初回記載:2018年2月15日
学校のスクリーニング等で特発性側弯症の疑いあり、整形外科で診察を受けて下さい。と指示されたけど、軽く考えて、病院で検査を受けずにいる方への注意として、このトピックスを書いています。 特発性側弯症の影に隠れた病気があることを知って下さい。
資料:「側弯症治療の最前線」を参考として、このトピックスを記載しました。
南昌平先生「特発性側弯症と診断されたなかで、軽微な神経学的症状があるものの、こども自身がそれを自覚しておらず、MRI検査等により初めて脊髄空洞症が発見されることがあります。」
同書をベースに下図を作成
脊髄空洞症に関しては、インターネットにて検索することで多くの情報を入手することが可能です。
下記は1例として -
・脊髄空洞症では脊髄の機能が、数年~10数年かけてゆっくり低下します。知覚鈍麻や筋力低下が主な症状ですが、痛みや温度に対する感覚(温痛覚)は発症初期より障害されることが多く、このためやけどやけがをすることが多くなります。病気が進行すると、腕から手にかけて筋力が低下し、筋肉が萎縮してきます。巧緻(こうち)運動障害、筋萎縮を伴う筋力低下、上肢に強いしびれや痛み、歩行障害などのため日常生活が制限されるようになります。(亀田グループ医療ポータルサイトより)
ここでは、「特発性側弯症の疑いあり、整形外科で診察を受けて下さい」ということに焦点を絞って記載します。
・特発性側弯症のうち 数パーセントから10パーセントほどのこどもたちに「脊髄空洞症」が発見される
・こどもたちのうち60パーセントには自覚症状がない。 しかし、
・MRI検査をすることで診断できる
・側弯症の治療だけではなく、この「脊髄空洞症」の治療が絶対必要
・専門医のもとで、側弯症の経過と同時にこの「脊髄空洞症」の経過も観察して
・治療方針を決め、適切な時期に、適切な治療(手術)をすることが大切
(参考:グーグル検索にて「脊髄空洞症キアリ奇形と脊柱側弯 松本」や「キアリ奇形空洞症を合併した側弯症2例の手術経験 吉本」にて、医学文献をPDFでダウンロードすることができます)
側弯症との治療の様子については、アブストラクトからですが、次も参考になると思います。
けいゆう病院整形外科 篠崎 義雄
「脊柱側弯症で発見され3歳で手術を行ったChiariⅠ型奇形の1例 」臨床整形外科 39巻6号 (2004年6月)
われわれは脊柱側弯を呈し,MRI上脊髄空洞症を伴うChiariⅠ型奇形を認め手術を行った小児の1例を経験した.症例は3歳,女児.保健所の3歳時検診で側弯を指摘され,2000年10月,当院を受診した.頚部違和感があり,単純X線上Th8-L3右凸,Cobb角21°の側弯を認めた.2001年2月にはCobb角27°と側弯は進行し,腹壁反射が右側で消失していたためMRIを施行,両側小脳扁桃の下垂とC4-Th11の脊髄空洞症を認めた.同年5月に大後頭孔減圧,C1椎弓切除術を施行し,以後外来で側弯装具を着用し経過を見ている.現在側弯はCobb角13°と改善,MRI上も脊髄空洞の若干の縮小を認め,経過は良好である.われわれは側弯を伴った小児脊髄空洞症に対する手術について,Cobb角40°未満を可逆的な時期と判断し,この時期に脊髄空洞症に対する手術を行うべきと考えている.
