Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『藤清』

2009-09-06 | Kyoto sneakers since 2008
川の上は、晩秋でした。



貴船。
京都へ観光に来て、ここまで足をのばす人はなかなかのツウだと思います。
なぜなら、山だから。そして、やはりちょっと交通の便が悪いから。
京都人でさえ、なかなか来ないようです。

冬に一度しか登ったことのない鞍馬山、
車を降りると、意外なまでにひんやりした空気に体が洗われました。
浴衣の男女が大勢、ゆるゆると行きかう通り。こんな山奥に、突然花畑が現れたようです。
その不思議な光景を横目にみながら案内されたのは、川の上。

車から見る道の明かり

貴船神社。縁結びの神ですって



8月半ば。
黙って立っているだけで、汗が噴き出してくる夏の日。
『藤清』へ行ってきました。
「川床」でのお料理です。

通称「ゆか」とは、四条の鴨川のほとりの飲食店のテラス席のこと。
それと区別してか「川床」と呼ばれるのが、貴船のほうです。
お薦めは、だんぜん貴船だと、連れて行って下さったグルメ人たちはいいます。

なぜなら、涼しさが違う!

われわれ一団の席は、小さな滝の横でした。
空気をからめとって洗いながら再び宙へ放り出す、流水。
この近くがまた、涼しいのです。
山あいを流れてきた川の水は、冷たい。
足をひたして、つい「おおお」と呻いてしまう新参者のわたしでした。
いやもう、涼しいというより、次第に寒くなってくるくらいの深い静かな空気なのです。



だから、
「ここでは鍋ものですよ。」
と、主催者はすき焼きを注文しておいてくださいました。



夏にすき焼き!
「それは暑いでしょう、と思うでしょうけど、ここだんだん寒くなるから、あったかいもの食べないとなんですよ。」
なるほど。


考えられないくらいぜいたくな組み合わせに、終始「ほー」っとなっているだけの時間でした。


おいしかった。
そして、凛と涼しい空気に、頭の中まで洗われました。
真夏の晩秋・・・
この不思議な感触を、お薦めします。
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