リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

やっぱりおかしい,政府の「幼児教育無償化」策

2017-11-17 | 待機児童
昨日,幼児教育の無償化について政府が当初方針を転換して認可外施設も対象とする方針になったことが一歩前進であるかのようにかいたが,やはり最初に感じたように,待機児童も解消されないのに「無償化」を進めるのはおかしい.

当初の方針が認可園のみとしていた理由としては,認可外を推奨する形になるのはよくないという考えがあったはずだ.現状では認可外だと認可園よりかなり費用負担が高く,保護者はできれば認可園を希望している.だがどちらも無償となると,認可園を選ぶ一つの大きな理由がなくなる.もちろん,施設や人員など認可園のほうが充実しているのは確かだが,現状,多くの幼児が認可外の保育施設を利用していて大きな問題になっていない(たまに事故が報道されるのは認可外が多いような気がするので,行政の一層の指導は期待したいが).それに想像だが,認可の条件は満たせなくても,それを補ってあまりある工夫をしているすばらしい認可外施設もあるのではないだろうか.そう考えると「一律無償化」は「認可」の意義をなくしてしまうことになりかねない.やはり認可外の保育施設が認可園の基準を満たせるような方向に予算を使うべきではないか.

さらに言えば,認可外にさえはいれずに「保活」に苦労している保護者が多数いることを考えると,やはり待機児童の解消こそが,無償化より優先すべき課題だと思う.以前にも書いたように,費用負担はもちろん保護者にとって大きな問題ではあるが,現状でも低所得者には一定の補助があるはず.費用以前に,預けたくても預けられない,預け先が見つかるにしてもそのために膨大なエネルギーを費やさなければならない現状は理不尽だと思う.まるで子供をもつことに対する懲罰であるかのようだ.

おそらく政府はわかっているのだろう.待機児童解消は今回考えている程度の予算規模では達成できないと.これまでも,受け皿を増やせばそれが潜在需要を呼び起こし,待機児童は一向に減らないということの繰り返しだった.格差社会が解消される見込みのない現状,共働きしなければ生活できない世帯は多く,この前提が変わっているとは思えない.
このような宣伝できる効果が出しにくい待機児童対策に対し,「無償化」は実施すれば有権者に対してアピールできると思っているのだろう.
政治家の実績のためではなく,「保活」という理不尽な活動に費やされる国民のエネルギーの無駄を解消するこそ優先課題ではないだろうか.

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