今回のトピックスは、私august03がこの一年間「側弯症」を勉強してきたことから
得られた「意見」になります。客観的事実をメインとする当ブログの本旨からは
ちょっとはずれますがご了承下さい。
「測わん症は病気なのか ?」という患者さんからの疑問に回答したいと思いたって、この
トピックスを書きます。
まず第一に「側弯症」とは何か ? ということを理解するために、側弯症学会の
Q&Aページから下記の説明をご覧下さい。
「側弯症とは」http://www.sokuwan.jp/expl_01.html
その中から一部を引用させていただきます。
....脊柱を前から見ると、ほぼまっすぐな状態が正常で、横に10°以上曲がった状態
を脊柱側弯症と呼びます。.....
(ここから先はaugust03の説明なります。内容として逸脱している部分もあるかも
しれませんが、大意としては医学的理解から大きくずれてはいないと思います)
側弯症それ自体は一般的に考える「病気」という概念でとらえないほうが良いの
ではないかと思います。脊柱が曲がるということ自体は「原因不明の病気」である
ことには間違いないのですが、側弯症(特にその中の特発性側弯症)の患者さんを
混乱と混沌の中に巻き込んでいるのは、特発性側弯症それ自体は「病気」という
よりは、「病態」であることによります。「病気」と「病態」は似ていますが、
中身は異なります。さらに突き詰めていきますと、そもそも「病気」という概念
自体にかなり解釈に幅があることを理解する必要もあります。
ウイキペディア - 病気 -
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%85%E6%B0%97
ここでは次の定義を引用してみます。
病気とは「本人あるいは周囲が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」
側弯症はその初期には自他覚症状がほとんどありません。痛みがあるわけでもなく
、体調不良があるわけでなく、いわば「健康体」そのものです。
レントゲン撮影をして初めて「側弯症」という診断が下されます。つまり、骨の
変形が画像診断されること (外見的にも背中の曲がりやリブハンプがわかるように
なる)で「側弯症」であると医師から告げられるわけです。
診断されたからといって、患者さん本人には何の自覚症状も感じられません。
なぜならばその段階では、脊柱が曲がっているという状態(病態)を画像として確認
されただけだからです。そしてこの自覚症状のない状態はカーブが進行しない限り
は、ずっと続くことになります。
仮に診断時にコブ角25度であったとして、装具療法を1年~2年続けて骨成長期が
終わった時点(装具療法終了時点)で、コブ角25度のままであったとしたら、患者
さんは病気が治ったという自覚よりも、装具から解放された~、という思いのほう
が強く残るのではないでしょうか。なぜならば、他の多くの病気のように、投薬や
入院を必要とするような、痛みもほとんどなく (大半の患者さんは痛みの症状も
ありません)、発熱するわけでもなく、息切れ動悸があるわけでもなく、病気という
症状のない状態が続くからです。
そしてこのような状態で骨成長期を迎える患者さんが大半です。
しかし、一方では、発見時にすでに40度を超えていた患者さんや、装具でも抑えが
きかずにどんどんカーブが40度、50度と進む患者さんがいます。
このような患者さんでは、腰痛等の症状をおぼえる方もいます。しかし何よりも
大切なことは、(患者さん自身にやはり自覚症状がないのですが) 側弯進行により
肺機能が減少していく、ということを理解する必要があります。肺を中心として
内臓器官が圧迫されることで、本当の病気に繋がることが怖いのです。添付した
写真は側弯症により肺が圧迫されてる状態を示しています。これ自体が直接的に
死亡などに繋がることはまれですが、このような状態が人の健康に悪い影響を及ぼすことは
ご理解いただけると思います。
端的に言うならば、平均余命に影響することになります。
最悪のケースとしての死亡例を下記に提示します。
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/f2b5319c14f7f97bb72230c943239c7c
