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人&ライフ 小川初江さん

2006年09月14日 | コラム
 千葉県芝山の野菜農園を営む家に生まれ、農協に勤めていた小川さんが縁あって花見川区の「薔薇農園」へ嫁いで37年。「薔薇栽培一筋の人生」かと思えばそうではなかった。
「もちろん家業は夫ともども一直線に真面目に務めてまいりました」。「真面目が一番」を常々身上とする小川さんは異様なまでにデリケートな薔薇という花と向き合い、奮闘の毎日だった。そんな無我夢中で過ぎていく日々、にふと、言いようのない不安を覚えることがあった。
「何だか自分自身を見失ってしまいそうな気がしたんです」と振り返る。絶え間の無い作業はゆっくり考える隙を与えてくれない。取るものも取りあえず飛び込んだ先が、近所で開かれていた日本舞踊教室だった。
「何でも良かったんです。家業以外の時間が持てれば」。
 「週に1回、2時間の時間をくれないようなら仕事はしない」と夫や姑に宣言。当時はまだ「農家の嫁が習い事など」という時代。そんな世間の目を尻目にひたすら通い続け、弟子をとり現在は自宅と公民館で教えている。
「花の栽培は嫌いじゃありませんでした。薔薇は大変ですが手をかければ応えてくれ、愛おしさを感じました」と花への思い入れも強く、それはアレンジメントへの道へと繋がった。「新しい感性を」と現在も通う教室は「私にとって最高に楽しく貴重な時間」と足しげく通い趣味の域はとうに超えた。やはり自宅や公民館で教え、イベント関係仕事も入るなど、家業以外の「花」とのお付き合いも忙しい。
先生として花と踊りの両輪を続けながら、今は夫と息子が中心となった家業にも「まだまだ私の仕事はあります」と、ビニールハウスへ向かう足どりは軽い。
   文 やまもとみどり

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