あろてあろあ日記

単なる日記です。特にテーマもありません。
目的地を定めない旅行もいいものです。

立場

2007-01-13 | Weblog
おとといになりますが,ちょっと共感した番組がありました



NHKの『プロフェッショナル~仕事の流儀』という番組で,弁護士の村松謙一という人をテーマにしていました。

この弁護士は企業再生を専門に扱っている弁護士らしく,それも,中小企業を中心にしているようです。

番組の中で,「風邪引いている人に対して,『なんで風邪引いたんだ!』,と問い詰めても仕方がないのと同じように,経営が悪化して弱った会社に厳しくせめても仕方がない』という趣旨のことを言っていました。



刑事裁判で,裁判の最後に『被告人質問』があり,そこで被告人が反省の弁などを述べます。
そのときに,検察官も尋問をするのですが,中には,厳しい質問をする検察官がいます。


「お金がなくて,どうしようもなく盗んでしまった」という被告人に対しては,「あなたがお金がなくて困ってしまうと,何でも盗んでしまうんですか!」とか,もう二度とやらないといっている被告人に対して「もう二度とやらないなんて何で言えるんですか!根拠は?」とか,再犯の被告人に「前回の裁判で『二度とやらない』といったのは,ウソだったのですか!」とか。

被告人が年寄りだったり,ちょっと精神的な疾患を抱えているような人に対してさえも,厳しい尋問をしている検察官をみると,ちょっと嫌な気持ちになります。
それも,ベテランの検察官はあまり質問しても仕方がないと考えているのか,こういうことはせず,専ら若い検察官にこの傾向が強いように感じるので,余計やりきれません。


確かに,被告人が厳しく責任の追求をされることは,その反省のきっかけのひとつとしてなくてはならないとおもいます。

ですが,僕はなんとなく,民事も含めて,失敗をした人をあまり問い詰めても意味はなく,それよりその人が立ち直るためにはこれからどうして行ったらいいかを考えるほうが,その人にとっても,社会にとっても,大事なのではないか,と思ってしまいます。死刑を除いて,その人を永久に刑務所に入れておくわけにはいかず,いつかは社会に戻ってくるのですから。

唯一の例外は,汚職事件の政治家や官僚ですが,それも直接本人を前にすれば,気が変わるかもしれません



検察官・裁判官・弁護士とそれぞれ異なる立場に立つから,いろいろな利益を裁判に反映させることができるのであって,裁判が適正になされるためにはどれも不可欠の役割があります。


ただ,僕としては,弁護士が果たすべき役割を担いたいと思うだけで,その意味で,冒頭の番組はなかなかシンパシーを感じることができました。企業を扱うか,直接的に人間を扱うかという違いはありますが,方向性としては同じような弁護士になりたいです。


興味がある方は,総合テレビで1月18日午前1時35分から再放送をやるようなので,録画するなどして見てみてください。


http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070111/index.html