アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

秋ソバの根寄せをしました

2024-09-29 07:00:00 | みんなの花図鑑
私たちは地元の休耕畑を借りてソバを育てています。
農業に疎いサラリーマンを定年退職した者ばかりが集まって、図書館やネットで資料を漁り
はじめてもう10年以上になります。
収穫量は一年目がいちばん沢山採れました (´・ω・)

今年も8月22日に秋ソバの種まきをしました。

種まきして次の日からしばらく雨の日がつづき、大変心配しました。
ソバは雨に弱いのです。
でも9月16日にはご覧のとおり、花が咲きだしました。



ソバの根は浅いので、根寄せと言って(花が咲く前に)ソバの畝に土を寄せて茎が倒れないようにしてやります。





みなさんはソバの花をまじまじと近くでご覧になったこと ありますか !(^^)!
ここからはソバの花についてのお話です。





ソバの花には2種類あります。
上のマクロ画像をご覧いただくと分かるように、花弁の中から雌しべの花柱が3本伸びているのが分かります。



その下に ほんのりと赤い頬をした雄しべの葯(花粉の入った袋)が多数本伸びています。

でも、すべてのソバの花が こうじゃないんです。



実は、もう一つのタイプがあって、それが上のように、今度は雄しべのほうがめしべより長いタイプなのです。



最初に出てきた雌しべの花柱が長いタイプを<長花柱花>と呼んでいます。
対して 上のような 雄しべのほうが背の高いタイプを<短花柱花>と呼んでいます。




長花柱花

雄しべの根元にある黄色いグリス状のものが ソバの蜜です。






この2つのタイプは 株単位でちがっていて、 ひとつの株で両方のタイプが混在することはありません。
そして、同じタイプの花同士は受粉しにくいというか、結実しにくいのです。
なぜかというと、今見てきたように、ソバの花は 媒介昆虫の体の大きさに合わせて高さの異なる2種類のタイプを作ったからです。
どの花も必ず 雄しべと雌しべの高さが異なるので、自家受粉することはありません。



短花柱花





まず 第1の媒介昆虫 ハチのばあい
 上の雄しべのほうが背の高い花(短花柱花)に止まり花粉を体につけます。
 そして他の雌しべの背の高い長花柱花のほうに飛んで行って花粉をめしべに擦りつけます。

つぎに第2の媒介昆虫 アリのばあい
 めしべのほうが背の高い花(長花柱花)のほうで花粉を体につけます。
 そしてその株を降りて他の雌しべの背の低い短花柱花に登って行って花粉をめしべに擦りつけます。

ハチとアリとで媒介ルートが逆方向であることが分かります。
そして、ハチは飛べるから短時間で別の株に移動できますが、
アリのほうは葉っぱが重なっていない限り他の株に行くにはいったん地面に降りなければならず、媒介効率が相対的に悪いことが分かります。

ネットの記事には ソバの人工授粉の記事がいくつかありますが、たいへん難しく効率の悪いものだと感じます。
ハチやアリ頼みの世界です (^_-)-☆




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