Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

好き。 『ミリオンダラー・ベイビー』

2005-06-21 | cinema... eiga
映画、『ミリオンダラー・ベイビー』を観にいきました。

重い・・・
本当に重かった。
これでもか。ってくらい、状況が味方をしてくれない。
そんなにまで不運にならないでも・・・としまいには理不尽ささえ感じますが、
しかし、だからこそ、 
” 全ての素晴らしい結果は、自分の前向きな力でのみ成された ” 
ことがことさらに強調され、そこが大変に胸を打つ、作品でした。

貧しい家に生まれ、食べるものに困るほど恵まれない生活を続けるマギー。家族は、生活保護のトレーラー暮らしの母と妹、刑務所に服役中の弟・・・父親はすでに他界。
「本当なら自分もトレーラー暮らしをしてる」という彼女。
でもボクシングが好き、その一心で、ウエイトレスをしながら、ジムに通い詰め、名トレーナーに指導を乞う。

なぜ彼女がそうまでボクシングに思いをかけたのか、そのいきさつは詳しく語られないけれど、理由なんて、どうでもいいこと。
とにかく好き。彼女には、それしかない。
そのパワーが、不可能と思えることや、常識の一切をくつがえし、彼女の夢は、現実のものとなります。
まっすぐでハッキリした「好き」にはムダがなく、「この人!」と決めたトレーナーに一途に教えを乞い、ぐんぐん伸びる彼女。小気味良いです。
気持ちだけじゃどうにもならないのは当たり前で、ぐいぐい学ぶべきことを吸収して、大きくなっていく。
夢が人に与える力の大きさ。すごい。

映画を観た後、やはり考えてしまいました。
「自分はあれだけ『好き』といえる、自分そのもののような何かがあるかな?」
今は、否・・・。
あのパワーは、どこから来るんだろう?
「自分の中の”好き”」と、「自分」の、出会いのタイミングなのでしょうか。
kahroさん (よくお邪魔する好きなページです) の深い洞察に、うんうん、と引き込まれ、同感、と思いつつ、やはり、そこまで燃やす何かがない私は、その後悔がないくらいの「好き」パワーが羨ましく感じられてしまいました。

話はそれますが、それは、最近出版された、mixi発の人気日記、『59番目のプロポーズ』 (mixi登録者は、ぜひwebでも読んでみて下さい!) を読んでいても感じたことでもあります。
恋愛のことじゃなく、「オタク」について・・・。
オタクの59番と付き合うアルテイシアさん(日記の作者)も相当オタクだけれど、その「何かが過剰な私たち」が、ゆえにお互いの世界を大切に守ろうとする姿が、とても素敵だと思ったのと同時に、
守る宝物が自分の中にあるって、すごい財産だ。ほんとうにかけがえがない・・・
と感動したのです。
それぞれが大事なものを持ち、解る者同士だからこその温かいラブストーリーでありますが、私は、「好き」の情熱を持つ人のひたむきさに、じんときました。
仕事でも趣味でも、何かにまっすぐ、心から、誠実に打ち込んでいる人の姿って、本当にいいと思います。

映画に話は戻って・・・。
さて、しかし、麻薬のような「好きなこと」を突き詰めたとしても、何が幸せか、ということについては、話が別だと思うし、でもそこは問題ではないと思うのです。
「幸せ」なんていう観念は、流動的だし、主観だし、親しい誰かとであってさえ、完全に共有出来るものではない不確かなものだし。
ただ心に残った言葉はこれです。(大意で上手く伝わらないけど・・・実際に映画を観た方にしか)
「人生誰にでも死は訪れる。ずっと皿洗いをして穏やかに死んでいくやつもいる・・・たくさん後悔を抱えてね」
とにかく、
悔いを持たない、好きを徹した生き方。
をガツンと提示した、力強い作品でした。


■『ミリオンダラー・ベイビー』公式ページは、こちら。



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6 コメント

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良かった。 (美和ノ輔!)
2005-06-21 09:06:18
とても、気になっていた映画だったので、観に行くか悩んでいたのですが、正直にいうと行かなくて良かったな・・・・。

今の私には、重すぎる内容かも・・・・。



好きこそパーワーですよね。
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美和ノ輔!さま (mi)
2005-06-21 09:30:55
ほんとにそうですよね~~

考えさせられました・・・。

確かに重いけど、良い映画ですよ!

