習近平の夢は台湾武力統一
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」162/通算594 2023/4/7/金】桜はかなり散ったが、建物が少ないところでは1℃ほど気温が低いからまだ楽しめるし、新緑と混じって結構な春の風情だ。植物は人を癒し、人は人を癒しもするがウンザリもさせる悩ましい存在だ。知能は高いのに年がら年中喧嘩をしている。初期設定なのか?
隣町では神道の丸山教本庁と真言宗豊山派光明院が細い道を隔てて睨み合っている。明治前後の「廃仏毀釈」運動で殴りつけたのが神道、ボコボコにされたのが仏教だが、丸山教は幼稚園を経営してどうにか生き永らえている風情。真言宗の方は津久井道の大拡張で土地を売ったのだろう、その資金で寺は金ぴかで「?!」と思うほどド派手、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」のよう。「廃仏毀釈」・・・基本的に多神教の日本人には無理筋だったのではないか。WIKIによると――
<慶応4年3月13日(1868年4月5日)に政府より「神仏分離令」「神仏判然令」と通称される太政官布告、および明治3年1月3日(1870年2月3日)に出された詔書「大教宣布」など、仏教による国民負担の軽減策が出された。
こうした政策は、あくまでも神道と仏教の分離が目的の行政改革であり、仏教排斥を意図したものではなかったが、結果として長年仏教に弾圧されてきたマイノリティの神職者や民衆が仏教を非難する契機となり、平田派国学者や神職者を中心に民衆の廃仏運動が惹起され、仏像や仏具の破棄といった、廃仏毀釈運動が全国的に発生することとなった>
韓国発祥の「世界基督教統一神霊協会」(統一教会、現・世界平和統一家庭連合)。安倍氏暗殺事件以来、随分評価を下げているが、「同志諸君、逆境に耐えて頑張ろう、今こそ我らの信仰の真価が問われている」などと、信仰に濁りのない熱狂的な信者は寸分も動揺しないのだろうなあと思う。
統一教会は「反共」活動でも有名だ。1970年頃にその活動家を大学で複数見たが、取り憑かれたような目をしていたので異様だった。宗教や主義思想に洗脳されると「考えない葦」になり、クチパクのロボットになってしまうのだろう。アカだった小生も一時期はそんな風だったに違いない。
統一教会の機関紙「世界日報」は韓国では「世界日報(セゲイルボ)」、米国では「ワシントンタイムズ」として発行されている。ワシントンタイムズには小生の友人(在米)が小遣い稼ぎで地方記者(ミズーリ州)をしていたが、「統一教会の機関紙とは知らなかった」と言っていた。確かに見た目は普通の一般紙で、タメになる記事も少なくない。
2023年3月30日から世界日報で連載「VS中国 台湾の勝算 李喜明・元台湾参謀総長に聞く」が始まったので以下転載するが、「小国が大国に負けない戦略」「日米台の抑止力が重要」は日本にとっても有益だ。分かりやすいインタビューなので是非一読を。(なお、人民解放軍は中共党の武力装置なので中共軍と書き換えた)
《プロフィール:李喜明(り・きめい)1955年生まれ。台湾海軍の潜水艦艦長、海軍司令、国防部軍政副部長を歴任。2017~19年に制服組トップの参謀総長を務めた。参謀総長在任中、中国との戦力差を克服するための「全体防衛構想」を提唱。昨年9月に小国が大国に対抗する独自の非対称戦理論をまとめた「台湾の勝算」を出版し注目を集めた》
【上:「非対称戦」防衛の要 機動性高い小型兵器が中核に 従来の戦い方では限界】3/30
《軍事大国化する中国が武力侵攻に踏み切った場合、戦力で劣る台湾に「勝算」はあるのか。ウクライナのような「非対称戦」を中核にした「全体防衛構想」を提唱し、台湾の蔡英文政権に大きな影響を与えた李喜明・元参謀総長が、世界日報のオンラインインタビューに応じた。台湾が中国との戦力差を克服するための軍事戦略や日米の役割などについて聞いた。聞き手=村松澄恵》
