Let it be

よくいえば順応性が高い、が、
ようは影響をひたすら受けやすいカラッポさ、が、わたしの持ち味であります。

20代半ばでのフランス遊学＆少々の外国旅行以降、その傾向が一気に強まり花開いた感が自覚されます。

“世界には、これだけ文化が違う人間たちが存在するんだ！”
“どこにでも人間は住めるんだ！”
“視野でも環境でも、「一点だけ」に留まってしまうというのは、なんと狭く人間をつまらなくしてしまうことだろう！”

という発見は稲妻のようにわたしを撃ち、元々さほどない「こうあらねば」の先入観をザザッと一掃してしまいました。
ここでコンテンツ・パーソンでしたら、創作の泉が豊かになる・・・のですが、わたしのようなカラッポのメディア・パーソンは、心身共にフットワークが軽くなるのみ。です。
ともあれ、
その後に会社を4回かわり、今住所をこれまで全然なじみのなかった京都に移したのも、別に構えるほどのことではない。
と抵抗なく受け入れてきたくらい、外国文化に触れた経験は視界を広げてくれたと感謝しています。
一方でラテン文化のいい加減な部分を、へんに学んでしまったかもしれないけど。。


性格として良くも悪くも過去のことはどんどん忘れるくせに、こんな、どうして俄かにわが半生をさかのぼってみたかというと、
先日、The Beatlesのアルバム『Let it be』復刻版を入院中の義母のために買ったからでした。
ipodに移したあと自宅でも聴いていたのですが、眠る前に流していたら、このアルバムとの出会いにふいに思い至りました。

小学生のとき、お小遣い＆お年玉が嬉しくて、「よし、なにか音楽を手に入れよう」と思い立ち、イトーヨーカドーの新星堂へ行ったのでした。
その頃、わたしの内的世界では、市内のイトーヨーカドーが、一番身近にあるスタイリッシュな場所として輝いていました。
そして、出会ったのがビートルズ。
なんの前知識もなく、親が好きだったわけでもないのに、そこに目が行ったのが不思議です。なんとなく手に取ったカセットテープの「Let it be」に決めて、なんだか大人気分！と一人悦に入りながら、自転車こいで、初めての大きな買い物をドキドキ持ち帰ったものでした。
そして、この初めて買った音楽テープにたいへん感動し、テープが伸びきるまで聴きこみました。
その後、弟と共同で、数年に渡ってThe Beatlesのアルバムを集め、全曲聴きました。

復刻版のビートルズ「Let it be」を耳にしてじわ～と蘇ってきた、この子供の頃の感覚の再現がリアルで、我ながらたいへん驚きました。
最初に聴いたあのときから、もうこんなに時間が経ったのにねえ。
記憶が映像で浮かんでくる。小学校高学年で転校し、それから中学時代と高校時代は一貫教育、大学時代、就職、遊学、帰国、ふたたび就職、・・・

その中で思い出す出来事の数々を味わって、さらに愕然とするのは、
わたし、全然世の中の役に立ってきてないわ。
という恥ずかしい事実の発見なのでした。
いくら「Let it be」と聴いていたからって、あまりにも「そのまま」過ぎるよ。。

そんな気付きに至ったのも、日々夫から
「これまで君はなにか社会に役に立ってきたのか？」
と問われてきたことがきっかけではありますが、

mi「う、ううーん、わりあい消費税に貢献してきたよ。」
夫「・・・それは、結果としてちょっとは貢献であっても、別に考えなしに、自分の欲望で自分の消費をしてただけでしょ、服だの化粧品だの。」
mi「そうだね。（うつむく）」

こうして何かと恥じ入る機会をもらっているのですが、
まったく嗚呼、そんなんにばかり漫然と費やしてきた半生か・・・、あらためて実感するのはなかなか意気消沈ものです。


ちなみに社会に貢献する　の意味は、
「快適な生活のための有益な知恵をみずから実践し、良い結果を提供すること」
と解釈しておりますが、
子供のころの心に戻れた今こそ、多少は胸をはれる「なにか」を生み出してみたいなと思いました。
そんなオチがついたビートルズとの再会でした。

実際には、美容料理をテーマにしている「すうぷそわれ」が、わたしの社会貢献にあたりますが、もっと、中身を濃くしていきたいと思います。