気が向いたら、その内観てみてくださいね
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私も・・・ ()
2005-06-21 11:24:34
 実は、観たい映画なのですが、時間が無いので、DVDが出るのを待ちたいと思います。

 ヒラリー・スワンクの演技が見物です。

 59番目は、かなりの話題になっているみたいですね。

 私は、この話や電車男を通じて、「真実の愛」を皆探しているのではないのかな?という気がするのです。

 見た目とか、そう言うのではなくて、惹かれるという思いが、ある意味、畑が違う者同士の恋愛を通して書かれている(書いた本人はその気が無かったとしてもね)という気がしますね。私は、どちらかと言うと、この2つの小説を通して、「恋愛の神髄」みたいなものを感じています。恋って見かけじゃないんだみたいな。笑。

 オタクとかそういうのは、あまり重要視していないのですが、確かに、miさまの仰られる事もあるかも知れないですね。

 それに、恋は意外性だと思いますしね。

 ところで、miさまのところにも、Musical buttonが届いていたように思います。私個人的には、是非受けられて、miさまが思い入れのある曲等をUPしてくださると嬉しいなと思っています
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実はヒラリー・スワンク好き! (mi)
2005-06-21 13:55:54
なんだか目が留まってしまう女優で、気になっていました。根性を感じさせる顔ですよねー。

作品観たのは初めてだったのですが、当たり役だったと思います!



『59番目・・・』は、やっぱり話題なんですね。

私は実は、他人の恋愛スタイルにあまり興味も感動も持てずにいる(組み合わせの数だけドラマがあるのだろうけれど、自分のだけで精一杯! 何が真実かなんて、人それぞれだし・・・電車男にしても、環境が違う二人の出会いは確かに新鮮だろう・・・などと考えるだけで終わってしまう)味気ない人間なのですが、一所懸命誰か(または、何か)を想い、大切にする、ということには常に、心打たれてしまいます。
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ワタクシゴトで恐縮ですが・・・ ()
2005-06-21 14:08:57
 実は、今の彼と付き合い始めたのが、「意外性」なので、電車男や、59番目・・・の女性の視点って何となく、理解できなくもないのですよ。笑。というか、ついつい、そう言う意味で自分と重ねてしまうの。笑。

 いや、彼は、くどく気はさらさら無かったようですが、今まで出会っ事が無いくらい真摯な言葉を聞いて、私の方が、「惚れた!」みたいな。笑。

 毎度受け身の私にしては、珍しい出来事でした。笑。

 今、よく行くblogが電車男のノリで、ある管理者さんの恋をみんなで応援していますが(煽るのが好きな私は、勿論、煽りつつも、女性のの視点からの意見をコメントしています)、共感する部分があるからこそ、また、じれったさがあるからこそ、そして、ひたむきさがあるからこそ、皆、やはり応援したくなるのでしょうね

 でも、ミリオン・ダラー・・に限らず、電車男に限らず、59番目に限らず、一生懸命何かを追い求める姿は、誰もが素敵だと思うのですよね、きっと



 ヒラリーさんは、2度目のオスカー受賞という快挙を成し遂げたのも素晴らしいですが、作品に恵まれない時もあったようなので、きっと、今回の役柄は、彼女の根性の良さも反影しているのかも知れないですね
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なるほど♪ (mi)
2005-06-21 22:02:06
ストーリーに共感する部分があって、注目・・・

そういう視点はわかります

恋の話なら、なおさらですね!

同じ悩みを持っていたりしたら、やはり応援したくもなっちゃうでしょうね

花さまの恋も順調なのでしょうか出会いの記憶を新鮮に持ち続けるステキな関係、今後もますます深まるといいですね!



最初のコメントで触れていらした、ミュージック・バトン、あちこちのページで見かけるので驚いています。ぐずぐずしていたら、タッチする相手がいなくなってしまいそうな
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