(comment by august03)
・側弯症は整形外科・脊椎外科の先生が治療します。 また脊髄空洞症等は、整形/脊椎外科の先生が側弯症と共に治療する病院もあれば、側弯症は脊椎外科で診て、脊髄空洞症は脳外科の先生が治療する病院もあります。それぞれの病院の診察部門の成り立ちや勤務されている先生の状況によりますので、どこの病院に行くかについては、例えばグーグル検索で
「脊髄空洞症 側弯症 医療機関」 とか「キアリ奇形 特発性側弯症 病院」などのキーワードで検索して
表示された病院のホームページから、診療部門のページを探してみて下さい。
たとえばこちらの大学病院の場合は、側弯症は整形外科で診て、 脊髄空洞症は脳外科で診る というシステムになっています
こちらの場合は、ひとつの診療部門で側弯も脊髄空洞症も治療していることがわかります。
それぞれの病院にはそれぞれの特色があり、また先生がたは得意とする専門性をもっています。病院を受診する前にホームページで事前に調べたり、例えば、外来受付に電話をかけて看護婦さんから状況を聞いてみる等をすることで、スムースな診察、治療に臨むことができると思います。
august03
ブログ内の関連記事
「側弯症と脊髄空洞症」
「二分脊椎の発症を予防するために」
「側弯症の原因のひとつとしての Neural Axis abnormalities」
「二分脊椎と葉酸との重要な関係」
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資料:「側弯症治療の最前線」を参考として、このトピックスを記載しました。
南昌平先生「特発性側弯症と診断されたなかで、軽微な神経学的症状があるものの、こども自身がそれを自覚しておらず、MRI検査等により初めて脊髄空洞症が発見されることがあります。」
同書をベースに下図を作成
脊髄空洞症に関しては、インターネットにて検索することで多くの情報を入手することが可能です。
下記は1例として -
・脊髄空洞症では脊髄の機能が、数年~10数年かけてゆっくり低下します。知覚鈍麻や筋力低下が主な症状ですが、痛みや温度に対する感覚(温痛覚)は発症初期より障害されることが多く、このためやけどやけがをすることが多くなります。病気が進行すると、腕から手にかけて筋力が低下し、筋肉が萎縮してきます。巧緻(こうち)運動障害、筋萎縮を伴う筋力低下、上肢に強いしびれや痛み、歩行障害などのため日常生活が制限されるようになります。(亀田グループ医療ポータルサイトより)
ここでは、「特発性側弯症の疑いあり、整形外科で診察を受けて下さい」ということに焦点を絞って記載します。
・特発性側弯症のうち 数パーセントから10パーセントほどのこどもたちに「脊髄空洞症」が発見される
・こどもたちのうち60パーセントには自覚症状がない。 しかし、
・MRI検査をすることで診断できる
・側弯症の治療だけではなく、この「脊髄空洞症」の治療が絶対必要
・専門医のもとで、側弯症の経過と同時にこの「脊髄空洞症」の経過も観察して
・治療方針を決め、適切な時期に、適切な治療(手術)をすることが大切
(参考:グーグル検索にて「脊髄空洞症キアリ奇形と脊柱側弯 松本」や「キアリ奇形空洞症を合併した側弯症2例の手術経験 吉本」にて、医学文献をPDFでダウンロードすることができます)
側弯症との治療の様子については、アブストラクトからですが、次も参考になると思います。
けいゆう病院整形外科 篠崎 義雄
「脊柱側弯症で発見され3歳で手術を行ったChiariⅠ型奇形の1例 」臨床整形外科 39巻6号 (2004年6月)
われわれは脊柱側弯を呈し,MRI上脊髄空洞症を伴うChiariⅠ型奇形を認め手術を行った小児の1例を経験した.症例は3歳,女児.保健所の3歳時検診で側弯を指摘され,2000年10月,当院を受診した.頚部違和感があり,単純X線上Th8-L3右凸,Cobb角21°の側弯を認めた.2001年2月にはCobb角27°と側弯は進行し,腹壁反射が右側で消失していたためMRIを施行,両側小脳扁桃の下垂とC4-Th11の脊髄空洞症を認めた.同年5月に大後頭孔減圧,C1椎弓切除術を施行し,以後外来で側弯装具を着用し経過を見ている.現在側弯はCobb角13°と改善,MRI上も脊髄空洞の若干の縮小を認め,経過は良好である.われわれは側弯を伴った小児脊髄空洞症に対する手術について,Cobb角40°未満を可逆的な時期と判断し,この時期に脊髄空洞症に対する手術を行うべきと考えている.
(comment by august03)
・側弯症は整形外科・脊椎外科の先生が治療します。 また脊髄空洞症等は、整形/脊椎外科の先生が側弯症と共に治療する病院もあれば、側弯症は脊椎外科で診て、脊髄空洞症は脳外科の先生が治療する病院もあります。それぞれの病院の診察部門の成り立ちや勤務されている先生の状況によりますので、どこの病院に行くかについては、例えばグーグル検索で
「脊髄空洞症 側弯症 医療機関」 とか「キアリ奇形 特発性側弯症 病院」などのキーワードで検索して
表示された病院のホームページから、診療部門のページを探してみて下さい。
たとえばこちらの大学病院の場合は、側弯症は整形外科で診て、 脊髄空洞症は脳外科で診る というシステムになっています
こちらの場合は、ひとつの診療部門で側弯も脊髄空洞症も治療していることがわかります。
それぞれの病院にはそれぞれの特色があり、また先生がたは得意とする専門性をもっています。病院を受診する前にホームページで事前に調べたり、例えば、外来受付に電話をかけて看護婦さんから状況を聞いてみる等をすることで、スムースな診察、治療に臨むことができると思います。
august03
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