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オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

降圧剤と認知症

2016-06-09 | 健康
高血圧は我が国の国民病とも言われ、その数は3,500万人とも言われる。そして降圧剤を服用している人は5人に1人だと言う。
 
私もその一人だが、薬が効きすぎて、低血圧になり、認知症を発症するのではないかと心配になり、服用をやめるが、また160-100ぐらいの高血圧になって、服用し始める・・・・そんなことが10年近く続いている。
 
降圧剤は高血圧の原因を取り除くものではなく、あくまでも対症療法で、無理やり血圧を下げる。本来必要だから、血圧が上がっているのに、無理やり下げて、まずいことになるのはちょっと考えればわかる。近年、脳出血が少なく、脳こうそくが多くなっているのも、降圧剤のせいだと思っている。脳卒中の患者のうち日本では84%を「脳梗塞」が占めている。
「死亡統計 脳卒中の内訳」
脳梗塞84%
脳出血13%
クモ膜下出血3%
1960年代は脳梗塞の脳卒中に占める割合は13%程度だったという。食生活の欧米化で血圧ドロドロ状態になったという要因もあるだろうが、降圧剤の影響は否定できないと思う。
 
「高血圧=脳卒中」と思われているが、脳梗塞に関しては、血圧が低い時に起きる。
 
加齢により動脈硬化が進んだり、食生活や糖尿病などの影響で血液がドロドロになったりすることで血行が悪くなっている為に、血行を良くしようと体が反応して、高血圧になる。降圧剤を服用すると血行が悪いままの状態で、無理やり血圧を下げる為に、血流不足が起きるのは当然だ。
さらに、降圧剤による脳の血流不足が原因で、認知症やアルツハイマーが急増しているのではないかという。降圧剤は短時間で効果が表れ、急激な血圧低下を起こす。
私自身、立ちくらみ、ふらつき、息切れ、食後低血圧を引き起こし、よく使う普通名詞も出てこなくなることが年数回ある。
 
アルコールが体内に入ると血圧が低くなり、降圧剤を服用していると相乗効果が生じ、血圧が下がりすぎる。
入浴時、温かい湯船に入れば、一気に血圧が上がり、その後どんどん下がってくる。降圧剤を服用している人は下がりすぎて意識障害が起きやすくなる。日本で入浴中に死亡する人は年間約2万人もいる。これは、日本における交通事故死の約5倍の数字だという。
 
降圧剤の影響で脳の血の巡りが悪くなるために、脳内に酸素や栄養が行き渡らず、脳血管性の認知症になる可能性が大きいというのは心配な状況である。
高齢者の場合、むしろ、降圧剤の副作用を心配しなければならない。
 
降圧剤の種類
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
体内でつくられているアンジオテンシンIIという血圧を上げる物質をつくらないようにする。
 
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
アンジオテンシンIIという血圧を上げる物質が受容体を刺激することを妨げる。
 
カルシウム拮抗薬
血管を収縮させるカルシウムの筋肉への流入を抑制し、血管を拡げる。
 
ベータ(β)遮断薬
身体の状態を無意識のうちに調節している自律神経系のベータ(β)作用を抑制する。それによって、心臓の拍出量の減少などがおこり、血圧が下がる。
 
アルファ(α)遮断薬
自律神経系のアルファ(α)作用を抑制する。それによって、血管の拡張がおこり、血圧が下がる。
 
降圧利尿薬
尿量を増加させることにより循環血液量が減少し、末梢での血管抵抗が低下する。
 

ペットボトル茶に含まれるビタミンC

2016-06-06 | 健康

 ペットボトル茶の生産量が増えている。問題はペットボトル茶に添加されているビタミンC(L-アスコルビン酸)の品質と量である。

緑茶飲料メーカーのホームページでは、ビタミンC添加の目的を「茶葉に含まれているビタミンCが加工や抽出の段階で失われてしまうので、それを補うため」としている。栄養強化が目的の場合、用途名は書かなくてすむ。しかし、どのメーカーもビタミンCに変色防止など酸化防止効果があることは否定していないのだから、原材料名表示では「酸化防止剤(L-アスコルビン酸)」と表示すべきである。

 L-アスコルビン酸は、食肉製品では肉1キログラムに0.5グラム添加で変色防止効果、緑茶、ジュース類では0.02~0.04%添加で褐変防止、風味保持効果が出るとされている。L-アスコルビン酸はビタミンCのことだから、毒性もないと思っている消費者は非常に多い。しかし、WHO(世界保健機関)ではL-アスコルビン酸のADI(1日摂取許容量)を体重1キログラム当たり0.25グラムと定めている。

 金沢工業大学研究グループの調査によると、市販されている主な緑茶飲料500ミリリットル当たりのビタミンC含有量は平均で100ミリグラムで、厚生労働省が定めているビタミンCの摂取推奨量は1日100ミリグラム。ペットボトル緑茶1本飲めば、この量に到達する。しかも、合成ビタミンCである。合成ビタミンCと自然の食品に含まれるビタミンCは、まったく異質のものであると理解しておいたほうが健康のためである。たとえば、がん細胞をつくる原因になる活性酸素を、ミカンなどに含まれる天然のビタミンCはほとんど発生させないが、人工的に作られた合成ビタミンC(L-アスコルビン酸)は大量に発生させる。天然のビタミンCには活性酸素の発生を抑える酵素が含まれている。いくら合成ビタミンCが天然のビタミンCと化学式が同じでも、安全性が同じとはいえないのである。

