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雀庵の「諜報活動/インテリジェンスと日本(3」

2021-04-01 08:37:48 | 日記
雀庵の「諜報活動/インテリジェンスと日本(3」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/278(2021/4/1/木】ポール・ケネディ著「大国の興亡」は1987年刊。小生が起業して間もない頃で、かつ子供3人を抱えていたので「稼ぐに追いつく貧乏なし」、ビジネスの真っ最中、「大国の興亡」どころか「自社の興亡」で毎日が戦争だった。


同書は世界中でベストセラーになったが、小生は未読だ。「ベストセラーよりロングセラーを読むべし」というのが小生の読書法だが、良書であるなら今読んでも大いに得るところがあるに違いない。


櫻井よしこ氏のサイト2021.3.25に以下の「ケネディ教授『米国は衰退しない』」があった。


<3月9日、シンクタンク「国家基本問題研究所」が主催した国際セミナー「アメリカは衰退するのか」で、国基研副理事長で、ニクソン研究で名高い田久保忠衛氏と共にポール・ケネディ教授と鼎談した。ケネディ教授はイエール大学近くの自宅からリモートで参加した。


ポール・ケネディという名を聞けば、『大国の興亡』の上下2巻がすぐに連想される。1500年から2000年までの大国の興亡を描いた大著は世界的ベストセラーになった・・・


ケネディ教授が断言した。「米国の衰退は相対的なもので、絶対的なものではありません。米国は台頭する他の国々と立場を共有することが必要になるかもしれませんが、それでも強い国であり続けるでしょう。その意味では、中国は失望するでしょう」


米国は中国に負けない、その力の源泉は強い経済にあるとケネディ教授は語る。顕著な経済成長を実現し米国民に繁栄をもたらすことが、米国政府への信頼、民主主義への尊重と敬意の回復につながり、国全体の安定に寄与する、米国にはそれができる、と強調するのだ。


但し、これからの米国は同盟諸国と協力して中国に対峙しなければならなくなると予測し、その枠組みとして日米豪印4か国の協力体制を考えた安倍晋三首相を高く評価した。


「歴史を振りかえると、似たような事例があります。第一次世界大戦前、ドイツは多くの船を建造して大海軍を持つに至りました。仏英露などが大変警戒し、やがて第一次世界大戦につながっていったのです。結果は歴史が示しています。


もうひとつの似たような例は冷戦時代のソ連です。彼らも海軍を増強し、地中海まで進出しました。対して米英仏伊などが密接な軍事協力を行い、ソ連の攻撃的活動阻止に動きました」・・・>


WIKIの書評を引用すると「第1次世界大戦と第2次世界大戦でアメリカとロシアの大国化による二極構造の端緒が現れ、ドイツ、フランス、イギリスなどのかつての大国は相対的に衰退していくことになった。冷戦期における新しい展開として、中国や日本、ヨーロッパ、そして第三世界の復興が指摘される」。


ソ連も1991年にこけたが、今は中共が世界制覇の野望を一歩一歩進めているように見える。習近平は毛沢東のエピゴーネン、真似っ乞食だから、農村(貧困というか後進国、第3世界)を掌握して都市(米国、EU、日本などの先進国)を包囲し、屈服させる心算だろう。


農村=第3世界を掌握する、と言っても、かつては中共と並ぶ第3世界の有力国だったインドを始め、タイ、ベトナム、エジプト、サウジなどは、まさか今どき、餓狼のような中共の音頭で反米、反欧、反日などするわけがない。大体、インドやベトナムは中共と対立しているし、フィリピン、インドネシアも中共を嫌っている。媚中の“テドロス”エチオピアは世界の顰蹙を買い、内戦で恥の上塗りだ。


「中国パスポート所持者がビザ免除で渡航可能な国又は地域」(横山国際法律事務所)は15か国しかない(2018年10月、怪しい国ばかり)。日本人なら191カ国がビザ免除だ(2020年7月)。つまり、中国・中国人はGDP世界2位と言っても、先進国のみならず第3世界からも全く信用されていないのだ。


毛沢東の「第3世界を味方につける」という世界革命戦略は完全に破綻しているのに毛語録しか読んでいないパープリンの“遅れて来た紅衛兵”習近平は「毛語録は聖書だ、間違いはない」とすっかり信じ切っているのだろう。つける薬なし。


