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オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

選択的夫婦別姓は当然の権利

2015-12-17 | 社会
民法には、明治時代から、夫婦は同じ名字にするという別姓を認めない規定があり、東京などの男女5人は「婚姻の自由などを保障した憲法に違反する」として、国に賠償を求める裁判を起こした。明治時代から続く夫婦別姓を認めない民法の規定について、最高裁判所大法廷は「旧姓の通称使用も行われており憲法に違反しない」という初めての判断を示した。判断の理由として裁判長は「名字が改められることで、アイデンティティが失われるという見方もあるが、旧姓の通称使用で緩和されており、憲法に違反しない」とした。
 
夫婦が同じ苗字にするか別々の苗字にするかを選べる「選択的夫婦別姓」は、女性の社会進出や離婚再婚の増加などに伴って、煩雑さを避けるためにも当たり前のことである。いまだ、同姓にこだわる頭の固い連中が政界を牛耳っている日本の時代遅れは恥ずかしい。同姓にしたい人たちはすればいい。どんな権利があって、名前を変えるのを嫌がる人々に同姓を強要するのか?
日本では一般に苗字の使用が許された明治初めは、夫婦で別々の苗字だった。明治31年に制定された民法では、「家制度」に基づいて夫婦が同じ「家」の苗字にするという制度に改められた。
 
夫婦別姓を認めると、家族や夫婦の絆が失われるのかね?親子で苗字が異なると子どもに好ましくない影響があるのかね?親子で同姓だから、婚外子の差別がやまないのじゃないの?
旧姓を使える職場が増えてきたこと自体、名前をコロコロ変えるのは不利益をもたらす証じゃないの。
 
夫婦の苗字について、海外では欧米を中心に、多くの国で別姓を選ぶことが認められている。結婚前の苗字を併記したり夫と妻の苗字を組み合わせる「複合姓」を認めている国も少なくない。
ドイツでは、夫婦のどちらかの苗字を選び、どちらか決まらない場合は、夫の苗字にするように定められていたが、女性差別だとして1990年代に見直された。アジアでも、妻が夫の苗字にするよう義務づけられていたタイで、2005年に法律が改正され別姓が認められた。同姓を義務づけている国は日本だけらしい。こうした状況について国連の女子差別撤廃委員会は「女性に対する差別的な法規制だ」などとして、日本政府に制度の是正を求めている。

虚構新聞が面白い

2015-12-11 | 社会
人間が運転することなく自動で走行する自動運転車が公道での試験走行中、運転手を置いたまま車庫に帰ってしまう事故が今年だけで287件起きていたことが分かった。
 米ニュースサイト「ヨセミテ・オンライン」が伝えた。「ロボットカー」「スマートカー」とも呼ばれる自動運転車は自動車業界だけでなく、米グーグル社などIT業界も巻き込みながら現在急速な進歩を見せている。日本でも20年をめどに各社が高速道路での完全自動運転を目指している。
 同サイトによると、置き去り事故は今年に入ってから急増。昨年の21件に対し、今年は8月末で既に287件を数えた。事故のほとんどは車が自宅から10キロ圏内に近づくと急停止、不審に思った運転手が外に出た途端、勝手に発進してしまうというもので、先に戻った車は庫内に正しく駐車されていた。原因について、当初は乗車を検知するシステムの不具合と考えられていたが、車載用基本ソフト(OS)をアップデートしていくほど異常行動が多発。さらに追究したところ、車載OSに含まれるフィットネス機能が原因であることが分かった。
 
フィットネス機能は近年IT業界で注目されている分野の1つ。持ち主の歩数や移動距離、心拍数などから消費カロリーを計算し、運動不足と判断した場合、適度な運動を呼びかける機能で、今年5月に発売されたアップル社の「アップルウォッチ」にも搭載されている。車載用フィットネス機能はスマホやスマートウォッチと連携して移動距離を正確に測るために使用していたが、置き去り事故はこの機能が「ドライバーが車内でハンドルすら握らず怠けている」と判断、健康のため徒歩で帰宅するよう促したことが原因とみられる。度重なるアップデートで「賢くなりすぎた」弊害が露見した格好だ。
 
運動と健康の関係に詳しい京都大学運動学部の坂本義太夫教授(トライアス論)は「根幹技術は同じなのに、片やロボットカーで怠惰を促しておきながら、片やスマホや腕時計が運動を強制するという、まるで親の小言のような不条理。人をどんどんダメにしていくことこそIT技術の本質ではなかったか」と昨今の健康押し付けに警鐘を鳴らした。
 
 
現実の新聞はもう読みたくない。虚構新聞には、現実のニュースをパロディ化して、諷刺・皮肉が効いた笑えるニュ-スが盛りだくさんだ。しかし、現実のものと思ってしまえるほど、ありそうな話で如何に元ネタである現実の事象が狂っているかを痛感させられる。 当然、政治ネタを読んでいると、またこんなバカをやっているのかと気色ばんでしまう。冷静な判断力を持って虚構記事を読む必要がある・・・・

今年の流行語大賞

2015-12-03 | 社会

西洋の熟語に「born with a silver spoon in one's mouth(銀のスプーンをくわえて生まれてきた)」というのがある。お金持ちの家に生まれるということで、根っから苦労を知らない人のことだ。

最近韓国では「スプーン階級論」なるものが登場した。親の資産で金、銀、銅スプーンと分け、それにも入らない最下層の場合は「泥(土)スプーン」と呼んでいる。自分の努力より親の財力によって人生が決定づけられてしまうというわけだ。金・銀・銅は、まだ恵まれた階級で、最下層にあたる土スプーンは、親の経済的な援助など望めず、かえって親を養わなければならない世帯の出身者である。

スプ-ン階級論が拡散するにつれて、階級はもっと細かく分けられているようだ。常識を超えた財産を持つ財閥一族などは「ダイヤモンドの匙」といい、2012年の調査資料によると、上位10%の人たちが、なんと国民全体の資産の45%を支配しているという。
 
 平均的な庶民は「鉄の匙」「木の匙」「プラスチックの匙」と細かく分けられていて、さらにその下には、公務員でもなく、大企業勤務でもない人たちが多数を占める「土の匙」が存在する。土でできているため、形を保つのがやっとで、一生食うに困るという絶望的な意味が込められている「土の匙」は、「Hell朝鮮(地獄のような韓国)」とともに、今年の流行語にもなっている。
 この「土の匙」よりもさらに下には、生活保護を受けて暮らしていたり、ホームレスである「糞の匙」と、スプーンすら持てないほど貧乏な「手の匙」がある。
 つまり彼らは「就職や結婚ができないのは、お前らの努力が足りないから」と責め立てる大人に対して、「努力してみたけど、あなたが与えてくれたスプーンのせいでダメでした」と、スプーン階級論を用いて皮肉を言っているのだ。スプーン階級論が広まるにつれ、ネットには「我が家は何匙ですか?」と質問する若者が増えている。資産、家の大きさ、親の職業と年収、携帯の機種まで公開し、自分が何匙なのかを人に査定してもらうのだ。子どもたちの間でも「お前って何匙?」と聞くのがはやっているという。

韓国の流行語に風刺の効いた「土の匙」がノミネ-トされているのに日本の「2015 ユーキャン新語・流行語大賞」は、「トリプルスリー」と「爆買い」だそうだ。この2語が今年を象徴する言葉だとは、どうにも腑に落ちない。

 この結果に、一部では「選考委員が日和ったのでは?」という声が挙がっている。今年の新語・流行語のノミネートが発表された段階から、「安保法制に批判的な言葉ばかりがノミネートされている!」とネトウヨががなり立てていたからだ。トップ10には「アベ政治を許さない」と「SEALDs」が入っており、このような政治絡みの言葉を排除した結果、インパクトのない言葉になってしまった、というわけだ。

 韓国民のコメントが面白い。日本より韓国はひどい政治状況らしい。

「アベ政治を許さないと発言した人が、刑務所に入っていないことがすごい。日本は素晴らしい国だ。言論の自由、デモの自由がある」
「日本人の立場からすると、安倍首相はよくやっているのでは?少なくとも安倍首相は国のために一生懸命だ。朴大統領は国や国民のことは眼中になく、自分の利益のために働いている」
「安倍首相と朴大統領を交換する?韓国国民に損はない!」
「韓国の流行語大賞も『クネ政府を許さない』にしよう!」
「韓国の流行語は何だろう?『私がすればロマンス、あなたがすれば不倫』かな?」


「産経ニュース」は、選考委員長の鳥越俊太郎氏が安保法制反対派の抗議運動「『アベ政治を許さない!』国民の一斉行動デー」の呼びかけ人であることを挙げて〈“身内びいき”“自画自賛”と受け止められかねない〉と批判していた。しかし、新語・流行語大賞は、新設当時から政治に批判的な言葉を選んできた実績がある。そして、やはり今年を象徴する言葉として選ばれるべきは「戦争法案」だったはずだ。

 昨年は、日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」と、「集団的自衛権」の2語が年間大賞に選ばれた。言葉を繋げると“集団的自衛権、ダメよ~ダメダメ”になる。これはいけていた!
 
