リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

待機児童ゼロのために,具体的に何が必要か

2017-10-12 | 待機児童
待機児童ゼロのために必要なもの.結局は「先立つもの」なのだが,もう少し具体的に考えてみたい.
待機児童を減らすために保育園増設の動きがよく報じられる.需要の多い都市部では用地の取得も大変だが,用地を確保できてせっかく新設が決まっても近隣住民が反対して頓挫することもあるという.だが,これについては住民への丁寧な説明で解決した事例があるらしいので,関係者の地道な努力に期待したい.
だが用地を取得して一通りの開設資金が用意できたとしたとき,ネックになるのが保育士不足だ.資格が必要なので一朝一夕に人材を揃えられないのはもちろんだが,今のところ資格はあるのに保育職を選ばない人がかなりいる.給与水準からかなり低いために敬遠されてしまうようだ.自治体レベルで対策を講じるところもあるが,千葉だったか,ある自治体で待遇を改善すると近隣から保育士が流出してしまうという「自治体間の奪い合い」も話題になった.
少子高齢化が進む日本にあって,待機児童の問題が待ったなしの課題だというのはおそらく与野党問わず広く共有されていると思う.そのために保育士の待遇改善が必要なのも明らかだ.なのに改善されないのはなぜだろう.
公立保育園の保育士なら地方公務員並みの収入になるが,問題は私立保育園らしい.今さらだが私立保育園の保育士の給与に「公定価格」というものがあることを今日の朝刊で初めて知った.検索すると「スゴいい保育」などいろいろ説明がみつかったが実に複雑だ.国が定める基準によって算定される認可保育園を運営するために必要な費用に関連しているらしい.つまり,国からの補助金なしで純粋に利用者からの利用料金で運営しようとすると保育料がものすごく高くなってしまう.そこを認可保育園では補助金で穴埋めして利用者負担を低く抑えている.保育士の給与を上げるには利用料を上げるか,補助金を増やすしかない.ただでさえ安くない利用料を上げるのが難しいとすると補助金を増やすしかなく,結局,国が恒久的な財源を手当てできるかどうかということになってくる.
膨大な国の借金を抱え,毎年赤字予算を組んでいる状況にあって,どうすれば保育士の待遇改善が実現できるか,難しい.選挙に向けて各党の公約を見ていると,どの党も保育士の待遇改善は掲げているようだが,いずれも「願望」止まりで,きちんと財源まで示している党はないように見える.(借金返済を後回しにしてとか,赤字国債を増発して…というのは私は財源とは呼ばない.)責任ある形で見通しを示してくれる政党が出てきてくれないものだろうか.

関連リンク:
「保育士 なぜ足りないの?」(朝日新聞11月10日)

関連記事:
「待機児童ゼロのために,具体的に何が必要か」(10月12日)
「待機児童対策:大規模マンション新築には保育施設併設義務付けが必要」(11月1日)
「待機児童を放置して認可保育園の無償化を進めるのは不公平の助長では?」(11月7日)
「保育園不足に幼稚園の空きを活用するには?」(11月8日)
「幼児教育無償化:民意が安倍政権を動かしたが…」(11月16日)
「やっぱりおかしい,政府の「幼児教育無償化」策」(11月17日)
「幼児教育無償化:拙速な公約を正す公約違反なら歓迎だ」(11月18日)
「続・選挙で負けても世論で政府を動かせる」(11月21日)

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 反安倍だが保守という選択肢? | トップ | 総選挙で安倍退陣ははかない... »
最新の画像もっと見る

待機児童」カテゴリの最新記事