Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

2月に作ったミニパネルまとめ

2021-03-01 11:56:16 | パネル
順番は前後しますが、「銀河鉄道の夜」この2月は3枚のミニパネルを作りました。

「鳥を捕る人」

 

「こっちはすぐ喰べられます。どうです、少しおあがりなさい。」鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。「どうです。すこしたべてごらんなさい。」鳥捕りは、それを二つにちぎってわたしました。
(『銀河鉄道の夜』八 鳥を捕る人)

子供の頃に何度も見た、ますむらひろしの『銀河鉄道の夜』のアニメ。あの中で何故か子供心によく覚えているのが、二人が怪しげなおじさんから鳥の足(お菓子?)をもらう、この場面でした。鳥の足だけ、黄色のエマイユを焼き付けています。

「ほんとうのさいわい」

 

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
(『銀河鉄道の夜』九 ジョバンニの切符)

以前使った青と紫の混じった凸凹のガラスの、紫の部分を背景に使いました。このガラスは素直に切るのが難しいのでひたすらルーターで削る、削る…勿体ないけどその方が確実かも左上の青いガラスに、さそり座をペンルーターで彫っています。

「活版所」

 

「ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函をとりだして向うの電灯のたくさんついた、たてかけてある壁の隅の所へしゃがみ込むと小さなピンセットでまるで粟粒ぐらいの活字を次から次と拾いはじめました。(中略)ジョバンニは何べんも眼を拭いながら活字をだんだんひろいました。」
(『銀河鉄道の夜』ニ 活版所)

今まではティファニー風に人物だけ絵付けをして背景はガラスのテクスチャーで表現してきましたが、この作品は全てのガラスに絵付けをしています。ラトゥールのように周辺は暗く、ロウソクの炎の中で人物が浮かび上がるようなイメージです。背景の文字の滲みは油絵のオイルで描いたら偶然生じたものでしたが、この方がジョバンニの眼が霞んでいるという記述に合っていると思い、そのまま焼きました。

「銀河鉄道の夜」シリーズ、あと4、5枚作れたらいいなと思っています。


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