夏休みを控えた文庫フェアで買い込んできたうちの1冊。
夏は、少年少女が主人公の物語が読みたくなる。
百万の手
著者:畠中 恵
発行:東京創元社
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音村夏貴。
11歳で父親を亡くして、それ以来母親と二人きり。
母親のやや常軌を逸した感のある愛情は14歳の少年には(そうでなくても)精神的負担が大きい。
彼はストレスが原因の過呼吸の症状を抱えている。
父親を自分に重ねる母親から逃げるようにして、親友・日野正哉に会いに行こうとしたある日の夕方。
親友の家は火事に見舞われ、燃えていた。
正哉は両親を助けるために燃える家に飛び込み、帰らぬ人となった。
あまりにも不審な事件。
兄弟のように近い距離で生きてきた親友の突然の死。
泣くこともできないほどの喪失感の中にいた夏貴は、正哉の残した携帯電話に語りかける。
すると、その携帯から死んだはずの親友の声が。
事件の真相が知りたい。
何故、死ななければならなかったのか。
二人の追及が始まる。
不審な火事は放火。
焼け跡に現れる少女。
と、物語は始まるのだけれど、思いも寄らない方向へ進んで行く。
(こっちへ?という感じ。帯や裏表紙の文章からは想像しませんでした。)
いつの間にか滑り込んでくる重いテーマ。
衝撃的な出だしながら、ややゆったりとした印象の前半から、急展開をみせる後半の勢いにつられて読むスピードも上がった。
善悪。明暗。楽観と悲観。あるべき姿と現実の間に揺れ動く心をもてあます夏貴。
物語の後半、夏貴を助けることになる母の婚約者・東。
やや類型的かと思われるが、登場人物はなかなか魅力的。
魅力的だから、類型的と感じるのかもしれない。
いいぞ、親父候補の東くん。
とても、とても、真っ当な、まっすぐな物語だと思う。
生きて在ることへの全肯定。
読後感はさわやかであり、非常に前向きなのだが、夏貴の行く末を思うと、彼の背負うものの重さにため息がでた。
「しゃばけ」シリーズの著者の作品。
時代物で人気の方なのに、何故か、現代ものから入ってしまった。
淀みのない筋運びと、さらりとした文章は、清明な少年の物語に似合っていたと思う。
しゃばけのほんわかさも好きですが、暗く追い詰められていくような緊迫感あるこの作品も好きになりました。
畠中恵さんの本が楽しくですきですv
よかったら私のブログに遊びにきてください^^
コメントありがとうございます。
畠中恵さん、人気ですね。
私もこれから若旦那のシリーズを読むのを楽しみにしています。
ブログ、おじゃまさせていただきます。
10月、フジテレビだったような・・・
ブログにアップしましたので興味があればどうぞ
10月っていうと、すぐですね。
読まなきゃ!TVのイメージを刷り込まれる前に。