 今年は、怒りの矛先は審査員に向けられた。新語・流行語は、〈読者審査員のアンケートを参考に、『現代用語の基礎知識』編集部がノミネート語を選出。選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる〉が、その選考委員に難癖をつけはじめたのだ。現在の選考委員は、政治学者の姜尚中、クリエイターの箭内道彦、俳人の俵万智、漫画家のやくみつる、ジャーナリストの鳥越俊太郎、女優の室井滋、『現代用語の基礎知識』の清水均編集長の7名だが、批判者にとってはこの面子が「サヨクだらけ」「諸悪の根源」なのだそうだ。

 流行語候補に、世相を反映させようとすれば時の政治に対して風刺・批判的な言葉が入るのは当然のことである。今年の候補を見てみると、「切れ目のない対応」「存立危機事態」「駆けつけ警護」の3語は、安倍政権を批判した用語でも何でもない。安保法の根幹にかかわる“曖昧な”言葉が今年生まれた新語として取り上げられるのは当然だろう。また、「国民の理解が深まっていない」「レッテル貼り」「早く質問しろよ」は、すべて安倍首相の発言で、これらの言葉を駆使して世論を無視したという、2015年の政治状況を象徴する言葉だ。そして、この夏、大規模なデモが市民のあいだから起こったことも同様に今年の大きなトピックである。「I am not ABE」「アベ政治を許さない」「戦争法案」 「自民党、感じ悪いよね」「シールズ(SEALDs)」「とりま、廃案」(とりあえず、まあ)が入るのもけっして不自然ではない。
 むしろ、こうした言葉が候補に選ばれ、「政治色が強い」「批判に傾きすぎ」との声ばかりが上がることが、由々しき問題だ。“公の場での政治批判はNG”という自粛ム-ドが蔓延している。


ブラック大国、日本

2015-12-03 | 社会
ブラック企業大賞2015は、セブン‐イレブンが選ばれた。ブラック企業大賞とは、労働相談に取り組んでいる弁護士や市民団体、ジャーナリストなどでつくられた実行委員会によって実施されているもので、いじめや長時間過密労働、低賃金、育休・産休などの制度の不備、派遣差別、コンプライアンス違反、求人票でウソを書くなどの指標をもとにブラック企業が選ばれる。セブン・イレブンの本部に有利なフランチャイズ契約、自殺者続出の加盟店オーナー、24時間営業の過酷な就労状態……から、選ばれた。しかし、不祥事や問題がメディアで報道されることはほとんどない。セブン・イレブンは、テレビ局をはじめマスコミにとって500億を超える広告宣伝費を投入してくれる大スポンサーであるからだ。
 
リテラがセブン・イレブンのブラック体質についてまとめた。大手マスコミで取り上げられることはないだろう。
 
加盟店に弁当を廃棄させて儲けるセブン-イレブンのえげつない経営術
多くの場合、経営者は、廃棄ロスを気にかける。だが、セブン‐イレブンの考え方は違う。完売は顧客にとって、その商品を買えないことを意味する。売り手の満足は、顧客にとっては不満足であり、セブン‐イレブンが目指すのは廃棄ロスではなく機会ロスの最小化である。びっくりするような経営哲学だが、この経営哲学の裏には、加盟店を食い物にし、本部だけを太らせていくコンビニ独特の会計学、フランチャイズシステムを利用した詐欺まがいのカラクリがある。一般的な会計では「廃棄ロス」は「売上原価」に含むために粗利が減り、粗利に一定のチャージをかけた本部に払うロイヤリティは少なくなる。売れ残って廃棄すると、当然、仕入れ金額は払わなければならないが、そのぶんのロイヤリティは払わなくてすむ。しかし、コンビニ業界では「廃棄ロス」を営業費用(販売費)に含めることになっており、売れ残って廃棄された商品の分も本部にロイヤリティを支払わなければならない。だから、本部は「機会ロス」を最小限にするため、などというお題目で、加盟店にどんどん商品を発注させる。発注させれば、売れ残ろうが廃棄されようが、本部に入ってくる金は増えていく。
廃棄額は一店舗あたり年平均530万円。国内店舗、一日で2億円強、一年では770億円超の商品が廃棄される。これだけのものが捨てられても、セブン-イレブン本部は何の痛痒も感じない。賞味期限切れで廃棄された商品についても、加盟店がロイヤリティを支払う取り決めになっている。この廃棄ロス問題は、マイナスからプラスを生む「ロスチャージ会計」として2000年代に一部加盟店により裁判で争われた。最高裁まで争われたものの、2007年、契約時に加盟店側の合意があることなどから、加盟店の主張は認められず、セブン側の勝訴となっている。現在は「廃棄商品の原価の15パーセント、年間100億円分を本部が負担する」という妥協案を打ち出しているが、その基本構造は変わっていない。セブン本部は営業利益は2127億円と絶好調だ。フランチャイズ加盟店による見切り(値下げ)販売もセブン本社側が妨害していた。消費期限の迫った商品を値引きする「見切り販売」はスーパーでは当たり前、しかし、コンビニエンスストアでは、「価格への信頼性を損なう、同一商品で“一物二価”の不信感、同一チェーン同士の価格差による価格競争の可能性、ブランドイメージの失墜」などの理由で禁止された。セブン本社側にとっては加盟店に「見切り販売」されるよりも「廃棄ロス」が出るほうがロイヤリティが多くなるからだ。この妨害に関しては、09年、公正取引委員会はセブンが立場の差を利用して、加盟店の見切り販売を制限したと認定し、独占禁止法違反の排除措置命令を出している。セブン側もこれを認め謝罪している。この経緯から、一部加盟店はセブン本部の違法性に対して総額1億4000万円の損害賠償を求め提訴した。高裁は13年8月、同社従業員が原告らに対し、「見切り販売をしたら加盟店契約を更新できないことを示唆した」などと指摘し、妨害行為を認め、総額1140万円の賠償金の支払いを命じた。2014年10月14日には最高裁第3小法廷が賠償を命じた東京高裁判決に対するセブンの上告を退ける決定をした。賠償額は減額されたものの、最高裁で加盟店側の主張が認められることになった。セブンの裁判では初めてのことだ。これで、見切り販売は加盟店側が堂々と行えるかといえば、それも難しい。最高裁で、別の福島県の元加盟店オーナーが訴えた「見切り販売」訴訟は上告棄却され原告側が敗訴になった。事案ごとに本部社員や加盟店側の対応によって、妨害行為と認定されるかどうかが変わってくるのだ。また、「本部にたてつく加盟店の近隣には、“ドミナント出店”と称して、もう一店新規出店させて、売上を減少させる」(ジャーナリスト)などのセブン側の対応もあり、見切り販売を行うことが事実上難しくなっている。
なお、日経が、「値下げ『妨害』でセブン敗訴確定 最高裁、上告退ける」という小さな記事を掲載したのは、その日の夕刊だった。朝刊でも朝日が「『見切り販売妨害』確定 最高裁 セブン-イレブン敗訴」と3段
見出しで扱った他は、読売、毎日で囲み記事と小さい扱いだった。各新聞社はセブンにとって524億円という莫大な広告宣伝費(2014年2月期 決算補足資料)を投入してくれる大スポンサーなうえに、
店頭売りで販売経路も握られている。配慮が働いたのだろう。
 
 
セブン-イレブンオーナーの自殺者が続出!『セブン‐イレブンの罠』(渡辺仁/金曜日)
人口あたりのコンビニ数が多い激戦地区で自殺が多い。慢性的な赤字経営が加盟店オーナーを苦しめる。しかも、コンビニ経営では毎日、売上金の送金が義務づけられており、店側に現金は残らない。売上金の一部を生活費にあてると、本部から店舗経営指導員が飛んできて、実際に送金するまで連日監視される。さらに「契約を更新しない」ことを宣告されることも。契約の更新がなければ、店も取り上げられ、それまでのセブン本部との取引で生じた「オープンアカウント」(取引勘定)が清算され、莫大な借金だけが残される。なお、このオープンアカウントでは通常は利息が発生しない買掛金にまで5~7%の高い金利をつけており、本部への借金は膨らむばかりだ。「セブン本部のウラもオモテも知るベテランオーナーが、こんな言葉を囁いた。『四生五殺って知ってますか――』私もこの言葉の意味は、すでに二人の人間から聞いていた。『四〇〇〇万までは借金をふくらませて働かせる。五〇〇〇万円までいっちゃうと自殺するから(それ以上の借金はさせない)。本部の上の方で公然と語られている言葉ですよ。真偽はわからないウワサですから』」
04年10月に自殺した宮城県の、ある加盟店オーナーAさんのケースではこうだ。昔から家業でプロパンガス販売店や酒屋をやっていたAさんは1990年ごろ、土地・建物は自前の「Aタイプ店」を開業。しっかり者の妻と一緒に店を切り盛りし、当初は順調だったが、近隣にセブン本部にドミナント出店され、経営が傾くようになる。一家の手元に残る年収は200~300万円。折悪しく、娘は大学生、息子は高校生と学費がもっともかかる時期に重なってしまい、Aさんは生活費を稼ぐために夜勤明けにアルバイトもすることになる。精神的に疲労困憊したAさんは売上金の一部を生活費にあててしまった。すると、店舗経営指導員による監視が始まるとともに、「契約を更新しない」ことを幹部から宣告されたのだ。Aさんは「本部からは再契約されないとなったからもう終わりだわ」とオーナー仲間に言った数日後に自宅兼コンビニ店舗の2階階段で自ら首を吊った。
「セブン‐イレブン加盟店共済制度保険」に加入させる方法も取られる。
「この共済はすべてのもの(傷害、火災、病気、死亡、所得補償など)が網羅されている。たとえば、オーナーが(閉店して)出ていっても、損害賠償金はオーナーに払わないでセブンがネコババする。殺そうが、何しようが、(債権は)とりっぱぐれがないようにしている」(同書より)
しかも、その保険代理店は親会社のセブン&アイ・ホールディングスグループの「株式会社ヨークインシュランス」なのだ。
「気の弱いオーナーなどが自殺したら保険金で負債を全額清算してしまう。これは明らかに巨大企業ぐるみの、赤字転落(自殺)が予想できるのにドミナントで追い込む『未必の故意』に当たるのではないか。そこにはあえて言えば『フランチャイズ版保険金殺人』とでもいうような、暗黙の作為が仕組まれているように感じる、と言われても弁解できないだろう」(同書より)
 