ちょっと古いが、呂正・日本エネルギー経済研究所員の「2015年における中国のGDP成長と電力消費増加の乖離に関する考察」から。


<中国政府の公式統計によれば、2015年の中国の実質GDP成長率は6.9%であった。一方、一次エネルギー消費量、電力消費量の対前年増加率はそれぞれ0.9%、0.5%にとどまり、石炭消費に関しては3.7%の減少となった。


かつて李克強首相は、経済成長を判断する際に電力消費量、貨物輸送量などの主要指標を重視していると言われた(修一:そこそこ信用できるデータがそれしかないため)。電力消費量の伸びなどが公式発表のGDP成長率を大きく下回ったことから、実際のGDP成長率はもっと低かったのではないかという見方がある>


暫くご無沙汰していた柯隆・東京財団政策研究所主席研究員も「中国はハイテク分野で世界をリードできるのか」2021/2/12で疑問を呈している。


<中国企業の国際競争力はどのレベルにあるのだろうか。この質問の答えはそれほど簡単なものではない。なぜならば、中国企業の得意分野と不得意分野がそれぞれあるからである。


製造業では工作機械の製造技術が生命線になっている。中国メーカーの工作機械の国産化率について、ローエンドのものは82%、ミドルエンドは65%であるのに対して、ハイエンドはわずか6%しかない(いずれも2018年)。エンジニアによると、中国企業がハイエンドの工作機械を作れないのはその技能を習得していないからである。


ファーウェイはコストパフォーマンスの良い商品を大量生産して販売する戦略を展開しているが、製品に使用されるハイエンドの半導体チップは外国企業から調達しなければならない。アメリカ政府による制裁を受けて、スマホなどを減産せざるを得なくなった。


実は、中国人が一番得意なのはコツコツと技術を磨いてそのレベルを向上させることではない。中国人が得意なのは売上を実現するビジネスモデルの構築である。アメリカのGAFA(Google、アマゾン、Facebook、アップル)に対抗しているのは中国のBATH(百度、アリババ、テンセント、ファーウェイ)である。BATHはまさに効率的なビジネスモデルを構築したから市場競争に勝ち抜いたのである。アリババやテンセントなどはハイテク企業というよりも、優れたビジネスモデルを考案して成功を収めている。


結論的にいえば、中国産業の実力はまだ世界を凌駕するレベルに達していない。これまで多国籍企業のビジネスモデルや技術を見習って成長してきたが、これからはもっと市場を開放して市場競争のなかでさらに進化しなければならない。基礎研究を強化するなら、オープンイノベーションを含むありとあらゆる政策を実施して推進していく必要がある。仮に鎖国して内向きになった場合、中国企業のさらなる成長は絵に描いた餅になる>


鎖国・・・「連帯を求めるも孤立を恐れず」は毛沢東流だ。習近平は毛の「長征」を真似て支那大陸に逼塞、時期を待って怒涛の進撃をし、アジア、インド太平洋を一気に制覇する、という戦略を描いているかもしれない。


乞食部隊の毛にはスターリンの支援があった、習にはプーチンの支援があるか? プーチン・ロシアは大市場としての中共は歓迎するが、大帝国、覇権国家の中共は望まない。習が戦争を始めても「フグリ戦略」、協力すれど介入せずだろう。


大体、ロシアは習の「中央アジアを通って欧州まで行く」一帯一路に不快感を持っていた。中央アジアはロシアの縄張りだったのだから、プーチンも「習近平、嫌な野郎だ、ご先祖様がアムール川で清国人狩りをした気持ちが分かるぜ」と思ったろう。


ロシアの支援が“お義理”では習近平の夢は儚い夢で終わるどころか、中共は解体へ向かう可能性が高い。


ソ連がこけた際に配下の構成国はそれなりに自立、独立、例えばユーラシア大陸中央の内陸地域ではウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5か国はイスラム教スンニ派国で、今はロシアとは是々非々の付き合いのようである。古来からシルクロードの要衝の地であり、今でも原油、天然ガスのパイプラインが設置され欧州などへのエネルギー輸送ルートにもなっているそうだ。


中共がこけたところで誰も困らない。支那の民にとって国家の栄枯盛衰は大昔からであり、十分に鍛えられているから強かに、伸び伸びと生きていくだろう。言語・文化・民族別に20ほどの国になるといい。習近平は図らずも支那の近代化・現代化に貢献した「最後の皇帝」として記憶されるか。


