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中高年の健康管理「病気をしたら大騒ぎをしよう」

2006年09月05日 | コラム
ここ数年、音信が途絶えていた知人の奥さんから「主人が亡くなりました」という知らせが届いた。
昔の仕事仲間で、私よりいくつか年下のはずだから、還暦をちょっと過ぎたくらいだろう。すでに、葬儀は済ませたということだ が、お悔やみの電話を入れたところ、死因は膀胱がんだったという。
奥さんによると、昨年の秋頃から調子が悪かったそうだが、頑固な性格のため、医師に診てもらうことも、親戚や友人に知らせることもせず、自宅で細々と注文原稿をこなしていたという。
しかし、今年の春になって体調が悪化、ようやく医師の診察を受け膀胱がんであることが判明した。すぐに入院、手術をしたが、がんはかなり進行しており、いったんは帰宅したがすぐにまた入院、そのまま帰らぬ人となったという。
もう一人、やはり知人である女性が甲状腺がんの疑いがあるとかで悩んでいるという仲間からのメールが届いた。明るくて美人で開放的なその女性は、悩みを隠さず、数人の仲間に知らせたことから噂が私のところにも届いたのだ。
すぐに電話した。こういった話はメールよりも電話の方がいい。以下は彼女の話だ。傷をした憶えもないのに首にグリグリができ、ある大学病院で診てもらったところ、甲状腺がんで、手術をするか放射線療法にするか選択してほしいといわれたという。このことを数人に知らせたところ、見舞いや激励のメールが殺到した。その中に、かつて甲状腺がんと診断されて手術をしたが、もう二十年も経つのに再発もしていないという友人が、自分が治療してもらった、ある町医者を紹介してくれた。その医師を訪ね、診察してもらったところ、がんではなく良性の腫瘍だといわれたという。
これは以前にも書いたことがあるが、大学病院でがんだと診断されたのを、一介の町医者が、がんではないといい切るのはかなり勇気のいることでよほど自信がなければ出来ることではない。しかし、その医師は確信があるという。
そして、その診断結果を持って再び件の大学病院を訪れたら、「がんだと断定したわけではなく、その疑いがあるといっただけだ」と言い訳をしていたが、最後には、しぶしぶ間違っていたことを認めたという。「友人にメールを打ってよかった」というのが彼女の感想だ。
この二つの事例から、かつて免疫学の大家である順天堂大学の奥村康教授が「病気になったら大騒ぎすべきです。隠しておいていいことは何もありません」といわれたことを思い出した。大騒ぎして、いろいろな人の意見を聞くのがいちばんだというのだ。 中には変な健康食品を薦めてくれたり、宗教を紹介してくれるお節介な人間もいるが、そんなのは無視すればいい。
私も病気になったら大騒ぎしようと思っている。(ヘルシスト編集部 鏑木長夫)



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