――「全体防衛構想」とはどのようなものか:
相手の攻撃を物理的に阻止する防衛力を高め、目的を達成させないことで、相手に行動を思いとどまらせる「拒否的抑止」の理論に基づいている。実力に大きな差がある国に対抗する場合、小国側が唯一取れる手段が「非対称戦」だ。
戦車には戦車、戦闘機には戦闘機で対応するといった従来の方法では経済力が中国に比べて劣る台湾では限界がある。だからこそ、今までとは異なる考え方をしないといけない。
ここで重要になるのが、低コストで数を多く揃えられ、使用が安易で、秘匿性が高く、正確で、機動性のある小型の兵器だ。小型の兵器を使用し、戦場において敵方の戦力の優勢を相殺、有利な条件をつくることを目指す。ウクライナが携行型ミサイル「ジャベリン」でロシアの戦車を攻撃したのは、非常に典型的な非対称戦の事例だ。
全体防衛構想での「勝利」の定義は、「敵に台湾を占領させない」ことだ。従来の目を引く大きな戦闘車両などは、初期の段階では力を発揮するが、的になりやすく、破壊されやすい。例えば、固定のレーダーなどはまず狙われ、戦闘開始数時間後には破壊されるだろう。戦闘機であれば滑走路が破壊されれば使用できない。従来の戦い方では目的を達成することができないため、大型艦艇などの装備は最小限にすべきだ。
――なぜ全体防衛構想を提唱したのか:
20年ほど前は従来の方法で台湾を防衛することができた。ところがここ数十年で中国の経済が急速に発展したことで、中国の軍事力も増強した。現在、台湾が直面している「国防上の懸念」は大きく五つある。
1)中国人民解放軍(中共軍)機が毎日のように台湾周辺空域を飛行し「グレーゾーン事態」となっている、2)武力での台湾統一の可能性、3)台湾と中国の実力差、4)中共軍が台湾全面侵攻能力を獲得するといわれる2027年まで時間がない、5)台湾人の間に危機感がまだ醸成されていない――などだ。
政府と一般市民の間に認識差があり、これが台湾有事への準備に大きな影響を及ぼしている。これらの理由から、従来と同じような準備を続けていては中国に対抗することは不可能と考え、全体防衛構想を提唱した。
――全体防衛構想の中で「国土防衛部隊」の設立を提唱している:
台湾の予備役は約200万人いるが、毎年訓練できるのは11万人程度だ。そのため予備役の訓練度に大きな不安がある。従って、志願制による「国土防衛部隊」の創設を提唱した。
同部隊は正規軍と協力しながら戦術的なゲリラ戦を行う。戦車や大砲といった従来の武器は使わず、擲弾(てきだん、手榴弾を含む)発射器やドローンなど小型で軽い武器を持たせ、装甲部隊とは異なった機動性の高い小隊を編成する。
仮に中共軍が台湾の海空軍を突破し台湾に上陸した場合、わが国の正規の装甲部隊だけでなく、多くの国土防衛部隊に対峙しなければならない。中共軍の死者数は大幅に増え、作戦効率は深刻な影響を受けることになるだろう。
いつどこから来るか分からない攻撃に対応するため、中共軍の計画は複雑化せざるを得ない。克服できないほど複雑であれば、侵略行為を躊躇するだろう。
【中:日本の対応が戦局を左右】3/31
――台湾有事が起きた場合、米国はどの程度介入すると考えているか:
米国がどこまで介入するかはさまざまな意見がある。私個人としては、米国と台湾は有事における指揮系統などが明確でないため、肩を並べて戦うのは非常に難しいと考える。
よって、台湾の防衛能力が重要になる。米国は台湾を支援するだろうが、中東やベトナム戦争のような直接的な介入は行わず、ウクライナのような形で情報、武器などの支援を行うのではないか。
――日本に期待することは:
米中競争に直面する中で、他国が取り得る戦略は主に三つある。1)どちらにつくかで戦局を変えるプレーヤーになる、2)関わらない(中立的)、3)パートナー的役割――だ。