 
これほどあくどいとは・・・・・ワタミなどかわいいものだ。訴訟天国アメリカでも同じようにやっているのだろうか?
宅配業界もすさまじい。
 
 
ネット通販市場の急激な成長によって、パンク寸前状態に陥っている宅配業界。過去10年でネット通販市場が約10倍に膨れ上がる一方で、宅配業界は人手不足にあえいでいる。
ジャーナリスト・横田増生氏は実際に宅配業者の現場に潜入し、その実情を著書『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)でレポートしている。ヤマ ト運輸の宅急便を各家庭に配達する菊池次郎(仮名)という下請け業者の助手として、その1日に密着している。仕事が始まるのは朝の7時すぎ。ヤマト運輸の宅急便センターで菊池は自分の軽トラックにその日配達する荷物を積み込んでいく。報酬は運んだ荷物の数によって決められ、その額は「1個150円強」だという。菊池が働くセンターでは、1日に100個程度の荷物が回ってくるとのことで、単純計算すると日当は1万5000円ということになる。
「菊池がこの日、3回の配達で合計100個強の荷物を配り終えたのは午後九時前のこと。不在で持ち帰った荷物は1個。不在の分は、菊池の売り上げとはならない。1日の走行距離は15キロにも満たない。しかし、拘束時間は14時間近くとなった。1万5000円が日当とすると、時給は1000円強となる。しかし、そこから車両代やガソリン代、車検代や保険代など必要経費を合計すると月7万円近くかかる。その分の経費を差し引いて計算し直すと、時給は800円台にまで下がり、首都圏のコンビニやファーストフードの時給より安くなる」
「ヤマト運輸では、2000年代初頭には、1個当たり750円近くあった運賃単価が、底となる2014年3月期の決算では500円後半にまで下がった。佐川急便では、2000年代初頭に1000円台近くあったのが、底となる2013年3月期には500円を切るまで落ちている」
運賃が下がれば、末端の下請け業者の報酬が下がるのも当然の帰結だといえるのだが、そもそもどうして運賃が下降してしまったのか。それは、拡大するネット通販市場のシェアを“運賃のダンピング”という形で奪い合ったことが大きな原因だ。運賃のダンピングの大きなきっかけとなったのが、ネット通販最大手のアマゾンだ。
アマゾンは日本に進出した2000年当時、「1500円以上の買い物をすれば送料無料」という設定だった。その当時は、「物流センターの構内作業から宅配業務まで日本通運に業務を一括で委託していた」という。つまり、日本通運のペリカン便(現在の日本郵便のゆうパック)がアマゾンの商品の宅配を担い、その運賃は300円前後だったという。しかし、その後、アマゾンは大きな決断に出る。「アマゾンジャパンは全品送料無料として、日本での売り上げ拡大を図った。その日通に代わって、佐川急便がアマゾンの荷物を運びはじめたのは、2005年前後のこと。佐川急便が値引きした運賃を武器に日通から荷物を奪い取った」
 
「宅配業界では、一個当たりの運賃が250円以下になると、宅配業者がどのように工夫しても利益が出ない構造になっている。大口割引込みで佐川がアマゾンに提示したのは、全国一律で250円をわずかに上回る金額だった、といわれる」 もはや、捨て身の覚悟でシェア拡大を狙った佐川急便。たしかに、アマゾンのシェア獲得でヤマト運輸を抜き業界1位の座を手に入れたが、大きな代償を払うこととなる。
「アマゾンの荷物によって佐川急便の各営業所の収支が悪くなったばかりか、商業地区における午前中の配達率や時間帯サービス履行率、発送/到着事故発生率などの現場の業務水準を測る指標も悪化した。収支だけでなく、サービスレベルも悪くなったのだから、踏んだり蹴ったりの状態だった」
つまり、アマゾンの荷物を運ぶことは、佐川急便にデメリットしかもたらさなかったのだ。そして、2013年春に佐川急便はアマゾンの配送の大部分から撤退し、運賃の“適正化”、つまり値上げを進めていくこととなる。佐川急便の撤退後、アマゾンの荷物を運ぶことになったのがヤマト運輸だ。当然、アマゾンはヤマト運輸にとって大きな負担になっており、同書では「関西地方のヤマト運輸で10年以上働き、宅急便センター長を務める近藤光太郎=仮名」なる人物が、その実情を以下のように告白している。
「これだけ荷物が増えると、現場としては迷惑以外の何物でもないですね。アマゾンのせいで、午前中の配達が一時間後倒しとなりました。多いときは、月に90時間から100時間ぐらいサービス残業をしていますね。何年も働いていると、サービス残業をこなすのは暗黙のルールのようになります。ヤマトは、サービス残業ありきの会社だと割り切っていますから。これを上司や本社にいっても現場の長時間労働が変わることはないだろう、と思っています」
 
過酷なうえに、給料も安く、サービス残業が強いられる宅配業界。こんな業界に入りたいと思う若者がいないのも当然のことだ。このまま行けば、近い将来、拡大するネット通販市場に対応できなくなり、宅配業界は完全にパンクするのは間違いない。
 
「アマゾン帝国」とも呼ばれる同社だが、一方で世界的にその労働環境の過酷さが大きな問題となっている。
今年8月にはニューヨークタイムズにて長時間労働や密告、追い出し工作などの過酷な労働環境が暴露された。
すでにイギリス、フランス、ドイツ、ポーランドのアマゾンで労働組合が結成されているが、アマゾン・ジャパンでも世界で5カ国目となる「アマゾン・ジャパン労働組合」が結成された。
アマゾン・ジャパン労働組合が置かれる東京管理職ユニオンには、従業員からは10件以上、労働環境の過酷さなどについて労組結成前から相談が来ていた。
アマゾン・ジャパンは従業員のメディアへの露出が懲戒処分の対象になるといわれているからか、現役正社員からの告発はなされていなかったが、労組も結成された現在、その闇は暴かれつつある。
 
徹底した相対評価がえぐい。仮に従業員全員が素晴らしいパフォーマンスを発揮しても、従業員の成績には順位が付けられてしまう。結果、ローパフォーマー(低評価の従業員)がその業績に関わらず必ず一定の割合で作り出され、淘汰されることになってしまう。また、業務における懲戒処分のハードルが低いこともアマゾン・ジャパンでの労働環境の問題点としてあげられる。日常的な仕事で、問題点の指導を受けることすら、懲戒に該当すると決められているのだ。アマゾン・ジャパン労働組合が置かれる東京管理職ユニオンの鈴木剛執行委員長は以下のように指摘する。
「病気やメンタルの疾患から復帰したような人がローパフォーマーとして狙い撃ちされることもあります。これは労働契約法第5条の安全配慮義務違反にあたると考えます」
心身の不調に陥る、日常的なちょっとした指導を受ける、それらが全てリストラへの一里塚とされてしまう職場なのだ。
まさに労働者の地獄、としか言いようがないが、このアマゾン・ジャパン、さらにローパフォーマーとなった従業員に対するリストラの手法もなかなかエグい。
それは同社におけるPIP(業務改善プラン Performance Improvement Plan)のあり方に端的に現れている。
PIPとは外資系企業を中心にリーマンショック後に導入されている「パフォーマンスに問題があるとされる社員に業務命令として目標を与え、その達成状況を確認しながら業績改善を図る」という制度だが、実際は辞めさせたい従業員を退職させるためのリストラ手法として使われている。これは、達成不可能な目標を設定したり、逆に本人のキャリアと比べて余りにも過少なノルマを設定し、従業員のプライドと意欲を削ぐ、といったものが告発されている。このPIP、アマゾン・ジャパンでも大いに「活用」されているのだが、それは他社と比べても、露骨な追い出し工作としての実態を持つ。
 
他社のPIPも悪質だが、アマゾンの場合は、より露骨に解雇目的のために運用されている。不明確な評価基準、職場には密告が蔓延、過酷な懲戒の制度。そして制度的に産み出されるリストラ対象者。
 
アマゾンに潜入取材を敢行した著者による横田増生『アマゾン・ドット・コムの光と影』(初版・情報センター出版局、のち朝日文庫)では以下のように書かれている。
〈アマゾンも日通も、人が長つづきしないことを、露ほども気にしていないことだった。 ここでは、アルバイトとは募集広告を打ちさえすれば、やってくる“使い捨て人材”の異名でしかない。ある業界関係者はこう話す。「アマゾンは正社員の定着率も良くないですからね。とくにできる人ほど独立したり、ほかの会社に移っていきます。それを見ると、つくづくアマゾンは人よりシステムで持っている会社なんだなあと思います」〉
 