 実際、合成ビタミンCを成人に1日3グラムずつ3カ月間用いても異常は見られなかったが、それを6グラムに増やすと、悪心、嘔吐、下痢、顔面紅潮、頭痛、不眠などの症状が現れ、幼児では皮膚湿疹がよく見られるとの報告がある。

 加えて、現在、国内で使用されている90%以上のL-アスコルビン酸は、価格が国産の半値以下の中国製となっているのも大きな不安である。中国国内の報道によると、粗悪な添加物が原因で死者まで出ているという。日本への輸入品が、日本の食品衛生法で定められた基準に不適合として水際で廃棄処分になったケースも少なくない。しかし、水際で摘発するのには限界がある。つまり、消費者が自ら身を守るしかないのが現状だ。(文=郡司和夫/食品ジャーナリスト)

何とも恐ろしい話だ。

合成ビタミンCといっても、原料は遺伝子組み換え作物がほとんどのジャガイモ・トウモロコシ由来のデンプン(=スターチ)であり、これを発酵や合成の繰り返しで糖(L-ソルビトール)からL-アスコルビン酸を作り出す。L-アスコルビン酸は酸性が強いこともあり、安価なビタミンCサプリの添付書には副作用として、胃の不快感や下痢を起こすことがあると書かれている。
 
醤油や梅干しといった日本の伝統的な加工品、ワインやチーズなどの原材料にビタミンB1の表示がされていることがある。これは正しくは「保存料(ゾルビン酸)」や「ビタミンB1ラウリル硫酸塩」。しかし、「保存料(ゾルビン酸)」などと表示するよりはビタミンB1と表示した方が、消費者も安心する。減塩ブームにより、カビや細菌が食品の中で増殖してしまうため、それを防止するために添加されたのが、この保存料だ。ゾルビン酸は過剰摂取により、腎臓障害や肝臓障害があり、また亜硝酸ナトリウムと反応し発がん性物質であるエチニル酸をつくる。ビタミンB1ラウリル硫酸塩は、天然に存在するものではなく、合成化合物であり、カビ、酵母菌、バクテリアなどの増殖を抑える抗菌作用の強い添加物。
  
インスタントラーメン、和菓子、清涼飲料水、かき氷のシロップなどでよく表示されているビタミンB2は、「リボフラビン」のことで、合成着色料。
 
合成添加物ビタミンEは油が酸化しないように添加されたもの。d-δ-トコフェロールやミックストコフェロールがよく使用され、毒性実験のデータはないが、いずれも酸化型なので、過剰摂取はよくない。
 
食品に添加されているビタミンは、天然ものとは異なり、食品の栄養強化のために添加したということであれば表示しなくても良い。
 サプリメントに含まれているビタミン類も本当に健康効果があるのかどうか・・・・・恐ろしくなる。
消費者の無知につけ込み、国家と企業ぐるみの、経済を優先した添加物から逃れるすべはない。

 


脳を鍛えるには運動しかない

2016-03-14 | 健康
体育会系の男子といえば、スポーツマンでモテる。負けず嫌いで努力家。トップを目指して努力をする人が多い。明るく、人気者タイプが多い。仲間意識が強く、助け合う精神が強い。
自己主張も強い。スポーツでは自己アピールが大切なので、注目される行動にでる。常に身体を動かしていないと落ち着かない反面、集中力が高い。直観で物事を判断しがちだが、決断力と行動力はある。
上下関係に厳しいため、上下をつけたがる。礼儀正しく、目上の者を敬う。
 
文科系で運動苦手の私はひそかに体育会系に憧れていたが、「体育系は単細胞のバカばっかり」と豪語していた。しかし、体育会系は性格良し、打たれ強くて就職先もいいんだよね。
文化系は、論理的で知的、読書家が多く、禁欲的で真面目であると、思われがちで、本人たちもそのようなふりをしていた。
 
しかしながら、周りを見回すと、どうも運動していた奴の方が頭が冴えているのだ。それを証明した本が現れた。ハーバード大学医学部准教授が書いた『脳を鍛えるには運動しかない!』(野中香方子訳、NHK出版刊)だ。文化系がもっとも信頼する学術的証明という形で、脳科学的に研究を重ね、もはや体育会系の脳をバカ扱いできなくなったのである。
 
運動は三つのレベルで学習を助ける。気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくる。つぎに、新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロンどうしの結びつきを準備し、促進する。そして三つ目に、海馬の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促す。要するに、有酸素運動をした後のほうが脳が冴え渡る。エアロビクスのようなルールが複雑な運動をすると、脳に負荷がかかるため、よりその効果は高まるのだ。
 
ただし、運動するだけで頭が良くなるとは書いていないので、うのみにするのは要注意だ。
実証的な実験を重ねているので、説得力はあるが、どの程度効果があるかはこれからの研究を待たなければならないだろう。
 
