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春日井市の絵画教室、あとりえPOPアートスクールの教室風景や内容を中心に、アートについて広く記事にします。

私は手を挙げた

2014-04-14 20:20:41 | 作家活動の記録
「私は立候補したんだ。作家になるとは挙手することだ。私はあなたのために、あなたの代わりに作品を作るのだと」


昨日40才になった女流版画家と、ゆっくりお話しする時間がありました。
私は彼女のこの言葉に、非常に衝撃を与えられました。
感銘を受けたと同時に、己の足りなさも痛感し、無意識に鉛のような重い溜め息を残す自分が、そこにいました。

そこは彼女の個展会場。
この言葉を聞いてから、作品をもう一度ぐるり見渡せば、先までの線に芯を感じ、先までの人物に、命が宿って見えた不思議。

「先入観」という言葉がありますが、これは「後入観」とでも言いましょうか?
あることを境に、同じものの見え方が変わる。

作品は作家が作るものであり、作家そのものですから、作家の見え方が変われば、作品の見え方が変わるのは、ある意味当たり前のことです。
間違いなく、初めに芯や命を見抜けなかった私も、もしかしたら、最初から私にそう見せることができなかった彼女も、誤解を恐れずに言えば、まだまだ未熟なのです。

だから我々は求めるのです。
いつまでもいつまでも、逃げ水のようなそれを追い、作品にほとんどを語らせるだけの技と、偶然ではない確信を得るために、制作を繰り返す。
自分は未熟だと、永遠に思い続け、終わりなき求道は続く…

「そんな作品ができたらいい」ではなく、「そんな作品を作る自分になれたらいい」
作家は皆、そうやって求め、生きていくのでしょう。

それを私は忘れかけていました。
いや、その想いをしまい込んでいました。
いつからか、目の前の作品に満足するだけの、戦わない自分になっていた。

「ここから一番遠いところ」に繋がる道だと信じ、私も手を挙げたはずでした。
あなたのために描くのだと。
あなたの代わりに描くのだと…。


溜め息を持ち帰り、ひとつひとつ整理します。噛み砕きます。
それが今、私に一番必要なことでした。
そのきっかけをくれた彼女に感謝します。


森田朋展は今月27日まで、栄ハートフィールドギャラリーにて行われています。月火水曜日休み。
素晴らしい展覧会です。
是非ともご覧ください。


※写真は、紙にこだわり細部にこだわりな案内ハガキ。素敵ですが、サークルK駐車場で台無しな撮影m(_ _)m
コメント (9)
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