Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

香と畳が、爽やかに薫る夏。

2009-08-01 | Kyoto sneakers since 2008
京都の夏、2度目を迎えました。
昨年は、ありがたくも気候の洗礼を受けまくる。外に出た瞬間、
「鉄板焼きにされた野菜と肉の気持ちが痛いほどよくわかるーー」
という得がたい体験をし、しょっちゅう道端で行き倒れそうになっていました。
が、今年は、少し過ごしやすい。
まあ、まだこれから8月ですから、油断はなりませんが。

さて京都の夏の風物詩といえば、これ。
ずいぶん前の話になってしまいましたが、祇園祭へ行ってきました。出かけたのは、宵々山。
宵山=イブとのことですので、7月17日山鉾巡行のイブ・イブ ですね。



鉾、山、神輿 と、祇園祭には様々な御霊の依り代が登場します。
中でも目を引くのは32の山鉾。南北へ北は姉小路通から南は松原通まで、東西は東桐院通から油小路通まで、ずらりとそびえたつ巨大なものたちが一斉にお目見えします。







このお祭りは南北朝時代から室町時代(14~15世紀)に誕生した、といったらお察しつくと思いますが、現代もなお、その頃のたいへん華やかで賑やかな文化を体現しています。
裕福な商人から経済的に支えられてきたこのお祭りは、成立ちからして先だっての葵祭りとは全然雰囲気が違う。
山鉾の上では、笛や太鼓、踊る人が舞乱れて豪華絢爛な華やぎを演出しています。
今年は平日開催だから、例年より人出が少ない・・・とは京都人たちの感想ですが、露店や街路のお店のバーゲンなども一斉に精を出しているため、活気と人出が半端じゃない。
わたしは昼間に出かけましたが、それでも凄かった。夜はとてもとても、無理です☆


すいた道の様子

さて、目指していったのは「杉本家住宅」です。
料理家として、10代目・杉本節子さんがご活躍なさっていますが、ご本人も御宅にいらっしゃいました。こちらのおうちでは氷の柱をクーラー代わりにお部屋に設置されていたのですが、その楽しみ方を教えていただきました。
布で氷を擦って、それを首すじや腕などに当てる、という涼のとり方は、新鮮でした。
屋内の写真はこちらからどうぞ(撮影禁止箇所につき)


こちらは入り口の様子。



元呉服屋さんでいらしたこちらの住宅では、美しい屏風、琴、お庭など、手入れの行きとどいた家宝の数々を鑑賞することができます。







こちらのおうちのみならず、「屏風祭」といい祇園祭では様々なお宅の宝物が公開され、道行きながらそれらを惜しみなく鑑賞できるという仕組みなのです。




ちらみ可


こちらも格子の隙間からのぞくスタイル


まだ飾り付け中?


応仁の乱あと、焼け残ったものらしい



京都の夏は、暑い。

そう聞きますが、カンカン照りの真夏日に出かけたこの日、意外なほど住宅の中は涼しく風が通り抜けるのが不思議でした。
間取りと庭の設計に秘密が隠されているのですが、その知恵にはひたすら感心。
そして、ただ涼しいのみならず、よく磨きこまれた柱や床には清冽な香りが漂っています。

乾いた畳の、爽やかな香り。
白檀か、沈香か・・・、焚きしめられる香の、仄かな気配。

これらが吹き抜ける風にのって、鼻の前を涼やかに通り抜けていきます。

京都の夏は、畳と香の薫りがする。
どんなに暑い戸外にあっても、その薫りはいつもそこはかとなく漂っている気がします。
厳しい自然と美しく寄り添って暮らしてきた、芯のある美しい生活の薫りです。

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