かかりつけのお坊さん 奮闘編

転勤も定年もリストラもない、失うものは何もない最強な坊主が日頃の“感謝”を言葉にこめて、日常を綴ります。

お寺が果たしてきた役割

2013-07-14 17:51:15 | 坊主・ビー・アンビシャス
きのうのこと、こんな電話がありました。
年のころは、熟年50歳代の女性の方と思われます。
結婚プランナーか、結婚までの男女の出会いを
コーディネイトされるお仕事なのか、そういう
類のような会社を、名のっておられました。

私が住職であることを確認した上で、次のような
お話が出たんです。

「ご住職さんが、檀家さんのお家へ行かれることは
 頻繁におありと思うんですけど、そんな檀家さんの
 なかで、結婚したいんだけどできないとか、相手を
 探していらっしゃるとか、そういう方は、
 いらっしゃいませんか?」

ちょっと、っていうか、大変驚きました。

今の時代、個人情報云々という時代ですよ。
そんな個人情報を教えてくれ。って、
普通、考えられませんし、
もっと言わせてもらえば、
俺のこと、バカにしとるんか
とでも、言いたい気分でした。

そこを何とか押さえて、
「私は住職という公人です。そんな立場の人間が
 個人の情報に関することを、べらべら喋ること
 など、できませんから」と、少しは声を荒げた
かもしれません。

相手は、「失礼しました」と、電話は切れました。

でも、私は、後味の悪い思いでした。

お寺とか、そこにいるお坊さんは、社会から、
何を求められているのか。期待されているのか。

逆に言えば、お寺に対する社会のイメージが、
まだまだ、誤解やら偏見に満ちているということの
歯がゆさ、みたいなものに、とても残念な気持ちに
なりました。

実は、昨年の5月7・14日と前・後編で放送された
NHKのテレビ番組「鶴瓶の家族に乾杯」で、安芸教区
の寺院が過去帳に類する帳簿を開示するということが、
起こりました。
その番組は、広島県出身のタレント●●●さんのルーツ
探しで、始まりました。
自分のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、生まれ、過ごした
故郷は、私の故郷。
鶴瓶と●●●さんは、早速、近くのお寺を探し始めます。

お寺へ行けば、なんかの情報がある。

もっと言えば、

お寺へ行って「過去帳」を見せてもらおう。

という発想が背景にありました。

そのお寺さんは、親切心から、過去帳ではなかったのですが、
それに類するものを、お二人に開示されたのです。

では、見せなければ、それでよかったのでしょうか。

私たちの教団には、過去帳の閲覧によって、身元調査に
加担してきたという、過去の歴史があります。
その問題を、1983年と97年の2回にわたって、
差別に向き合う学びをしてきました。
しかし、その学びから10数年、私たちの学びの成果は
完全に風化していました。
もともとは、本当の学びになっていなかったのかも
しれません。

ちょうどそのころ、NHKさんも、差別法名・差別墓石など
のキャンペーンを張って、私たちの学びを社会に発信して
くださいました。
そのNHKさんも、実は、その学びは、風化していました。


お寺へ行けば、なんかの情報がある。


そういう偏見が厳然と社会に根強く残っているということ。

そういう社会に、お寺やお坊さんは、
どう向き合っていけばいいのか。

きのうの電話は、あらためて、大きな課題を突きつけられたような
思いでした。

3.11以後、宗教・仏教が果たすべき役割は、また、
大きく変わりつつあると思っています。


皆さんの、思いも、少し聞いてみたいです。



広島ブログ
 
きょうも来てくださって、ありがとうございます
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