以下、注目すべき運動の効能を見て行こう。
2007年の実験結果では「最大心拍数の60から70%を保って、35分間ランニングマシンで走っただけで、認識の柔軟性が向上する」ことが示された。また、「30分のジョギングを週に2,3回、それを12週間続けると遂行能力が向上することが確認された。しかし足を交互に前に出すだけでなく、もっと難しい動きに挑戦することが重要だ。有酸素運動と複雑の動き両方を組み合わせないと、小脳には何の変化も見られなかった」。
 
現在までの研究では、心血管系と脳を同時に酷使するスポーツ(テニスなど)をするか、あるいは10分間ほど有酸素運動でウォーミングアップをした後に、ロッククライミングやバランスの訓練といった、酸素消費量が少なく技能を必要とする運動をすると良いことがわかっている。
 
要するに、運動はニューロンを増やしたり、結合を促進したりするが、実際に脳を発達させるのは、やはり頭を使うような複雑な動きが必要だと言う。
 
うつ状態を改善するには効果があることは経験的に知っているが、これも研究中である。ストレスは低血糖などで、脳にいくエネルギーが疎外されたり、酵素の働きが押さえられたり、海馬の働きが鈍いのが原因で、運動をすれば解決できるらしい。酸化ストレス、代謝性ストレス、興奮毒性ストレスなどがあり、ストレスが継続すると、海馬の働きが抑圧され代わりに扁桃体が活発になる。扁桃体が優位になりすぎると記憶や現実とのつながりを抑えこみ、恐怖や不安を常態化させ、さらなるストレスを呼び込むという恐怖のスパイラルが完成するらしい。かなり、難しく、何を言っているのかわからない・・・・・
運動すると、フリーラジカルに対抗する酵素が活発になり、インスリン受容体の生産が促進されて酸化ストレスと代謝性ストレスから解放され、扁桃体の活動が抑制されるから、ストレスのスパイラルから解放される、と言う。
 
脳の中で何が起こっているかの解明は科学者に任せておくとして、経験則として、うつ状態を改善し、認知症予防に絶大の効果があるようだ。有酸素運動は日常的に、頭を使うスキ-やクライミング、筋力トレ-ニングを組み合わせていくのが心身の健康に必要なことのようだ。

チョコレ-トの効能

2016-02-13 | 健康

チョコレートは健康効果が高いと言われ、特に認知症予防に良いという情報でシニアが愛好している。
主な効能は赤ワインより含有量が多いとされているフラバノールの健康効果である。「血圧低下」「抗動脈硬化」「認知機能の改善」の効果が期待されている。

フラバノールはポリフェノールの一種で、チョコレートやココアの主原料となるカカオ豆に豊富に含まれている。
フラバノール含有量の高いココアを摂取すると、一酸化窒素が増え、血管拡張(血圧低下)、血小板凝集抑制(抗動脈硬化)などにつながる。
フラバノールを少なくとも520mg、毎日摂取している高齢者は、認知能力の大幅な改善を示したと言う。

新鮮なカカオ豆や、醗酵したカカオ豆には、約10%のフラバノールが、カカオ豆を加工したココアパウダーには約3.6%のフラバノールが含まれる。しかし、フラバノールは苦い。風味を調整するため、成分調整ココアを使ったダークチョコレートのフラバノール含有率は、わずか0.5%。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートには、フラバノールは低いか、まったく含まれていない。そのため、市販のカカオ製品をたくさん摂取すると、健康効果どころか、飽和脂肪酸や糖分により、カロリー(500kcal/100 g)の摂り過ぎになる可能性もある。
もう一つ厄介なのは、カフェインの安全量を超える可能性もある。日本では、カフェインの食品添加物としての使用量や、1日当たりの摂取許容量の基準はない。欧州食品安全機関(EFSA)によると、1回に3mg/kgまで、1日に5.7mg/kgまでと制限されている。 カカオ70%以上の高カカオチョコレートに含まれるカフェイン量は100g当たり68~120mg。市販の板チョコは1枚約60gなので1回に100g食べると、体重が40kg程度の人は安全な1回量を超えてしまう。

多くの人が、エナジードリンクや栄養ドリンクを手に取り、休憩時、コーヒーに手を伸ばす生活を送っている現在、20代日本人男性の「カフェイン中毒死」の事故は記憶に新しい。実際に死亡例がでてしまうと、心配になる。カフェインは、コーヒー豆、茶葉、カカオ豆、ガラナなどの成分で、それらを原料とするさまざまな飲料や食品に含まれている。カフェインは、中枢神経系を興奮させて眠気をはらい、集中力を高めるといった効果をもたらすが、摂取しすぎると、頭痛、心拍数の増加、不安、不眠、嘔吐、下痢などを引き起こす。カフェインを繰り返し摂取していると、体が反応しにくくなり(カフェイン耐性)、より多くのカフェインを求める(カフェイン依存症)。
体重が40kg程度の痩せた女性では、缶コーヒー1本、またはエナジードリンク1本でも、安全な1回量を超えてしまうらしい。
 さらに、カフェイン感受性は人ごとに異なるので、健康な成人には有益な量のカフェインでも、感受性の高い人には不眠や頭痛などの害をもたらす(カフェイン不耐症)。

こういう風に見てくると、市販のチョコレ-トで認知症予防や健康効果を期待するのは難しいように思える。


コ-ヒ-効果

2016-02-05 | 健康

以前は「カラダに悪い」と言われていたコーヒーが、最新の研究により「カラダにいい」という。
肝機能に効果があり、痛風の原因となる尿酸値も下げる、糖尿病にもいいということだ。