24時間営業のコンビニ、何でもワンクリックで手に入れることができるアマゾンのサービス、我々は何の疑問もなく享受している。世界に羽ばたく一流会社が、ブラック企業に転落している。消費者はいいかもしれないが、そこで働くアルバイト、正社員、コンビニのオ-ナ-は過酷な労働条件の中で命をすり減らしている。 そんな労働市場に耐える人材を確保するために、国民の貧民化政策が行われているようにも思える。
巨大企業がカネ儲けしやすい環境を作り出し、TPPに参加、年金の原資を投機の世界へ投入し、税制も巨大企業を優遇する。一方、庶民に対しては労働条件を悪化させ、消費税率を引き上げる。貧民層あってのアベノミクスである。低賃金でも働かざるを得ない貧民、自衛隊のアメリカの傭兵化も大量の貧民層なくしては実現しない。多くの人が指摘しているように、アベノミクスは大企業や富裕層をさらに富ませることを目的にしている。庶民の貧困化もその目的を完遂させるための手段なのだ。

戦前レジ-ムへの復帰

2015-11-08 | 社会

「日本は他国よりすごい」という大国意識、優越感に浸りたい、そんな願望が行き着く先はどこか?毎日新聞が特集した。

伊勢神宮の西、三重県名張市に、最近の社会・政治状況を「大日本病」と名付けて憂えている人がいる。戦史研究家の山崎雅弘さん(48)。専門誌に近現代の戦史研究を寄稿し、著書も数多い。9月に出版した新刊「戦前回帰 『大日本
病』の再発」(学研マーケティング)が波紋を広げている。

山崎さんが書斎から引っ張り出してきたのが、戦前に出版された思想教育本。本が訴えるのは、総じて「天皇を頂点とする日本の国家体制は『世界に類を見ない神聖で崇高な国のあり方』(万邦無比(ばんぽうむひ))とし、体制存続のみに価値を置き、献身と犠牲をいとわないのが国民の務めで、人権や個人主義の考えは欧米的だ」という考えである。国家神道は教育勅語の「危急のことがあれば、国民は公に奉仕し、永遠に続く皇室を助け支えよ」という教えも取り込み、国民や兵士の命を軽視した戦争を続ける原因になった。自国を独善的・排外的に偉大な国として存在価値を膨らませ、他国・他者に不寛容になり、個人主義や人権を軽視する状況が、山崎さんが論じる「大日本病」である。

過去の話に見えるが、今も同じにおいがしないだろうか。自民党の憲法改正草案が「現憲法は個人の権利が強調され過ぎている」と、義務規定を10項目も増やし、さらに欧米的な「個人」との言葉を嫌ったのか「国民は個人として尊重される」という条文を「人として〜」に改めている。付け加えれば、昨年6月には教育勅語を肯定的にとらえている下村博文前文部科学相が会長を務める「人格教養教育推進議員連盟」が発足したし、安倍晋三首相ら閣僚の多くが「神道精神をもって、日本国国政の基礎を確立する」と綱領にうたう政治団体「神道政治連盟」や、「美しい日本の再建と誇りある国づくり」を訴える運動団体「日本会議」の国会議員懇談会に名を連ねていることも見逃せない。

「一連の動きから見えてくるのは、国家神道的な価値観をよしとする体制への回帰です。安倍首相は戦後レジームは否定しますが『戦前・戦中レジーム』には特に否定的な言及はしません。安倍首相を支持する人の中に戦前・戦中を肯定することが『愛国』と考える人が多いのも気になります。歴史上、この国を唯一、滅亡の寸前まで追いやったのが、その戦前・戦中レジームなのですが……」


「コリアンタウン」とも呼ばれる東京・新大久保。在日韓国・朝鮮人や他民族など、少数者を差別・迫害するヘイトスピーチ団体の取材を続けてきたジャーナリストの安田浩一さん(51)を訪ねた。かつてこの街でもヘイトスピーチの嵐が吹き荒れたが、今は平穏に見える。安田さんは韓国料理店で豚肉のキムチ炒めをつまみながら「警察がここのデモを許可しないだけで、彼らは銀座あたりに移ってデモをするようになったのです」と苦い顔をした。安田さんは字義通りの「戦前回帰」とは少し違う見方だ。「『日本が大好き!』と声高に叫ぶ人が増えていますが、彼らは中国・韓国など他国、他民族をけなし、排他的な言説をセットにしているんです。他者をおとしめることでしか自国への愛を確認できない。かつての日本は、上辺だけでも『大東亜共栄圏』などとアジアとの連帯をうたっていたが、今の自称『愛国者』は違う。21世紀型というか、『日本以外みんな敵』ぐらい排他的なんです」
日本が他国・他民族に優越する、という考え方は、自国の国益を得るために他国に政治・軍事的な影響力を行使してもよい、という大国主義の下地にもなる。「その意味では、彼らの優越感は大国主義に近いのですが、一方では内向き。まだ受け入れてもいないシリア難民を敵視・蔑視する言説がインターネットなどで広がっているし……」
差別の対象は在日や外国人だけではない。最近では福島原発事故で仮設住宅で暮らす被災者に対し「国に依存するなと罵声を浴びせたり、水俣病の患者団体の関係者には『いつまで国に甘えているんだ』という電話を掛けたりしている」と安田さんは語る。

他人を罵倒する人々に共通するのは「奪われている」という感覚だ。国の領土が他国に奪われている、国の社会保障や生活保護が奪われている……。山崎さんは、「日本ブランド」をまとって自分の存在価値を高めたい、という人が、日本が批判されたり、国のお金が他者に使われると「自分が批判され、損をした気になるのではないか」と分析した。

安田さんは辛辣(しんらつ)である。「『領土が奪われている』と言いながら、現に米軍基地として土地を奪われている沖縄県民が、基地反対運動をすれば『売国奴』という言葉を投げつける。彼らにすれば、沖縄すら排他の対象なんです。自分だけが正しい、美しい、尊敬されたい、という感情しかない。他国・他者より優れた存在でありたいが、ひたすら排他的。それが21世紀日本の大国主義の実相かもしれない。ゲンナリする社会です」とため息をついた。排他大国、排外大国という不思議な言葉が思い浮かんだ。

大日本病や大国志向、自称「愛国」がなぜ今、求められているのか。山崎さんは「キーワードは不安です」と読み解いた。
国家神道の考えが強調されだしたのは、満州事変後の国際連盟脱退表明(33年)のころからで、国際的な孤立で国民の不安が高まった時だ。人口減や景気停滞、原発事故や中国や韓国の経済成長……不安が高まる今の日本が重なる。国と自分を重ね、「万邦無比」といった「大きな物語」に自分が連なるという幻想を抱けば、自分の価値を再確認でき、不安の気持ちも軽くなる、というわけだ。

政治学が専門の一橋大名誉教授の渡辺治さん(68)は最近の大国志向は、政治・経済的な必要性から生じた、とドライに分析してみせた。
かつて日本は経済力を背景に、アジアに一定の影響力を持っていた。しかし中国の成長で日本の影響力が相対的に下がると、インドネシアでの大型公共事業の受注を中国企業に奪われるような事態が増えた。国益を確保するためには、経済力だけではなくアジアに対する政治・軍事的な影響力を強めなければ、という考えが安倍政権や財界にあるのだ、という。
「でも日本は、中国と張り合うような軍事大国にはなれないから、集団的自衛権の行使という形で米国の戦争に協力し、米国の威を借りる形で大国化を図ろうとしている」
だが安全保障関連法について、国民の多くが反対しているのは世論調査の結果から明らかだ。渡辺さんは「国民の多数は安倍流大国化に反対している。この点は重要ですが、安保法が発動されると状況が一変する恐れもある」と楽観はしていない。
例えば自衛隊が海外で武力行使するようになればどうなるか。「まず自衛隊が変わる。海外で殺し殺され、という状況になれば、自衛隊の政治的発言力は確実に大きくなる。軍事が日本の中で大きな地位を占め、必ず国家意思の決定に関与するようになる。そういう意味で、今の日本は岐路に立っていると言えます」

山崎さんが締めくくる。「自分の価値観を内面に持ち、一人一人が独立した思考を持つ『個人』でいられるかどうか。これがいびつな『愛国』や『大日本病』を克服できるかどうかのカギです」
【吉井理記】
大手マスコミの中では毎日新聞、TBSが頑張っている。特に土曜日5:30から放映される報道特集がいい。

尖閣諸島問題で寄付が15億円も集まったのには驚いたが、土地も持っていない庶民が尖閣諸島問題で先鋭的になるのにはもっと、驚いた。地図で見ると、尖閣諸島は台湾や中国に近い。琉球王朝が領有権を主張するならわかるが、日本がねえ・・・・・

陸続きの国境線と違い、孤島の領有権の歴史的証明は難しい。尖閣諸島は1895年、日本が領有した。近代化を成し遂げた日本は、周辺の無人の島礁を調査し、他国の領有が認められない島を国際法に基づいて、「日本の国土」として登録して行く。1895年当時、清王朝は、中国古来の統治制度を持つ国家で、国土の意識も薄く、国際法に則った国境の策定という意識も希薄だった。台湾に至っては、近代国家とは無縁の孤島だった。