側弯症の怖いのは、患者さん本人にも周囲の方々にも、それが「健康を害する病気」
「いのちにも影響する病気」という感覚を与えないことであり、そのことが長期的
なスパンで見た場合、患者さんの寿命に直接影響を与えることになる、という点
なのです。
民間療法者(特に整体)による宣伝を見て、誰が側弯症が命に係わる病気なのだ
ということにおもいをはせるでしょうか? 背中の見た目が悪い/外観が悪い程度の
ことであり、それは整体にいけば「治る」と考えてしまう。
側弯症とは、その程度のもの。というイメージを世間に与えている。
そのイメージと、整体等による誤った(意図的な)情報がネットに流布している為に
、患者さんもそのご両親も治療方針でまごつくことになります。
手術は怖い、手術しなくても「治る」という宣伝を彼らはしていますが、ここに
添付したような胸郭が変形するまで進行した側弯症が、ユラユラと揺れるベッドに
乗るだけで、あるいは「痛いことをしない施術」で「治る」としたら、それは現代
科学の域をこえた魔術であり、詐欺的行為いがいのなにものでもありません。
側弯症は今日、明日にでも症状が激変して死に至るガンのような病気ではありませんが、
正しい治療を行わなければ、将来の自分の健康と平均寿命まで生きられるかどうか
という、そういう面に影響を及ぼす病気なのだと理解されると良いと思います。
健康に影響するという意味での側弯症のほかに、もうひとつは、精神面への影響が
あげられます。
特発性側弯症が、特に思春期の女の子に多い、ということがやはり状況を複雑に
していると思います。さらに、日本という風土、日本人の精神構造(メンタリティ)
がこの病気を普通の病気とは異なる様相を与える背景になっているでしょう。
誰しもが「見た目」は良いほうがいいと思うのは、人のこころです。
原因不明で曲がってしまった背中を誰にも知られたくない、と思うのは人の感情
として当然です。日本の社会環境のなかには、この病気がいわゆる病気として認知
され、病気を治療しているという感覚で周囲の人たちが認識する状態にはまだない
ようです。それが患者さんにとっても、ご両親にとっても辛い現実世界だと思います。
........このような面でも、整体等の民間療法者が側弯症の病気としての位置づけ
を本来の医療(メディカル)とは、別の次元に移してしまいました。
こども達に必要なのは、身体への治療と同時に精神面でのケアだと思います。
いわゆるメンタルケアが同時になされるべきだと思います。これは患者であるこども
だけではなく、そのご両親に対するケアも必要としています。
残念ながら、いまの医療現場(医療機関、医師等)では、そこまでのケアができる
状態ではありません。整形外科医がすべて側弯症専門医師ではありませんし、
側弯症専門医師にしても、いまの日本の医療制度/医療環境のもとでは、あまりに
忙しすぎて、こころのケアまでは手が届いていないのが実情だと思います。
それは医師の責任ではなく、小児科医師や産婦人科医師の減少をまねいて、
医療現場を崩壊に導いた行政や政治の貧困にみなもとがあります。
それでも一部の専門病院では、看護師等のスタッフも含めて病院全体のシステム
として患者さんをケアする体制と教育と、そして精神が満ちているところがある
ことが救いです。そのような病院が増えることを願うとともに、それまでの間は
患者さんがお互いにお互いのこころを支え合う道を探るしかないと思います。
私august03は側弯症患者ではありません。患者さんをケアできるのは、やはり患者
さん自身です。JUNAさん、kuraraさん、そしてブログを書かれているおかあさん
おとうさんが、情報を発信することで患者さんがたは歩むべき道が見えるのでは
ないかと思います。
側弯症は病気のひとつですが、病気そのものではありません。
脊柱が曲がるという病態を、いかにコントロールするか、が大切なのであり
側弯症を原因とする「病気」を作らないことが重要です。
専門医師のもとで正しい治療をしているかぎり、いたずらに不安を覚える必要は
ありません。不安症候群に陥ることは逆に身体不調の原因になります。自分で
病気を作り出すようなことはやめましょう。
側弯症は闘うことのできる病気です。その事実を忘れずに見つめて欲しいと思い
ます。
.......................................................................
