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中高年の健康管理「ど忘れのミステリー」

2006年05月17日 | コラム
最近、物忘れが激しくなってきたことは自分でも認めざるを得ない。友人と話している時に、人名、地名、物の名などとっさに思い出せず、苦笑でごまかすこともしばしばだが、幸いなことに相手も同じらしく、まあ仕方がないかとあきらめている。
 しかし、こういった度忘れはしばらくすると思い出す。思い出せず、そのまま忘れたことを忘れてしまうこともあるだろうが、そのていどの事なら思い出せなくてもたいしたことはない。
 ところが、最近、不思議な経験をして、未だに解決がつかないでイライラしている。
出勤途上のことだった。いつものように、新橋駅を出て早朝の商店街を歩いていたら、向こうから中年の女性が歩いてきた。足が不自由らしく、ちょっと右足を引きずっている。 顔が見えてきた。それほど美人でもなく、どこといって特徴のある顔でもない。しかし、ひと目見た瞬間、どこかで会ったことがある人だと思い出し、軽く挨拶した。女性も挨拶を返してくれた。
 問題はそれからだ。いつ、どこで会ったのかが思い出せない。しかし、これはよくあることだから、そのうち思い出すだろうと放っておいた。ところが、それから何回も会って挨拶を交わすのだが、依然として、どこの誰だったのかが思い出せない。居酒屋?喫茶店?飲食店?本屋?文具店?スーパー?コンビニ?新橋で会いそうな場所の記憶を次々にたどってみたが、思い出せない。ひょっとしたら新橋以外で会った可能性もあると思い、記憶の範囲を広げてみたが、やはり思い出せない。さあ、こうなると、気になって仕方がない。
 毎朝というわけではなく、二、三日に一度会うかどうかなのだが、もう二か月以上、こういう状態が続いてしまった。
 そこで、ある日、思い切って尋ねてみた。「おはようございます。何回かお会いしてご挨拶しているのですが、以前、どこでお会いしたのか、思い出せません。失礼ですが、どこでお会いしましたっけ?」、すると件の女性、「私もあなたに挨拶されてから、どこでお会いしたのか思い出そうとしたのですが、思い出せません。多分、ご挨拶されたときが初対面だったと思うのですが…」
 さあ、わからなくなってしまった。私は確かに女性の顔に記憶があるのだが、相手はないという。相手が接客業の女性で、こちらはその店に行ったことがある不特定多数の客の一人だったら、相手が憶えていないのに、こちらだけが顔を憶えているということはあり得るが、そうでもなさそうだ。
 記憶には、記銘(憶える)・保持(維持する)・想起(思い出す)の三段階があり、想起の段階でちょっと問題が生じるのを度忘れというらしいが、私の場合は記銘の段階で問題が生じてしまったのだろうか。
 この大型連休が終われば、またその女性に会うと思うが、暫く挨拶だけは続けようと思っている。


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