「排他的経済水域」という決まりが出来、国際法に盛り込まれたのは、1982年の「国際海洋法条約」からだ。日本は国土は狭いが、排他的経済水域(EZZ)と領海を合わせた広さは、世界6番目の広さを誇る。排他的経済水域が、離れていれば問題はないが、東シナ海では、各国領土から200海里のラインを描くと、重なり合ってしまう。一般的には、双方の国土の中間点を境界とする習わしになっているが、「大陸棚」が及ぶ範囲をEZZの領域とする主張も存在し、中国は、東シナ海においては、日中の中間点を越えて、沖縄に近いエリアまで、中国の排他的経済水域と主張している。

1895年当時の日本の調査は不十分であり、歴史的に見て、尖閣諸島は中国の歴代王朝の支配下であったと主張している。そもそも沖縄周辺の帰属は歴史的には「琉球王朝」の支配下だった。中国は「琉球王朝」を中国の歴代王朝の属国と見なしているから、中国と琉球の間にある尖閣諸島は、歴史的に中国に帰属していたと主張する。1895年に日本が調査した時に無人島であっただけで、中国は領有の意思を放棄していた訳では無いと言う。中国の立場に立てば、もっともな言い分だ。

国際法の領土の概念には「自国の領土で無い領土を領有意思を持って相当期間中断無く平穏公然に統治」すれば、領土として認めるという慣習もある。
領土問題は、国際司法裁判所に当事国同士が提訴すれば、領有問題に決着が付く。しかし、「実効支配」している国が敗訴する場合も考えられるので、「実効支配」している国は、国際司法裁判所に提訴する事はない。日本は竹島問題で、国際司法裁判所に提訴しない韓国を非難するが、尖閣問題では、同じ非難を中国と台湾から受けている。

領土問題は話し合いで解決できない。北方領土が返ってこないのを見れば明白だ。

「実効支配」している国の領有が事実上確立する。
中国軍が上陸してきたら、自衛隊は、中国軍と戦闘せざるを得なくなる。下手をすれば「日中戦争」に発展し、沖縄周辺を中国に占領される事態も発生する。米軍が介入すると思うノウテンキも多いが、アメリカが中国と直接戦闘する事は考えられない。日本を見殺しにした方が、アメリカの損失は少ないからだ。日本単独で増大化した中国の戦力に対抗出来なければ、日本はなるべく、中国との直接的戦闘を避けなければならない。尖閣問題は日中関係を険悪にして、アメリカへの依存を強める事になり、属国化を推進する。中國に支配されるのは嫌だが、アメリカには喜んで支配されたいという風にしか見えない。

中国にも日本にもお互いに蔑視思想がある。日本には近代化の遅れた中国をバカにする気持ちがあるし、中国も格下の日本にひどい目にあわされたという恨みがある。歴史的に見れば、中国を長い間支配し続けた英国の方がよっぽど悪だと思うが、同じアジアの同胞に裏切られたという憎しみはなかなか払拭できるものではない。

イギリスが植民地化したのは腐敗した清国だったし、投下した資本も莫大なものだった。中国の近代化に貢献したという解釈も成り立つのかもしれない。


東アジアで高い自殺率

2015-09-14 | 社会
経済的な豊かさと幸せ度は、比例するとは限らない。
 
OECD(経済協力開発機構)に加盟する国のうちで、自殺率の高い1位は11年連続で韓国、そしてハンガリー、日本がそれに続く。
 
自殺は青少年の死亡原因で最も多いが、韓国の青少年自殺率がOECD1位ではない。高齢者の自殺率は10万人当たり81.9人(2012年)と、世界ワーストになっている。高齢者の自殺の背景には、貧困・疾病・孤独という三重苦がある。今の高齢者たちは大家族制度の下で成長し、核家族時代に人生の黄昏期を迎えた。家族のために生きてきたが、老後に備えることができず貧困であり、家族の解体で子どものケアも受けられない世代だ。
自殺率2位のハンガリーは、高い失業率と拡大一辺倒の貧富格差で韓国に似ている。共産主義から資本主義への体制転換期の社会的混乱に適応できなかった人々が、自殺を選択しているとされる。自殺率ランキングでは日本が3位、スロベニアが4位となった。東アジアと体制転換期の国で、国民が深刻なストレスを受けていることがわかる。
高い自殺率は、今の人生に満足できていないことを裏付け、低い出生率は未来の人生に不安を感じていることを示している。昔は「いくら厳しい環境でも、死ぬより生きる方がマシだ」と考えた。経済は発展したが、「むしろ死んだ方がいい」と思う人が増えている。
一方、福祉体制がよく整っている北欧より、ギリシャとトルコの自殺率が極めて低いことは、自殺が国民性とも無関係ではないことを示している。
自殺死亡率が最も低い国はトルコ(2.6人)であった。ギリシャ(4.2人)、メキシコ(5.0人)、イタリア(6.3人)、イスラエル(6.4人)なども自殺率が低い国に属した。
 
1985年からの自殺率推移をみると、OECD加盟国のほとんどが次第に減っているが、韓国は2000年を基点にむしろ急増する現象を見せている。日本も自殺率が高い水準ではあるが、2010年以降は減少傾向である。主観的に健康状態を良好と考えている割合は韓国が35.1%で、OECD加盟国のうちで最も低かった。OECD平均は68.8%であった。国民自ら健康だと考える人が最も多くいる国はニュージーランド(89.6%)であった。
 
寄せられたコメントが面白い・・・・・・
・自分はかなりたくさんのハンガリー人を知っているが、彼らは悲観的で陰気な気質だよ。
・ハンガリー人だけど、確かに自分は悲観的で陰気である。
・ハンガリ-の国歌がいけない。Gloomy Sunday - The Hungarian Suicide Song
(自殺者の出る曲として有名で1933年にハンガリーで発表された曲。本当のハンガリー国歌ではない。)
・ハンガリー女性はとてもきれいなんだ、何を悲観的になることがあるんだ!
・ハンガリーは男性主義度88、個人主義度81みたいに、とてもハイスコアだ。権力格差は46で、日本の54より低い。ちなみにオーストリアは11でドイツは35。権力格差の大きいところはリソースを競争する社会となるので、人口密度がとても高い日本や、限られたリソースしかないシンガポール、近隣諸国と敵対している韓国など、どれもハンガリーは当てはまっている。権力格差が大きい国は、成功や成績に強く重点を置くことが文化の中に根深く埋め込まれている。ほとんどの自由時間を働くように期待されたり、子供でも放課後の活動と称して12時間くらい学校にいることもある。それが強烈な競争社会の環境を生み、結局は全員が成功できず、ストレスを緩和する時間もない結果につながっている。
・韓国人はさらに外観に関して無遠慮である。整形手術の中心地で、することなすことを人にいちいち判断される。見た目が気に入らないと知らせてくる文化だよ。
・やったぁ。わがハンガリーがトップ記事になってる……。待てよ。
・金正恩氏によると、北朝鮮では自殺はゼロだそうだ。彼らに言わせると、天国より素晴らしいと戻ってくる人もいるようだよ。
自殺の前に餓死する?腹がすいて、自殺するゆとりもない。
・メキシコでは自殺は難しい。先に殺されてしまうので自殺するチャンスさえない。
 
 
確かに自殺率の高い国は、厳しい競争にさらされている。そして、未来に希望が持てない。
都道府県別の自殺率を比較すると、1位は沖縄県の35.47人、 2位は東京都の27.61人、3位は埼玉県の27.50人。最下位から、47位は宮城県の14.13人、 46位は徳島県の15.47人、 45位は岩手県の16.57人。日本における自殺者数は中高年ほど割合が大きい傾向があるため、地域人口○万人あたりの自殺者数を自殺率とすると、中高年の人口割合が多い平均年齢が高めの都道府県の自殺率が高く算出される。上記の自殺者数は死亡者数のうち自殺を死亡事由とする死亡者の割合を、死亡者1千人あたりの自殺者数として計算したもの。
沖縄の自殺率が高いのが意外だ。琉球新聞によると、女性は低いのに対し、男性は全国2位という高い率になっているという。また男性の自殺者のうち2、3割が本土での生活者で占められている。男性の自殺率の高さについて自殺の研究を続けている名嘉幸一琉球大学医学部教授は「沖縄では高齢男性の自殺率が高い。伝統行事で重要な役割を担っている女性に比べて男性は本土復帰、都市化などで伝統的社会基盤が失われている」と指摘している。 名嘉教授によると沖縄の自殺率は戦前は全国的にも少なかったが、戦後になると男性は60年代後半に全国水準に達し、75年から80年代にかけて高率になっているという。それに比べて女性は戦後も継続して自殺率が全国より低い傾向という。  男女全体の自殺原因をみると病苦と精神障害が半数以上を占めており、名嘉教授は「精神障害による自殺率は全国の2倍だ」と説明する。
 
