アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

アメリカフヨウ ‐ アオイ科のシベ

2024-08-05 15:00:00 | みんなの花図鑑

多年草でフヨウによく似ていますが、フヨウは落葉低木であるのに対して、アメリカフヨウは宿根草です。




花は大きく、シベも大きいです。
アオイ科のシベは、雄しべが合着して出来た筒(雄しべ筒)のなかをめしべが貫通して 筒の外で柱頭を展開するという体制をとります。






アメリカフヨウの雌しべ(の柱頭)は雄しべ筒からでて上を向きます。




このアメリカフヨウは 雄しべ筒から一斉に花糸を上に向けて出しています。



アズキ色をした葯が割れて花粉が飛び出しています。







雄しべ筒の真下から出た花糸も底を這ったのち上に向けて葯を付けています。




雌しべの柱頭は5つに分かれています。




柱頭には細かい繊毛が付いています。




最後に、いつもの通り、雄しべ筒と雌しべの境目を観察します。












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日曜特集・本證寺のハス

2024-08-04 15:00:00 | みんなの花図鑑
ハリス副大統領の名前「カマラ(Kamala)」は「桃色のハス」という意味だそうです。(wiki「アマラとカマラ」)

初出 2021-8-1

本證寺は西尾市に近い安城市野寺にある、三河一向一揆で家康に対峙した三河三ヶ寺(他は岡崎市の上宮寺、勝鬘寺)のひとつ。




鼓楼や土塁を備えた城郭寺院で、ハスの花はその土塁前の内堀に咲いています。







このハスは2009年、本證寺ハスの会という自主グループの方たちが再生されたものです。























ピンクの蓮は南側の堀にあります。




































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グロリオサ - 炎のような

2024-08-03 15:00:00 | みんなの花図鑑
初出 2021-08-03

知人宅のグロリオサが真っ赤に燃えてます。




グロリオサ(Gloriosa)は熱帯アジア及びアフリカ原産のイヌサフラン科(APG植物分類体系。 旧分類ではユリ科)の植物(wiki 「グロリオサ」)




「グロリオサの一種、Gloriosa rothschildiana はジンバブエの国花であり、かつてローデシアの国花でもあった。」(同上)
種小名のrothschildiana は、イギリスのラン育成家 Jacocb Rothschildの名に因んだものだそうです。




グロリオサ(Gloriosa )の名は 「光栄、見事、立派」などの意味を持つラテン語「gloriosus」から。(てゆうか、gloriosusの複数形が Gloriosa ?)





この炎のような花びら、反り返って、おしべや雌しべと遠く離れています。
虫は当然、炎のほうに飛んでいくと思います。




でも、それでいいんですって?
「花が咲き終わると、花びらが閉じて、雌しべと雄しべをくっつけ合うんですよ。そうやって自家受粉するので、虫たちに頼る必要がないんです」って。




とすると、炎のような花弁は何のため?






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ナギ - ある神社にて

2024-08-02 15:00:00 | みんなの花図鑑

自転車で安城市の宇頭茶屋町の神社を通り抜けようとしたら、懐かしい樹が目に留まりました。
ナギ(梛)の木です。






ナギは神社でよく見る木のひとつです。
「熊野神社及び熊野三山系の神社では神木とされ、一般的には雄雌一対が参道に植えられている。また、その名が凪に通じるとして特に船乗りに信仰されて葉を災難よけにお守り袋や鏡の裏などに入れる俗習がある」(wiki 「ナギ」)





ナギNageia nagi(ナゲイア ナギ)
種形容語のnagiは、植物学者のカール・ツンベルクが日本の名を学名にしたものです。
(サカタのタネ園芸通信・東アジア植物記「梛の木(なぎのき)」 小杉波留夫)





樹皮は暗い緑色で地肌が褐色をしています。表面の皮がパズルのピースのように剥がれ褐色の地肌が現れます。(同上)






海南島や台湾、日本の本州南岸、四国九州、南西諸島などの温暖地方に分布する。しかし、紀伊半島や伊豆半島に生育する個体は古い時代に持ち込まれたものが逸出したものが起源と考えられる(史前帰化植物)。少なくとも春日大社のものは1,000年以上前に植栽されたとされている。(wiki)





