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中高年の健康「食事は質と同時にタイミングを」

2006年07月03日 | コラム
 このほど発表された国民健康・栄養調査(平成十六年)結果には、いろいろ考えさせられる内容が含まれている。その一つが前回ご紹介したメタボリックシンドロームだが、その前提となる肥満と食事内容について考えてみたい。
 調査結果によると、日本人の栄養状態はさらにコンパクトになってきた。総摂取エネルギーに占める脂肪からの摂取割合(脂肪エネルギー比)が、上限値である二五%を上回って久しかったが、やっと改善され、二四・五%になったのだ。なんとこれは二十年振りのことだという。
 二十年前というと、食事の欧米化が進み、同時に疾病構造の欧米化が心配され始めた頃のことである。この調査結果では同時に、日本人の脂肪摂取量も減少傾向にあることを示しているから、現象的には食の欧米化に歯止めがかかったともいえる。
 ところが、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の最大リスクである肥満者は二十年前と比べ、男性はすべての年齢階級で激増しており、女性は五十歳以降で増えている。
 食事内容は理想に近づいているのに、なぜ肥満者が激増しているのだろうか。理由は三つ考えられる。
 一つは、この調査結果というのはあくまでも全体の平均値であり、脂肪の摂取を控え、コンパクトな食事をしている人と、相変わらず脂肪リッチな食事をしている人とが共存する、食事の二極分化がさらに進んでいるのではないかということだ。そういえば、昼間から脂っこいラーメンやとんかつなどに舌鼓を打っている中高年者も多い。
 二つ目は、運動量の絶対的な不足である。運動習慣のある者の割合の年次推移をみると、十年前に比べ、総数としては横ばいだが、男女とも三十~四十歳代に低下傾向がみられる。
 そして、男性では六十歳以降、女性では五十歳以降、運動を始める人が増えてくるのだが、おそらく健診などで異常が発見され、あわてて運動を始めるのではないだろうか。
 摂取エネルギー量が適正でも、運動量が少なければ、余ったエネルギーが脂肪に変わり肥満になる。
 三つ目は、この調査結果からではわからないが、食事のタイミングにあるのではないだろうか。一日の摂取エネルギー量は同じでも、寝る前などにまとめて食べると太るのは力士の食生活をみればよくわかる。ただ彼らは物凄い量の運動をこなしているから、エネルギーは脂肪だけでなく筋肉や骨にも変わる。
 しかし、これは力士だからであって、運動をしない我々がこのようなことをしたら、確実に脂肪太りにつながる。とくに中高年者は基礎代謝が落ちており、ほんの少しの余剰エネルギーでも脂肪に転換される。夜型生活が肥満を招いているともいえるのだ。
(ヘルシスト編集部 鏑木長夫)


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