日本が他国と異なるのは、地理的な位置関係と軍事力上、一番目の立ち位置を取ることができる点だ。日本が躊躇なく米国側であると表明すれば、日米安保条約の効果もあって、中国の行動に大きな影響を与える。
逆に日本が中立的な立場を取った場合、中国はより強気に出るため、間接的に台湾への武力行使を支持することにつながる。中国が台湾を手に入れると、日本の生命線ともいえるシーレーンが中国の影響を受ける。日本の国益を考えると、中台統一は平和的か武力かにかかわらず望ましくないだろう。
――日米台はどのように協力するのが最良か:
一番良いのは平時から日米台共同で訓練を行い、連携できる体制を構築することだ。しかし、日米と中国間の緊張を高めることになるので難しいだろう。なので、日米台で特別なグループを作り、明確に戦時でどの領域、時間、電磁、宇宙などを誰が守るのか決定してはどうか。
私が参謀長時代に提唱した「全体防衛構想」は、台湾は作戦範囲を短・中距離エリアに集中し、長距離エリアは日米に任せるべきだとしている。限りある財源は優先順位の高いものから使うべきだ。また、平時から日米と訓練をしていない台湾が長距離作戦を行うと、日米の足を引っ張る結果になる恐れがある。
――台湾とウクライナに違いはあるか:
ウクライナは陸続きの隣国ポーランドや欧州連合(EU)などから継続的に武器や装備の提供を受けることができる。
台湾は島国なので、有事になった場合、海上・航空作戦が危険なため、国際的な支援を受けるのは難しい。中共軍も他国からの支援を妨害する方法を考えているはずだ。台湾は必要な戦略物資や武器を十分に備蓄していくことが非常に重要で抑止力にもつながる。
――米国などがウクライナに直接兵力を送らない理由の一つにロシアの核使用リスクが挙げられる:
中国が台湾を武力攻撃する場合、通常兵力で台湾を上回っているので、実際には核兵器を使用することはないだろう。
核兵器の使用は、その破壊力と殺傷力から人類が疲弊し、焼け野原となるだけだ。逆に使用した国が害を被ることになる。現在のウクライナにおいても、ロシアは核兵器を使用していない。
しかし、核兵器による脅迫は十分に作用するので、中国がロシアのように核兵器で日米を脅すことが予想される。合理的に考えると米軍の全面的介入を期待すべきでない。だからこそ、台湾自身の防衛力による抑止力が重要となる。
【下:中国民衆を味方に付けよ】4/1
――ウクライナ戦争をきっかけに台湾では自主防衛の意識が高まり、民間で防衛講習を行う「黒熊学院」などが注目を集めている。一方で、中国を刺激するなという声も根強い:
私個人は、台湾のような小国が防衛を強化しても、中国の安全保障の懸念となることはないと考える。「黒熊学院」の活動は台湾の人々に危機意識を持たせ、民間の力を集めるという意味では有用だ。しかし、防衛という点では必須の武器や装備、訓練などがないため作戦能力がない。
だからこそ、私は政府主導の「国土防衛部隊」の創設を提唱している。政府管理下で訓練を行い組織された部隊は、台湾の防衛力を高め、実際の戦場でも戦力となれる。
――台湾の一部には、有事に備えることは若者を戦場に送ることと同じだという主張もある:
戦争が起こるかどうかの最大の要因は、民主主義陣営がどれだけ準備したかではなく、独裁国家の指導者が決めることだ。台湾にとってそれは中国の習近平国家主席となる。
台湾が直面する問題の一つは、極端な平和主義者たちが、有事の準備をしなければ中国を刺激せず、武力侵攻もないと考えていることだ。台湾が投降し、一国二制度を受け入れ、統一されるのを支持するならばそれでもいいが、嫌ならば武力衝突とならざるを得ない。
――中国に武力侵攻に踏み切らせないために、軍事面以外でできることは:
2020年に新型コロナウイルスが流行した時、中国国内はパニック状態に陥った。日本は支援物資の箱に「山川異域 風月同天(場所は違っても同じ自然を共有している)」という漢詩の一節を記して送り、中国人を感動させた。
このような交流は戦争を未然に防ぐ強力な手段だ。もし台湾もいち早く中国に医療品を提供していたら、台湾に対する中国人の頑(かたく)なな心をどれほど溶かすことができていたか。
「ゼロコロナ」政策に反対する中国人が白紙を掲げて抗議した昨年の「白紙運動」によって中国政府の政策が一変したことからも分かるように、中国共産党は国民を恐れている。中国の民意を味方に付けることも重要だ。
共産党員でない大多数の中国人と友好的に接し、支持と友誼を得て、中国共産党政権が行うことに疑念を持ってもらう。それと同時に、われわれは静かに戦力強化を進め、中共軍が武力で台湾統一はできないと思わせないといけない。
――日米台や中国国民の意志に関係なく、独裁国家の中国は指導部の一存で動くのではないか:
私は、台湾有事が起こる要因は、主に四つあると考えている。1)台湾軍と中共軍の能力差、2)日米の軍事的抑止力の低下、3)中国の夢「中華民族の偉大なる復興」の暴走、4)習氏個人の野心――だ。
習氏はすでに異例の共産党総書記3期目を務めており、有事の可能性は高いと誰もが考えている。
私の個人的な分析では、習氏の優先順位は、第一に自分の地位を守ること、第二に共産党政権を維持すること、第三に中国の夢を実現することだ。第四にやっと米軍を西太平洋地域から追い出すことが入る。
以上のことを考えると、中国が台湾武力統一を行動に移させないようにすればよいと考える。よって、中国が台湾に侵攻しても統一できる保証がないという「日米台の抑止力が重要」になる。(以上)
・・・・・・・・・・・・・
いい論稿だが、気になるのは「中国が台湾武力統一を行動に移させないようにすればよい」というのは楽観が過ぎるのではないか。「習近平の夢」は「建国の父・毛沢東」に並ぶ「興国の父・習近平」と歴史に名を刻むことだと小生は確信している。
毛は蒋介石・国民党との内戦に勝って建国し、名誉を得、地位を確立した。トウ小平もベトナムに言いがかりをつけて戦争を起こし「懲罰して勝った」から箔がついて資本主義経済へ転換でき、今の経済大国の基礎を創ることができた。毛沢東崇拝の習近平・・・父も姉も習自身も毛により自宅軟禁されたり文革で僻地に追放されるなどひどい目に遭ったのに、なぜ毛沢東を崇拝し、ろくでもない毛沢東式の共産主義国有経済・政治・社会へ回帰しようとしているのか?
「建国の父」である毛と並ぶ地位、「共産中国再興の父」になることで毛に復讐し、鬱屈を晴らしたいという複雑な、精神病理的な、本人も自覚していないような思いがあるのではないかと小生は思うのだが・・・
いずれにせよ習近平にとっては「台湾武力統一」、さらにはインド・アジア・太平洋制覇こそが最優先の喫緊の課題だと警戒していた方がいい。いずれも毛沢東ができなかった「夢」であり、その夢を実現すれば習は毛沢東を超える偉人になれるかもしれない。
チェンバレン英国首相は「愚かな宥和政策」でヒトラー・ドイツ、スターリン・ソ連にまんまと騙された。歴史から学べば習近平・中共は危険な戦狼、餓狼であり、警戒を怠り近付けば災いをもたらす。西側の宥和政策は自殺行為でしかない。中共とロシアは包囲し、孤立させるのが一番いい。
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」162/通算594 2023/4/7/金】桜はかなり散ったが、建物が少ないところでは1℃ほど気温が低いからまだ楽しめるし、新緑と混じって結構な春の風情だ。植物は人を癒し、人は人を癒しもするがウンザリもさせる悩ましい存在だ。知能は高いのに年がら年中喧嘩をしている。初期設定なのか?