中国の自殺率は?
大学の新入生に対し、大学側が自殺について自己責任を求める誓約書の提出を求めていたことが発覚したこともあったようだ。大学入試の激化と、その延長にある就職難、恋愛問題などが過度なストレスとなり、若者の間で自殺が多発している。国営新華社通信は、中国の疾病管理予防センターの分析として、自殺が15~34歳の中国人の主な死因となっていると伝えた。その理由について「大学入学の競争激化と、新卒の非雇用の増加」が背景にあるらしい。中国では学生による自殺はたびたび報道されている。
タイム誌は、学生の自殺の背景に、中国では長らく教育が成功への道だと信じられてきたが、景気の減速によって、そうではなくなったと指摘。背景にあるのは就職難で、2013年の卒業生約700万人のうち、就職先を見つけられたのは35%に過ぎず、前年から12ポイントも下落したとしている。
就職難だけではなく、それにつながる大学入試での過度な競争もある。とくに一人っ子政策の中で育てられた学生らは、親の過度な期待を背負い、プライドが高いのに、プレッシャーには極端に弱い。大学生活で「未来」を感じられなくなり、貧富の差が拡大する社会に絶望してしまう。同センターによると、中国では毎年、約28万7千人が自殺し、これは死者数の3・6パーセントを占める。自殺の75%は農村地帯で、とくに女性の自殺率が高いのだという。生活難と家庭内暴力などが主な原因とされるが、これも都市部と農村部の格差が広がっていることが遠因だ。
 
総じて、競争社会、格差社会では若者の自殺率が高い。格差社会でも人種や移民などの階層社会では、同じ階層内ではあまり格差がないので競争意識が少なく、負けてもストレスは少ない。均一社会では、頑張ったらどうにかなる社会なら、競争が激化して、負けると惨めだ。競争しても得られるのはお偉いさんのちょうちん持ち。ほどほどのところで諦めるのがよいと思うが、諦めたら、下層社会に落ちる状況になりつつあるから、東アジアでは、これからも若者の自殺は減らないだろう。日本の減少傾向は、生活苦や孤独が原因の高齢者の自殺が多く、その数は一定していて、経済環境によって変動しないからだろう。

オリンピックは電通の利権

2015-09-11 | 社会
東京五輪のエンブレム盗用問題は、組織委員会や審査委員の責任を追及する動きが出てきた。永井一正審査委員長、武藤敏郎組織委事務総長、そして、審査委員に無断で佐野氏の修正案にダメ出しをして、最終案を採用決定していたことが発覚した森喜朗組織委会長。だが、このエンブレム問題にはもうひとり、その責任を問われるべき人物がいる。それは、やはりエンブレムの審査委員である大手広告代理店・電通の社員、高崎卓馬氏だ。
 
ただし、高崎氏はただの審査委員ではない。東京五輪については、招致活動のときから関わり、招致委員会にも名前を連ねている。そして、開催が決まると、組織委員会のクリエイティブディレクターに就任。組織委の役職と審査委員を兼ねる唯一の人間として、広告やビジュアル、音楽に関連するプロジェクトをオペレーションしている。
審査委員には、佐野さんと深い関係のある委員が4人もいることがわかっていますが、このメンバーも高崎さんが中心になって決めた。また、委員長の永井さんといっしょに、間口の狭い応募条件を決めたのも高崎さんのようです」(関係者)
ところが、その高崎氏は佐野氏の仕事仲間。「サントリーオールフリー」のクリエイティブディレクターで、佐野氏の盗作が問題になったトートバッグの発注者サイドの人間でもある。しかも、東京エンブレムが発表されたのは、トートバッグのキャンペーンの最中だった。こうした経緯から、佐野氏が選ばれるよう尽力したのではないか、といわれているのだ。
 
本日発売の「週刊新潮」9月17日号(新潮社)が『「エンブレム」審査を「佐野研」出来レースにした電通のワル』というタイトルで、この問題を特集記事にしている。
 
記事では、審査委員のひとりが「高崎氏が(審査委員の)人選を行った」と証言。しかも、森喜朗会長と武藤事務総長が無断で修正を指示したとしつつ、高崎氏1人だけは早くから修正について把握していたという組織委関係者のコメントも掲載されている。
「彼は、審査委員としてではなく、五輪組織委員会の人間として、エンブレムの修正に携わっていたのです。修正案のデザインをほかの審査委員に報告する役目を負っていたのも高崎氏です」
しかし、さすがの「新潮」も追及はここまで。問題の本質についてはふれていなかった。「新潮」は「電通のワル」などというタイトルで高崎氏の個人攻撃に終始していたが、実際はそのバックに、電通という組織の五輪利権の問題がある。
 
電通は招致活動から東京五輪に食い込み、開催決定後はマーケティング専任代理店に選ばれ、あらゆるマーケティングや広告利権をすべて電通に集約させるよう動いていた。高崎氏はいわば、その先兵的役割を担っていたのだ。もし、「新潮」のいうように、高崎氏が佐野氏の案を「出来レースのレールに乗せなければならない理由」があるとすれば、それは高崎氏の個人的な事情ではなく、巨大広告代理店・電通の意志ということだろう。
「佐野さんも博報堂出身でありながら、最近は電通の仕事がすごく多くなっていましたからね。佐野さんというスターをつくりだし、一方で、森さんをなだめながら、いろんなものを電通に都合のいいように決めていく。高崎さんは会社からそういう役割を命じられていたのかもしれません」(広告関係者)
ただ、電通タブーを抱えたマスメディアにこの先を追及することは不可能だろう。本サイトとしては、今後もこの問題の取材を続け、可能な限り疑惑の本質に迫りたいと考えている。
(リテラ時田章広)
 
なるほど・・・・・やっと、利権のからくりがわかってきた。電通か。
 「食べて応援しよう!」と、被災地の農産物の広告がTVなどで流れていた。しかし、これは、平成20年に農水省が立ち上げた「食料自給率向上に向けた国民運動 FOOD ACTION NIPPON」という事業の一環だという。農水省の委託事業として、電通が受注した広告事業で、FOOD ACTION NIPPON 推進本部事務局も電通本社内にある。平成23年度の同事業の予算は23億円、「フード・アクション・ニッポン推進本部事務局運営」として、電通は一般競争入札で受注している。だが、入札率は100%で予算と入札価格がぴったり一致する。他にも電通は、米粉の消費拡大の広告なども受注しており、平成23年の単年度で総額71億2千万円も農水省から受注している。よくある官僚と大手企業の癒着?
 
単体では世界最大の約1兆4千億円の年間売上高を誇る広告代理店で、社員約5700人を抱えるメディア・政財界に巨大な影響力をもつ企業。 
上半期や下半期という単位で紙面を買い切り、 それを広告主に売り捌くやり方で、完全におおもとから利権を掌握している。 さらにこの事自体が広告で経営が成り立つマスコミからはタブー視され、 電通に関して表立った報道がされることは無い。
 
元電通マン藤沢涼氏によると、
1993年以降に各テレビ局が支払っている電波利用料は、年間でたったの4億円。それに対して、もう一つの電波を利用する主力産業・携帯電話各社は2013年の電波利用料740億のうち、82%も払っていると言う。
全国のテレビ局とラジオ局の電波利用料の合計は、たったの60億。全体の約6%。テレビ局は、携帯電話の1.4倍の周波数帯域を使っているにも関わらず、この不均衡は、「電波利権」以外の何物でもない。
 
一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会からマーケティング専任代理店として指名されたのは、今回も電通だ。 オリンピックの広告利権は電通が独占している。国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)、国際陸上競技連盟(IAAF)、国際水泳連盟(FINA)、メジャーリーグベースボール(MLB)などの国際的な競技団体と密接な関係を持ち、それらの放送権、マーケティング権などを独占的に販売できる権利を多数保有している。伝統的に国際スポーツイベントに関する広告ビジネスはほぼ電通に独占されている。
 
デザイン公募のエンブレムは、電通が手を出さない数少ないオリンピックビジネスジャンルだった。博報堂関係者が多いのは、そこに砂糖に群がるアリたちのように、 非電通系関係者があつまったという結果に過ぎない。電通はエンブレムに手をださなかったのは利ざやが少ないから。あとはいつでもそうだが事実上利権を独占した上で、何割かは同業他社にシェアを分け与える。100%独占を避けるのは保身のためだ。

やっと、真正右翼が安保法案反対

2015-09-09 | 社会
民族派右翼が安倍私邸にデモをかけた。「米軍の傭兵に直結する安保法案を廃案にせよ」「安倍は辞任せよ」
私邸を選んだのは官邸前で訴えても記者クラブと寿司屋に出かけて不在であるため安倍首相の耳に届かないからだ。
 
民族派右翼は1960年代後半に登場する。彼らは、既成の右翼団体(街宣右翼)と一線を画し、「右翼」と呼ばれることを嫌い、自らを「民族派」と呼んだ。
三島由紀夫の言動や、新左翼の活動論に大きく刺激され、米ソによる世界分割支配をYP体制(ヤルタ・ポツダムの略)と呼んで厳しく批判し、文明論として「反近代」論を展開した。戦前の右翼である玄洋社、黒龍会、神兵隊などに憧憬の念を持っている者も多い。
 
現在注目される活動としては、一部の民族派が東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故をうけて「山河を守れ」「国土を汚すな」という視点から「脱原発」を呼び掛けている。
 
一水会の木村三浩代表は、デモの意義を次のように語った―
 「アメリカは無謀なイラク戦争でガタガタになった。その総括もせずに日本に肩代わりさせようとしている。安倍さんはそれに乗ってはならない」。日の丸を翻しながら行進するデモ隊のコールが渋谷の高級住宅街に響いた。
 
ヘイト・スピ-チに明け暮れるエセ右翼が幅を利かせている昨今、日本の真正右翼はどこに行ってしまったのか、といぶかっていた。
何よりも対米従属を嫌うはずなのに、反対の狼煙が上がらない。やっと・・・・・しかし、デモも整然としていて穏健そのものだ。もっと、暴力的に脅してほしいのだが・・・・
 