 1992年には、米国の研究者であるアーサー・クラツキー氏らによって「コーヒーを飲む量が多いほど、アルコール摂取による肝硬変リスクが下がる」というコホート研究が発表された。その後も12万5000人を対象に22年間追跡する大規模研究によって、「毎日4杯以上コーヒーを飲む人は全く飲まない人に対してアルコール性肝硬変の発症率が5分の1になる」という報告を2006年に行っている。

アルコールを摂取するとγ-GTPの値は上昇する。その際、コーヒーをほとんど飲まない人に比べて、毎日コーヒーを飲んでいる人のγ-GTP値の上昇率は低くなる傾向が確認できた。γ-GTPは、肝臓の状態を判断する指標の一つで、アルコールを飲んだときに上がる。AST、ALTは肝細胞のなかでアミノ酸の代謝に使われる酵素。肝細胞が壊れると、血液中に漏れ出てくるため、数値が高くなる。この数値とバランスから、肝細胞の壊れ具合や原因疾患を知る手がかりになる。「ALT」「AST」「γ-GTP」の3つの数値ともに、コーヒーの摂取量が多くなるほど低くなる。

コーヒーに豊富に含まれるポリフェノールの一種クロロゲン酸は強い抗酸化作用がある。炎症抑制効果があるので、それが健康効果につながっているのかもしれない。

1日あたりのコーヒーを飲む量が1~2杯、3~4杯、5杯以上と多くなるほど、尿酸値が低下することが確認された。コーヒーを飲む量が、「1日1杯未満」の人の尿酸値が5.88mg/dLだったのに対して、「1~2杯」では5.75mg/dL、「3~4杯」では5.69mg/dL、「5杯以上」では5.56mg/dLとなる。

2002年にオランダのヴァン・ダム教授らが「コーヒーを1日7杯飲む人は、1日2杯以下の人に比べて2型糖尿病発症リスクが50%下がる」という発表を「ランセット(Lancet)」という科学雑誌に発表した。約1万7000人のオランダ人男女を平均で7年間追跡した結果をまとめたものだ。
血糖値上昇を抑える効果も、おそらくクロロゲン酸の作用が効いている。インスリンを分泌する「膵β細胞」にクロロゲン酸が保護的に働く、クロロゲン酸が腸管での糖の吸収を抑制する、血糖値を上昇させる酵素の働きを抑えるなどの報告がある。

“肝臓がんを抑制する”のは「ほぼ確実」
 国立がん研究センターのコホート研究は、10年、20年という追跡期間を経て、2000年代から続々と結果がまとまってきた。
 その結果を、全体および個々の部位について、国立がん研究センターのホームページで公開している。

「肝臓がん」のリスクを下げる効果=ほぼ確実
「子宮体がん」のリスクを下げる効果=可能性あり
「大腸がん」「子宮頸がん」「卵巣がん」のリスクを下げる効果=データ不十分

 コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人は肝臓がんの発生リスクが約半分に減少する。1日の摂取量が増えるほどリスクが低下し、1日5杯以上飲む人では、肝臓がんの発生率は4分の1にまで低下した。
肝臓がんや子宮体がんは糖尿病を発症するとかかりやすくなるがんである。一方で、コーヒーが糖尿病を予防することは、多数報告されている。コーヒーによって糖尿病リスクが下がればがんリスクも下がるということだろう。

国立がん研究センターは昨年5月に、「コーヒーを飲むと、心臓病のリスクが軽減する」という研究報告も発表した。
コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、コーヒーを飲んでいる人の死亡率は低下する傾向が確認された。コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、ほとんど飲まない人に比べ24%低い。飲む量が増えるほど危険度が下がる傾向が、統計学的に有意に認められた(国立がん研究センターの多目的コホート調査による結果、2015年)
「1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患の病気で死亡するリスクがそれぞれ4割程度減少する」といった結果が出ている。全死亡リスクについては、コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、24%低いという結果だ。

コ-ヒ-の健康効果はカフェインではない。緑茶や紅茶には目立った効果はなかったという。


加工肉に発がん性

2015-10-28 | 健康
【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は26日、ハムやソーセージなどの加工肉を「人に対し発がん性がある」物質に指定した。赤肉も「恐らく発がん性がある」に分類した。加工肉の摂取量が多いほどがんを患う危険性が高いとしており、過剰な食肉摂取のリスクに異例の警告を発した。
約800の研究論文を踏まえたもので、加工肉の分類は「十分な証拠を基にしたものだ」と強調している。毎日食べた場合、50グラムごとに大腸がんを患う確率が18%上昇すると結論づけた。どのような加工手段が発がん性を高めるかは、明確には特定していない。
IARCでは「加工肉」は塩分を加えたり、薫製にしたりした食肉を指す。ハムなどのほかにコンビーフやビーフジャーキーも含む。分類はたばこやアスベストと同じ扱いだが、「発がんの危険性が同じとは限らない」とも指摘している。
哺乳類の肉と定義する「赤肉」については「限られた証拠から」結論を得た。主に大腸がんが多いが、膵臓(すいぞう)がんや前立腺がんとの関係性も確認した。
IARCは決定が「肉の摂取の制限を求める保健当局の推奨を支持するものだ」と位置付けた。一方、食肉に栄養価があることも認め、評価結果が「各国政府と規制当局がリスクを評価し、危険性と利点のバランスをとった食生活を推奨するのに重要になる」とした。
WHOの報道官はIARCの発表を受け、「内容を精査する」とコメントした。IARCの評価結果には法的拘束力はなく、近く食肉の摂取に関する勧告などを発する予定もないという。
食肉とがんについては多くの研究機関が関係を指摘する一方、米国を中心に食肉関連の業界団体などが「生活スタイルなど複合的な要因を配慮していない」などとして反発してきた。
 
