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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症が進行するリスク要因 骨減少

2008-03-15 14:15:42 | 特発性側弯症治療方針
(添付写真は、特殊なレントゲン撮影による検査で診断された骨減少の患者さんの
大腿骨骨頭部と脊椎です)

特発性側弯症の発症原因は不明です。しかし、そのことと、特発性側わん症の治療に
整体やカイロ等の民間療法が有効であるということとは一切結びつくものではありません。
彼らは原因不明であること、多くの場合(軽度そくわんの場合)に経過観察であること
装具療法に医師が関与する余地が少ないこと、手術が怖いというイメージを作り安い
こと、そして何よりも、思春期特発性測わん症が「命に影響しない」と考えている事
このような背景から、骨の矯正→整体/カイロ/ヨガというイメージを利用して自らの
商売に患者心理を利用しているだけです。

医学は日進月歩です。いま、皆さんに嘆願運動への協力をお願いしているVEPTRベプター
も、これまでにない画期的コンセプトと開発ドクターの長年にわたる努力から生まれた
新しい先天性側彎症患者さん用の治療デバイスです。

医学....あるいは科学と言うべきかもしれませんが....のすばらしさは、世界中の
医師が御互いに協力し、競争し、切磋琢磨し、情報と成果を共有しあって次のステージ
へと高められていくことです。

今回ご紹介するのは、もしかすれば「荒ぶるタイプのそくわん症」の原因解明に
繋がるかもしれないという研究発表です。「荒ぶるタイプ」というのは、august03
がこのブログ内で使用している個人的な表現です。おそらくこの表現のほうが皆さん
が理解しやすいのではないかと考えて使用しているだけで、医学用語ではありませんが、
このブログを読まれている皆さんにはおわかりいただけると思いますが、同じよう
な背景の患者さんに装具療法をしても、ある一定の割合で、装具で抑えられる患者
さんと、装具をしていても進行が止まらない患者さんが存在します。このふたつの
タイプについて、「おとなしい側彎」と「荒ぶる側彎」とこのブログ内では呼んできました。

側彎症専門の先生がたは、このふたつのタイプについて何が原因で進行が抑えられ
る患者さんと抑えられない患者さんがいるかについて研究を続けておられます。

その原因のひとつとして「骨減少」に注目している先生がおられます。現時点では
100%判明したわけではありませんが、臨床試験の結果から、側彎症が進行するリスク
要因のひとつとして大きく注目されています。


専門誌  J Bone Joint Surg Am. 2005 Dec;87(12)
タイトル Osteopenia: a new prognostic factor of curve progression in
     adolescent idiopathic scoliosis.
     骨減少: 思春期特発性そくわん症におけるカーブ進行の新しい予測要因

背景:研究によれば、思春期特発性側彎症の女子の27%~38%は全身性に骨減少が
見られることが示されている。この研究の目的は、骨減少が側彎カーブ進行を予測
する重要な指標になるかどうかを調査することである。
方法:特発性そく湾症の女子324人(平均年齢13.5歳)に対してプロスペクティブ試験
(前向き試験)を実施した。脊椎と大腿骨の骨密度を測定した。全ての患者を、骨成
熟に至るか、カーブが6度以上に進行するまでの期間、長期にわたり経過観察した。
カーブ進行の罹患率を予測する為に、統計解析手法を用いた。
結果:全体のカーブ進行罹患は50%であった。骨減少の有病率は、脊椎で27.5%、
大腿骨で23.1%であった。
発見時のカーブの大きさ(カーブの重篤度)、リッサーサイン(0~1などの場合)、
初潮の有無や時期、大腿骨頸部の骨減少の程度、年齢などがカーブ進行を予測する
重要なファクターであった。
結論:骨減少はカーブ進行の重要な原因であるかもしれない。思春期特発性側彎症に
おけるカーブ進行の予測方法として、骨密度の測定が役立つかもしれない。

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上記は概要文の和訳であり、文献本体を入手できていない為に詳細までは不明です
が、原因がわかれば対処方法(治療方法)へと繋がっていきます。
このような側彎症と骨密度の関係に注目した研究が進められていくことで、骨密度
との相関関係が証明できれば、治療や予防へと発展していくことができます。

この文献自体は2005年のものですので、さらに最近の文献等も調べていくことに
します。しかし、いまこの時点で言えることがあります。
それは、特発性側わん症のこどもたちは、装具を装着したままでもどんどんと運動
/スポーツに参加して、身体を鍛えたほうが良いということです。そくわん体操など
というものに期待するのではなく、本当の意味での「運動」をしたほうがいい。
骨減少、それ自体が病気ではありません。栄養をとり、そして運動をする、肉体に
負荷のかかる、汗をかくほどの運動をする。骨は、負荷(力がかかること)がないと
強くなりません。寝たきりになると身体がやせ細っていくのは身体に負荷がかかっ
ていない為です。運動をして、身体を動かして筋肉を鍛える、骨を鍛える。少なく
とも、運動することがプラスになることはあってもマイナスになることはありません。
逆にこどもの頃に運動しないことは、身体にとってマイナスにはなってもプラスに
なることはありません。
一日23時間の装具装着は辛いと思います。でも、それは安静にしていなさい、と
いう療法ではありません。鈴木信正先生は、「装具が壊れるくらいに運動しなさい」と
薦められています。


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ブログ内の関連記事
「側わん症と骨粗鬆予防」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/1a06dd7bca2ae1d382c8e4a470b7b74a

「メラトニンとそくわん症」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/896e6af964e2a081509dcfdf3ea391cc

「骨量減少とそくわん症との関係」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/d6608df005743ed064933f2f624c24b1

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    VEPTRベプターを厚労省に認めてもらうための嘆願運動の窓口

     側わん症:VEPTRの会
     http://blog.goo.ne.jp/dpkgs302/d/20080314

(上記文献のオリジナル英文)
BACKGROUND: Studies have shown that 27% to 38% of girls with adolescent
idiopathic scoliosis have systemic osteopenia. The aim of this study was to
investigate whether osteopenia could serve as one of the important
prognostic factors in predicting curve progression.
METHODS: A prospective
study was performed in 324 adolescent girls with adolescent idiopathic
scoliosis who had a mean age of thirteen and a half years. Bone mineral
density of the spine and both hips was measured at the time of the clinical
diagnosis of scoliosis. All patients were followed longitudinally until
skeletal maturity or until the curve had progressed > or =6 degrees .
The univariate chi-square test and stepwise logistic regression were used
to predict the prevalence of curve progression, and a receiver operating
characteristic curve was plotted. RESULTS: The overall prevalence of curve
progression was 50%. The prevalence of osteopenia at the spine and hips
was 27.5% and 23.1%, respectively.
A larger initial Cobb angle (odds ratio
= 4.6), a lower Risser grade (odds ratio = 4.7), premenarchal status (odds
ratio = 2.5), osteopenia in the femoral neck of the hip on the side of the
concavity (odds ratio = 2.3), and a younger age at the time of diagnosis
(odds ratio = 2.1) were identified as risk factors in predicting curve
progression.
A predictive model was established, and the area under the
receiver operating characteristic curve of the model was 0.80 (p <0.01). progression. The measurement of bone mineral density at the time of
diagnosis may serve as an additional objective measurement in predicting
curve progression in adolescent idiopathic scoliosis. The bone mineral
density-inclusive predictive model may be used in treatment planning for
patients with adolescent idiopathic scoliosis who are at high risk of curve
progression.







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