ブログ あさふれ

朝日新聞読者の皆様へ「あさひふれんど千葉」が地域に密着した情報をお届け!

人&ライフ 醍醐照夫さん

2005年08月03日 | コラム
 醍醐さんが円空彫りを初めて目にしたのはもう20年ほど前のこと。旅先での遭遇だった。「その素朴な荒々しさに惹きつけられました」
 自身が彫り始めたのは9年前。単身赴任で浜松在住中のこと。
「一人暮らしというのは空虚なものです。無為に過ごす事も多かったですね」。そんなある日、新聞で円空彫り講座の募集広告を目にした。「あっ、円空」とあの日の感動を思い出し、迷わず訪ねた。「特に信仰心が厚いわけでもなく、暇つぶしでした」。指導を受け6年。殺風景な男所帯に何体もの仏像が並び「友人に気味悪がられたこともあります」と苦笑する。
 定年を迎え千葉へ戻ることに。円空を学び始めて、彫刻そのものの奥深さもさることながら、生涯に12万体もの仏像を彫ったという、かれの生き様にも強く惹かれるものを感じていた。そんな醍醐さんに円空彫りを捨てる気はなかった。さりとて千葉には講座が見当たらない。師の勧めもあり、独自に作彫を続けながら教室を開くことに。
 昨年6月、若葉区千城台公民館で開講した。全国を行脚しながら寺や民家に宿泊。その礼にと仏像を彫り残してきた円空に思いを馳せ、鉈を振るいノミを当てる。月1体の割合で彫り続けている。できあがった作品は「愛おしく」思わず手を合わせたくなることもあるが、「仏を彫る」事の深い境地には「なかなか至ることができません。まだまだ彫刻としての仏像です」「上手くやろうとするとかえって思うようになりません。作為や邪念のない素直な気持ちで対峙することが大事だと痛感しています」
 講座は「同世代の方々の定年後の癒しになれば」とサラリーマン向けに週末の教室を増やしていきたいと話している。       
文 やまもとみどり

最新の画像もっと見る