 
以前より、添加物の多い加工肉の発がん性は指摘されていた。
赤肉まで指摘されてしまったのはちょっと意外だった。国立がんセンタ-のHPをみると・・・・
 
赤肉による大腸がんリスク上昇のメカニズムは、動物性脂肪の消化における二次胆汁酸、ヘム鉄による酸化作用、内因性ニトロソ化合物の腸内における生成、調理の過程で生成される焦げた部分に含まれるヘテロサイクリックアミン(発がん物質)等の作用が指摘されてきた。これらの作用は、牛・豚肉といった赤肉に限らず、肉類全体の摂取を通してももたらされる共通のもの。
 
男性・女性のいずれにおいても、加工肉摂取による結腸・直腸がんのリスク上昇は見られなかった。ただし、加工肉摂取量をもう少し細かく10グループに分けたところ、男性において最も摂取量の多い群で、結腸がんリスクの上昇が見られた(摂取量の少ない下位10%の群と比べ、上位10%の群では発生率が1.37倍)。つまり、日本人が一般的に食べるレベルでは、はっきりとしたリスクにはならないけれども、通常よりもはるかに多量に摂取する一部の男性では、結腸がん発生リスクを上げる可能性は否定できない。
 
もともと肉類の摂取量が欧米より少ない日本だが、大腸がんの発生率は、戦後、欧米並みに増加した。報告書では、赤肉の摂取を週に500g未満とするよう推奨している。今回の研究で赤肉を最も多く摂取する群は、およそ週に400~450g以上だった。病気になる前の食生活で牛や豚といった肉類をたくさん摂取していた人々が、その後の大腸がん発生リスクが高いことが観察されたことは、私たち日本人の食生活での肉類の過剰な摂取に対しては、改めて警鐘を鳴らすものと言える。
 
大腸がん予防の生活習慣:現時点でわかっていること
飲酒、肥満は大腸がんリスクを増大させ、運動はリスクを低下させる。これらの生活習慣に気を配ることが、肉の過剰摂取を避けることと合わせて、大腸がんの予防には大切である。

昼食後の眠気

2015-10-24 | 健康
金沢大学医薬保健研究域医学系教授の櫻井武氏によると、覚醒や摂食の制御に「オレキシン」という体内物質が深くかかわっているという。人間は昼行性の動物であり、昼間に覚醒を高めている。とはいっても、昼間ずっと高いわけでなく、午後の2時、3時ごろ、覚醒の出力が一時的に低下する。朝や夜には、この出力は高まっているので、朝食後や夕食後にはあまり眠気を感じない。
 
食事との関係もある。昼ごはんを食べると、、血糖値が上がり、血糖値が上がると覚醒が落ちる。オレキシンをつくる神経細胞の活動は、血糖値が上がるとすぐに対応して変動し、落ちていく。オレキシンがあまりつくられなくなり、覚醒が低くなるので、眠気が増していく。満腹であるという状態も眠気に作用する。満腹と逆に、空腹のときは食を求めるモチベーションが高くなり、肉食獣などは腹を空かしているときに積極的に餌を求め、覚醒は高くなる。お腹が空いているときは眠れないということは誰しも経験している。
 
体内時計による覚醒出力の一時的な低下、血糖値上昇によるオレキシンなどの物質をつくる神経細胞の活動の低下、それに報酬を得たあとの満足状態。これら三者が相まって眠くなる。
 
巷で言われている「消化のために胃に血液が集まるから脳に血が行かなくなって眠くなる」というのはありえない。脳という臓器は、最後まで守られるものであり、脳の血流は最優先で確保されている。脳の血流が落ちることはない。食事をすると「セロトニン」という体内物質が出て、満腹感を司る脳の満腹中枢を刺激するとともに、セロトニン自体が精神安定作用ももっているため同時に眠気をもたらすという話もある。トリプトファンというアミノ酸を含むものをとるとセロトニンは増えるといわれている。しかし、脳内のセロトニンをつくるニューロンの働きはもともと活発で、食事をしたからセロトニンの量が急に増えて、それが脳に影響することはない。
 
さて対策だが、目新しいものに「コーヒーナップ」と言う方法がある。コーヒーを飲んですぐに仮眠に入り、20分後に起きるという手頃なブースト手法だ。
 
Scientists agree: Coffee naps are better than coffee or naps alone - YouTube
 
そのメカニズムは?
コーヒーを飲むと、カフェインが小腸から血液内に吸収され、約20分で脳に到達する。脳内にはアデノシンとアデノシン受容体が存在し、この2つは人間が疲労した際にくっつき、脳の働きを遅くして疲労感や眠気を感じさせる。カフェインはアデノシンと似た分子構造をしており、アデノシンの代わりにアデノシン受容体と結合してしまうので、疲労感や眠気を感じなくなる。
 