隣町では神道の丸山教本庁と真言宗豊山派光明院が細い道を隔てて睨み合っている。明治前後の「廃仏毀釈」運動で殴りつけたのが神道、ボコボコにされたのが仏教だが、丸山教は幼稚園を経営してどうにか生き永らえている風情。真言宗の方は津久井道の大拡張で土地を売ったのだろう、その資金で寺は金ぴかで「?!」と思うほどド派手、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」のよう。「廃仏毀釈」・・・基本的に多神教の日本人には無理筋だったのではないか。WIKIによると――
<慶応4年3月13日(1868年4月5日)に政府より「神仏分離令」「神仏判然令」と通称される太政官布告、および明治3年1月3日(1870年2月3日)に出された詔書「大教宣布」など、仏教による国民負担の軽減策が出された。
こうした政策は、あくまでも神道と仏教の分離が目的の行政改革であり、仏教排斥を意図したものではなかったが、結果として長年仏教に弾圧されてきたマイノリティの神職者や民衆が仏教を非難する契機となり、平田派国学者や神職者を中心に民衆の廃仏運動が惹起され、仏像や仏具の破棄といった、廃仏毀釈運動が全国的に発生することとなった>
韓国発祥の「世界基督教統一神霊協会」(統一教会、現・世界平和統一家庭連合)。安倍氏暗殺事件以来、随分評価を下げているが、「同志諸君、逆境に耐えて頑張ろう、今こそ我らの信仰の真価が問われている」などと、信仰に濁りのない熱狂的な信者は寸分も動揺しないのだろうなあと思う。
統一教会は「反共」活動でも有名だ。1970年頃にその活動家を大学で複数見たが、取り憑かれたような目をしていたので異様だった。宗教や主義思想に洗脳されると「考えない葦」になり、クチパクのロボットになってしまうのだろう。アカだった小生も一時期はそんな風だったに違いない。
統一教会の機関紙「世界日報」は韓国では「世界日報(セゲイルボ)」、米国では「ワシントンタイムズ」として発行されている。ワシントンタイムズには小生の友人(在米)が小遣い稼ぎで地方記者(ミズーリ州)をしていたが、「統一教会の機関紙とは知らなかった」と言っていた。確かに見た目は普通の一般紙で、タメになる記事も少なくない。
2023年3月30日から世界日報で連載「VS中国 台湾の勝算 李喜明・元台湾参謀総長に聞く」が始まったので以下転載するが、「小国が大国に負けない戦略」「日米台の抑止力が重要」は日本にとっても有益だ。分かりやすいインタビューなので是非一読を。(なお、人民解放軍は中共党の武力装置なので中共軍と書き換えた)
《プロフィール:李喜明(り・きめい)1955年生まれ。台湾海軍の潜水艦艦長、海軍司令、国防部軍政副部長を歴任。2017~19年に制服組トップの参謀総長を務めた。参謀総長在任中、中国との戦力差を克服するための「全体防衛構想」を提唱。昨年9月に小国が大国に対抗する独自の非対称戦理論をまとめた「台湾の勝算」を出版し注目を集めた》
【上:「非対称戦」防衛の要 機動性高い小型兵器が中核に 従来の戦い方では限界】3/30
《軍事大国化する中国が武力侵攻に踏み切った場合、戦力で劣る台湾に「勝算」はあるのか。ウクライナのような「非対称戦」を中核にした「全体防衛構想」を提唱し、台湾の蔡英文政権に大きな影響を与えた李喜明・元参謀総長が、世界日報のオンラインインタビューに応じた。台湾が中国との戦力差を克服するための軍事戦略や日米の役割などについて聞いた。聞き手=村松澄恵》
――「全体防衛構想」とはどのようなものか:
相手の攻撃を物理的に阻止する防衛力を高め、目的を達成させないことで、相手に行動を思いとどまらせる「拒否的抑止」の理論に基づいている。実力に大きな差がある国に対抗する場合、小国側が唯一取れる手段が「非対称戦」だ。