下記に再度、診断と治療の現状を示します。
レントゲン撮影による側弯症診断にも幅があります。
10度以下の場合......正常
10度以上............側弯症 という分類の仕方
10度以下の場合......正常
10度~20度..........グレーゾーン
20度以上............側弯症 という分類の仕方
いずれの分類にしても、治療は25度~30度以上から装具療法となります。
装具の開始時期はコブ角だけで決定されるのではなく、患者さんの年齢等のリスク
を勘案して、判断されるものです。
30度未満の患者さんの約70%~80%は何の治療もしていなくても自然寛解または
コブ角が変化しない状態で骨成長期の終了を迎えます。自然寛解または変化なし、
ということを、“あえて”側弯症が治ったと表現するならば、30度未満の患者さん
では70~80%のこどもたちは「治る」ということです。
これを「おとなしい側弯」と呼ぶとすれば、一方では、「過激な側弯」もあります。
進行を抑えられない、どんどんと進む。40度を超えて、50度を超えて、という段階
に至った場合は、手術をすることで、肺等の内臓器官への悪影響を防止し、長い
意味での健康を確保することができます。
残念ながら、個々の患者さんでどれが「おとなしいタイプ」なのか、どれが
「過激なタイプ」なのかを診断する技術はまだ確立されていません。
ゆえに、あるコブ角を越えたら、全ての患者さんに対して装具療法をしましょう、
という治療方針が医師から示されるわけです。
抑え込めるだけ抑え込む、できうればコブ角の減少をはかりたい。それがなしえれば、
たとえ大人になって側弯が進んだとしても、手術を必要とするほどのカーブにまで
はならないようにコントロールできる可能性があるわけです。
医学/医療という現実を見つめるこころと目を持って欲しいと思います。
たとえ、手術が必要になったとしても、それは病気に負けたことではありません。
それは、手術することによって病気と闘う新しい体を手に入れたことなのです。
人として生まれてきた限りは、限りある命ですが、その命を大切にして、そして
できるだけ長くこの人生を生きていくこと。それが人に与えられた義務であり
権利だと思います。
///////////////////////////////////////////////////////////////////
ブログ内の関連記事
「突発性測わん症 発見時からの進行の確率とリスク」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b573de9c4bfe8951d301c99bd5a59524
「特発性側わん症治療の歴史」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/64e94954b659822bb5feb653871d210f
「マイルドカーブについて」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/555dca1476ce045bfc81a03cab3acf93
「脊柱側弯症治療体系」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/a3b49dccb03880d050d4e0b1fc9268a0
「お母さんは自分のことを責めないで下さい」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/22bf62ebf9707d847e57c1b56ceb81d8
得られた「意見」になります。客観的事実をメインとする当ブログの本旨からは
ちょっとはずれますがご了承下さい。
「測わん症は病気なのか ?」という患者さんからの疑問に回答したいと思いたって、この
トピックスを書きます。
まず第一に「側弯症」とは何か ? ということを理解するために、側弯症学会の
Q&Aページから下記の説明をご覧下さい。
「側弯症とは」http://www.sokuwan.jp/expl_01.html
その中から一部を引用させていただきます。
....脊柱を前から見ると、ほぼまっすぐな状態が正常で、横に10°以上曲がった状態
を脊柱側弯症と呼びます。.....
(ここから先はaugust03の説明なります。内容として逸脱している部分もあるかも
しれませんが、大意としては医学的理解から大きくずれてはいないと思います)
側弯症それ自体は一般的に考える「病気」という概念でとらえないほうが良いの
ではないかと思います。脊柱が曲がるということ自体は「原因不明の病気」である
ことには間違いないのですが、側弯症(特にその中の特発性側弯症)の患者さんを
混乱と混沌の中に巻き込んでいるのは、特発性側弯症それ自体は「病気」という
よりは、「病態」であることによります。「病気」と「病態」は似ていますが、
中身は異なります。さらに突き詰めていきますと、そもそも「病気」という概念
自体にかなり解釈に幅があることを理解する必要もあります。
ウイキペディア - 病気 -
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%85%E6%B0%97
ここでは次の定義を引用してみます。