しかし、カフェインを摂取してもアデノシンが消えるわけではない。カフェインでブーストした状態を「自動車に乗ってブレーキペダルの下にブロックを置くようなもの」と言う人がいる。カフェインによる覚醒効果がなくなると、アデノシンとアデノシン受容体がくっつき、眠気に襲われてしまうことになるわけで危険な状態と言える。アデノシンを脳内から消すには眠るしかない。「コーヒーナップ」はコーヒーを飲んでからカフェインが脳に到達するまでの約20分間昼寝することで、脳内のアデノシンを減少させつつ、覚醒効果も引き出す、といういいとこ取りな手法なのだ。
さらに、もしも寝付くのに苦労して約20分間ずっと半醒半睡状態にあったとしても、コーヒーナップの効果を得られることが研究により明らかになっている。
 
コーヒーナップを行うためには、エスプレッソのショットやアイスコーヒーがオススメ。これは試す価値がありそうだ・・・・・・

精製炭水化物は血糖値を上げる

2015-10-23 | 健康
精製された炭水化物が取られるようになったのは、ここ200〜300年。精製炭水化物は、未精製のものに比べて、急激に血糖値を上昇させる。精製された炭水化物を食べると、空腹時血糖値が100mg/dLとして、食後血糖値は160〜170mg/dLまで上昇する。
 
精製された炭水化物を取った場合、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの追加分泌は、基礎分泌の10〜30倍となり、未精製の炭水化物を取った時の数倍〜10倍と比べて、もう一段階増えることになった。
さらにジャンクフードの普及で、インスリンの過剰分泌が起こる。インスリンを大量に分泌し続けて40〜50年たつと、膵臓(すいぞう)が疲弊して分泌が不足するようになり、糖尿病を発症する。一方、インスリン分泌能力が高い人は、インスリンを出し続けたせいで、メタボリックシンドロームになる。インスリンが追加分泌されると、筋肉細胞が血糖を取り込むが、余った血糖が中性脂肪に変わる。インスリンが「肥満ホルモン」と言われる所以である。
人類の食前食後の血糖値の変動幅は、農耕開始後1万年間で2倍に、精製炭水化物の摂取が始まった200〜300年間で3倍ほどとなり、インスリンを大量、頻回に分泌せざるを得なくなった。
 
糖尿病の人が糖質を取ると、未精製の炭水化物でさえも、食後血糖値は軽く200mg/dLを超える。この急激な食後高血糖のことを「ブドウ糖スパイク」とよび、糖尿病の人に動脈硬化や合併症が生じる元凶となる。
血糖コントロールが正常な人でも「ブドウ糖スパイク」が起きる。生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるブドウ糖スパイクと、インスリン過剰分泌であると言う。
 
これを防ぐには糖質制限食がよいというのだが、これにも反論がある。
問題なのは糖質制限食を過激に行うダイエットである。糖質の摂取量を一日130g以下に抑えるというものである。炭水化物を極力減らせば、おかずはなんでも、好きなだけ食べていい。
 
炭水化物の糖分は体内で中性脂肪に変わり、人間のエネルギー源となる。炭水化物を絶つことで中性脂肪を減らして痩せる、いたって単純なメカニズムのダイエット法だ。
即効性があり、糖質以外は何でも飲み食いできるので人気のあるダイエット法だ。
ところが、筋力が低下したり、骨密度が激減するという弊害が起こっている。
 
糖尿病の世界的権威で、関西電力病院院長の清野裕医師が糖質制限の危険性を解説する。
 
「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費される。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素。糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に変えるというシステムが働き始める。肉を食べれば問題ないと思う方もいるかもしれないが、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうとすると、毎日大量の肉を食べなければならない。数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能だ。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えるから、筋肉量がどんどん減ってしまう」
糖尿病患者が、医師の指導のもとで一定期間やるのはいい。しかし、65歳以上の高齢者は安易に手を出すべきではない。要注意なのは女性。骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、60歳代で2人に1人、70歳以上で10人に7人が悩んでいる。糖質制限を始めて骨粗鬆症を加速させてしまったという患者が多い。筋力が低下したり、骨粗鬆症になってしまった高齢者は、病気や怪我で入院すると、あっという間に寝たきりになってしまう。だが、これだけでは終わらない。糖質制限は、他にも寝たきりに繋がる病気を誘発すると言われている。
 
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者が寝たきりになる直接の原因は、1位が脳卒中、2位が認知症、3位が衰弱・老衰で、4位が骨折となっている。
実は、寝たきりの原因1位の脳卒中も、糖質制限ダイエットと深い関わりがあるということが、最新の医療調査で明らかになった。
「一般的に、糖質制限をするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになる。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まっていく。その結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていく。」
 
高齢者にとって、タンパク質は何よりも重要で貴重な栄養素。糖質制限のやりすぎで、不足する糖を補うためにタンパク質を消費することは、絶対に避けるべきだ。筋肉だけでなく、臓器や皮膚や骨、血液に至るまで、人体のすべての細胞はタンパク質でできている。そして細胞は、1年後にはすべて新しい細胞に生まれ変わる。高齢者は消化吸収能力が落ちているため、必要な1日のタンパク質の量が多い。
そんな高齢者が糖質制限をすれば、内臓組織の原料となるタンパク質が不足し、体はどんどん老化する。(「週刊現代」2014年2月15日号)
 
