ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

岡澤浩太郎【巨匠の失敗作】

2014-10-14 | and others

巨匠って、例えば?と、目次をぱらぱら。
とりあげられているのは、ああ、そうね、という15の名前と作品でした。

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 巨匠の失敗作

 著者:岡澤 浩太郎
 発行:東京書籍
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ダ・ヴィンチ。ミケランジェロ、フェルメール、北斎、ドラクロワ、セザンヌ、モネ。
ゴッホ、ムンク、マティス、ピカソ、デュシャン、岡本太郎、ポロック、ウォーホル。
いずれ劣らぬ有名さです。

帯にあるのは次の文章。
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天才・ミケランジェロの代表作≪ダヴィデ像≫の欠点とは?
ミケランジェロ、フェルメール、ゴッホ、ムンク、ピカソ、ウォーホル、葛飾北斎など、 美術史にかがやく15人の巨匠と代表作の<真相>を、原田マハ、福岡伸一、平野啓一郎、山口晃など、作家、専門家や関係者への取材を通して再検証する。
今までの「アートの見方」をくつがえす挑発的入門書!

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作品へ向ける視点、思いは千差万別、称賛も批判もあっていいというのは明白なこと。
言われなくても、みんなそうやって、絵画や彫刻、その他の美術、芸術に向き合っていると思うのです。知識がなければなおのこと素直に。
それを改めて語って、取材しているこの本は、さくさくっと読むのにちょうどよい感じです。
まあ、わざわざ、斜に構えてみる必要もないのではなかろうかとは思いますけれど。

このタイトルもしかり。
いかにも「売らんかな」と感じがするなぁと思いつつ、それにつられてうかうかと手にして読んでいるのですから、飛んで火に入る夏の虫。
意外な言葉の組み合わせというのは、ぴったりな組み合わせよりも目をひきます。
つい、気になってしまうのですよねー。

一番印象に残ったのは、モネ「睡蓮」の章で取材にこたえている原田マハさんの言葉でした。
私があるアーティストをモデルに小説を書く場合にひとつだけ絶対に決めていることがあるんです。それはアーティストを貶めないこと、尊敬を持って書くことです。”もしかしたらそういうヒューマンドラマがあったかもしれないから、素晴らしい生まれたんだ”という想像をするのは小説家の領域です。小説という表現の中で勇気を持って、祈りながら、自由に書かせていただいているという感謝の気持ちが常にあるんです。

ジヴェルニーの食卓』の美しい印象は、いまだ私の中では強く残っています。
まさに、この想いで書かれた作品たちであったと思います。

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 ジヴェルニーの食卓
 著者:原田 マハ
 発行:集英社
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