病気とは「本人あるいは周囲が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」
側弯症はその初期には自他覚症状がほとんどありません。痛みがあるわけでもなく
、体調不良があるわけでなく、いわば「健康体」そのものです。
レントゲン撮影をして初めて「側弯症」という診断が下されます。つまり、骨の
変形が画像診断されること (外見的にも背中の曲がりやリブハンプがわかるように
なる)で「側弯症」であると医師から告げられるわけです。
診断されたからといって、患者さん本人には何の自覚症状も感じられません。
なぜならばその段階では、脊柱が曲がっているという状態(病態)を画像として確認
されただけだからです。そしてこの自覚症状のない状態はカーブが進行しない限り
は、ずっと続くことになります。
仮に診断時にコブ角25度であったとして、装具療法を1年~2年続けて骨成長期が
終わった時点(装具療法終了時点)で、コブ角25度のままであったとしたら、患者
さんは病気が治ったという自覚よりも、装具から解放された~、という思いのほう
が強く残るのではないでしょうか。なぜならば、他の多くの病気のように、投薬や
入院を必要とするような、痛みもほとんどなく (大半の患者さんは痛みの症状も
ありません)、発熱するわけでもなく、息切れ動悸があるわけでもなく、病気という
症状のない状態が続くからです。
そしてこのような状態で骨成長期を迎える患者さんが大半です。
しかし、一方では、発見時にすでに40度を超えていた患者さんや、装具でも抑えが
きかずにどんどんカーブが40度、50度と進む患者さんがいます。
このような患者さんでは、腰痛等の症状をおぼえる方もいます。しかし何よりも
大切なことは、(患者さん自身にやはり自覚症状がないのですが) 側弯進行により
肺機能が減少していく、ということを理解する必要があります。肺を中心として
内臓器官が圧迫されることで、本当の病気に繋がることが怖いのです。添付した
写真は側弯症により肺が圧迫されてる状態を示しています。これ自体が直接的に
死亡などに繋がることはまれですが、このような状態が人の健康に悪い影響を及ぼすことは
ご理解いただけると思います。
端的に言うならば、平均余命に影響することになります。
最悪のケースとしての死亡例を下記に提示します。
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/f2b5319c14f7f97bb72230c943239c7c
側弯症の怖いのは、患者さん本人にも周囲の方々にも、それが「健康を害する病気」
「いのちにも影響する病気」という感覚を与えないことであり、そのことが長期的
なスパンで見た場合、患者さんの寿命に直接影響を与えることになる、という点
なのです。
民間療法者(特に整体)による宣伝を見て、誰が側弯症が命に係わる病気なのだ
ということにおもいをはせるでしょうか? 背中の見た目が悪い/外観が悪い程度の
ことであり、それは整体にいけば「治る」と考えてしまう。
側弯症とは、その程度のもの。というイメージを世間に与えている。
そのイメージと、整体等による誤った(意図的な)情報がネットに流布している為に
、患者さんもそのご両親も治療方針でまごつくことになります。
手術は怖い、手術しなくても「治る」という宣伝を彼らはしていますが、ここに
添付したような胸郭が変形するまで進行した側弯症が、ユラユラと揺れるベッドに
乗るだけで、あるいは「痛いことをしない施術」で「治る」としたら、それは現代
科学の域をこえた魔術であり、詐欺的行為いがいのなにものでもありません。
側弯症は今日、明日にでも症状が激変して死に至るガンのような病気ではありませんが、
正しい治療を行わなければ、将来の自分の健康と平均寿命まで生きられるかどうか
という、そういう面に影響を及ぼす病気なのだと理解されると良いと思います。
健康に影響するという意味での側弯症のほかに、もうひとつは、精神面への影響が
あげられます。
特発性側弯症が、特に思春期の女の子に多い、ということがやはり状況を複雑に
していると思います。さらに、日本という風土、日本人の精神構造(メンタリティ)
がこの病気を普通の病気とは異なる様相を与える背景になっているでしょう。
誰しもが「見た目」は良いほうがいいと思うのは、人のこころです。
原因不明で曲がってしまった背中を誰にも知られたくない、と思うのは人の感情
として当然です。日本の社会環境のなかには、この病気がいわゆる病気として認知
され、病気を治療しているという感覚で周囲の人たちが認識する状態にはまだない
ようです。それが患者さんにとっても、ご両親にとっても辛い現実世界だと思います。
........このような面でも、整体等の民間療法者が側弯症の病気としての位置づけ
を本来の医療(メディカル)とは、別の次元に移してしまいました。
こども達に必要なのは、身体への治療と同時に精神面でのケアだと思います。
いわゆるメンタルケアが同時になされるべきだと思います。これは患者であるこども
だけではなく、そのご両親に対するケアも必要としています。
残念ながら、いまの医療現場(医療機関、医師等)では、そこまでのケアができる
状態ではありません。整形外科医がすべて側弯症専門医師ではありませんし、
