パートナーは鹿を髣髴とさせる草食系容貌で、話し方も穏やかだから人をリラックスさせ、おしゃべりにさせる。PCにも詳しいので出張サービスでトラブルを直しに行くことが時々ある。トラブルの話を聞いてみると、どうも話し相手が欲しいのが主目的と言うことも多いようだ。確かに電話で1時間以上も母や娘と話しているのだから、癒しロボットとして適任かもしれない。そこで冗談に「貴方、癒しロボットになって出張サービスすれば受けるわよ。」というと・・・・
「そうなんだよ。この前ふれあいの会で新サービスとしてお話し相手を派遣すると言うのはどうかという話が出たんだ。僕なんか指名がかかって忙殺されそうだから、とても引き受けられないけどね・・・・」えーー私の知らないところでそんな話が進んでいるんだ。確かに震災時助けが必要な老人世帯を把握しようとお茶飲み会を催しているが、必要な人ほど出てこない。自治会では防災の立場から、老人家庭を把握しておこうと言うことなのだが、事態はもっと深刻だ。老人の自殺・孤独死・孤立死が現実のものになっている昨今、何時起こるかわからない震災ではなく、明日起こるかもしれない家庭内の事故死・病死への対策が急務だ。もともと、引きこもりがちな家庭に起こることなのだから、お茶飲み会ではまったく効果は期待できない。外交的でお友達がすぐできるタイプの人ばかりが集まって楽しそうで、それはそれでよいが、目的からすれば、まるでずれている。お話し相手派遣サービスでも事情は同じだ。
セコムが老人世帯に特別なサービスを提供している。
居場所を確認する「ココセコム」
生活動線(トイレやお風呂や台所など、生活をしていれば必ず通る場所)に設置したセンサーが人の動きを感知し、一定時間以上、動きを感知できない場合に異常と判断して、セコムに異常信号を自動的に送信する「ライフ監視機能」
ガスの使用状況を遠隔の家族にメールで毎日伝える東京ガスの「みまもーる」
何でも企業が参入してきて商売になる悲しい時代だが、生きているものとしては今の世の中に対応していくしかない。
セコムが提供しているサービスを町内会レベルでできないものだろうか?
PCや携帯を持っている人に一言メールサービス。
電話を持っている人にモーニングコールまたはお休みコールのような電話サービス。
もっと踏み込んで地域見回り隊を結成し、近所のお年寄りを毎月数度訪問する。
高齢社会部・見回り隊を結成した町内会では反対の声も強く、強引に施策を実行したと言う。
何度も訪問するうちに心が通うようになり、1時間も話し込むこともあるそうだ。無情にも風呂で死後発見、骨折して動けなくなった人や栄養失調の人の命を救う事もあったと言う。
孤立死や孤独死が起こるのは圧倒的に都会だ。大世帯だから自治会加入も強制されないし、地域と絶縁して暮らすこともできる。しかし、人口の少ない田舎ではそうは行かない。まず、消防団に引っ張り込まれる。その他、祭りだ、運動会だといって、手伝わないと村八分になってしまう。しかし、この煩わしさが結果的に村人の孤立を防いでいる。
これからの都会は町内会レベルでこのうるさい田舎社会を造っていく必要があるのかもしれない。それ以外にこの無縁社会の解決策はないような気がする。