日本のバブル崩壊を予測したゴールドマン・サックスの元共同経営者、ロイ・スミス氏は中国経済の現状は1980年代の日本と似ている点が多いとして、日本と同様にバブル崩壊に見舞われるだろうと予測した。 スミス氏は、1980年代の日本では不良債権の多さ、資本コストの過剰な上昇、不動産市場のバブル化などが発生したと指摘。各方面の問題が金融分野に波及して、爆発した。このため、好調で“とどまるところがない”ように見えた日本経済が一気に崩壊。日本はさらに、長期にわたる不景気と高齢化で、医療費負担にも苦しむことになったと説明した。 中国政府が日本の経験を教訓として適切な対応をすれば、日本ほど長期間にわたり経済が落ち込むことはないが、「短期的な痛みを回避するのは難しい」という。 さらに問題は、インフラ建設を過度に推進したために地方政府の負債や返済の滞納が激増したことで、中国における世帯、金融機関、各級政府、企業の負債総額は2000年にはGDP比121%だったが、2014年には282%に達したという。
中国のポータルサイト「古漢台」
「むしろ韓国と比較すべき」と主張。 韓国経済が崩壊した原因は、一族経営を行う大企業が、深刻な債務超過に陥ったからとした。韓国政府は税制などを通じて、企業の債務を消費者に転嫁する方法を採用。愛国心に訴える巧みな宣伝で、負担を国民に押し付けた。 韓国の家庭の債務が累計で国内総生産(GDP)の81%と米国やドイツ、中国と比べても極めて高い水準になったことが、世界経済の低迷の影響を極めて受けやすいことにつながったと主張した。 中国で株価が高騰したことに着目し、最大の受益者は金融機関を含めた企業で、株式発行など手段も含めて、バランスシートを改善させた。 中国政府は「株価が下落しても(個人)投資家は株価下落の負担に耐えられるだろう」という“賭け”に出ているとの見方を示した。 中国当局が国民に負担を過度に押し付けた場合、政権を揺るがす事態にもなりかねないと危惧している。記事は、企業を救済するために負担を家計に押し付けることは、中国政府にとって極めて楽な方法と指摘し、韓国の1997年の経済危機に際して、対応を見習うべきと結論付けた。 韓国は財務状況の改善が見込めない企業を倒産させ、同時に企業の透明度を向上させ、経済の自由化も進めた。
中国国営通信社・新華社は7日に発表した論説「隠された日本の実力」で、戦後の日本が「確固たる国力」を得るに至った原動力のひとつとして、「民を富ませる政策」を重視した。 記事は、戦後日本の発展の原動力として、平和主義や法治主義の定着などを挙げ、その上で、戦前の「富国強兵」とは逆に、戦後は「最初に民を富ませた。『富民』を土台として『富国』を実現した」ことが最も重要と主張した。 代表的な例としては、1960年代からの「国民所得倍増計画」を挙げた。日本では1980年代には国民1人当たりの年収が1万ドルを超え、耐久消費財も基本的に普及。さらに、他の西側諸国と比べ、社会の格差は小さくなったことにも注目した。 記事はさらに、物質的に豊かになった人々は「精神的な豊かさ」を求めるようになったと指摘。中国では日本人の「民度の高さ」が注目を集めることが多いが、「民を富ませる政策」の成功が背景にあるとの見方を示した。 さらに、日本に特異な現象として、国民の間に「中流意識」が定着したと指摘。その結果、「富だけを命がけで追い求める」こととは距離を置くのが普通であり、「一か八かの投機」ではなく「実直な投資」を重視するようになったと論じた。 記事は、日本における中流意識の定着が「物欲の無限な拡大」の歯止めになり、社会資源の節約にも結び付いたと指摘。結果として日本における内需拡大政策の効果は「限定的」なものになったが、「停滞」ではなく「量から質への転換」であり、人類社会に普遍的にみられる現象と指摘した。
中国が日本に対してこんな見方をしているのに、少々驚くと同時に、確かに今の日本に比べれば、当時の日本人の民度は高かったし、日本の企業文化も注目に値したと思う。
また中国が経済破たんのツケを意識的に個人に押し付けているという指摘にも合点がいった。中国で株式投資のための融資が解禁されたのは4年前のことだが、借入残高は100年以上の融資の歴史を持つ米国をすでに上回っている。クレディ・スイス・グループで中国調査部門を率いるビンセント・チャン氏によると、中国の投資家は株式を購入するために5兆元以上を借り入れており、これは中国株式市場の時価総額の6〜9%に相当する。借金のうちの約3割は証券会社、残りは信託会社や銀行からのものだ。昨年は証券会社からの借入額が1兆元に迫り、信用取引の爆発的増加がニュースとなった。証券会社からの借入残高は現在1兆9000億元と、1年前の5倍に膨らんでいる。オーストラリアの投資銀行、マッコーリー・グループによると、中国の信用取引の買い残高はすでにバブル期の日本を上回り、1990年代の韓国でのピーク水準と同じ程度になっている。
中国では政府や企業が負債を削減する一方で、成長を後押しするために個人に借入を黙認しているという認識は先進国の金融機関で共通だ。
希望的観測として、バブル期の日本との違いを指摘する声もある。
日本では、銀行の住専などへの融資が焦げ付いた場合、銀行自らの不良債権となったのに対して、現在の中国では、シャドーバンキング商品の大半は、銀行から分離されており、仮に債務不履行が起こっても、銀行は顧客に対して損失を補填する義務を負っていない。さらに日本では大半の銀行が民営であるのに対して、中国ではほとんどが国有である。政府はなりふり構わない支援をするだろう。人民元は固定相場だから当局によって管理され、資本移動も制限されている。その結果、人民元は投機の対象になりにくい上、資本の激しい移動による金融市場の不安定化が避けられる。現在の中国は、まだ新興工業国の段階にあるので、6~7%という程度の成長が当面維持される。世界への波及効果は限定的ということだ。
教訓としては日本でこれから再度起こるかもしれないバブルに巻き込まれないことだ。ギリシャ危機でも明らかなように今現在ギリシャの国債を所有しているのはトロイカと呼ばれる公的機関である。金利の高い国債を購入した民間の投資会社は売り抜けて利益を手にし、紙くず同然の国債を引き受けたのはEU、欧州中央銀行、IMFである。巨額の利益を手にしてとんずらする投資会社が肥え太る舞台を提供するのはバブルとバブル崩壊である。少なくても個人の浄財を守るなどという文言で金融機関を助けることはやめるべきだ。投資に回す金のない国民はバブルが破裂してもちっとも困らない。困窮者に自己責任、自助努力を要求するなら、逃げ遅れた金融機関こそ野放図な投資の責任を取って、破たんするべきだろう。中国の個人投資家に同情する向きはいない。懲りない面々であろうが、何か学ぶこともあるかもしれない。
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