウガミズキは トサミズキより枝ぶりも華奢で、花も小ぶりです。そのため「ヒメミズキ」と名付けられ、それが訛ってヒュウガミズキと呼ばれるようなったという説を牧野富太郎博士は唱えています。