リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

待機児童を放置して認可保育園の無償化を進めるのは不公平の助長では?

2017-11-07 | 待機児童
11月6日の朝日新聞朝刊によれば,政府が進める幼児教育の無償化について,認可外保育園は無償化の対象外とする方向で検討しているという.だが待機児童が一向に解消されない現状をよそに,認可保育園のみ無償化するというのは順序が違うのではないだろうか.
待機児童問題については10月12日のブログでも書いたように予算を割けばそれだけで解決するというものでもないが,それにしても,そもそも保育園に預けたくても預けられない人が多数いる状況を何とかするのが先決ではないだろうか.(毎回言うように,共働きを希望しない人まで働かざるを得ないような格差社会を何とかすることも忘れてはならないが,それは別の話.)
しかも幼児教育を完全に無償化するならともかく,認可外は対象外とする今回の方針.むしろ認可外を認可園にするような支援が先ではないか.あるいはすでに認可園と認可外で費用の差が大きいと聞くが,その格差是正はできないのだろうか.(床面積などの事情で助成すれば認可外が認可園になれるというわけでもないのだろう.認可外を助長する形になるのがまずいというのもわかる.だが,そこを工夫するのが役人ではないか.)
認可園のみ無償化という今回の方針は,やはり不公平感を助長するだけのように思える.私は,公務員の待遇改善などに関し,「恵まれていない人が多いのに,ある程度恵まれている人の待遇改善は許せない」という考え方にはくみしないが,それにしても「保活」の地獄のような苦しみを日ごろ読むにつけ,「認可園入園をゲットした人は無償」という今回の方針には強い違和感を覚える.
「無償化」というと聞こえがいい.選挙でも各党が競って公約にしていたような気がするが,限られた予算を回す優先順位としては間違っているように思えてならない.

追記:上記で保活を「地獄のような」と書いてしまったが,直接関わりのない私がなぜこれほどの思いをもつのか.もちろん少子化を憂えてという社会的視点もあるが,やはり「本来不要なことに保護者が膨大なエネルギーを使わされる」ことを理不尽と思うからだ.義務教育ならどんなに子供が増えても小学校はある(大規模マンションなどができるとこちらも不足が問題になるようで,プレハブや期間限定小学校(分校)を作るなどの対策をしているようだが,保護者の直接的負担にはならない).「預けたいのに保育園がない」というのは,「保育料が高い」というのとは別の次元の,根本的な社会の不備だと思う.

追記:11月12日の朝日社説「子育て支援 「すべて無償化」の前に」も同趣旨のようだ.

関連記事:
「待機児童ゼロのために,具体的に何が必要か」(10月12日)
「待機児童対策:大規模マンション新築には保育施設併設義務付けが必要」(11月1日)
「待機児童を放置して認可保育園の無償化を進めるのは不公平の助長では?」(11月7日)
「保育園不足に幼稚園の空きを活用するには?」(11月8日)
「幼児教育無償化:民意が安倍政権を動かしたが…」(11月16日)
「やっぱりおかしい,政府の「幼児教育無償化」策」(11月17日)
「幼児教育無償化:拙速な公約を正す公約違反なら歓迎だ」(11月18日)
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