戦車には戦車、戦闘機には戦闘機で対応するといった従来の方法では経済力が中国に比べて劣る台湾では限界がある。だからこそ、今までとは異なる考え方をしないといけない。
ここで重要になるのが、低コストで数を多く揃えられ、使用が安易で、秘匿性が高く、正確で、機動性のある小型の兵器だ。小型の兵器を使用し、戦場において敵方の戦力の優勢を相殺、有利な条件をつくることを目指す。ウクライナが携行型ミサイル「ジャベリン」でロシアの戦車を攻撃したのは、非常に典型的な非対称戦の事例だ。
全体防衛構想での「勝利」の定義は、「敵に台湾を占領させない」ことだ。従来の目を引く大きな戦闘車両などは、初期の段階では力を発揮するが、的になりやすく、破壊されやすい。例えば、固定のレーダーなどはまず狙われ、戦闘開始数時間後には破壊されるだろう。戦闘機であれば滑走路が破壊されれば使用できない。従来の戦い方では目的を達成することができないため、大型艦艇などの装備は最小限にすべきだ。
――なぜ全体防衛構想を提唱したのか:
20年ほど前は従来の方法で台湾を防衛することができた。ところがここ数十年で中国の経済が急速に発展したことで、中国の軍事力も増強した。現在、台湾が直面している「国防上の懸念」は大きく五つある。
1)中国人民解放軍(中共軍)機が毎日のように台湾周辺空域を飛行し「グレーゾーン事態」となっている、2)武力での台湾統一の可能性、3)台湾と中国の実力差、4)中共軍が台湾全面侵攻能力を獲得するといわれる2027年まで時間がない、5)台湾人の間に危機感がまだ醸成されていない――などだ。
政府と一般市民の間に認識差があり、これが台湾有事への準備に大きな影響を及ぼしている。これらの理由から、従来と同じような準備を続けていては中国に対抗することは不可能と考え、全体防衛構想を提唱した。
――全体防衛構想の中で「国土防衛部隊」の設立を提唱している:
台湾の予備役は約200万人いるが、毎年訓練できるのは11万人程度だ。そのため予備役の訓練度に大きな不安がある。従って、志願制による「国土防衛部隊」の創設を提唱した。
同部隊は正規軍と協力しながら戦術的なゲリラ戦を行う。戦車や大砲といった従来の武器は使わず、擲弾(てきだん、手榴弾を含む)発射器やドローンなど小型で軽い武器を持たせ、装甲部隊とは異なった機動性の高い小隊を編成する。
仮に中共軍が台湾の海空軍を突破し台湾に上陸した場合、わが国の正規の装甲部隊だけでなく、多くの国土防衛部隊に対峙しなければならない。中共軍の死者数は大幅に増え、作戦効率は深刻な影響を受けることになるだろう。
いつどこから来るか分からない攻撃に対応するため、中共軍の計画は複雑化せざるを得ない。克服できないほど複雑であれば、侵略行為を躊躇するだろう。
【中:日本の対応が戦局を左右】3/31
――台湾有事が起きた場合、米国はどの程度介入すると考えているか:
米国がどこまで介入するかはさまざまな意見がある。私個人としては、米国と台湾は有事における指揮系統などが明確でないため、肩を並べて戦うのは非常に難しいと考える。
よって、台湾の防衛能力が重要になる。米国は台湾を支援するだろうが、中東やベトナム戦争のような直接的な介入は行わず、ウクライナのような形で情報、武器などの支援を行うのではないか。
――日本に期待することは:
米中競争に直面する中で、他国が取り得る戦略は主に三つある。1)どちらにつくかで戦局を変えるプレーヤーになる、2)関わらない(中立的)、3)パートナー的役割――だ。