 
木村三浩『お手軽愛国主義を斬る』(彩流社)
一水会の代表に2000年からついている著者は、前著『憂国論』(彩流社)でもブッシュのイラク戦争を厳しく批判し、イラクに20回以上訪問し、フセイン大統領にエールを送っていた。沖縄へのオスプレイ配備に反対し、在特会などの排外主義を徹底批判してきた。北方領土、竹島、尖閣諸島はすべて日本の領土と主張している。
お手軽愛国主義の安倍政権が「わが国を売り渡す」、「日本の溶解」をもたらす、「中国、韓国などを刺激する言動を繰り返し、『お手軽愛国主義』の空気に点火させ、心をくすぐり、増長させている」と的確に批判し、これに民族派の論理を対置する。民族派だから、当然、他の民族を尊重する。他民族を誹謗中傷して自分のアイデンティティにしがみつくザイトクとは決定的に違う。ただし、ヘイト・スピーチの法規制には反対している。
 氏が危惧する集団的自衛権容認の問題点は日米安保条約との矛盾である。わが国の防衛を米国に依存している現状で集団的自衛権の行使を解禁すれば、自衛隊が米軍の指揮下に入り、米軍の下請けと化す。米国の都合による紛争に自衛隊が駆り出される。安保条約を改正せずに他国の戦争に加担するようになる。現状の片務的内容の日米安保条約を対等な双務的条件に改正することが先決である。
 極東軍事裁判に関しては、裁く側の連合国が植民地主義をとって搾取していたので追求すべき問題点を放置した事に大きな問題があった。即ち、ファシズム枢軸国対自由主義の闘いと云う枠組みで誤魔化し、自らの植民地支配に頬かむりをし、植民地支配を受けた人々を放置した。そのため、戦勝国でも、日本国民でもなくなった植民地の人々は賠償も受けられなかった。従って、わが国は、彼らに対し戦争責任をとっていないことになる(この事が、慰安婦問題など果てる事のない問題が蒸し返される要因の一つでもなかろうか?)。対して、終戦間際に宣戦布告し直接戦争していないのにチャッカリ戦時賠償を貰っている国もある。
 日本が負けた責任を追求せず極東軍事裁判だけが悪いと問題をすり替えてはいけない。
 
街宣派右翼と違った斬新な視点、分析力に優れ、平易に語る真っ当な言論者であり、今後の活動に注目したい。

老人虐待

2015-09-08 | 社会
昨年11~12月に入所者の80~90代の男女3人が転落し死亡した川崎市幸区の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」について、川崎市が7日、「警察が捜査中で断定する立場にない」とした上で「不自然だ」との見解を示した。健康福祉局長寿社会部高齢者事業推進課の関川真一課長は取材に対し「記憶の限りでは、ベランダからの転落死は(他には)1つもない。起こらないことが3件起きたのは不自然だと感じている」とした。市によると、3件についての施設側からの事故報告書では「警察の現場検証の結果、事故による転落」とあったとし、「事故」のたびに警察の捜査が入っていた。しかし、市によると、神奈川県警は今年8月中旬ごろから、3件について捜査を行っているという。
 
また、市は、今年5月7日、同施設の認知症の女性入所者(85)の家族から、虐待の訴えがあったと明かした。4人の男性職員が「死ね」との暴言や、頭をたたく、ベッドに放り投げるような介助、入所者の食事を勝手に食べるなどの虐待を行っていたという。さらに、今年5月1日には、入所者の女性(78)の現金数万円を盗んだ疑いで職員がその後に逮捕され、懲戒免職になっていた。今年3月には入所者の男性(83)が浴槽内で死亡する事故も起きていたという。
 
3人が転落したのは午前1時半ごろから午前4時半ごろまでの時間帯で、いずれの日にも現在は退職している20代の男性職員が当直に入っていたという。3人は同じ場所に落下し、遺書はなく、3人の中には認知症の人もいた。施設は全て個室で、ベランダの手すりの高さは約120センチだったが、手すりを自分で越えるのは難しいとの見方も出ている。(日刊スポーツ)
 
 
 
最初この事件を聞いたとき、虐待のすごさに逃げ出そうとしたのかと思ったが、どうも虐待の結果の傷害致死を隠そうとして遺体を投げ捨てたという方がありそうな話である。
平成18年4月1日より「高齢者虐待防止・養護者支援法」(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)が施行された。
 高齢者(65歳以上)の虐待とは、家族などの養護者による虐待または、養介護施設従事者(特別養護老人ホームやショートステイなど高齢者福祉施設・事業所に勤めている人)などによる虐待を指す。
 
虐待問題の難しいところは、養護者(介護者)が介護を行っているうちに、心身共に疲労し、追いつめられてしまうことが少なくないことだ。虐待をしていることに気づいても歯止めがきかなくなってしまうことがある。
 
虐待の種類
・身体的虐待    高齢者の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える。
・介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)   
・心理的虐待    高齢者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える。
・性的虐待    高齢者にわいせつな行為をすることまたは高齢者にわいせつな行為をさせること。  
・経済的虐待    養護者または高齢者の親族が高齢者の財産を不当に処分する。
 
高齢者虐待に関する調査では、介護や世話をしている半数以上の人が虐待の自覚がないという結果が出ている。
 □ 言うことを聞かないので、無視したり、逆にののしってしまう。
 □ 良いことと悪いことをわかってもらうために、たたくなどしてしつけをする。
 □ 認知症により徘徊するので、部屋に閉じこめている。
 □ 認知症や寝たきりで周囲の目が気になるので、外出させなかったり、訪ねてくる人がいても会わせないようにする。
 □ 年金手帳、預金通帳などを管理し、本人に無断で使う。
 □ 人前でおむつを替えたり、しばらく裸のままにしておく。
 
虐待を受けている高齢者の6割に認知症の症状がみられるという。介護者の負担を減らすしか対処方法はないように思える。自分自身が追い詰められているときに他者を思いやるのは非常に困難だ。親が子供を虐待する世の中である。他人が高齢者を虐待する犯罪はこれからますます増えるだろう。根本的な解決策は介護ロボットの開発しかないように思う。

戦争の変質

2015-09-08 | 社会
第一次世界大戦での敗戦により支払不能なほどの賠償金を負わされたドイツは、ハイパーインフレーションに見舞われ経済がほとんど崩壊しかけていた。ベルサイユ条約により植民地全部と領土の一部を取り上げられたうえ、1320億マルク(330億ドル)の賠償金を請求された。ドイツの当時の歳入20年分くらいの額であり、毎年の支払いは歳入の2分の1から3分の1に及んだ。札をガンガン刷ったドイツは、1922年から1923年にかけてハイパーインフレーションに見舞われてしまう。打撃を受けたのは中産階級や労働者、農民、一方で、外貨でドイツの資産を買ってボロ儲けする者もいて、そのなかにユダヤ人実業家も含まれていた。その怨みもユダヤ人迫害の一因となったようだ。
このハイパーインフレを止めたのは、ヒャルマール・シャハトという銀行家である。首相シュトレーゼマンにより通貨全権委員に任命されたシャハトは、兌換紙幣「レンテンマルク」を発行し、同時にデノミを実行してインフレを収束させることに成功した。だが、好況も束の間、1929年10月、ウォール街暴落をきっかけに世界恐慌が起こり、アメリカからの投機マネーに依存していたドイツは深刻な不況におちいってしまう。ヒトラーが政権を取るのは大不況にあえぐ1932年。失業者は600万人、全労働者数の3分の1にあたる。ナチスは、この莫大な失業者をほんの3年で恐慌以前の160万人にまで減らし、経済をみごとに回復させたのである。
 
その経済政策は〈資本主義と社会主義両方の長所を生かしつつ、欠点を修正する〉というものであった。アウトバーン計画を筆頭に公共事業によって雇用を創出するというのがメインの政策で、初年度だけで20億マルクが計上されたという。国債を大量に発行したのであるが、ハイパーインフレにはならなかった。この計画を主導したのはシャハト。ヒトラーはシャハトを経済大臣に迎えていた。アウトバーン建設は、雇用を創出しただけに止まらず、大動脈としてドイツ産業の発展に大きく寄与した。中高年を優先的に雇用する、大規模店の出店を制限して中小店を守る、中小企業への融資制度を整える、価格統制により物価を安定させる、農家を保護する、結婚を促進し少子化を予防するなど、国民と経済を保護することに関しては、およそ考えつくかぎりの手段を講じた。企業に対しては「配当制限法」という法律を課し一定以上の利益が出た場合は公債を買うことを義務づけ、個人に対しては貯蓄を促す制度を準備した。一方、労働組合を解体しストライキを禁止した。代わりに、「労働戦線」が組織され、労働者を管理しつつ不満を吸収できるシステムをつくりあげた。健康診断や有給休暇はもとより住宅にいたるまで労働環境も整備された。また、労働戦線に付随した「歓喜力行団」という組織により、労働者には、レジャーや娯楽まで提供されていた。その延長線上で企画されたのがフォルクスワーゲンだった。庶民も自家用車が持てるようにしようとナチスが国家プロジェクトとして手掛けたものだったが、ポーランド侵攻を機に第二次世界大戦へ突入していくナチスは、工場を軍需施設に切り替えた。
 
