リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

無責任なばらまき政策を防ぐオランダの試み

2017-11-09 | 政治
幼児教育や高等教育の無償化が議論されている.選挙でも各党がこぞって似たようなことを公約に掲げていたように思う.
たしかに「無償化」というと聞こえがいい.実は私も,若いころは,社会主義国で「教育は無料」「公共交通機関は無料」「医療は無料」みたいな話を聞いて理想的だと思っていた.だがそうした「無料」はみな国民が払う(そして今の日本でやるとすれば将来世代に払わせる)税金で支えるものだ(保険料などもあるが詳細はおいておく).
選挙を意識すると,どの党も政治家は有権者の歓心を買いやすいことばかり公約して,将来のための負担を求めることはしない.大衆受けする政策に走りがちなのは欧米でも同じと聞くから,これは民主主義の宿命なのだろうかとなかばあきらめかけていた.
ところが11月9日の朝日新聞「記者有論」で,そのように財政赤字を膨らませる政策ばかりがまかりとおる「赤字の民主主義」に抵抗する試みがオランダで行なわれていることを知った.
経済政策分析局(CPB)(Wikipedia)という政府機関が第三者の立場から政党の政策が財政や経済に与える影響を,詳細な説明を聞いたうえで評価し,選挙の約1か月前に公表する.それがメディアで報道されて有権者も投票の際にそれを参考にするという.CPBの評価を受けることは任意だが,Wikipediaによれば,1986年以降,主要政党はほぼCPBの評価を受けており,悪い評価を受けることよりも,自分たちの政策が経済にどういう結果をもたらすかを直視しないと批判されることを恐れる風潮があるという.朝日の記事でも,今年3月の総選挙に関し,ポピュリスト政党の自由党(移民受け入れ制限で浮いた費用を所得減税などにあてると訴えた)は評価を受けなかったが,「CPBに評価を求めない政党の公約は信頼できない」との声があったという.
言うまでもなく,「第三者の立場」で有権者から信頼される評価ができることが前提だ.オランダのCPBの場合,政府機関でありながらも政府からは独立しており,有権者の信頼を勝ち得ているらしい.日本では政府が人事権を使って政府寄りの評価委員を任命してしまうだろうから(日銀,内閣法制局(6月28日),NHK経営委,教育委員会(10月29日)などの事例を思い出されたい!),やはり民間からこうした評価機関が出てくるべきだろう.すぐに有権者の信頼を得ることは難しいだろうし,そもそも評価のために政党の協力を得る苦労も予想される.だが,今のまま選挙を何度やっても政治は変わらない.地道に取り組む団体が現われてほしいものだが.(と書いてから思ったが,日本の政党は与党も野党も,詳細な評価に足るだけの具体的な政策をもっているところはないのではないだろうか.だとしてら本当にお先真っ暗だ.)

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