待機児童の解消の見通しが立たない一方,幼稚園には定員に満たないところがある.格差社会のため共働きが増えて需要が幼稚園から保育園にシフトしているためだ.となると,幼稚園の空きを保育園不足の解消に利用できないだろうか,という話になるが,それがなかなか進まない事情が朝日新聞でまとめられていた.
乳幼児が対象となること,預かり時間が長いこと,土曜や長期休みにも職員が必要なこと,給食が義務付けられることなど,幼稚園が保育園の役割を果たすにはやはりハードルが高い.さらに幼稚園は保護者にも園の行事に積極的に参加してもらうところが多く,保育園のように「預かってくれればいい」という保護者が増えることへの不安があるとの指摘も.(それにしても,幼稚園での保護者(役員になった人)の負担は今の時代,大きすぎるように思うのだが,それはまた別の問題.)役所は,幼稚園と保育園を一体化した「認定こども園」への移行を推進していたように思うが,それが一向に進まないのも似たような理由だろう.
それにしても,幼稚園の定員の実に3分の1が空いているというから,余力で保育サービスを提供することは幼稚園の経営にとってもメリットになるはずだ.ここはやはり,「どの程度の要求なら定員割れで困っている幼稚園が応じてくれるか」という見方で枠組みを考え直したほうがいい.「園の利益ではなくあるべき社会のあり方を考えて制度設計する」というのは理想ではあるが,資本主義社会ではそれではことは進まない.
横浜市には,通常の幼稚園の保育時間の前後を含めて,7:30~18:30は幼稚園で預かってくれるという預かり保育がある.もちろん長期休暇中も同様に預かってもらえる.フルタイムで働いている人にはぎりぎりかもしれないが,それでも利用している共働き家庭は多いようだ.
需要の多い3歳未満などに対象を広げるのは難しいが,3歳からであれば,このような幼稚園の保育時間の延長の感覚で利用できるシステムがもっと広がってもいいように思う.他の自治体ではどうなのだろう.
関連記事:
「待機児童ゼロのために,具体的に何が必要か」(10月12日)
「待機児童対策:大規模マンション新築には保育施設併設義務付けが必要」(11月1日)
「待機児童を放置して認可保育園の無償化を進めるのは不公平の助長では?」(11月7日)
「保育園不足に幼稚園の空きを活用するには?」(11月8日)
「幼児教育無償化:民意が安倍政権を動かしたが…」(11月16日)
「やっぱりおかしい,政府の「幼児教育無償化」策」(11月17日)
「幼児教育無償化:拙速な公約を正す公約違反なら歓迎だ」(11月18日)
「続・選挙で負けても世論で政府を動かせる」(11月21日)
追記:翌11月9日の朝日新聞では企業が運営費の助成を受けて整備する保育所が取り上げられていた.ただ,昨年度に助成が決まった施設のうち,待機児童が50人以上いた自治体で受け皿となったのは定員ベースで4割弱(8112人),その一方3割強は待機児童ゼロの自治体のものだったという.ただ,待機児童「2人」と発表した横浜で実は隠れ待機児童が3257人もいた(11月1日のブログ)ように,待機児童ゼロの自治体だったからといって役に立たないと判断するのは早計だろう.もともと,企業主導型の保育所は企業の社員向けの福利厚生という位置付けで,地域の子供も定員の半分まで受け入れられるというものだ.需要と供給の「ミスマッチ」は注意しないと無駄ができるが,もう少し慎重に検討したい.
乳幼児が対象となること,預かり時間が長いこと,土曜や長期休みにも職員が必要なこと,給食が義務付けられることなど,幼稚園が保育園の役割を果たすにはやはりハードルが高い.さらに幼稚園は保護者にも園の行事に積極的に参加してもらうところが多く,保育園のように「預かってくれればいい」という保護者が増えることへの不安があるとの指摘も.(それにしても,幼稚園での保護者(役員になった人)の負担は今の時代,大きすぎるように思うのだが,それはまた別の問題.)役所は,幼稚園と保育園を一体化した「認定こども園」への移行を推進していたように思うが,それが一向に進まないのも似たような理由だろう.
それにしても,幼稚園の定員の実に3分の1が空いているというから,余力で保育サービスを提供することは幼稚園の経営にとってもメリットになるはずだ.ここはやはり,「どの程度の要求なら定員割れで困っている幼稚園が応じてくれるか」という見方で枠組みを考え直したほうがいい.「園の利益ではなくあるべき社会のあり方を考えて制度設計する」というのは理想ではあるが,資本主義社会ではそれではことは進まない.
横浜市には,通常の幼稚園の保育時間の前後を含めて,7:30~18:30は幼稚園で預かってくれるという預かり保育がある.もちろん長期休暇中も同様に預かってもらえる.フルタイムで働いている人にはぎりぎりかもしれないが,それでも利用している共働き家庭は多いようだ.
需要の多い3歳未満などに対象を広げるのは難しいが,3歳からであれば,このような幼稚園の保育時間の延長の感覚で利用できるシステムがもっと広がってもいいように思う.他の自治体ではどうなのだろう.
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追記:翌11月9日の朝日新聞では企業が運営費の助成を受けて整備する保育所が取り上げられていた.ただ,昨年度に助成が決まった施設のうち,待機児童が50人以上いた自治体で受け皿となったのは定員ベースで4割弱(8112人),その一方3割強は待機児童ゼロの自治体のものだったという.ただ,待機児童「2人」と発表した横浜で実は隠れ待機児童が3257人もいた(11月1日のブログ)ように,待機児童ゼロの自治体だったからといって役に立たないと判断するのは早計だろう.もともと,企業主導型の保育所は企業の社員向けの福利厚生という位置付けで,地域の子供も定員の半分まで受け入れられるというものだ.需要と供給の「ミスマッチ」は注意しないと無駄ができるが,もう少し慎重に検討したい.