ナチスは、1936年から次なる経済政策にシフトする。自給自足と戦争できる国力を目標にするのだが、ここから迷走が始まる。夢のような政策を敷いてきたのはシャハトだったが、そのシャハトを切り、経済にはまるで素人のゲーリングに政策を任せてしまう。当然のように自給自足計画に失敗したナチスは経済的に逼迫していく。近隣国への侵攻も、ナチスの認識としては侵攻ではなく、ベルサイユ条約によって奪われた領土を奪回し、自給自足を目指すものだった。植民地をたくさん持っている国は、貿易をしないでもやっていける。しかしベルサイユ条約で植民地を全部取られているドイツはやっていけない。貿易が縮小されれば、食料にさえ事を欠くようになってしまう。そこで生活圏を得るために、第一次世界大戦以前に持っていた領土、植民地を奪還するというのが、ナチスの目標だった。
軍備拡大に同意しなかったシャハトを切ったあと、ヒトラーはドイツ帝国銀行を国有化し、軍事費を捻出するために公債を乱発した。ナチスは軍備のために莫大な借金を背負い、その借金のために崩壊した。
 
ナチスの卓越した経済政策、ビジョンは優れたものだった。欧州新経済秩序という現在のユーロを先取りしたような計画を既に1940年に発表していた。マルクを欧州全域で流通させようとした。ヒトラーは「欧州新経済秩序」について次のように語っている。
「我々の経済システムに参加した国々は、ロシア地域の天然資源も分配されるし、工業製品のロシア市場にも参加出来る。こういった将来性を匂わせてやれば、即座に我々の経済体制に寄り掛ってくるだろう。この地域が我々の下で組織化されるとヨーロッパの失業問題は解消する」
この計画をラジオ放送で聞いたイギリス政府は、経済学者ジョン・メイナード・ケインズ に非難する論文を発表してくれと頼んだが、手紙に書かれたケインズからの返事は意外なものだった。
「私の意見では、ドイツの放送から引用した部分の凡そ4分の3は、もしもその中のドイツとか枢軸という言葉を、イギリスという言葉に置き換えるならば、優れたものになるでしょう。それはまさに我々自身がその実現に努力すべきものであります。」
 
当時、ナチスはヨーロッパ大陸の半分以上を手中に収め、実現の可能性は十分だったが、「欧州新経済秩序」導入の目的はそれだけではなかった。「金本位制」の通貨の欠点をナチスは見抜いていた。「金本位制」では通貨と金が交換出来、通貨は金によって価値が補償され、通貨価値は安定する。しかしその反面、一国の通貨は金の保有量に応じた分量しか発行出来ず、金の保有量が少ない国や激減した国は、窮地に陥る。更に、「金本位制」では国際貿易も金で決済されるので、輸出超過や輸入超過が続いた場合、金の保有量に大きな不均衡が生じてしまう。第1次世界大戦後、西欧諸国は軒並み金の保有量を減らし、アメリカは最大時で世界全体の金の7割を保有していた。過度の不均衡は互いの貿易を収縮させ、産業を廃れさせてしまう。世界恐慌の一因になったとも言われている。世界恐慌後に西洋諸国は「金本位制」から離脱した。だが、それに代わる有効な通貨システムを見つけられず、貿易は収縮し、ブロック経済化していった。イギリスのスターリング・ブロック、フランスのフラン・ブロック、アメリカのドル・ブロック、日本も満州に進出し、円ブロックを形成しようとしていた。
 
過去に起こった恐慌の原因は、アメリカが金本位制度をとっていたことと関連する。金本位制は19世紀にイギリスで始まり、その後、世界中の人々が金本位制という通貨制度を採用した。不景気になっても金融マネーサプライを増やすという緩和政策を実施することができないので、1931年にいち早く金本位制を停止したイギリスは、輸出競争力を付けるため為替レートを切り下げ、金買い政策を行った。そのため、アメリカから大量の金が流出し、アメリカはマネーサプライを減らさざるを得なくなった。通貨供給量を増やさなければならないときに、反対に通貨供給量を減らすのである。金本位制度が事態を返って悪化させてしまった。ようやくアメリカが金本位制度を停止したのは、1933年、ルーズベルト大統領になってからである。そして、不況に直面した先進資本主義諸国は為替切り下げ競争に走り、ブロック経済を実施した。つまり、自国の輸出を伸ばし、自国さえ景気がよくなればよいという政策を展開し、それが世界貿易を一気に縮小させ、世界恐慌の一因となり、さらには第2次世界大戦の原因になった。
 
第二次世界大戦後、世界から恐慌が消えた。2008年のサブプライムローン問題に端を発する世界同時不況では恐慌には至っていない。
 
日本は1917年から1930年まで金本位制を停止していたにもかかわらず、1930年、アメリカで株が大暴落した3ヶ月後、金解禁(金輸出の自由化)を実施し、金本位制に復帰した。蔵相の井上準之介は、徹底した緊縮財政によるデフレ政策をとり、国内物価を引き下げ、それによって国際競争力を高めようとした。日本の物価水準を10%引き下げることに成功すれば、たとえ為替レートが10%高くなっても問題はない。そのうえ円高にすれば外国から安く原材料を輸入することができる。それは日本経済にとってもプラスになると考えたのである。
しかし、恐慌の真っ最中に、デフレ政策に加えて10%以上も円を切り上げれたことで、輸出が減少し不況はさらに深刻になる。1931年12月、大蔵大臣に就任した高橋是清は金輸出再禁止を決定し、ケインズの有効需要創出政策を採った。低金利政策をとり、公債を発行して軍事費を拡大し(31年9月、満州事変)、さらに公共事業を積極的に押し進めた。高橋の政策はかなりの成果をあげた。しかし、1935年、国債残高が膨らみ、日本の財政は破綻するとして、国債抑制、軍事費削減を打ち出した。これに反発した軍部は、1936年、高橋を暗殺した(二・二・六事件)。1937年、廬溝橋事件をきっかけに日中戦争が始まり、このあと日本は戦争へとまっしぐらに突き進むこととなる。
 
近代の二つの大戦は、経済政策の失敗による戦争だった。国際協調で回避できた戦争である。世界の施政者はIMFやWTOを創設し、賢くなったようであるが、近年の戦争の原因は経済の不均衡とは言えない。イデオロギ-戦争(冷戦時の侵攻、ベトナム戦争)からテロとの戦いへ、紛争の原因は大きく変質したようである。
根本は富の偏在が引き起こした戦争である。これらの戦争は武力で解決できないばかりでなく、どちらかが壊滅しない限り、戦争は終わらない。
 
 
地球上の富の偏在、未解決の国際紛争など、テロ発生の原因となる長期的な国際戦争は武力で解決できない。中東戦争を見れば明白だろう。
 
アメリカのように、「これはテロとの戦争だ」といって報復したら、イスラエルのように無期限戦争に突入することになる。
 
国際的犯罪であるテロに軍事行動で対決しようとすることは、ある人の言葉を借りれば、「台所の中で飛びまわるハエを、ピスト ルをぶっ放しながら追いかけ回し、ハエ一匹のために食器も棚も全部破壊してしまう」ことになる。テロと関係ない無辜の市民が爆撃で多数犠牲になり、難民が激増している。「米の報復戦争」が中東を無政府状態にし、テロの温床にしてしまったと言える。アメリカと協調するだけの日本とは違って、欧州には事態の本質が見えているように思う。
 
 「世界の警察官」が、テロを犯罪と叫びながら、自分も戦争犯罪をしている。よその国に行って空爆することが世界の警官の職務だと勘違いしているようである。国連を創設した米国が国連 を無視し、その分担金を滞納し、「報復」を叫んでいるのである。欧州が中心になって、1998年7月17 日、国際刑事裁判所(ICC)設立条約が採択され、2003年3月11日、史上初の国際刑事裁判所がハーグに発足した。
 
ルアンダやユーゴに対する国際法廷に賛成した米国は、自国の軍人や政治家が「戦争犯罪人」として被告になる可能性がある裁判所設立には、猛烈に抵抗した。米国がこの国際刑事裁判所設置に協力する 国々に軍事援助をカットしたり、拘留された米国市民の救出を可能にする国内法をつくっているという報道もあった。またある新聞は、「米はいつの日か、ハーグの裁判所も 爆撃するつもりなのだろうか」と皮肉った。
 
ちなみに、米国を含めて139の国が署名し、43の国が批准を済ませた条約に、日本政府は署名しなかった。日本は2007年10月1日正式に105ヵ国目の加盟国となった。アメリカ追従国の日本はアメリカに気兼ねして署名しなかったらしい。
 
 面白い見方だが、西欧諸国が米国の武力行使に協力しているのは、「我々も同じボートに 乗っていないと、進路が勝手に決められる」(ドイツの政治家)という欧州の危惧もあるらしい。アメリカは、口うるさいNATO諸国より気心の知れた英国がお気に入りと考える人もいる。ヨーロッパ諸国は9.11テロ事件で、米国にオーバーと 思えるほど哀悼の意を示した。これも米が孤立感を強めて奇妙な行動に走ってもらっ たら困るからであるという面白い見解を示す人もいる。
 
「国際貢献」とはオリンピックとは違い、参加することに意義があるわけではない。各国はいろいろな思惑で動いている。アメリカ従属一辺倒の日本は国際貢献などしない方が世界平和に貢献することになるのではないだろうか。
 日本が米国の侵略にどう関わるかは米支配層が決めることで、日本はアメリカの命令に従って戦争に参加し、行動することになる。安倍晋三首相の「約束」など何の意味もない。