Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『フェルメールからのラブレター』展

2011-09-17 | art... bijutsu
フェルメールの作品が一堂に会する・・・
と、大・大・勘違いして、行ってきました。

よく案内を読んだらすぐわかるのだけど、早とちり。
フェルメールは3点のみが、最後に展示されています。
ほかは、世界レベルではないローカル画家たちが描いた、当時の暮らしが展示されています。

それでも、1999年にオランダへ旅した時に観たフェルメール作品と、12年ぶりに再会したのは、個人的にしみじみ感動でした。「手紙を読む青衣の女」。日本初上陸だそうです。
というわけで、、もともと点数が少ないフェルメールを3作品も京都で一度に見られるのは素晴らしいことかもしれない。と考え直す。

展示されているフェルメール作品は、以下の三点です。
「手紙を読む青衣の女」(アムステルダム国立美術館蔵)


「手紙を書く女」(ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵)


「手紙を書く女と召使」(アイルランド国立絵画館蔵)



この展覧会の主旨は、フェルメールが生きた時代のリアルな風俗を伺い知る、というものです。

家庭にはどんな日常生活があったのか。
どういう職業があったのか。

それぞれの仕事に携わる人々、家庭にいる人々が、日常見せる表情を、ありのままに、画家たちが描きだしています。
タッチや構図が粗い絵も散見しますけれど、そこがまたリアリティを強調。
その印象を一言でいうなら(そして夫の造語を借りるなら)、デモクラシーならぬ「オッサンクラシー」の蔓延とでもいうか・・・


(こんな感じ。こちらはフェルメール「取り持ち女」(アルテ・マイスター絵画館蔵)。今回本物の展示はありません)

オランダ、それもアムステルダムなど都市部というと、もともと欲望におおらかなイメージが流布しています。
17世紀の当時はなお一層、ギラギラと、食欲や酒や金銭欲や性欲に目がくらんだオッサンたちが闊歩し、本能に素直に人生を愉しんでいました。
わたしのように歴史に疎い人間であっても、見るからに宗教的制約を(なくはない、はずながら)まるで感じないのが、興味深いです。

アムステルダムに着いた時、飾り窓がある地域や麻薬を扱っているという場所には、わたしは行きませんでしたが、旅した当時、ふつうに街を歩いていても、フランスやイタリアなど、文化に宗教色の濃いところとはまた違うタイプの、自由な空気を感じました。
フェルメールが生きた時代のオランダは、哲学者スピノザという最高の知性を生み出した、奇跡の場所だそうです。
その認識で展示を見ていると、あまりに教育機関のレベルなども発展途上の雰囲気なので(展覧会紹介参照)、ますます、スピノザの奇跡について、感動を深めることになると思います。



『フェルメールからのラブレター展』

京都市美術館にて
~2011年10月16日(日)開催
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)

東京ではBunkamuraにて
2011年12月23日(金)~3月14日(水)開催




top・・・フェルメール「デルフト眺望」(デン・ハーグ、マウリッツハイス美術館蔵)。なぜか和んで好きです。これも今回の展示はありません。

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