日本が他国と異なるのは、地理的な位置関係と軍事力上、一番目の立ち位置を取ることができる点だ。日本が躊躇なく米国側であると表明すれば、日米安保条約の効果もあって、中国の行動に大きな影響を与える。
逆に日本が中立的な立場を取った場合、中国はより強気に出るため、間接的に台湾への武力行使を支持することにつながる。中国が台湾を手に入れると、日本の生命線ともいえるシーレーンが中国の影響を受ける。日本の国益を考えると、中台統一は平和的か武力かにかかわらず望ましくないだろう。
――日米台はどのように協力するのが最良か:
一番良いのは平時から日米台共同で訓練を行い、連携できる体制を構築することだ。しかし、日米と中国間の緊張を高めることになるので難しいだろう。なので、日米台で特別なグループを作り、明確に戦時でどの領域、時間、電磁、宇宙などを誰が守るのか決定してはどうか。
私が参謀長時代に提唱した「全体防衛構想」は、台湾は作戦範囲を短・中距離エリアに集中し、長距離エリアは日米に任せるべきだとしている。限りある財源は優先順位の高いものから使うべきだ。また、平時から日米と訓練をしていない台湾が長距離作戦を行うと、日米の足を引っ張る結果になる恐れがある。
――台湾とウクライナに違いはあるか:
ウクライナは陸続きの隣国ポーランドや欧州連合(EU)などから継続的に武器や装備の提供を受けることができる。
台湾は島国なので、有事になった場合、海上・航空作戦が危険なため、国際的な支援を受けるのは難しい。中共軍も他国からの支援を妨害する方法を考えているはずだ。台湾は必要な戦略物資や武器を十分に備蓄していくことが非常に重要で抑止力にもつながる。
――米国などがウクライナに直接兵力を送らない理由の一つにロシアの核使用リスクが挙げられる:
中国が台湾を武力攻撃する場合、通常兵力で台湾を上回っているので、実際には核兵器を使用することはないだろう。
核兵器の使用は、その破壊力と殺傷力から人類が疲弊し、焼け野原となるだけだ。逆に使用した国が害を被ることになる。現在のウクライナにおいても、ロシアは核兵器を使用していない。
しかし、核兵器による脅迫は十分に作用するので、中国がロシアのように核兵器で日米を脅すことが予想される。合理的に考えると米軍の全面的介入を期待すべきでない。だからこそ、台湾自身の防衛力による抑止力が重要となる。
【下:中国民衆を味方に付けよ】4/1
――ウクライナ戦争をきっかけに台湾では自主防衛の意識が高まり、民間で防衛講習を行う「黒熊学院」などが注目を集めている。一方で、中国を刺激するなという声も根強い:
私個人は、台湾のような小国が防衛を強化しても、中国の安全保障の懸念となることはないと考える。「黒熊学院」の活動は台湾の人々に危機意識を持たせ、民間の力を集めるという意味では有用だ。しかし、防衛という点では必須の武器や装備、訓練などがないため作戦能力がない。
だからこそ、私は政府主導の「国土防衛部隊」の創設を提唱している。政府管理下で訓練を行い組織された部隊は、台湾の防衛力を高め、実際の戦場でも戦力となれる。
――台湾の一部には、有事に備えることは若者を戦場に送ることと同じだという主張もある:
戦争が起こるかどうかの最大の要因は、民主主義陣営がどれだけ準備したかではなく、独裁国家の指導者が決めることだ。台湾にとってそれは中国の習近平国家主席となる。
台湾が直面する問題の一つは、極端な平和主義者たちが、有事の準備をしなければ中国を刺激せず、武力侵攻もないと考えていることだ。台湾が投降し、一国二制度を受け入れ、統一されるのを支持するならばそれでもいいが、嫌ならば武力衝突とならざるを得ない。
――中国に武力侵攻に踏み切らせないために、軍事面以外でできることは:
2020年に新型コロナウイルスが流行した時、中国国内はパニック状態に陥った。日本は支援物資の箱に「山川異域 風月同天(場所は違っても同じ自然を共有している)」という漢詩の一節を記して送り、中国人を感動させた。
このような交流は戦争を未然に防ぐ強力な手段だ。もし台湾もいち早く中国に医療品を提供していたら、台湾に対する中国人の頑(かたく)なな心をどれほど溶かすことができていたか。
「ゼロコロナ」政策に反対する中国人が白紙を掲げて抗議した昨年の「白紙運動」によって中国政府の政策が一変したことからも分かるように、中国共産党は国民を恐れている。中国の民意を味方に付けることも重要だ。
共産党員でない大多数の中国人と友好的に接し、支持と友誼を得て、中国共産党政権が行うことに疑念を持ってもらう。それと同時に、われわれは静かに戦力強化を進め、中共軍が武力で台湾統一はできないと思わせないといけない。
――日米台や中国国民の意志に関係なく、独裁国家の中国は指導部の一存で動くのではないか:
私は、台湾有事が起こる要因は、主に四つあると考えている。1)台湾軍と中共軍の能力差、2)日米の軍事的抑止力の低下、3)中国の夢「中華民族の偉大なる復興」の暴走、4)習氏個人の野心――だ。
習氏はすでに異例の共産党総書記3期目を務めており、有事の可能性は高いと誰もが考えている。
私の個人的な分析では、習氏の優先順位は、第一に自分の地位を守ること、第二に共産党政権を維持すること、第三に中国の夢を実現することだ。第四にやっと米軍を西太平洋地域から追い出すことが入る。
以上のことを考えると、中国が台湾武力統一を行動に移させないようにすればよいと考える。よって、中国が台湾に侵攻しても統一できる保証がないという「日米台の抑止力が重要」になる。(以上)
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いい論稿だが、気になるのは「中国が台湾武力統一を行動に移させないようにすればよい」というのは楽観が過ぎるのではないか。「習近平の夢」は「建国の父・毛沢東」に並ぶ「興国の父・習近平」と歴史に名を刻むことだと小生は確信している。
毛は蒋介石・国民党との内戦に勝って建国し、名誉を得、地位を確立した。トウ小平もベトナムに言いがかりをつけて戦争を起こし「懲罰して勝った」から箔がついて資本主義経済へ転換でき、今の経済大国の基礎を創ることができた。毛沢東崇拝の習近平・・・父も姉も習自身も毛により自宅軟禁されたり文革で僻地に追放されるなどひどい目に遭ったのに、なぜ毛沢東を崇拝し、ろくでもない毛沢東式の共産主義国有経済・政治・社会へ回帰しようとしているのか?
「建国の父」である毛と並ぶ地位、「共産中国再興の父」になることで毛に復讐し、鬱屈を晴らしたいという複雑な、精神病理的な、本人も自覚していないような思いがあるのではないかと小生は思うのだが・・・
いずれにせよ習近平にとっては「台湾武力統一」、さらにはインド・アジア・太平洋制覇こそが最優先の喫緊の課題だと警戒していた方がいい。いずれも毛沢東ができなかった「夢」であり、その夢を実現すれば習は毛沢東を超える偉人になれるかもしれない。
チェンバレン英国首相は「愚かな宥和政策」でヒトラー・ドイツ、スターリン・ソ連にまんまと騙された。歴史から学べば習近平・中共は危険な戦狼、餓狼であり、警戒を怠り近付けば災いをもたらす。西側の宥和政策は自殺行為でしかない。中共とロシアは包囲し、孤立させるのが一番いい。
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まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」