「インテリジェンス 1941 ― 日米開戦への道 知られざる国際情報戦」から。


<ドイツのポーランド侵攻から2日後の1939年9月3日、ロンドンから70キロ離れた田舎町「ブレッチリー」に奇人変人のアラン・チューリングが降り立った。英国の名門ケンブリッジ大学卒で米国へ渡り、アインシュタインを擁するプリンストン高等研究所で学んだ。


チューリングの独創性はずば抜けており、24歳の時にはコンピュータの仮想原型を創り、アルゴリズム*の概念を定式化した(*計算手順の単純化=プログラムにより短時間で解を得る仕組みらしい)。ロケット工学の父、ジョン・フォン・ノイマン(原爆、コンピュータ開発にも寄与)はチューリングを助手に欲しがっていたという。


チューリングが訪ねたのはブレッチリー駅から5分ほどの邸宅「ブレッチリー・パーク」。ここは英国の秘密情報部MI6の暗号解読研究所だった。天才的な暗号解読専門家、「コード・ブレイカー」が集められていた。


1940年1月、ワルシャワ税関でドイツの「エニグマ」暗号機が偶然発見された。ドイツ大使館員が「誤って送った小包をすぐに返せ」とすごい剣幕でまくしたてたことから税関職員が怪しみ、「まだ小包は届いていません」と大使館員を押し返し、ポーランド軍情報部に通報。


すぐさま駆け付けた情報部員が、あとが残らないように慎重に小包を解く・・・わらの中から現れたのは、黒く輝く「エニグマ」だった。世界中の情報機関が喉から手が出るほど欲していたナチスの秘密をついに手中に収めたのだ。


「エニグマ」は部品のひとつひとつまで徹底的に調べ上げられ、写真を撮られ、図面が引かれた後、何食わぬ顔でドイツ側に引き渡された。大使館員はご満悦だった、秘密を奪われたとは知らずに・・・>(つづく)
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中共はパクリ、情報窃取が上手いが、以前は違った。


満洲族の王朝、清朝あたりからなのか、「我が国は世界の王である、最先端の国である、大清帝国である」という意識が大いに高まった。帝国以外は皆蛮族だから、学ぶべきものはない、また帝国の安寧秩序を維持するために工業技術発展は抑制する、全ては建国の時代のままに、という、徳川時代のような「旧套墨守」が国是となったようだ。


支那の大発明としては漢字、羅針盤、火薬、紙、印刷という革新的テクノロジーが有名だが、その後は纏足(てんそく)、宦官(かんがん)、科挙、弁髪という、何やら秩序維持のための規制が増えて、清朝末期には「努力し、創意工夫して発明するのは邪道だ、人心を攪乱しかねない」という価値観が定着していたようだ。


初めて蒸気船を見てビックリした日本は、「このままでは世界列強に遅れをとる」と焦り、数か月後には優秀な職人が蒸気機関のメカニズムを解明した。一方で大清帝国は“眠れる獅子”と畏怖されてはいたが、蒸気船を見ても「ただのオモチャ、バカバカしい」と危機感をもたずに英国など先進国にいいように蚕食されてしまった。


テクノロジーとかサイエンスの軽視は今でも支那民族の負の遺産として残っているようで、自動車産業でも「現在、中国の自動車メーカーは半数が数年内に淘汰されるだろうと専門家の意見があるくらい、(合弁の)外資メーカーに市場シェアを侵食されており、品質が実際には向上しているにもかかわらず『中国の製品は粗悪なものが多い』と、先入観のみで判断をされるという限りのない劣勢が続いています」(MOBY、2017年)


柯隆氏が指摘するように、中共はモノづくりでも地道に力をつけて行けばいいのだが、今進めているのは「千人計画」「中国製造2025」「中国標準2035」で、「人材を養成する」のではなく「世界中からカネで人材を呼び込む」という方向だ。これでは中国人の優秀な人材はなかなか育たないのではないか。


明治維新後の日本は高額報酬で「お雇い外国人」を招致したが、それを教師として多くの若者が育っていった。拙速が大事なこともあるが、基礎研究を含めて地道に能力を高めることが本物の国力になるのではないか。


習近平・中共は焦りまくっているように見えるが、予定が決まっており、遅れるとまずいのか。「建国100年の2049年まで俺は待てない、あと5年か10年で俺はヂヂイだ、バイデンみたいに呆けないうちに世界制覇! 前倒しでやらんと俺が倒れちゃう」、焦る気持ち、分からないでもないが、転ぶリスクも高い。


急いては事を仕損じる。暗殺を招くような強権独裁を続ければ天誅というピンポイントミサイルが飛んでくるのではないか。小生には楽しみだが。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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