Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『橋弁慶』

2020-07-06 | musique... ongaku
自粛といっても、ふだんから自宅近くの事務所でぽつんと仕事をしているのと、もともと屋内でじっとしているのが好きなので、あまり生活に変化がないのですが、
茶道のお稽古と能舞台鑑賞がなくなったことは個人的に大変こたえています。
そんな折、弟子皆が感動したことには、お謡のお稽古がオンラインで始まり、しかも初心本から振り返るグループ稽古(=グループ通話で配役を決めて謡う)という先生のご配慮。
同時に、謡に限り、オンラインで個人稽古もしていただけることになりました。
『鶴亀』が終わって、『橋弁慶』の途中に緊急事態宣言が発令されましたので、つづく『吉野天人』は、先生の赤ペンルビというお助けなしにスタートすることになりましたが、これもまた楽しい試練と受け止めるようにしています。

『橋弁慶』は、夜な夜な趣味で人を斬る悪童、牛若丸と弁慶が一戦交えて、しまいには2人が主従関係を結ぶというお話。
牛若丸というと、南座での襲名披露公演で観た、新・市川染五郎の『勧進帳』での初々しい美少年ぶりが思い浮かび、「天才美少年で顔も性格もいい子に違いない」という思い込みが発動してしまうのですが、
『橋弁慶』の牛若丸は、趣味で人を斬る、女装して背後から不意打ちを仕掛ける、本物の人でなし。
しかしそれが当時独特のモラルであったことを、否定しないでそのまま伝えてくれているのが、いつの時代も観客にすり寄ることない、お能の良さです。

『橋弁慶』では、「強吟(つよぎん)」の発声を学びました。
弁慶らしく吼える。これは先生がなさるとカッコいいのですが、女性の声では迫力が伝えきれずもどかしいです。
しかし謡いやすく、テンポの良い曲で、楽しく終えることができました。



photo…今年は開催されないため出番がない、祇園祭の橋弁慶山。


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