Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

9/23@TOKYO ~旅のお供。

2005-09-23 | France, sep.2005
旅行の写真が多いので、記事が多くなるかもしれません・・・。
なので、en france, sep.2005と、新たにカテゴリをつくりました 
少しずつ書いていきたいと思います



成田空港では、買いたいものがいくつかありました。
その日にならないと思い出さない、持って行きたいものも、結構あるもので・・・。
そのひとつが、本。
こういうものがほしい、と明確な目的があった訳ではないけれど、こう気分にぴったりくるものを求めて、本屋の棚をうろうろしました。

村上 龍、『料理小説集』。
パラパラめくって、なんとなくいいな、と思って決めたら、すごく当たりでした!
おなかがすいている時も、そうじゃない時も、目で食べておいしい、素敵な食事たち。
形容詞に独特の印象がある龍さんだけど、特に肉料理について書くときなんて、リアルを超えたリアルな描写に、実際にその感触を体の内部で味わっているみたいな気分でした・・・。

この本が、
飛行機の中のうつらうつらの合間に、
TGVその他の乗り物の移動中に、
ゆったり夜のお風呂の中で、
カフェで友達を待つ間に、
大活躍。
ちょうど、フランスのホテルやレストランでのことも多く載っているから、現地にいる身としては、すんなり気候と街の雰囲気とに共感する。
そして、すっきりと読み切りやすい短編ばかりだから、どこから気まぐれに開いても、その都度印象に残る料理たちが、感覚に訴えかけてくる・・・。
旅にぴったりな一冊です。

食べ物をおいしくするのは、つくる人・一緒に食べる人・食べる場所、
どれも大切な要素で、これらに対して、ひとの感性がピタリと状況に向かっている時だと思いました。
龍さんですから、当然、いい女と高価なテーブルで親密に向かい合ったりする。
食事は、あらゆる意味でセクシーなものです。
食べ物そのものの官能的な味わいを愉しみながら、彼は相手の女性の放つ魅力も体内に取り込んでしまう。
食べ物を間にはさむと、しかし、彼の少年のような純真な部分や情熱がくっきり浮かんで見えて、それは決して、あさましいいやらしさを感じさせません。
食べることは、生命を取り込むこと。
そのエネルギッシュな感覚と筆運びに、気付くと、読んでいてこちらも、おいしいものへの渇き、欲求を感じています。





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