甘いお菓子など間食を避けて、玄米食などにするぐらいでとどめておく。バランスの良い食事を心がけるのが一番だ。何事も偏った考え方は健康を損なうということだ。

ガン罹患率の誤解

2015-10-12 | 健康
あらゆる病気の中で最も死亡率の高い「ガン」は1981年以降ずっと日本人の死因第1位で、全体の3割を占める。「日本人の2人に1人がガンにかかる」という表現はおなじみだ。
 
人間の体は約60兆個の細胞でできており、絶えず細胞分裂で新しい遺伝子をコピーしていく。発ガン物質などの影響で遺伝子が突然変異し、異常な細胞を死滅させる免疫細胞の攻撃をくぐり抜ける。それが異常な分裂・増殖を繰り返して、ガンになる。
 
国立がん研究センターがん対策情報センターの2013年データによると、生涯でガンと診断される確率は男性で62%、女性で46%である。これが「日本人の2人に1人がガンになる」という根拠だ。
 
ガンになるとしても、年齢によって、その発症率は大きく異なる。国立がん研究センターのデータによれば、30歳男性なら、10年後の40歳までにガンと診断される確率は0.5%。この確率は20年後の50歳で2%、30年後の60歳でも7%にとどまる。あくまでも統計的にみれば、60歳までの現役世代のうちにガンになる確率は10人に1人以下に過ぎない。
 
「2人に1人がガンになる」のは現在30歳の人なら、男性は50年後の80歳で42%、女性は50年後の80歳から天寿を全うするまでの間の46%である。
 
「2人に1人がガンになる」の意味をしっかり知っておきたい。「2人に1人」の確率になるのは、死亡のリスクが高まる世代になってからである。
 
ガンになったときの備えとして、ガン保険は有効な手段のひとつだ。特に現役世代にとって、ガンは治療費などの出費のみならず、仕事の休業など収入面でのダメージももたらす恐れがある。しかし、現役世代にガンにかかる確率が10人に1人と低いなら、若年のうちからガン保険を契約するのは払い損なのではないか?そこで、男性が現役世代の30~50歳から、平均寿命である80歳までガン保険に契約した場合の保険料の払込総額を試算すると、ガンの治療にかかる自己負担は平均で115万円であるのに対して、30歳に契約して80歳まで保険料を払い続けると、払込総額は約73万円になる。これに対して、50歳に契約して80歳まで払い込むと約96万円となる。保障期間が長いにもかかわらず、むしろ若いうちに契約したほうがコストは低くなる。
 
つまり、がんのリスクが高まる年代に近づくのを待ってから契約したからといって、必ずしもコストを抑えられるとはいえない。とはいえ、掛け金に見合う保証が受けられるのは、最大でも「2人に1人」である。ガンにかからなければまったくの掛け捨てだ。損得で考えるなら、保険料にかける原資を貯蓄するなり、自分で運用したほうが結果的に有利になる可能性もある。
 
 
 
 
「2人に1人がガンにかかる」というトリックを悪用している輩がいる。政府と放射線学者は、2人に1人がんになるから100mSv被曝してがんが1%増加しても大差ない。この程度は許容すべきで怖がる必要はない、という情報を流す。
 
低線量被曝(100ミリシーベルト以下)では死亡リスクはがん罹患の50%とされている。がん罹患リスクは100mSvで1%なので、その場合のがん死亡リスクは半分の0.5%である。そのリスクに関して、「日本人の半数はがんになる。すなわち、もともとがん罹患率は50%だから、原発事故の被曝でたとえ発がんが1%、がん死亡が0.5%上がっても影響ない」と、子供の被曝防護さえも軽視して、政府と東電を支える放射線医療学者・医師が多い。でも年齢別のことについて政府・マスコミ・放射線学者はあまり語ろうとしない。そこから彼らにとって不都合な真実が垣間見えてくる。
 
「二人に一人はがん」は嘘ではない。しかし、がんになるのはその多くがかなり高齢になってからだ。ガンの年齢別の罹患リスクは長年ほとんど変わらず、がんが増えたのは日本人が長生きになったからだ。
それに比べ子供や若者のがんはとても少なく、10歳0.1%、20歳0.2%、30歳で約0.5%です。40歳でも男1%女2%、50歳でも男2%女5%です。だから子供や若者にとっては、政府や学者が言う被曝でがんが1%増えることは、大変なことなのだ。子供たちが被曝して患者が1%も上昇すれば、10歳なら0.1%が1.1%になり11倍、20歳なら0.2%が1.2%になり6倍、30歳でも0.5%が1.5%になり3倍にもなる。しかも子供の放射線への感受性が大人の5倍近く高くて、大人より放射線の影響を受けやすい。
 
安心させてがんを増やし、不安にさせてがん検診と治療を増やす、それが政府と学者・医師の共同作戦だ。原発事故でがんが増えても大差ないから、被曝は心配ないと国民を安心させ、その一方で早期発見と早期治療を訴えている。