側弯症専門医師にしても、いまの日本の医療制度/医療環境のもとでは、あまりに
忙しすぎて、こころのケアまでは手が届いていないのが実情だと思います。
それは医師の責任ではなく、小児科医師や産婦人科医師の減少をまねいて、
医療現場を崩壊に導いた行政や政治の貧困にみなもとがあります。
それでも一部の専門病院では、看護師等のスタッフも含めて病院全体のシステム
として患者さんをケアする体制と教育と、そして精神が満ちているところがある
ことが救いです。そのような病院が増えることを願うとともに、それまでの間は
患者さんがお互いにお互いのこころを支え合う道を探るしかないと思います。
私august03は側弯症患者ではありません。患者さんをケアできるのは、やはり患者
さん自身です。JUNAさん、kuraraさん、そしてブログを書かれているおかあさん
おとうさんが、情報を発信することで患者さんがたは歩むべき道が見えるのでは
ないかと思います。
側弯症は病気のひとつですが、病気そのものではありません。
脊柱が曲がるという病態を、いかにコントロールするか、が大切なのであり
側弯症を原因とする「病気」を作らないことが重要です。
専門医師のもとで正しい治療をしているかぎり、いたずらに不安を覚える必要は
ありません。不安症候群に陥ることは逆に身体不調の原因になります。自分で
病気を作り出すようなことはやめましょう。
側弯症は闘うことのできる病気です。その事実を忘れずに見つめて欲しいと思い
ます。
.......................................................................
下記に再度、診断と治療の現状を示します。
レントゲン撮影による側弯症診断にも幅があります。
10度以下の場合......正常
10度以上............側弯症 という分類の仕方
10度以下の場合......正常
10度~20度..........グレーゾーン
20度以上............側弯症 という分類の仕方
いずれの分類にしても、治療は25度~30度以上から装具療法となります。
装具の開始時期はコブ角だけで決定されるのではなく、患者さんの年齢等のリスク
を勘案して、判断されるものです。
30度未満の患者さんの約70%~80%は何の治療もしていなくても自然寛解または
コブ角が変化しない状態で骨成長期の終了を迎えます。自然寛解または変化なし、
ということを、“あえて”側弯症が治ったと表現するならば、30度未満の患者さん
では70~80%のこどもたちは「治る」ということです。
これを「おとなしい側弯」と呼ぶとすれば、一方では、「過激な側弯」もあります。
進行を抑えられない、どんどんと進む。40度を超えて、50度を超えて、という段階
に至った場合は、手術をすることで、肺等の内臓器官への悪影響を防止し、長い
意味での健康を確保することができます。
残念ながら、個々の患者さんでどれが「おとなしいタイプ」なのか、どれが
「過激なタイプ」なのかを診断する技術はまだ確立されていません。
ゆえに、あるコブ角を越えたら、全ての患者さんに対して装具療法をしましょう、
という治療方針が医師から示されるわけです。
抑え込めるだけ抑え込む、できうればコブ角の減少をはかりたい。それがなしえれば、
たとえ大人になって側弯が進んだとしても、手術を必要とするほどのカーブにまで
はならないようにコントロールできる可能性があるわけです。
医学/医療という現実を見つめるこころと目を持って欲しいと思います。
たとえ、手術が必要になったとしても、それは病気に負けたことではありません。
それは、手術することによって病気と闘う新しい体を手に入れたことなのです。
人として生まれてきた限りは、限りある命ですが、その命を大切にして、そして
できるだけ長くこの人生を生きていくこと。それが人に与えられた義務であり
権利だと思います。
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ブログ内の関連記事
「突発性測わん症 発見時からの進行の確率とリスク」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b573de9c4bfe8951d301c99bd5a59524
「特発性側わん症治療の歴史」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/64e94954b659822bb5feb653871d210f
「マイルドカーブについて」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/555dca1476ce045bfc81a03cab3acf93
「脊柱側弯症治療体系」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/a3b49dccb03880d050d4e0b1fc9268a0
「お母さんは自分のことを責めないで下さい」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/22bf62ebf9707d847e57c1b56ceb81d8