アーカイブ
ナギ (和志取神社・安城市)

高さは20mくらい。



「葉の形は楕円状披針形で、針葉樹であるが広葉樹のような葉型である。」(wiki)








ナギ(京都の石清水八幡宮)

2018-03撮影
ナギ(梛)は マキ科ナギ属の(← wikiによる。他の記事では イチヰ科の)常緑高木で、
熊野神社及び熊野三山系の神社では神木とされるなど
神社とは 切っても切れない木です。



針葉樹ですが 広葉樹のような葉形をしています。
平行脈が走っていて 横に裂くことはできても
縦には切れないそうです。



独特の樹皮をしています。







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クサギ - 二段ばね

2024-08-01 15:00:00 | みんなの花図鑑

風が強かったので、

ごちゃごちゃしてますが、、

クサギの花はまず萼のつぼみが開いて、中から花冠のつぼみが突き出して、最後に おしべとめしべが伸び・・・というように、2段階で開花します。








シベの乱舞。
先が黒いのがおしべ。
先になにも付いていないのがめしべ。







雄しべが先に活動し、そのあとめしべが成熟します。
めしべの先が2つに割れているのが成熟したしるし。







蜜は花冠の奥にあるので、ふつうの昆虫は蜜腺まで届きません。クサギの「有力な虫媒花昆虫は、大型のチョウ類であるアゲハチョウの仲間で、カラスアゲハ、クロアゲハ、オナガアゲハ、モンキアゲハなど黒系のアゲハ」となります。(森と水の郷あきた「樹木シリーズ71 クサギ」)







巻き取られたようなシベがありますが、これは活動が終わったおしべ。おしべの活動期は開花してから約1日間。
そのあと雌しべが約2日間活動します。






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ポーチュラカ - スベリヒユ属

2024-07-31 15:00:00 | みんなの花図鑑



スベリヒユ科スベリヒユ属の植物で、畑の野草スベリヒユの仲間です。というかスベリヒユ属=Portulaca なのです。花は全然違いますが、葉や茎の姿はとてもよく似ています。「ハナスベリヒユ」とも呼ばれる所以です。






ポーチュラカの雌雄シベの配置は独特です。






ふつうは中央に雌しべがあってそれを囲むように雄しべが伸びているのが一般的ですが、
ポーチュラカでは中央を雄しべの群れが陣取り、仲間外れにされたように雌しべが一番外にあります。










めしべのほうが雄しべの群れよりも背が高く、自家受粉しにくい配置になっています。




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キカラスウリ - ノアサガオの前に

2024-07-30 15:00:00 | みんなの花図鑑
ノアサガオを撮影しに行ったら、まだ午前中なのに、余りに暑くてぐったりしていていい写真が撮れませんでした。


(奥がノアサガオです)
そのかわり、ツルにこんな花が咲いていました。
下のいくつかの画像をGoogle Lens で検索すると、「カラスウリ」と「キカラスウリ」を候補に挙げてきますが、
上の画像の葉の形から「キカラスウリ」のほうだろうと思います。




それにこの写真を撮ったのは午前10:30ごろです。カラスウリはこんな明るくなっても咲いていませんよね。

キカラスウリは「北海道奥尻島、各地の山麓、荒れ地に自生する雌雄異株の蔓性多年草ですが、よく見かけるカラスウリより分布密度は少ないようです。」(東邦大学薬学部付属薬用植物園)




「カラスウリとキカラスウリは大変よく似ていますが、キカラスウリの果実はほぼ卵円形で黄色く熟すこと、まだ明るさが残るうちから開花することや葉にはカラスウリのように毛はなく、根は円柱形で長いことなどが違います。」(同上)




「花期は8月~9月、葉腋に3cmほどの萼筒のある白に近い薄黄色の花を開きますが、花冠の縁は糸状に細裂しレースのようです。」(同上)




