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こんなことに気をつけよう 中古年の健康管理「とんでもダイエット本

2006年09月14日 | コラム
先日、家にいてテレビのチャンネルを次から次へと変えながら画面を見るともなく見ていたら、ある局でダイエットに関する番組を流していた。普通、このような場合はすぐにチャンネルを変えてしまうのだが、「間違いダイエット」という言葉と「ヨーグルトはダイエットによくない」という言葉が聞こえてきたので、そのまま見続けることにした。途中からなので最初の方はわからないが、ゲストの女性栄養士が、間違いダイエットの一例として「ヨーグルトはお腹をこわし、アレルギーの原因にもなるので食べないほうがいい」といっていたのにびっくりした。番組の最後に栄養士の名前と著書の紹介があったので、翌日、新宿の紀伊国屋書店で本を購入した。
この書店の実用書コーナーを見て改めて驚いた。なんとダイエットや美容に関する本がワンサとあるではないか。
早速、件の本のヨーグルトに関するページを開いてみたら、「お通じをよくするというヨーグルト神話の弊害」というタイトルで、要旨次のようにあった。「ヨーグルトを食べると便通がよくなるとか、花粉症にいいだとか持ち上げられているが、私はそうは思わない。なぜなら、日本人は乳製品をうまく消化することが出来ないからで、日本人の約八割は乳製品を分解する酵素を持っていない。
無理して乳製品を摂ると、腸の内側に膜を作ってしまい、栄養の吸収が悪くなり、花粉症などアレルギー症状を起こす原因になる。便通がよくなったと感じるのは単に消化できずにお腹をこわしているだけだ」
この栄養士がどう思おうと勝手だが、たったこれだけの文章の中に、間違いや疑問点がいくつもある。まず、日本人は乳製品を分解する酵素を持っていない、というのは牛乳中の乳糖を分解する酵素のことで、この酵素を持っていない日本人に、牛乳を飲むと下痢をする乳糖不耐症が多いことは事実だ。しかし、これは牛乳のことであってヨーグルトなど発酵乳製品は乳酸菌などによって乳糖があらかじめ分解されているからヨーグルトで下痢をするなどということはまずない。
次に、ヨーグルトに花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー症状を軽減する効果があるという学術報告はいくつもあるが、ヨーグルトがアレルギーを促進するというデータはどこにあるのだろうか。
また、「ヨーグルトが腸に膜を作り、栄養分の吸収を妨げる」という珍説にも初めて出会った。
「便通がよくなるというのも単にお腹をこわしているだけ」というのは珍説を通り越して暴論である。ヨーグルトが便通をよくするのは、ヨーグルト中に含まれている乳酸菌が腸内で作る有機酸が腸を刺激するためで、この「お腹の調子を整える」という整腸効果は特定保健用食品として認定されている。
すべてのダイエット本がこの調子で書かれているわけではないと思うが、何か恐ろしくなってきた。なんでこんな本が売れるのだろうか。(鏑木長夫)




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