ヤマザキパンはなぜカビないか

2015-09-26 | 健康
本ブログでも渡辺雄二著の「買ってはいけない」の抜粋記事が人気だ。山崎パンなど、一流食品メ-カ-の食品を買ってはいけないとバッサリ切っている。
さらに著者は表題の本を書き、「ヤマザキパンに発がん物質の臭素酸カリウムが使われていてパンがかびない」と結論付けている。
実験の後で、ヤマザキパンに使用されているイーストフードやアスコルビン酸にその原因を求めているが、ヤマザキパン以外のイーストフードを使用しているパンも早くカビが生えてしまった。イーストフードやアスコルビン酸以外に原因を求めなくてはいけないと言うことで、ヤマザキパン独自の臭素酸カリウムを犯人にした。
 
しかし、鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療栄養学科教授 長村洋一によると、臭素酸カリウムは出来上がったパンの中に検出されてはならない、という食品衛生法の縛りがあるという。厚生労働省は現在0.5ppb以下の含有については含まれていないとしている。したがって、現在のヤマザキパンは0.5ppb以上の残存はないのである。著者は、そのほとんど存在しない量の臭素酸カリウムがカビの生えない原因であるとしている。しかし、水道水の臭素酸の基準値は10ppb以下となっている。そして、水道水には数ppbの臭素酸が含まれている。もし、0.5ppb以下の臭素酸がカビの発生を抑えるとしたら水道水の基準値はとんでもない値である。長村氏は、かびないのは滅菌的な製造工程と品質管理が優れているからではないか、と推測する。「市販のパンには保存料は入っていません。保存料を使用しなくても工業的に無菌的な環境で製造されたパンは、数日位の日持ちは当然です。家庭で作るパンは3日も持ちません。台所がパン工場より汚いからです。」
 
国立がんセンターが出したがん予防12か条に「カビの生えたものに注意」という一か条がある。食パンに小さなカビが認められる時には顕微鏡レベルで見ると無数のカビの存在を確認することができる。パンに生える赤カビ、青カビには何種類かのマイコトキシンが含まれている。もし、食パンによる発がんを恐れるとするならば、痕跡程度の臭素酸が入っていたとしてもカビの生えないヤマザキパンの方がよほど安全だと言えるのかもしれない。
さらに、山崎製パンは臭素酸カリウムを2014年2月から使用していない。しかし、そのことを同社は宣伝しない。安全に管理できると考えていたから臭素酸カリウムを使っていたが、それを別の方法に変えただけだという。わざわざ「この添加物を使わないようにしました」と公表することは、臭素酸カリウムを使わないですむように努力した、と受け止められかねない。
臭素酸カリウムは強力な酸化剤であり、第1類危険物に指定されている。臭素酸カリウムを添加すると、小麦粉のグルテン(たんぱく質)に作用し、膨らみ方や食感で品質が向上する。国産の小麦粉はグルテンが少ないので、本来、食パンに向かないのだが、臭素酸カリウムを使うことで品質がよくなる。防腐剤とは別物だ。発癌性は指摘されている。イギリス、カナダ、ドイツ、中国では食品への添加を禁止しているが、パンの製造過程で加熱により分解されるため日本では認可されている。山崎パン(株)は国産小麦をおいしいパンにするために、信念を持って臭素酸カリウムを使った。そして、今回は酵素を駆使する方法を確立できたので、自信をもって採用した。同社は成長し続け、日本で使われるパン用小麦粉の約4割を、同社が扱っている。若者に人気の「ランチパック」は、自動化が進められ、食パンをスライスして具材をはさみ、耳を切り落として包装するまでに1分40秒しかかからない。細かな技術革新の積み重ねが、微生物の汚染を防いでいる。
 
そして、山崎製パンのパンが、家庭や街のパン屋さんの手作りパンに比べてカビにくい理由が、もう一つある。
家庭や小規模なパン店は通常、「ストレート法」という製パン法をとる。最初にすべての材料を混ぜてしまう。一方、山崎製パンの方法は、中種(なかだね)法と言って、最初の4時間の一次発酵の段階で使う粉は全体の約7割。この中種に残りの小麦粉やバター等を入れて、さらに大きなミキサーで混ぜる「本捏」(ほんごね)を行い、二次発酵に進む。2段階に分けて粉を合わせる中種法により、発酵が十分に進み有機酸、アルコールの発生量が多くなる。焼いた後にわずかに残るこれらの物質がカビの繁殖を防止することにつながり、カビが生えにくくなるのだという。
中種法は時間と手間がかかる。だが、きめ細かくボリュームのあるパンとなり、ぱさついて固くなる「老化」のスピードも遅くなる。こうしたメリットがあるため、大手製パン企業ではこれが主製法となっている。一方、ストレート法は、製造時間が短く手間も減るので家庭や小型店に合っており、小麦の風味や弾力のある、もっちりしたパンが焼ける。その分、老化が早くカビやすい。
 
山崎製パンの「食パン課」は、製造に携わっている全員が正社員だと言う。安定した雇用で、科学に裏打ちされた優秀なパン職人を育て上げていると言う。ここまで、見てくると、いろいろ、書かれているのは誹謗中傷の類なのではないか? 消費者にアピールする表示や宣伝を避け、名指しの中傷にも取り合わず、製品で勝負しようとする姿勢はすがすがしい。