「昔からあせもの散布薬として用いられてきた天花粉はキカラスウリの根のでん粉を精製したものです。薬公害が問われる現在、このような天然のパウダーが見直されても良いのではないでしょうか。」(同上)







というわけで、
以下は去年撮った ノアサガオ

あちこちの垣根に咲き誇っています。



ノアサガオで一番ポピュラーな色がこの'オーシャンブルー'ですが、他にも、ピンクや白花もあるそうです。



ノアサガオは熱帯から亜熱帯地域に自生するつる性の多年草で、沖縄では海岸付近に旺盛に繁茂しています。








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ムクゲ - アオイ科のシベ

2024-07-29 15:00:00 | みんなの花図鑑

アオイ科の植物は原産地が世界中に渡っています。最初に紹介したオクラの原産地はエジプトやエチオピアでした。タイタンビカスの親モミジアオイやアメリカフヨウは北米でした。
このムクゲは中国が原産地といわれていますが、もっと広く中国、インドあたりから小アジア地方とする説もあるようです。




韓国の国花で、漢字で「無窮花」または「木槿」と書かれ、「무궁화 (ムグンファ)」と呼んでいるようです。この「ムグンファ」が日本語の「ムクゲ」の基とする説もあります。
ムクゲの花は中心部分が紅くなっているものが多いですが、このムクゲは白一色です。




さて、ムクゲのシベですが、雄しべが合着して筒を作りその中をめしべの花柱が貫通して筒の先で柱頭を展開する構成は他のアオイ科と共通ですが、タイタンビカスやモミジアオイに較べると、つつましやかです。




雌しべの花柱は丸棒ではなく複数の花柱が分離せずに伸びて、やはり分離せずに柱頭を展開するようです。




雄しべ筒と雌しべの花柱の境界付近を接写してみましたが、花粉がいっぱいでよく分かりません。





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モミジアオイ - アオイ科のシベ

2024-07-28 15:00:00 | みんなの花図鑑

花弁から飛び出しているシベを見るとハイビスカスのそれに似ていますが、葉が深く切れ込んでいるのでモミジアオイと分かります。




雄しべ筒の中から出てきた雌しべは、きのうのタイタンビカスのようには突き出していません。




かといって一昨日のオクラのように5つの柱頭を雄しべ筒の上に並べるだけでもありません。






雄しべ筒の外壁から垂直に伸びた花糸の先に葯があり、そこから房状になって花粉が出ています。
花弁の赤に合わせて、花粉はチョコレート色?をしています。






きのうのタイタンビカスのように、雄しべ筒と雌しべの境目がはっきりしないのですが、雄しべ筒とめしべの花柱は途中まで合着してひとつの棒になっているようです。





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タイタンビカス - アオイ科のシベ

2024-07-27 15:10:13 | みんなの花図鑑

タイタンビカスは 津市の赤塚植物園が アメリカフヨウとモミジアオイの交配、選抜により開発したアオイ科フヨウ属の品種です。花が大きく、強健な品種です。
どちらかというと花はアメリカフヨウのそれに似ていて、葉のほうはもみじ葉のモミジアオイに似ています。
由緒についてはそれだけ言っておいて、あとはすぐシベの観察に入ります (^^♪






シベはアオイ科特有の「雄しべの筒の中を貫通した雌しべが筒の先で顔をだす」方式です。
昨日の オクラと比べると、雄しべ筒の中から出てきためしべが勢いよく柱頭を5つに分けて展開しているのが目立ちます。







雄しべ筒の外壁からは小さなキノコのように 花糸が葯をもちあげています。葯からは房状に花粉が出ています。










筒の中から出てきためしべは大きく放射状に柱頭(受粉器官)を展開しています。
タイタンビカスの柱頭は 雄しべ筒の中から出て上を向くようです(片親のアメリカフヨウはまっすぐ前を向いたままです)。







さっきから、「雄しべ筒」とか「筒を貫通して出てきた雌しべ」とかという表現を使っていますが、ほんとうに雄しべと雌しべは分かれているのでしょうか?
その証拠写真が上の画像です。
ツクシの袴状の部分が雄しべ筒の上部終端です。


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