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かかりつけのお坊さん 奮闘編

転勤も定年もリストラもない、失うものは何もない最強な坊主が日頃の“感謝”を言葉にこめて、日常を綴ります。

お寺は期待されてなんかいない?

2012-06-16 21:18:39 | 坊主・ビー・アンビシャス
岩波書店の「広辞苑」を出して、
「お寺」という言葉を引いてみた。

【御寺】
①寺を丁寧にいう語
②「おてらさま」の略。寺の住職または僧の敬称。
 おてらさん。
③(寺の風習から) 物をもらって返礼しないこと。

最近、体調も回復して、食欲も増してきた。

だけど、気分は重い。

先日、市(行政)の方から、電話をいただいた。

その1週間前には、町内会長さんがおいでになって、

●●日に説明会を持つので、出席いただきたいとのこと。

町内会長さんの説明はこうだった。

私の寺の飛び地境内地を、県道に面してたところに

参詣者用駐車場として活用しているものがある。

車が10数台駐車できるほどの駐車場である。

その駐車場の一部を、児童の通学路として新設したいので、

市の方へ譲渡して欲しいという旨であった。


その当日、総代さんにもご出席をいただき、説明会に

出かけた。

説明は、わずか5分で終わった。

幅2メートル・長さ100メートルの歩道を新設する

事業計画であり、その工程表の提示もあった。

そこに関係する数名の地権者が呼ばれていた。

学校への通学路は、道路を通らない裏道の通学路がある。

しかし、そこは人が、人一人やっと通れる広さであり、

最近不審者情報も多く、通学路としては危険である。

という理由が示された。


「何か、質問・ご意見はありませんか」


「2メートルも切り取れたら、駐車場としては機能を
 失うんですけど、代替地というようなものは無いんですか」

「・・・・・・・・・・・・・」

どうも、そんな腹案は無いらしい。


私たち宗教法人は、また、公益法人でもある。

公共の利益に資する任を負う。

境内地は、いつも、市民に開放されている。

駐車場には、建前上、「ご用のない方の駐車はご遠慮

ください」とは、書いてあるが、実際、地域の人たちは

いろんな形で利用されている。

朝8時を過ぎると、保育園や幼稚園のスクールバスが

やってくる。そのバスの停車場所になっている。

お母さんたちは、車で子どもをうちの駐車場まで連れてきて

そこで、バスを待っておられる。

私が、僧侶の格好をして、そのお母さんたちの前を通っても、

何一つ、「すみません。お借りしてます」という言葉はない。

宅配業者も、堂々と車を止めて、配達をしている。

まあ、みなさんのおうちへ配達しておられるのだから、

そう思って、目をつぶっている。

以前、すぐ隣にコンビニがあった時、ゴミ、食べかすが

駐車場に散乱したこともあった。

自転車放置なんぞは、数限りがない。

わざわざ、ゴミを持って来て、うちの駐車場に捨てて帰る

おばちゃんもいる。

当然、今も、歩道の役目を十分果たしている。


今の駐車場は境内地である。
境内地は、礼拝施設があったり、墓地になっていたり、
参拝者用の駐車場となっていて、宗教活動の場であるから、
境内地なのだ。

その一部を切り取られたら、もう駐車場ではない。
でなかったら、境内地ではなく、雑種地となる。
今度は、そこに税金がかかってくる。


町内会からの要望があったから、市もそれを受けての事業だとの

説明もあった。

公共事業って何だろう。

公益性って何だろう。

95人が喜んで、5人は「泣け」というのか。


私は、法人の代表として、地域を敵にしなければならないのか。

法人も「人」である。

「お寺」は地域の人たちから、どんな評価を受けているのだろう。


私の心は、晴れない。



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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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境内地 (たてやと)
2012-06-20 10:48:37
複雑なご心境拝察します。
やはり市に対しては代替地を要求されて当然のように思います。
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