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Schroth文献の再整理 →もう一度読み直して、コメント追記しました

2018-02-23 15:42:59 | 側弯症と体操療法
初回記載:2018年2月12日
追加記載:2018年2月23日 ....①、②、③文献の簡約とコメントを追加


 コメントをいただいた内科の先生からのご指摘に基づいて、文献を再整理しています。
 内容の精査もあらためて行うこととにしますが、現時点では、下記に示すように
 文献を並べて直してみました。


①2015年 Sanja Schreiber
The effect of Schroth exercises added to the standard of care on the quality of life and muscle endurance in adolescents with idiopathic scoliosis-an assessor and statistician blinded randomized controlled trial: "SOSORT 2015 Award Winner

②2016年 Sanja Schreiber
Schroth Physiotherapeutic Scoliosis-Specific Exercises Added to the Standard of Care Lead to Better Cobb Angle Outcomes in Adolescents with Idiopathic Scoliosis an Assessor and
Statistician Blinded Randomized Controlled Trial

③2017年 Sanja Schreiber
Schroth physiotherapeutic scoliosis-specific exercises for adolescent idiopathic scoliosis: how many patients require treatment to prevent one deterioration? - results from a randomized controlled trial - "SOSORT 2017 Award Winner".

この3本は、同一の臨床試験に対する報告 (経過観察 6カ月まで)



2017年 Kenny Yat
Effectiveness of Schroth exercises during bracing in adolescent idiopathic scoliosis: results from a preliminary study-SOSORT Award 2017 Winner.

これは、別の臨床試験に対する報告  


(前回は、20~30本の文献を同時並行で進めている中で、類似した4本に混同が生じたりのが原因でした。
今回は、この4本だけに絞って、読み通してみることにします。 ご指摘ありがとうございました。 取り急ぎ、ご報告まで)

august03



追加記載:2018年2月23日 ....①2015年文献の簡約を追加

上記で示した①の研究報告の内容から、もっとも理解しやすい部分を抜き出して一覧にしてみました。またaugust03のコメントを吹き出しで追加しています。



(comment by august03)
・ランダマイズコントロール試験のスタート時点と3か月後の成績報告。ただし3か月後のコブ角は表記無し
・コブ角以外の成績は、SRS22という患者質問票を用いているため、ここでは表記しませんでした
・年齢、コブ角、リッサーには Schroth群と装具群では差がないと思います
・Schroth群では、17人が装具併用で、体操のみ実施は8人
・装具群では、17人が装具で、経過観察中が8人

ここからは批判的コメントになります。
・そもそも体操と装具の成績比較をする上で、25人 vs 25人 という参加人数が少なすぎる
・その少ない人数をさらに、数種類の装具群に分け、さらに複数の装着時間に分割したことにより
 その結果から見えてくるものの信頼性が低くなる
・試験から多様なアウトカムを見たいのであれば、相応の患者数であるべき
 わずか25人づつであれば、試験方法はもっとシンプルに
 「体操+TLSO装具(18時間以上)」vs 「TLSO装具(18時間以上)」などがありえるはず。
 この試験方法であれば、アウトカム(コブ角)は、体操+装具のほうが装具だけよりも有意に
 減少しているはず、という仮説を証明するための試験を行う(行った)と理解しやすいのですが。


追加記載:2018年2月23日 ....②2016年文献の結果表の追加

・本来、50人 vs 50人 (計100人) による臨床試験を計画していたが、事情により 50人の参加者を得たところで、新たな採用は
 中止となった。 (ようです)
・(患者背景等は上記表にて)
・6か月後の結果は、



・この成績をもとに Shcroth体操+装具は成績良好ということを文章で説明しています。



追加記載:2018年2月23日.......③2017年文献の結果表を追加




(comment by august03)
・表の右の吹き出しは august03のコメントです。
・この試験は、もしかすると次に実施される大規模臨床試験の為の「予備的」な位置づけとして
 実施されたものなのかもしれません。
 その位置づけでこの試験結果を見るならば、この体操療法による治療効果を適正なデータとして
 患者さんがたに示したいと考えている研究者の皆さんは、この25人vs25人の試験データをもとに、
 試験方法としての妥当性と同時に、次回はこういう風に修正したほうが良いとか、検討をされていることでしょう。
 
 この試験報告書内でも、参加人数の少ないことによるデータの限界については言及されていました。

・ただ、これまで読んできた20~30本の体操療法を推進する先生がたの研究報告の傾向としては、
 今回の臨床試験をベースとしてフェーズIIIの大規模臨床試験にもっていくとは予想できないのです。

・ビジネスとして展開することを目的とする医薬品や医療機器の製品開発では、
 フェーズI、フェーズII、フェーズIIIという3段階の臨床試験(治験)をへて、国の審査に合格することで、
 市販することが認めらます。

 IからII、IIIとフェーズが上がるごとに、参加してもらう患者さんの数は増えていきます。 
 簡単に言いますと、フェーズI,IIでは「安全性」が検証されて、IIIで「効果、有効性」があるかどうかを確認する。
 というステップを踏みます。

・しかし、医師が実施する今回のような「治療法」の効果検証の試臨床試験では、
 医薬品や医療機器の製品開発と同じような試験ステップを踏むとは思えません。 
 もちろん、今回の結果を踏まえて、さらに大人数の患者さんを用いた大規模臨床試験.....
 最低でも100人(shcroth体操+装具18時間以上) vs 100人(装具18時間以上)のような..... 
 を実施されたならば、そのときに初めて体操療法が装具のみと比較して、どれだけ効果を持つものであるかが、
 皆さんの目の前に示されることになりますので、ぜひとも期待して待ちたいと思います。

・残念ながら、この臨床試験からは
 Schroth体操+装具が、装具のみと比較して優れた効果があったとは思われません。

 その理由等については、別途記載してアップいたします。

august03
 

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